いてぺん

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6/27/2025, 10:17:36 AM

まだ見ぬ世界へ私は行きたい。
専門学校へ進学を決め、ぼちぼち準備を始める。
母は過保護で、父は無関心そんな家庭の中で、好きなことをやらせてくれる。
それでもこの家は窮屈だ。
認知症の祖父に、いつもチクチク言葉を荒らげる祖母。
穏やかな生活を私は心待ちにしていた。
そんな中で、新居が決まり、荷物の搬入が終わった。
カーテンも付いていないそんなダンボールだらけの部屋。
寂しい部屋だが、やわらかい光が降り注ぐ。
そう、私は明日ここで暮らすのだ。
上京し、新しいまだ見ぬ世界へ!

6/26/2025, 10:34:31 AM

家族の最後の声を聞いたのはいつだったろうか。
ポコリンポス星との戦争が長引き、もう10年は経った頃だ。
兄と父は徴兵され、それから2年は連絡が取れたが、今はもうどこでどうしているのか、生きているのかさえ分からない。
母とは疎開する際、どこへ行くか話し合いの末喧嘩になり、母とは別の星へ疎開することになった。
母の行く星はルルポポ星といい、かなり都市開発が進んでおり、人間さえもコンピューターで管理するとかどうとか言っていた。
この星は戦争により荒廃し砂漠のようになってしまった。食べ物はなく、もう避難できるところもない。
私は、地球という星に行くことにした。自然豊であり、都市部も多いと聞く。
この話を聞いてわかると思うが、私と母の趣味は全くもって合わない。それが原因で昔から喧嘩が耐えなくて、いつも兄と父が仲裁に入ってくれた。
家族でテーブルを囲み夕飯を食べた日が懐かしくも思える。
そんな父も兄ももう居ない。
母がルルポポ星に行ってしまったのはいつのことだったろうか。
喉の飢えも、お腹の減りも、怪我もあり頭が回らない。
家族の声を最後に声を聞いたのはいつだっただろう。
私は宇宙船に乗り地球に行くしかないのだ。

6/25/2025, 11:17:39 AM

僕が最後に愛情を感じたのはいつだったろうか。そんなことを考えながら学校に行くため駅へ向かう。
小さな空き地に猫が2匹。母猫と仔猫だろう。
僕はふと猫は1回の出産で3から8匹産むとどこかの本に書いてあったな。そんなことを思い出した。

空き地にいる仔猫はこの1匹しか居ない。ここは温かい家でもなければ安心できる場所でもないだろう。そんな中この猫たちは生きている。
仔猫は母親の愛情を一身に受けながら育っているのだろうか。そんな思いが頭によぎる。
僕には愛情を注いでくれる人はどこにいるのだろうか。
あの猫たちを見てから僕は電車の中でも授業中でも「愛情とはなんだろうか」と思考をめぐらせてしまう。

今日、僕があまりにもぼんやりしていたからか、友人が僕を心配し、話しかけてきた。
内容は、友人の元野良猫の話だった。
写真を見せながら猫の愛らしさを語る。最初は警戒心が強く、キャットフードも食べなかったこと、触れるのも困難だったのに、今は甘えてくること。
保護されたばかりの頃と今の写真を交互に見せられ僕はこう思った。
あぁ、この猫は友人の小さな愛をいや、無条件の大きな愛を受け今日まで命を繋いできたのだろうと。

そんなことを考えていると涙が零れた。僕も愛情が欲しい。大きな無条件の愛じゃなくていい小さな愛でいいんだ。

帰り道僕は一目散にあの空き地に走っていた。

空き地に、猫はまだ居るだろうか。

6/24/2025, 1:44:05 PM

空はこんなにも綺麗だったろうか。
私が最後に空を見たのは1年と3ヶ月前。宇宙戦争が勃発した後、空は昼夜問わずポコリンポス星人たちの宇宙船で埋め尽くされた。
もちろん私の住む星もそのポコリンポス星に対抗すべく、ありとあらゆる分野の専門家が集まり、急遽宇宙船の制作に取り掛かった。
そう、私の星には宇宙船、それと、宇宙戦争に対抗しうる術がなかったのだ。
それから戦争が激化するにつれ星は貧しくなり、食べるものはなく、ポコリンポス星人から逃げ惑い、父や兄までもが宇宙船の乗組員に徴兵された。
そして3ヶ月前、星のお偉いさんがやっとの事で取り付けたポコリンポス星王との会談。2ヶ月半にも及ぶ激的な討論の末、停戦が議決されたのだ。
そして今、私はこの空を見ている。1年と3ヶ月間という長くも短い間、宇宙船で埋め尽くされていた空がよく見える。
空はこんなにも綺麗だったろうか。