『1つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君の声が聞きたい。
ただそれだけの願いだった。
人は人を忘れるとき、その人の声から忘れると聞く。
それならあの事故から目を覚まさない君の声を、僕はいつまで覚えていられるだろうか。
君の声を、忘れることが怖かった。
目を開けないだけで君は、こんなにも近くにいるのに。
君の声を忘れることは、君のことを忘れてしまうことに等しいような気がして。それがとてつもなく恐ろしかった。
だから、1つだけ。僕の願いが叶うなら。
君の声が聞きたかった。
君の声で、僕の名前を呼んで欲しかった。
君に、気付いて欲しかった。
長い時間の後、君が突然目を覚ました。
長く眠っていた事に戸惑いはあれど、ころころ変わる表情は昔のままで。放っておけなくて、目を離せなくて。
だから君に、何も言えなくなった。
君は僕の想いを知らないから。
本当は1つだけだったんだ。君の声が聞きたい、ただそれだけだった。
でもそれ以上を望んでしまう僕は、君のそばにはいられない。
また会えたら、その時には伝えるから。
その言葉すら飲み込んで、僕はさよならの代わりに君の名前を呼んだ。
題 ひとつだけ
エ、私ですかい、何かしあしたか。⋯⋯ ホオォ──殺人事件⋯⋯ おっかないですな。⋯⋯ イヤァ、悪いことはせずとも、御巡りさんに声をかけられるとこわばっちまうのが法治国家の人間のサガってもんでさァ。
⋯⋯ ええ、ええ、もちろん協力いたしあすよ、何でも聞いてくだせぇ。
⋯⋯ 二日前の亥の刻ですかィ⋯⋯ そん時はウチに帰って夕刊を読んでましたんで、怪しいヤツがいたかは分かりませんなァ。モノスゴイ嵐だったから、雨が屋根に打ち付ける音しか響かんようでしたヨ⋯⋯。 ウチですかィ、ウチはここから北に十三町程歩いたところにありあすよ、古い下宿の一室を借りてるんでさァ。
⋯⋯ ヘェ、殺されたのはこの写真の女性ですかィ、若い命が奪われるのは心が痛みあすなァ。なんてったったって、断髪のモガ!私のストライク・ゾーンでありあす。⋯⋯ オッと、すいあせん、
⋯⋯ この女性なら、時々背ィの高い男と歩いてるのを見かけあす、なんでも、二人して毎日のように表通りの飲み屋を渡り歩いては、最後には女性のウチへ行って、裏の古井戸を覗き込んでいるようです。⋯⋯ ソ、古井戸。どうやら、女性の方には残虐色情(サディスト)のサガがあったようで、小ぃさい動物やら、犬やら、猫やら、イロイロ古井戸に捨てていたようです。若し、今でも使われている井戸だったらと考えると、背中が冷えますな⋯⋯。⋯⋯ イヤァ、表の仮面人間どもと違ってね、裏の人間どもの噂話はメロスよりも速く広がるんでさァ。
⋯⋯ ヘェ、正面から心臓を突かれたんですかィ⋯⋯。 だったらあの背ィの高い男がアヤしいなァ、⋯⋯ だって、正面から抵抗されずに近づけるのは、安心されている人間だけだろう。
⋯⋯ 男の方は、たしか、新聞記者らしいと聞いた。表通りのビルヂングで仕事をしいしい、仕事終わりには、あの女性と酒を引っ掛けて帰るのが日課らしい⋯⋯。
⋯⋯ 何をしているんですかィ。何故私に手錠をかけるんですかィ。⋯⋯⋯⋯ どうして⋯⋯。
⋯⋯ どうして、私が犯人だと⋯⋯ エ、ひとつだけ⋯⋯? たった一言だけミスをした⋯⋯?⋯⋯ 教えてくだせェ、次の参考に致しあすから⋯⋯。 自分で考えろって⋯⋯ エェ⋯⋯ 酷いですなァ⋯⋯。
ゆらと花に手招きされ
寄り道をした
慣れない温かさが
傷口に心地良くて
膝を着いて
その甘い蜜を舐め続けた
そんなには駄目
欲張っては駄目
一つだけよと
手を弾かれ
我を忘れていた
長い時間に気づく
遠い先の景色は
色の無い夢に舞い戻り
時計は逆回りして
世界線を変える
選ばれなかった花は
儚さを知っていて
情けなさそうに
ただ項垂れてた
「1つだけ」
私に残された道は唯一つだけ
望むものを手にするには
他のものを切り捨てなければならない
他の選択肢を切り捨てるたびに
私の心はどんどん擦り減っていく
全てを切り崩した先には
何が在るのだろうか
まだ先に答えは見えない
いったん足を止めて
周りの景色を見渡してみようか
私の選んだ道にしか
すばらしい景色がないとは限らない
そこに辿り着くまでの途中にさえ
色々な景色はあったはずなのに
私は見ようともせずに
見過ごしてしまった
目的地に至るまでの道は
無限にあるはず
それを楽しみつつ進むのか
一つの道を突き進むのか
それを決めるのは
ちょっとひと休みしたあとでいいだろう
#70 この世界に一つだけの
賭けに勝ったお前には約束通り
この部屋の中から一つだけ、
選んで持ち去るのを許可しよう」
大魔王は威厳のある
でも少し口惜しそうな表情で言った。
「光栄に存じます。」
私はうやうやしく頭を垂れてしたたかに礼をした。
賭けには勝てたものの
ここで大魔王のプライドを傷つけるのは命取りだ。
大魔王の宝部屋
ここには古今東西
人間の世界・魔界も含めた
世界のあらゆるお宝が集められている。
単なる金銀財宝はもちろん
魔法道具のような人の世界にはないものや
また、伝説とされているようなものもあって…
一夜にして海に沈んだとされる街の古の財宝
古代帝国の王が作らせた黄金の仮面
人魚の涙とされる真珠や妖精の羽
あれはもしかして天女の衣では?
