NoName

Open App
9/10/2024, 1:56:11 PM

   喪失感


 からっぽになった、なんてことはない。
 ただ、悲しみと諦めが胸の内で泣いていた。

9/5/2024, 5:38:23 PM

   貝殻


 ふと店頭に並んだ商品に目をひかれた。貝殻などの入った、海を思わせる瓶だ。
 そういえばいつか貝殻拾いに行こうと言っていた相手がいた。
 友達だったあの子はいま元気だろうか?

 私はしばしその商品を眺めて、すぐに興味を失ったので歩き出した。

 叶わない約束だけがたくさん絡まって、やがて大人になって完全に千切れた。
 もう約束の糸が元に戻ることはない。

 拾いに行くはずだった貝殻は、きっと砂がすりつぶしたに違いない。
 そう、思う事にした。

8/23/2024, 6:45:52 PM

   海へ


 海へ行った時、防波堤がとても高かった。
 子供の頃の話だ。
 今も、あの場所へ行くと高いと感じるのだろうか?
 そうならいいな、と少し思った。

8/18/2024, 11:30:34 AM

   鏡


 仲良くなった人とは鏡のように似てくるという。あるいは合わせ鏡のような人が知り合いになるとも。
 けれどもそれは、どちらも相手に関心を持ってるからの話だと思う。

 さあ、私とあなたはどうだろうか?

8/16/2024, 10:24:53 AM

   誇らしさ


 あなたと過ごした最期の数日間。
 自分が悲しみを耐えきり、共に過ごせた事が私は誇らしい。
 あなたが生ききれた事をきっと邪魔せずにすんだのだから。
 繋いだ手。
 甘えてくるぬくもり。

 誇らしいと、そう思わなければ悲しみが、後からあとからわいてくる。

Next