19.ありがとう、ごめんね
僕はいじめにあっていた。みんなはいじめる理由とか覚えてないと思うけど、僕ははっきりと覚えている。
中学一年の頃だったか、僕の口癖が「ごめん」だったことから目をつけられた。
「おい、早くパン買ってこいよ。」
一番僕を乱暴に扱う君。乱暴だけど君はとても
綺麗で、美しい顔をしている。見惚れていると君は
恥ずかしそうに目を逸らし「早く行くぞ。」っと
そう言って僕の手を引いて歩く。
その手は優しくて温かい…君の真っ赤な耳が見えて
ニヤニヤが止まらないでいた。
そんな時間が小さな幸せだった。
でも日に日にいじめはエスカレートしていった。
教室にいるだけでも辛かった。
ボーッとしながら帰っていたら突然、
視界が真っ赤になった。身体中が痛い。
あちこちの骨が折れていることがわかった。
事故ったんだ。そばには僕を乱暴に扱っていた君が、
泣いていた。顔を真っ赤にしながら…
(泣かないで。笑顔でお別れしようよ。)
僕は最後の力を振り絞って君に言った。
「ごめんね。ありがとう…君が好きでした。」
そう言って僕は旅立った。
君は声が枯れてしまうくらい泣いていた。
18.部屋の片隅で
片隅っていいよね。誰もいない静かな空間。
居心地悪い教室でも片隅は静か。落ち着く…
僕は1人でいたくなくて1人の子がいては
友達として仲良くしていた。
大人数の時は笑顔で、ちゃんと笑えてるか
わからないけどみんなの話をニコニコしながら
聞いてるだけだった。そんな自分が嫌いだけど、
こんなことしかできない奥病者だ。
ふと窓側を見ると、教室の片隅に空を見ている
君がいた。1人でも平気だという顔をしている。
その子がとても羨ましかった。
羨ましいけど、おまけに空を見上げている
君はとても綺麗だった。
いつか君みたいに1人でも平気な人になりたい。
そして君と話してみたい。友達になりたい。
そんなことを思いながら友達と思っている人の話を
ニコニコと聞き流している。
17.逆さま
ある日、逆さまな世界になっていた。全てが逆さま。
家も逆さま。言葉も逆さま。
みんな普通に暮らしていた。
まるで今までこれが当たり前のように。
でも僕は違和感を感じていた。
いつも通り僕は、学校に行った。いつも言われない、
「かっこいい〜!すごー!」っていう声が
聞こえてきた。すごく嬉しいと思ったが、すぐさま
逆のことを言っているんだと思い出した。
僕の憧れている好きな人が初めて声をかけてくれた。
「ずっと好きだったんだ。大好き!」って言って
僕から離れた。 僕はとても悲しくなった。
だって好きな人から好きって言われたけど
今は逆の言葉で話しているのだから
「嫌い」って言われたってことじゃないか。
次の日、僕は学校をサボった。
この世界から消えようと思ったが全てが夢だった。
僕はホッと胸を撫で下ろした。
16.眠れないほど
夜になると今日の出来事を振り返ってしまう。
今日はこれができなかった。
この時こうしておけば良かった。
とか…色々考えてしまって眠れなくなる。
誰にも会いたくなくなったり、話したくなくなったりもする。
そのせいで体調が悪くなって学校を休んでしまいがち
こんなことはしたくはない…
だけど自分に自信がないせいか考えることを
やめられずに毎日を過ごしている。
いつか何も考えずにぐっすり眠れるようになりたい。
15.夢と現実
僕は夢に出てくる男の子に恋をしてしまったようだ。
制服を着ていて、多分僕と同じ高校生なのだろう。
色白で金髪がよく似合う。なぜかいつも寂しそうな顔をしているが、その顔がとても美しい。
なんだろう、今にも触れて消えてしまいそうな…
そんな雰囲気…
君と夢の中でくだらない話をし、海で遊んでる夢だ。
君に触れようとすると目が覚める。とても楽しい夢だが、現実ではないんだと悲しい気持ちになる。
目が覚めても君のことで頭がいっぱいになって、
何も手が付かない。君に夢中だった。
でも現実出会えることもないから触れることもできない。せめて、夢の中だけでもって思って触ろうとするが目が覚めてしまう。
この感じがもどかしくて胸が苦しい。
君に触れたいのに触れられない。現実じゃなくて夢。
こんなに苦しい話があるのだろうか。
だから僕は君とずっと会えるように薬を沢山飲んだ。
「これで、ずっと一緒だね。」
そう笑って僕は倒れた。とても幸せそうに…