光る苔

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4/22/2025, 12:19:21 PM

BIG LOVEという言葉を聞いて思ったことがある。
BIG LOVEがあるのならSMALL LOVEもあるべきだろう。
BIGLOVEとは、直訳すると大きな愛であるが、ネット上では大好きという意味で使われるらしい。

僕は愛=好きであるのか。
と疑問に思った。
愛どんな言葉なのだろう。

僕はこう思う。
愛とは便利な言葉である。

例えば、
愛している。
この言葉だけでいくつの意味があるのだろうか。

恋愛としての愛。
家族としての愛。
友情としての愛。
自分自身への愛。
世界に対する愛。

愛とは様々な形になれる。
愛とは何処にでも居れる。

だから、愛というぼんやりとした言葉に人は逃げてしまうのだ。

よく世間は言う。
恋愛をしろ、と。
家族を愛せ、と。
友を大切に、と。
自分を好きになれ、と。
何事にも慈愛の心をもて、と。

人は何かを愛さなければ生きていけないのだろうか。

-全く、その通りである。
人は何かを愛さなければならないのだ。

人は子孫を残そうとして、愛を知った。
人は子供を育て続ける為、愛を与えた。
人は人と深く繋がるのに、愛を使った。

愛とは、人類の歴史である。

最初に言った。
愛とは便利な言葉である。と。
そして、こうも言った。
愛と言うぼんやりしたものに逃げてしまう。とも。

愛は人のために作られたものである。
故に、愛は便利な手段であるし、逃げ場所でもある。
だからこそ、それを恥じることはない。

しかし、「愛が何であるか」とを考えずにそれを使うのは愚かである。

人は、大小はあるものの愛を持っている。
大きな愛、小さな愛、真っ直ぐな愛、歪な愛。
愛に形などないのだ。

自分なりの愛を見つけ、そして与えることで本当の意味で何かを愛すことができるのだろう。

愛とは便利な言葉だ。
しかし、不思議な言葉だ。
誰もその本当の姿を知らない。

もしかしたら、今は愛の形が分からないかもしれない。
愛の形が歪かもしれない。
愛の大きさが小さいかもしれない。

けれど、それは今、君の愛である。
愛は、必ず赤いハートの形である必要はないのだ。

愛とは元々自分の奥底に在るものだから。

4/21/2025, 10:23:11 AM

ざわざわ。ざわざわ。
風が知らぬ顔で通り抜ける。
木は誰かにささやいていた。
いたい、いたいと泣いていた。

ざぶざぶ。ざぶざぶ。
カモメは気にもとめずに飛んで行った。
海も誰かにささやいていた。
きたない、きたないと怒っていた。

ざーざー。ざーざー
車は気にせずに通って行った。
空も誰かにささやいていた。
くるしい、くるしいと困っていた。

ざわざわ。ざわざわ。
カメラは興味無さそうにフラッシュを炊いた。
人は誰かにささやいていた。
だれか、だれかと助けを求めていた。

ざわざわ、パシャ。
ざわざわ、パシャ。

カメラは誰かを記録した。
人は誰かを噂した。

ざわざわ、パシャ。
ざわざわ、パシャ。

カメラは傷ついた人を笑った。
人は怒っている人から距離をとった。

ざわざわ、パシャ。
ざわざわ、パシャ。

カメラは困っている人は撮らなかった。
人は助けを求める人を嘲らわった。

ざわざわ、パシャ。
ざわざわ、パシャ。

木のささやきはもう聞こえない。
海のささやきはもう聞こえない。

ざわざわ。
ざぶざぶ。
ざーざー。
ざわざわ。

カメラはファインダーを見るのを辞めた。
人は誰かのささやきを聞こうとした。

空のささやきはもう聞こえない。
人のささやきはもう聞こえない。

もう誰のささやきも聞こえない。

4/20/2025, 1:44:41 PM

月は狡い。
自ら輝かないくせに、夜になると我が物顔で街を照らす。

星は静かだ。
自ら輝き、なんだったら太陽よりも光るはずだ。
だけど、夜の空に隠れ、慎みながら光っている。

月明かりは苦手だ。
特に満月は。
否が応でも僕を照らしてくる。
夜ぐらい僕を映さないで欲しいのに。

星明かりは優しい。
満点の星空は、優しく照らしてくれる。
一つ一つの光は弱いけど、集まって照らしてくれる。 その光は、優しく足元だけを照らしてくれる。

太陽はうるさい。
太陽の光が正しいかのように一方的に突きつけてくる。
それが僕は嫌いだ。

けれど、太陽もどこかでは星のひとつなんだ。
どこかで、誰かを優しく照らしているひとつなんだ。
そう思うと、少しだけその光を受け入れてみた。

4/19/2025, 10:12:24 AM

「ほうら、蝶々が飛んだぞぉ。」
黒い犬が言う。
白い空を飛ぶ蝶々は形を変えて兎に成った。

「そら、鳥が飛ぶぞぉ。」
