また明日
短くて易しくて難しい、小さな約束。
「また明日ね!」
会おうだとか、話そうだとか、何かを共有しようだとか。
そんなのひっくるめての別れの挨拶。
ささやかな再会を望む言葉。
「また明日!」
子供らが同じ言葉で手を振り合う。
そういう情景が似合うのは、きっと今のような夕焼け前の公園などだろう。
季節が移ろって時を重ねても。
“明日”が“今度”に変わっても。
今のような笑顔がこの子達に続いたらいいなと、私は通りすがりにかすかに願ったのだ。
理想のあなた
想像の中でいくつも、何度でも理想のあなたを作り上げた。
そのたび私は自分に問いかけることになった。
「あの人への理想だけの塊なんて、今まで一体どこにあったの?」と。
えくぼの無いあなた、苦いコーヒーが好きなあなた、大人っぽいあなた。それから……。
理想のあなたを手放せたのは、あなたがいつも等身大の私を見ていてくれたおかげ。
そうでなければ、今でも理想は育ち続けていただろう。
子供のままで
いつだって人を見抜くような鋭さを、無邪気さが覆い隠している。
けれどそれは計算された振る舞いではない。
楽しければ笑い、悲しければ涙をにじませる。怒ったら飾らない言葉で、責めるでもなくただ事実を口にする。
人の幸せを自分のことのように喜び、人の痛みにはそっと寄りそう。
そんなあなたも、歳を重ねるごとに変わっていく。
でも心は子供のままで、世界を見続けていって欲しいと私は思う。
あなたがそう願っているように。
愛を叫ぶ。
虹の先へ届けと、いまあなたに思いを叫ぶよ。
どうか、自由でいて。
忘れられない、いつまでも。
真顔。そらせない眼差し。鋭すぎる言葉。
その時の私は何も分かっていなかった。
ただ覚えているのは、あなたからの血を吐くような痛みだけ。