『Kiss』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
家人の両手から白い毛糸玉がまろび出た。
毛糸玉は真っ黒くてツヤツヤの瞳で私を見上げる。
まっさらな命。
きゅんと鳴ったのは、私の胸の音か、それとも毛糸玉の「ヨロシクネ」の声か。
ヨロシクネ、と毛糸玉の頬にkissをする。
胸いっぱいに吸い込むと、ミルクのようなまあるい匂いがした。
毛糸玉から立派な成犬になり、季節が巡る。
喜びの日も、悲しみの日も、愛犬はほっこりと私を見上げ、尻尾を振る。
アリガトウネ、と愛犬の頬にkissをする。
胸いっぱいに吸い込むと、お散歩帰りの草の匂い、湿った土の匂い。
そしてフードの匂い、さっき焼いたサンマの匂い、何故かやみつきになるヨダレの匂い。
幸せで胸がきゅうっと鳴る。
余命宣告を受け床に臥せる愛犬は、瞳だけを動かして、
なのに、にっこりと尻尾を振り、私に愛を伝える。
爪をこすりつけた黒板のような音を立てたのは、くいしばった私の歯からか、それとも張り裂けた胸の音か。
アイシテル、と愛犬の頬に顔をうずめkissをする。
何度も何度も深くkissをする。
胸いっぱいに吸い込もうにも、嗚咽でままならない。
いかないで、
いかないで、
愛してる、
離れたくない。
kiss...
kiss kiss kiss kiss.........
眠りは刹那の死
今日の大嫌いな私を殺して
明日は少しだけ好きになれる私が産まれる
終電手前の時間になると、改札や駅のホームなどで、イチャついているカップルをよく見る。ハグしていたり、睦言を囁いていたりと、人によって千差万別であるが、人目も憚らずにやっていて、よくやるものだと思う。ましてやキスなど恥ずかしくならないのかとも思う。
しかし、あれをやっている時は、二人だけの世界なので、周囲など気にならないのだろう。こういった目で見ている私もまた、所詮は僻みの一種であると言いわれても仕方ない。
ただ、仮に私に相手ができたとしても、人前でイチャコラできるかといえば、きっとできないと思う。前述の通り恥ずかしいし、迷惑だしね。
せめて最後に口づけを
もう二度と言葉を紡ぐことのない、その薔薇の花びらのような唇に──
チョコレートの口溶けはKissと同じ感触らしい。
だからじゃないけど、私はチョコレートを好きになれない。
題目「Kiss」
Kiss
触れる熱と柔らかさ
甘いような
けれど少し痺れる感じがレモンに似ていて
胸を焦がす
初めてはドキドキして
自分が自分ではいられないような感じで
でも幸福で胸がいっぱいでたまらなくて
そんな空にも登る感じがして
幸せな時間
Kiss
ソーメニーKiss
Kiss Kiss Kissトゥナーイ
まももDも大好き。
お互い愛し合っていたの。
ただ伝えなかっただけ。
人の悲鳴や金属音が鳴り響くなかで2人だけ時が止まったみたいに。
そろそろケジメをつける時がやってきた。
お姫様と騎士は最期のKissをした。
『Kiss』
普段あまり笑わない貴方。
そんな貴方の照れた顔が見てみたくて
いってきますの前に突然ネクタイを引っ張ってみた。
「Kiss me.」
そんな言葉と共に。
Kiss me please.
なんてね、貴方にしか言わないよ。
…そんなことを言ってみたいものだ。
FirstKissはどんな味がするのだろうか、ね。
自分の唇を指でなぞりながら、そんな想像をしてしまった。
心做しか、部屋が暑く感じる。
【Kiss】
#15
Kiss
「どうした絹代、そんなソファの端っこに腰掛けて、もっとこちらに近寄りなさい。」
「だども、こんなやっこくてふかふかの椅子に座ったことなんてないから、申し訳なくて。」
「私たちは今日から夫婦になったのだ、さぁ遠慮せずにこちらに来なさい。」
「わたす、旦那様の嫁っ子になったからには一生懸命働きますので、なんでもお申し付け下さい。」
「一生懸命働く必要などない。この家にいてくれるだけでいいのだ。」
「だども、夫婦生活って、何をしていいか分かりませんので、何か1つだけでも構いませんのでご命令頂けませんか?」
「では、私にキスをしなさい。」
「キスって言うと、接吻のことですか?」
「そうだ、構わないな?」
「んん、」
旦那様はわたすが返事をする間も与えず、唇に吸い付いてきました。1分くらい唇を重ねていたでしょうか?最初は腰を抜かすかと思いましたが、段々と心地よくなってきて、いつまでもこうしていたいなどと贅沢な願いをしたのですた。
願いは叶わず、旦那様は身を引かれたのですが、わたすは自分でも分かるくらい耳を真っ赤にしていますた。
「旦那様、ありがとうございました。」
「うん。」
旦那様はわたすとの接吻に満足されたでしょうか?何もおっしゃらないので、不安な気持ちになりますた。
翌日も旦那様はわたすに接吻を求められますた。