黒い兎が言う。
黒い犬は鳥になり白い空を舞った。

「鳥さん、鳥さん。貴方はなんで黒いの。」
黒い兎が問うた。
黒い鳥は白い空に浮かびながら答えた。

「兎さんや、それは空が白いからだよ。」
黒い鳥は地面に降り立った。
黒い兎はぴょんぴょんと跳んでいる。

「鳥さん、鳥さん。お空はなんで白いの?」
黒い兎が尋ねた。
黒い兎はゆっくりと蝶々に成った。

「蝶々や、それは光があるからだよ。」
黒い鳥は形を変えた。
黒い犬は地面に寝そべった。

「犬さん、犬さん。僕たちは光になれないの?」
黒い蝶はパタパタと聞いた。
黒い犬は欠伸をして伸びをした。

「蝶々や、僕らは光になれないんだ。」
黒い犬は悲しそうに答えた。
黒い犬は、蟹に変わった。

「蟹さん、蟹さん。僕らはなんなの?」
黒い蝶は崩れながら見つめた。
黒い蟹はいつの間にか消えていた。

突如、ブチンという音ともに空が無くなる。
黒い蝶も犬も鳥も兎も蟹も一緒になる。

「ああ、電球が切れちまったか。」
誰かが言う。
黒い部屋に足音が響く。

「そうら、蝶が飛ぶぞぉ。そうら、鳥が飛ぶぞぉ」
誰かが呟いた。
黒い部屋に空はまだ無いまま。

「ほうら、飛ぶぞぉ。飛ぶぞぉ。」
誰かがつぶやく。
黒い部屋には着信音だけが響く。

「消えるぞぉ、いなくなるぞぉ。」
誰かが泣いている。
黒い部屋には傷跡だけが残っている。

「父さん、母さん。僕はなんで生まれたの?」
誰かが苦しんだ。
黒い部屋に光は届かない。

「子供や、子供の僕や。それは間違いだったんだよ。」
誰ともなく答えた。
黒い部屋が少しだけ蠢いた。

「先生、先生。僕は普通じゃなかったの?」
誰かが諦めた。
黒い部屋は遠い場所にあった。

「学生や、学生の僕や。僕は普通にはなれなかったんだよ。」
誰かが答えた。
黒い部屋の傷跡は膿んでいた。

「神様、神様。僕はどこに行くの?」
誰かが聞いた。
問うた。
尋ねた。
黒い部屋は答えてくれなかった。

「飛ぶぞぉ。」
誰かが叫んだ。
パチンという音ともに光が灯る。
白い空が現れる。

「飛ぶぞぉ。」
ガタンという音と共に黒い人は揺らめいた。
白い空には黒い人が浮かんでいた。
空からはひとつの紐が垂れていた。

白い空には黒い蝶も鳥も居なくなった。

4/18/2025, 10:56:28 AM

桜は落ちてからが美しい。
花弁は、落ちてもなお桜色を保つ。
そして、いつかの花弁は人知れず土に還り次の桜を咲かせてやるのだから。
桜は散るからこそ桜であり、だからこそ綺麗なのだ。
自ら物語を紡いで、そして終わらせる。
桜とはそういうものだと思う。
そういうものになりたいとも思う。

足元の花びらを見つめながら呟いた。

桜はどこからが桜なのだろう。
僕らは、桜であることを花弁で判断している。
淡いピンクの花弁が顔を出すことでそれが桜であると認識するのだ。
花の無い桜はただの木でしか無くなる。
けれど桜は散ってしまう。
桜からただの木に戻るというのに。
桜の花弁は、必死に咲いているから淡い赤色なのかもしれない。

小さな桜の苗木に会釈をしながら考えた。

桜が日本の象徴になったのは何時だろうか。
きっと、桜が生まれた時であろう。
けれど、誰かが桜を知らなければ象徴になることは無いだろう。
そしたら、誰かが綺麗と思った時だろうか。
しかし、綺麗な花は山ほどあるのだ。
その綺麗な桜を誰かが芸術にした時だろうか。
その芸術を見て、誰かが泣いた時だろうか。
堂々巡りの答えはきっと僕じゃ知りえない。
分からない。けれど、僕が答えだと思ったものが答えなのだろう。
だから、僕は桜を文章にしようとするのだ。

日本らしい花見の声を聞きながら思いついた。

桜の木は様々な物語を教えてくれる。
誰かの静かな出会いや騒がしい別れを見ていたのだから。
桜の花弁は小さな物語を知っている。
誰かの暖かい涙や無邪気な笑顔に優しく触れていたのだから。

僕の物語は僕が知っている。
多分、面白い話ではないだろう。
だから、僕は他者の話を描こうとする。
けれど、他者の物語は僕だけでは知りえない。

だから、僕は桜の木に尋ねるのだ。
面白い話はありませんでしたか?と。
けれど、桜は答えてくれない。
仕方なく、僕は目を瞑り静かに想像することにした。
その時に、また新たな物語が生まれるのだ。

それは、桜から読み取った誰かの物語で、僕の物語でもある。

寂しさも苦しみも楽しさも笑いも。
全て混ざった物語は桜と常に共に作られるのだ。

桜ほど、始まりに相応しい花はないだろう。
花が咲く時、僕の知らない物語が始まっているから。
桜は、その物語を誰にも教えず、ただ見守っているだけなのだから。

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