私たちはあの時手を取り合わなかった。
あの時手を取り合っていれば、、、。
私たちは中学生だ。
そして来年高校生になる。
なので今は受験シーズン真っ只中だった。
みゆは私の親友だ。
その、みゆが私に提案してきた。
気分転換に、川に遊びに行った。
その月は真夏でとても暑かった。
私たちは川で遊んでいた。
するとみゆが足を滑らして頭を岩にぶつけた。
私はあの時近くにいた。
私が走れば。手を取りあったら。助かったかもしれない。
結局みゆは、頭をぶつけて意識不明。
私は急いで救急車を呼んだが、
その時にはもうみゆは息をしていなかった。
私は優越感に浸っていた。
テストの学年1位。ミスコンでも優勝。
みんなから好かれているし告白だって毎日と言えるほどされる。私は気づかないうちに優越感に浸っていた。でもある日あるグループから悪口を言われた。
意外と図星な事だった。その悪口がどんどん学校に広まっていって、私の人気は下がった。もう私はいっその事クラスの端にいるあの子になりたいと思った。
私は劣等感しか無かった。
テストは学年最下位。ミスコンには出たこともない。
みんなからは嫌われて告白だってされたこともない。
悪口を言われまくっている。私はみんなに囲まれているあの子になりたいと思った。
私の名前は春佳。
私は薫くんが好き。
プールに溺れて助けてくれてから3年前。
ずっと彼のことが好きだ。
でもあまり喋ったことがない。
そして私には大親友の舞梨がいる。
彼女にはいつも彼のことについて相談しているが
特に進展は無い。
まぁこういうものだろう。恋というのは。
でもある日事件が起こった。
薫くんと舞梨が一緒に手を繋いで歩いていたのだ。
しかも恋人繋ぎ。
私は2人に向かって歩いた。
「えっ春佳、、、?」と舞梨が言う。それに続いて、
「あっ。舞梨といつも一緒にいる子ですよね。僕は舞梨と付き合っている、薫です。」と言った。
嗚呼。これまで、ずっと、隠してたんだ。
スマホを見ると1件のLINEが来ていた。
「まだ寝てる?」
私の彼氏からだった。
すぐにまた沢山来た。
「起きてる?よね?」
「今何してる〜?」
「返信してよー!」
「僕のこと嫌いになっちゃった?」
「ほんとにごめんね」
「さみしい。」
「今から君の家に行くね」
ああ。私の彼氏はいわゆるメンヘラと言うやつだ。
でも私は、そんな彼がすき。
目が覚めると、真っ白な天井が見えた。
よーく見ると、きめ細かくお花の絵が書いてあったり
起き上がり周りを見ると、そこには、
赤いひとつの角を生やした人間がいた。
とても美しく5秒くらい見とれてしまった。
その女性に「ここは何処ですか?」と尋ねた。
その女性は「ここは谷の下の聖域だ。」と、答えた。
聖域?ていうかなんでこの人は角が生えているの?人間じゃないの?
「私は人間では無い。」
女性は急に言った。
心を読まれた?どういうことだろう。人間ではない?
私は頭が疑問でいっぱいだった。
目が覚めてから不思議なことばっかりだ。
あっもしかして、夢だろうか?
「夢では無い。」
また心を読まれた、、、。
女性は、言った。
「ここに着く前のことを覚えていないのか?」
嗚呼。そうだ。私は生贄なのだった。
村の疫病神の私。
代々生贄として続いている家系。
しかも私は不幸を招く体質だったので、
幼少期から閉じ込められ
予定日より3年前の儀式に、
生贄として殺されたんだ。
嗚呼。この世に目覚めるときから間違っていたんだ。