34.1年間を振り返る
一年間、僕は大きく変わった気がする。
まず、人見知りが改善された気がする。
親の友達で小さい時から仲良くしてもらっている人や近所の人にたわいない話もできるくらい変わった。
親にも、「前よりも話すようになったね」
と言われた。
あとは、学校を辞めた。
学校生活が合わず2学期になって絶えられなくなり、
喘息が悪化してそれでも毎日走らされて、
学校行きたくなくて親と朝から喧嘩…
そんな日々が続いた時、俳優の仕事に興味を持った。
それからは早かった。
オーディションを受け、合格し、学校を辞めた。
これからもいろんなことに興味を持ってやりたいと
思ったものはチャレンジしてみようと思う。
このアプリも、毎日は無理でも語彙力を少しでも
治すため続けようと思う。
33.冬休み
僕は冬休みなんか嫌いだ。
なぜなら、寒くてさらに孤独に感じる。
僕の家は貧乏だから暖房もない。雪が降り始めたら
死を意味するぐらい危険だ。親は働きに出ているので顔もあまり合わせない。
誕生日の日でさえ、1人で毛布にくるまりながら自分でお祝いの歌を歌ったりしていた。
こんな誕生日のせいで自分が何歳なのかも
忘れてしまった。
親も今生きているのかさえもわからない。
お腹が空いてきた。でも家には何もないし動けない。
僕は確信した。もうすぐ僕は息絶えてしまうのだと…
せめてもう一度親に会いたかった。お腹いっぱいに
ご飯を食べたかった。暖かい場所で過ごしたかった。
だから僕は冬休みが嫌いだ…
変わらないものはない
31.イブの夜
「お届け物でーす。」インターフォンが鳴り、
声が聞こえる。なんか買ったふだろうか?
そんなことを思いながら玄関を開けた。
「お荷物の確認とサインお願いしまーす。」
配達員の男は金髪で、チャラそうな人だなって思いながら荷物を確認した瞬間…目が飛び出そうになった。
こんなの嘘だろうと思った。彼女からのだった。
でもそんなものが送られてくるはずがない。
だって彼女は、去年病気で亡くなってしまったの
だから…
俺は金縛りにあったかのように固まってしまった。
そんな俺を見て「大丈夫っすか?」チャラそうな
配達員の男に言われ、我に返った。
慌ててサインをし、受け取った。
「あざしたー」配達員の男はやる気のない礼をして
姿を消した。配達員から受け取った物は小さかった。
開けてみると俺宛の手紙が入っていた。
懐かしい彼女の文字。彼女の名前。
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〇〇へ
あなたのことがずっと大好きで、
今でもずっと大好きだよ。
私よりいい彼女作って幸せになってね。
いつでも見守ってるから。
𓏸𓏸より
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「お前以外いるわけないじゃん…」
そんな言葉がポツリと涙とともに漏れた。
久しぶりに彼女の名前を口にする。
懐かしい。愛おしい。寂しい。悲しい。
色んな感情が重なって言った。
「配達お疲れ様でした。彼は元気そうでしたか?」
依頼人からメールが届いていた。
報告を事務的に入れてスマホを胸ポケットにしまう。
「仕事完了!お互い幸せになれよ〜」
配達員の男はポツリと呟き、夜空を見た。
今夜はクリスマスイブ。
奇跡の一つや二つ、起きてもおかしくはないだろう。
配達員の男は穏やかに微笑んだ。
30.ベルの音
僕の家の近くはベルの音が鳴る。
まぁ、僕の家といっても孤児だから施設だけど。
小さい時は親がむかえにきてくれると思ってたから、頑張ってきたけど、どんどん成長するにつれて
親が迎えに来ないことに気づいていた。
なぜ親は僕を捨てたのか。どうして見捨てたのか。
知りたかった。でも、施設の人に聞いても話を
そらされてしまう。
ベルの音が鳴ると、みんな施設の中に入ってくる。
小さい子達が沢山いる。
中学生くらいなのは僕ぐらいだろう。僕はこんな施設からでたかった。自由になりたかった。
親がなぜ見捨てたのか理由を知りたかった。
数日後、僕は施設をでた。見つからないように…
静かに門をくぐり抜け外へ出た。初めての外だ。
だが想像していた外とは違かった。
僕の目に見えるのは、まるで戦争が終わったあとの
ような…怪物が暴れていたあとのような…そんな感じの風景が拡がっていた。そこで僕は悟った。
親は死んでしまっていたんだと…
ベルの音が聞こえた。僕は戻ろうとした。
でも戻れなかった。足が動かない。
後ろからものすごいスピードで動く何かがいる。
振り向くと、化け物がいた。僕は食われるのだと覚悟を決め目を閉じる。まだベルが鳴り響いている。
僕は施設からでるんじゃなかった。と後悔していた。