その翌日も、その翌日も。
「旦那様、よろしいでしょうか?」
「どうした絹?」
「旦那様がわたすに接吻以上の事を求めないのはわたすが醜女だからでしょうか?」
「そんな事はない。絹代は綺麗だよ。」
「だども、わたすは旦那様に抱かれたいのです。それは贅沢な悩みでしょうか?」
「すまない絹代、お前がそんな風に思ってしまったのは私の責任だ。私の罪悪感と、お前に捨てられるんじゃないかと思う恐怖心の所為なのだ。」
「わたすが旦那様を捨てる?そんなことあるわけないですだ。」
「絹代、1つ聞くが、私の職業を知っているか?」
「はい、旦那様の職場は目のお医者さんです。」
「そうだ、私は眼科医だ。ではなぜ絹代の目の手術をしようとしないのか、不思議に思わないかい?」
「そんなこと考えたこともなかったです。私の目がよっぽど悪いんだなぁ。」
「絹代お前は美しい。醜男なのは私だ。絹代の目が見えたなら私とお前は到底釣り合うことができず、こうして夫婦となる事はなかっただろう。だから絹代の目が治って私の顔を見られるのが怖いのだ。」
「わたすは目が見えません。だから代わりに心の顔が見えるようになったのす。」
「心の顔?」
「はい、心にも顔があります。旦那様の心の顔はとても優しげでハンサムです。だども、旦那様が気にすると言うのならわたすは目が目えないままでいいのす。」
「明日手術をしよう。そのつもりでいるように。」
旦那様の心の顔が悲しげに歪んだようですた。
翌日、手術を受けることになりますたが、全身麻酔をかけられていたので、気付いた時にはもう終わっていますた。
包帯を取れるようになるには1週間もかかるようです。
わたすは産まれた時から目が見えなかったので、例え包帯を巻いていても1人でご飯を食べることができます。だども旦那様は私の食事を手伝ってくれますた。
「今日で1週間経ったな、包帯を見せてみなさい。」
「旦那様、白雪姫って知っていますか?」
「ああ。」
「わたすはずっと目が見えずに生きてきますた。だからずっと眠っていたみたいなもんです。包帯を取る前に目覚めのキスをして頂けませんか?」
旦那様はわたすの包帯にそっとキスをすると、わたすの包帯を取ってくれますた。
「ああ、やっぱり思った通り、旦那様はハンサムです。」
祭りの後みたいだった。
2024/02/04㈰
未来への船、またカッコ良いお題が続くな
2025/05/12㈪
唇を指先でなぞって
体温を確かめてみる
心の在処が分かるの
フラれるのはキライ
だからフッてあげる
猫のように爪を立て
ルージュで染めるの
鮮やかな紅が好きよ
別れの言葉は私から
『kiss』
〜kiss〜
人は愛でできている
この世界は愛でできている
愛を貰うのでは無い
愛を与える
そうして世界は回っている
愛を与えることが出来た時
きっとあなたの人生は幸せになる
キスで呪いが解けるのは何故だろう。
ものを飲み、食べて、言葉を発する、呼吸器官。
合わせたら何も出来なくなる。
だから愛なのかな。
だから呪いが解けるのかな。
このお題が昨日だったら、Kissは接吻で、今日は節分だからダジャレ? って言うとこだけど
正直、愛情関係のお題はすごく困る
そういうのがないのが僕だから(?)
猫も去年死んじゃったし、愛は自作の小説の中にしかないんだってば
Kiss
挨拶代わりの 軽いKiss
そんなのが 良いな
ディープなKiss
実は あまり好きじゃない
そんな奴も いるのよ
色々なKissある
愛しい人とする甘いKiss
支えてくれる人へする感謝のKiss
叶わない人とするすがるようなKiss
たくさんのKissがある
それには
数え切れないほどのストーリーもある
『Kiss』
キスってなぁに?
私がまだ小さい頃、私はおばあちゃんに聞いた。
「それはね。まだ知らなくていいんだよ。
だから、本当に大切な人にだけあげなさい。」
そう言われた。
私は意味が分からなくて、お母さんにキスしようとしていたらしい。
そしたら、おばあちゃん、
「それはちゅー。ちゅーはありがとうと大好きを伝えるの。お母さんの特権ね。」
と微笑んだらしい。
おばあちゃんは病院で亡くなる前、私にちゅーをしてくれた。
私もちゅーをした。
意味は同じだけど、人それぞれ込める思いは違うんだ。
その時、私はKissとは、ちゅーとは、なにかわかった気がした。
『Kiss me』
外国語で言ったらちょっとかっこよく聞こえるが、
日本語で言ったらただの変態だ。
日本語後に慣れすぎてしまったせいなのか、
外国語はかっこよく聞こえる。
こういう現象は何なのだろう。
考える立場を変えて自分が外人だったとする。
だけど日本語をかっこいいとは思わない。
言葉は、国語の問題にある立場を変えて、
思考を考えたりすることができない。
不思議で面白いけど、なんか不思議だ。
#『Kiss』
No.34