*子供のように
(一旦残し……!)
*雨に佇む
(一旦枠取り…!仮ばかりで申し訳ない…!)
*いつまでも捨てられないもの
(一旦残し…!)
*麦わら帽子
幼い頃憧れた麦わら帽子。
どうして憧れたのか、もう覚えていない。でも、15歳になった今でも見ると目で追ってしまう、麦わら帽子。
それが目の前の店のショーウィンドウに展示されている。
飼い主である彼に連れられやってきた、人間専門ペットショップ。
洋服とかどれでもいいのにと思いながら着いてきたのだが、まさか麦わら帽子があると思わず、つい見つめてしまっていた。
「なにか欲しいのあったか?」
彼にそう言われ我に帰る。
ううん、と首を横にふるが、彼の視線は私が見ていた方向へと向いている。
まずい、欲しいものがあると思われてしまう。
私なんかがあれ欲しいとか言っちゃいけない。しかも、麦わら帽子なんてオシャレのためのものは─────
ぽすっ。
と、頭に何かが乗った。
え?と顔を上げると、彼が、いつもの太陽のような笑顔をこちらに向けている。
「わーやっぱり!セラに似合うよ!!かわいい!」
そう言い頭を撫でる。
な、何が乗せられたんだ……?
確認しようと辺りを見回し、窓ガラスに映ってる自分を見ると、先ほどの麦わら帽子をかぶっていた。
「え……あ、なんで……」
「ん?セラ、これをじーっと見てただろ?だから欲しいのかなーって」
「いや、欲しくなんて…」
罪悪感か、羞恥心か、顔が熱くなるのを感じて下に向け、麦わら帽子を取ろうとすると、
「それでかぶせてみたら、セラすっごく似合うんだもん!!僕が欲しくなっちゃった!だからこれ買おうね!!」
彼はそう言い、「かぶってるとこ見せて見せて!」と、顔を上げさせる。
「………い、いいの…?」
「ん?」
「……これ、買ってもらってもいいの?」
マトモに彼の目も見れずに聞く。
すると彼はまた太陽のような笑顔を向け、さっき以上のニコニコ顔で、
「もちろん!!!!」
そう言い、私を抱きしめるのだ。
あれ欲しいと言って怒られなかった。
笑顔で、買おう、と言ってくれた。
なんだか胸が熱くなる。
抱きしめられてるからだろうか。
「……ありがとう、ございます」
私を抱きしめたまま1人でしゃべっている彼には聞こえないくらいの声で、そっと呟く。
自分の望みを言って怒られない世界がある。
今はそれを噛み締めたい。
*上手くいかなくたっていい
(残しの投稿)