ーなぜー(二人ぼっち)
確かに、隣にいる。
体温だって伝わってきそうなほど。
近くに。
でも、分からない。
いつだって存在は曖昧だ。
どうして、私はあなたを感じられないの?
あぁ、寂しい。
いつまでも。
消えない。
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またか…。
おやすみなさい。23:22
ーそこにいたー(夢が醒める前に)
ポチがいた。
犬のポチ。
結構長生きしたポチ。
食いしん坊のポチ。
人懐っこい、あのポチが。
懐かしいリアルが、僕の前で体を震わせた。
ポチ、こんなところにいたの?
こんな、場所で。
ポチは生きてたんだっけ。
曖昧になって。
でも、あぁそうか、ポチは生きてたんだ。
ポチに触ろうと、手を伸ばした。
しかし、ポチはそれを躱す。
そして駆け出した。
追いかけっこが始まった。
どうしてポチ。
会いに来たのに。
どうして?
ポチはこちらを見ながら、すごいスピードで遠ざかっていった。
「ポチーーー!!!!」
叫ぶ。
ポチは、こちらを見続けてはいたが、止まりはしない。
なんで?
と、ポチが姿を消した。
下に。
下?
落ちたんだ。
穴があいていた。
真っ黒な、底の見えない。
理解して、少し立ち止まった。
脇腹が痛い。
「ワン!」
威勢のいい声がして、ポチはもう、穴の向こう側に飛び出て走っていた。
俺は一気に、穴を飛び越えた。
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🙂夢って意味わかんないですよね。
おやすみなさい。20:53
ー片想いー(胸が高鳴る)
僕には気になっている人がいる。
隣のクラスの転校生。
息を飲むほど綺麗な顔立ちをしている里山(さとやま)さん。
彼女は底抜けに明るくて、すぐにみんなの人気者になった。
僕なんか、目に入っているわけない。
そう思っていた。
でも、そう。
集会とか、学年全員が発表する場とか。
そういう時に、必ず目が合う。
大体僕の方を終始見てくるんだ。
あぁ、しかたないな。
見てあげるよ僕も。
目線が合わないと寂しいもんね?
それだけじゃない。
彼女は僕のそばを通る時、かなり近づいてくる。
匂いを確かめてる見たいに。
そんなわけで、僕たちは両想い。
いや、両片想いだってこと。
最近はドキドキして眠れないこともしばしば。
そろそろ卒業も近い。
僕は意を決して、告白することにした。
……しかし、現実はそう甘くない。
僕が告白を決心した翌日、彼女に彼氏ができたことが噂になっていた。
どうやら僕と同じクラスだそう。
そいつは名簿順で言う、僕の一つ後ろのやつだった。
なんでも出来るイケメン。
僕はそれを知って、胸の中にストンとなにか落ちた気がした。
つまり最初から、僕の独りよがりだったのだ。
そして僕の想いは、驚くほどに冷めてしまった。
なんだ。
僕じゃなかったのか。
…じゃあ良いか。
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😔
ー特別なはずのー(不条理)
世界には、いろいろな人間がいる。
しかし、誰一人として、俺の“真の実力”に気づくものはいない。
俺はみんな嫌いだ。
だってそうだろう?
みんな、俺より劣っているのだから。
それどころか、あからさまに馬鹿にした態度をとる。
馬鹿な奴らだ。
いずれ覚醒する俺に、ひれ伏す未来も知らずに。
俺は知っている。
自分は特別なのだと。
俺の中には何か…そう、常人とは比べられない“何か”がある。
最近、同じ夢を見る。
校舎の奥。
人気のない薄暗い場所を散策する夢。
そこにある凄いものが、俺を待っている。
そうなぜだか確信している。
だから現実でも、俺はそこへ通う。
昼休み、パンを齧りながら。
しかしいまだ、何も見つけられていない。
その日も、いつものようにそこへ向かった。
視界に入る、折りたたまれた紙。
きた!!!
きっと俺の名前が世界に!
拾い上げると、少し硬い感触が伝わった。
中を開くと、ピンクのハートが散りばめられた可愛らしい便箋。
そこに乗った丸っこい字が愛を綴っていた。
俗に言う、ラブレターだ。
………俺の“何か”は?
差出人はクラスのマドンナ「柊さん」。
色恋沙汰は心底どうでもいい。
ただ、ここが俺だけの場所ではなかったことが、
耐え難いほど不快だった。
そこで、幼稚な復讐を思いつく。
—ーこの秘密をバラしてやろう、と。
手始めに、クラスで一番まともに話せる「高崎」に打ち明けた。
だが、返ってきたのは、
「ふーん。凄いね!……あ、呼ばれたわ。ちょっとごめんね」
……軽い。
そんなに他を優先するほどか?
実物を見せてこの反応だと??
世界を揺るがすはずの情報が、
砂粒のように扱われる。
不条理とは、理不尽な出来事ではない。
「意味があるはずのものが、意味を持たないこと」だ。
俺の“力”も、
夢の“予兆”も、
手の中の“秘密”も。
俺は動かせない。
それでも俺は、信じている。
ーー何者かになるために。
そうでなければ、何の意味もない。
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🙂因みに「ひいらぎさん」と「たかざき」です。
ー自分へー(泣かないよ)
泣かないよ。
強くなるからね。
いっぱい、頑張るから。
泣かないよ。
誇れるようになるからね。
いっぱい、自慢してよ。
泣かないよ。
泣けないよ。
自分に言い聞かせなきゃいけないんだ。
泣かないよ。
手で覆って隠してあげる。
だからね、安心して泣いていいよ。
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おやすみなさい。21:23