ー特別なはずのー(不条理)
世界には、いろいろな人間がいる。
しかし、誰一人として、俺の“真の実力”に気づくものはいない。
俺はみんな嫌いだ。
だってそうだろう?
みんな、俺より劣っているのだから。
それどころか、あからさまに馬鹿にした態度をとる。
馬鹿な奴らだ。
いずれ覚醒する俺に、ひれ伏す未来も知らずに。
俺は知っている。
自分は特別なのだと。
俺の中には何か…そう、常人とは比べられない“何か”がある。
最近、同じ夢を見る。
校舎の奥。
人気のない薄暗い場所を散策する夢。
そこにある凄いものが、俺を待っている。
そうなぜだか確信している。
だから現実でも、俺はそこへ通う。
昼休み、パンを齧りながら。
しかしいまだ、何も見つけられていない。
その日も、いつものようにそこへ向かった。
視界に入る、折りたたまれた紙。
きた!!!
きっと俺の名前が世界に!
拾い上げると、少し硬い感触が伝わった。
中を開くと、ピンクのハートが散りばめられた可愛らしい便箋。
そこに乗った丸っこい字が愛を綴っていた。
俗に言う、ラブレターだ。
………俺の“何か”は?
差出人はクラスのマドンナ「柊さん」。
色恋沙汰は心底どうでもいい。
ただ、ここが俺だけの場所ではなかったことが、
耐え難いほど不快だった。
そこで、幼稚な復讐を思いつく。
—ーこの秘密をバラしてやろう、と。
手始めに、クラスで一番まともに話せる「高崎」に打ち明けた。
だが、返ってきたのは、
「ふーん。凄いね!……あ、呼ばれたわ。ちょっとごめんね」
……軽い。
そんなに他を優先するほどか?
実物を見せてこの反応だと??
世界を揺るがすはずの情報が、
砂粒のように扱われる。
不条理とは、理不尽な出来事ではない。
「意味があるはずのものが、意味を持たないこと」だ。
俺の“力”も、
夢の“予兆”も、
手の中の“秘密”も。
俺は動かせない。
それでも俺は、信じている。
ーー何者かになるために。
そうでなければ、何の意味もない。
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🙂因みに「ひいらぎさん」と「たかざき」です。
3/18/2026, 12:16:40 PM