今、見てくれている君へ

Open App
7/2/2023, 1:00:32 PM

─日差し─
 朝、午前五時。24℃と設定されたエアコンの下に、天使のような君は居る。いつものようにカーテンの裏で、丸い目の中に、細い縦線を入れて。まるで、初めてみた景色を見ているように。僕は、思った。

「いつもと同じ景色なのに、なぜあんなに楽しそうに見ていられるのだろう。」

でも、その考え方は一瞬だった。 物事は、良くも悪くも一瞬にして変わってしまう。例えば、今さっき僕は、寝起きに家中のカーテンを開けて、冷蔵庫からキンキンに冷えたミルクを取り出し、口に含みながら、リモコンでテレビを付けた。そしたら、昨日まで、節電を呼び掛けていたニュース番組が、明日は暑すぎるから、エアコンを付けて寝るように呼び掛けていた。その少し前の話しをするなら、寝起きのすぐの景色と、メガネを着けて一日活発に動いた後の景色とでは、全く違ってくる。
こう考えれば、少し、君が毎回楽しそうにしているかの理由がわかってくる。
君は、少しの変化をもう少し大きく捉えていたんだね。
僕は今、皆なが属に言う、「同じ景色は二度と来ない」を実感した気がする。

毎日、毎回を、どう捉えるかが、幸せの秘訣だと、朝の美しい日差しに照らされた天使のような君が教えてくれた。

7/2/2023, 8:55:12 AM

─窓越しにみえのは─
 目の前にある家の白猫。天使の羽のように艷やかな純白の毛。その天使の毛が囲む、透き通ったオッドアイの目。右目には、エメラルド。左目には、アクアマリンが埋め込まれているかのような凛々しさと華やかさが詰まっていた。生まれてきたのが人間だったのならモデルになっていたであろうシルエットも持ち合わせていた。

  もはや、この世にいるのがもったいないほどだった。

 この世は、濁っている。もっと言えば、真っ黒だろう。
そんなこの世が、この天使の純白の毛を黒く染めていってしまいそうで、透き通った目を濁らせてしまいそうで少し怖い。まぁ、今の僕には、どうする事も出来ないけど。
 僕は、この天使に、北アルプスの大自然の中で、自由に暮らしてほしいと、ただただ無責任な思いを抱いてこの世を去って行った。

天国なんて、あるのかなぁ。
       来世が楽しみだ…