貝殻を拾って、それで。ただそれだけだけど、自分にとってはそれ以上の感情が詰まっている。君を思い出して夜の海に来る度に、最早伝えられず心に留めるしかない感情を吐き出すように呟きながら貝殻を踏む。鈍い音と共に砕け、砂に還るような破片を見れば一時的に何も考えずにいられる。なにやってんだろ、貝殻綺麗だったのにな、とか。
拾って、落として、踏みつける。人に見られたら異常な行動でも、自分の中には意味がある、大切な理由がある。邪魔はしないで欲しいかな、なんて。
貝殻を拾って、砕いて。一時の感情に任せすぎてるのはわかってる。
[貝殻を拾って]
きらめきというのは、一瞬で儚いからこそ美しい。
[きらめき]
些細なことでも人は喜び、悲しみ、前を向き、下を向く。他人にとっては「たったそれだけ」でも、自分にとっては大きな傷になるほどの凶器にもなる。
けれど気を付けなければならないのは、自分もそれをやっていることだ。かもしれない、じゃなくてやっている。自分が人に言われた些細なことで深く傷付いたとき、わざわざ人に言うだろうか。否、そんなわけない。それと同じで誰だって嫌なことをわざわざ人に言い広めることはそうそうしない。だから、どんなに気を付けていても気付かぬうちに誰かを傷付けてしまっているのだ。傷付けられ、傷付け、それでもなお生きていく。
些細なことほど気を張り続けられない、そんなもの。
[些細なこと]
心の灯火が消えないように、大切に大切に扱う。命の灯火と違って消えただけでは死にはしないけれど、消えたらまた灯るか、と言われたら肯定はし難い。
大丈夫、君はすごいよ。頑張ってるし、努力しているところも見てきた。どうしても出来なくて消えたくなったら、自分でいいならなんでも力になるから。だから無理をしないで。君はただ、自分を大切にして。火を、消さないで。
心の灯火が消えた自分から、消えそうな君への精一杯の言葉。
[心の灯火]
開けないLINE、オンラインの表示を消したインスタ、見つけたまま見られないTwitter。全部、全部君のせい。好きな人のことを知ろうとして何が悪いというのだ。けれど、最後の一歩は踏み出せない。インスタもTwitterも執着して監視するようなことはできない。そんな勇気はなかった。そんなことをしたら、自分が次にどんな行動をするのか分からなかったから。
けれど、開けないLINEだけは自分でも謎だった。別に未読スルーしてるわけじゃない。ただ、君への一言を自ら送ることが出来なかっただけ。
開けないLINE、君からの通知だけを待っている。
[開けないLINE]