はじめ

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4/3/2024, 8:41:13 AM

【大切なもの】

「稼がないとさ、金欠だから」
そう言いながら、さっきコンビニで買った棒アイスを齧る君。
「大切だもんね、お金」
パウチのアイスを吸い、答える自分。
「分かるー」
にこにこと、満面の笑みを向ける君の後ろから、日光が差し込んでまぶしい。
学校帰りの、まだまだ明るい空と、甘いアイスと、楽しそうな君と。
「なんかいいバイトないかなあ」
そんな会話と。
(握り締めて、閉じ込めたくなる程の)
(きらきらした、強い光の)
「明日も晴れたらいいねー」
(何年後にも、鮮やかに思い出せそうな、高い気温)
何よりも。
「晴れるっしょ」
貴重なもの。

4/1/2024, 12:57:06 PM

【エイプリルフール】

普段から、嘘をついているようなものだ。
「勉強?全然やってなーい」
と笑いながら、昨夜は日付が変わるまで勉強していたり。
「太っちゃってさ、みんな細くていいなあ」
と呟いているけども、標準体重はキープしていたり。
「可愛い、何着ても似合うね」
と微笑みながら、
(うっわ、似合わないよね何着ても)
と心の底では呆れている。

だから、嘘をついても良いなんて日には。
「この世界なんて、無くなっちゃえばいいのに」
本当の本音だけ、言うようにしてる。

4/1/2024, 7:40:32 AM

【幸せに】

「つらいー」
「そんなときには、横棒一本足しな」
「辛いから、幸せってか」
「よく出来ました」
「くっだらね」
そうやって、笑い合うこの時間が、永遠であるように。

3/30/2024, 3:13:59 PM

【何気ないふり】

(ああ)
察して、手を繋ぐ。思った以上に、冷たい指先を、暖めるように両手で包む。
「繋ぐと、歩きにくくない?」
そう言って見下ろしてくる、その視線が、口より雄弁に、この人を物語るから。
「繋ぎたいからー」
そんな、アホの子みたいな口調でおどけてみせる。
(これ以上、冷えないように)
体も、心も。

3/30/2024, 7:49:45 AM

【ハッピーエンド】

高く澄みわたる空と、柔らかく吹く風。辺りも明るく、暖かい。木々が揺れて、ざわざわと鳴る。
「さて」
ちょっと疲れてる顔で、彼が振り返った。髪の毛はぐしゃぐしゃで、服には汚れが目立つ。それは自分も同じなのだけど。
「これからどうしようか?」
「どうする?」
聞き返す。どうすれば良いかなんて分からない。
何もかも終わってしまって、残ったのは彼と自分だけで。

全ての『自分たちにとっての悪』を倒した結果、全ての自分たち以外のものを排除する結果に終わったけれども。
これはこれで。

「のんびり考えるかあ」
なんて彼が言うから、彼の頬の返り血をぬぐってやりながら、
「そうだねー」
二人だからどうにかなるって、そんなことを思えた。

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