ℕ𝕠.28ーmoonlightー
“はぁ、今日も疲れた…。”
窓のすぐ側にある1人用ソファに腰掛ける。
外を覗こうとするも、思わず顔を背ける。
今日の夜空は異常に眩しい。
もう一度窓の外を見る。
今度は、目が慣れたせいかしっかりと空が見えた。
真っ黒な紙に
明るい黄色の絵の具を振り掛けた様な空。
その中でも人一倍輝いている月。
“いいなあ…。”
不意に声がこぼれる。
それと同時に涙が溢れてくる。
私はあんな風になりたいんだ。
そうなのか、
無理だと分かっていても
そう思わせる月はなんてずるいんだ。
ℕ𝕠.27ー今日だけ許してー
私はずっとずっと頑張ってるよ!
見てるよね!
見てくれてるよね!
そうだよね、!
みてくれてるよね…!
みてるよね、
そうだよね…。
こんな日もまた我慢しなきゃいけないの…?
今日は、今日だけでも、
“私はきっと愛されてる”
そう思いたいの、
だから、だから、
今日だけは、夢を見ていいよね、、、?
ℕ𝕠.26ー誰かー
私は暗闇の迷路の中にいる。
ずっと、ずっと
ゴールどころか少し先も見えない中、
手探りで、おぼつかない足取りで、
歩いている。
私は誰に会うでもなく
何を好くでもなく
ただ真っ暗な道を歩いている。
誰にも見られず1人でふらふらと進んでいく。
何があっても
私は人を頼ることが出来ない。
私は
今日も一人で
暗闇を歩く。
誰か助けて―。
ℕ𝕠.25ーまってー
友達だったあの子。
いまではアイドルになってる
あの子は。
いまでは海外で仕事をしている
あの子も。
いまでは大企業に務めている
あの子まで。
決して有名ではないけど、あの頃言っていた夢を実現させている
それに対して私は—。
あの頃みんなが勉強に夢中になっていた時、
私はずっとずっと絵を描いていた。
家族は、絵を職業にできる、とまで言っていたのに
学校では何の賞に選ばれることもなく、
特別褒められることもなく、
なんなら周りの子の方が認められていた。
私は、家族の言葉を信じて絵を描いていたのに。
でも、その時に家族は、勉強は絶対にしておけ、とも言っていた。
…でも、私はその言葉は無視していた。
あの頃、自分が努力をしなかったから、
みんなよりも後ろからスタートしなければならない。
まって、まってよ、
そう言っても実力の差はどんどん開いていくのみ。
ℕ𝕠.24ー新しい地図ー
今日もまた、
古くてシワだらけの地図を開く。
そこには、
自分の人生の歩み方が
図に表されている。
自分はこの通りに生きていかなければならない。
他のことをしようとすると、
とんでもない罰が降り掛かってくる。
自分のしたいことを出来ない。
しかも、
この地図には読めないところもある。
そこを勘で行動すると、
罰を受けることになる。
他の人達はこんな地図なんか無い。
だから、
また置いていかれる。
せめて、
新しい地図をくれたなら、
もっとスムーズに進んでいけるのに。