いてぺん

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僕が最後に愛情を感じたのはいつだったろうか。そんなことを考えながら学校に行くため駅へ向かう。
小さな空き地に猫が2匹。母猫と仔猫だろう。
僕はふと猫は1回の出産で3から8匹産むとどこかの本に書いてあったな。そんなことを思い出した。

空き地にいる仔猫はこの1匹しか居ない。ここは温かい家でもなければ安心できる場所でもないだろう。そんな中この猫たちは生きている。
仔猫は母親の愛情を一身に受けながら育っているのだろうか。そんな思いが頭によぎる。
僕には愛情を注いでくれる人はどこにいるのだろうか。
あの猫たちを見てから僕は電車の中でも授業中でも「愛情とはなんだろうか」と思考をめぐらせてしまう。

今日、僕があまりにもぼんやりしていたからか、友人が僕を心配し、話しかけてきた。
内容は、友人の元野良猫の話だった。
写真を見せながら猫の愛らしさを語る。最初は警戒心が強く、キャットフードも食べなかったこと、触れるのも困難だったのに、今は甘えてくること。
保護されたばかりの頃と今の写真を交互に見せられ僕はこう思った。
あぁ、この猫は友人の小さな愛をいや、無条件の大きな愛を受け今日まで命を繋いできたのだろうと。

そんなことを考えていると涙が零れた。僕も愛情が欲しい。大きな無条件の愛じゃなくていい小さな愛でいいんだ。

帰り道僕は一目散にあの空き地に走っていた。

空き地に、猫はまだ居るだろうか。

6/25/2025, 11:17:39 AM