などなど.....
目を奪われるものばかりだったが
「では、この箱を賜りたく....」
私はこの中から目的の小さな箱を見つけ出すと大魔王に許しを請うた。
.......
まだ残っているだろうか?
魔界と人間界の境界まで来たところで箱をゆすって確かめるとコトンと小さな音がした。
ヨシ 大丈夫そうだ!
境界を越え人間の世界に入ると私は箱をあけ
中の者を世界に放った。
小さくて弱々しく光りながら中の者は空へ登っていった。
今は弱々しくても時がきっと大きく育ててくれるだろう。
そして、この世界の混とんを討ち祓ってくれるに違いない
そう、私が持ち帰った箱はパンドラの箱
中に残っていた者は
この世界に一つだけの希望なのだ__
お題「1つだけ」
「1つだけ、残ったね」
美味しいと評判のクッキー。
「一緒に食べようと思って買ってきたよ」
と、持って来てくれた。
「ありがとう。コーヒー入れるね」
2人分のコーヒーを入れ、早速いただく。
「美味しい」
「うん、美味い」
手が止まらなくなるほどの美味しさに、クッキーは一気に減っていく。そして
「1つだけ残ったね。最後の1つ、食べて」
キミは最後の1つを俺に差し出す。
「ありがとう。でもさ」
俺はクッキーを受け取ると、それを2つに割り
「一緒に食べたほうがさらに美味いよね」
割った片方をキミの手に乗せる。
「そうだね。ありがとう」
こうして、最後の1つを仲良く食べたのだった。
1つだけ
半透明な空色に
君の音が響いた
僕は1つだけ願う
君の音が誰かの心届くように
たった1つの願い事
今世から来世にひとつだけ持っていけるものがあるとするなら。
『君が好きだと言ったものぜんぶ』抱えて生きていくつもりでいます。
―1つだけ―
1生に1度、
たった1つだけ
願いが叶うなら
金が欲しいとせがむのが
ニンゲン
世界平和を願うのが
ギゼンシャ
救いを求めるのが
ヒガイシャ
人類の滅亡を祈るのが
ドウブツ、ショクブツ、ムシ…etc.
自転車の鍵最後のやつだって分かってるのに家の中でどこやったか分からん。
ひとつだけなんて言わずに
全部なにもかもほしいと強請った
いいよ、ときみは笑って
僕の腕の中に納まった
たっだひとつのいとしいきみ
(1つだけ)
【1つだけ】
私にとって、1つだけ、確かなことは何だろう。
私の目で見る光景だろうか。
私の鼻で嗅ぐ匂いだろうか。
私の耳で聴く音だろうか。
私の舌で味わう食感だろうか。
私の指で触れる手触りだろうか。
私の肌で感じる熱だろうか。
私の頭で覚える記憶だろうか。
私の口で話す言葉だろうか。
私の掌で紡ぐ想いだろうか。
たくさんの“確かなのだろうこと”があるかもしれない。何にせよ、私にとって、1つだけ、確かなことがある。
それは「私自身の身体や心で行うこと」こそが、きっと私にとって“確かなこと”であると思っていることだ。
この人とこの先、一生会えなくなっても後悔はない。
ただ一つだけ伝えたい。
これまで一緒に生きてきたことに感謝しています。
そろそろお互い新しいステージに進んでいこう。
なんでも、1つだけもらえるなら なにがほしい?
参考程度にみんなはこう答えてます!
手を広げてこーんなおっきいおかし!
(飽きそうだし、腐るし、どこで保存すんだ)
ひゃくまんえん!
(もっとないと何もできないよ)
めちゃくちゃデカい家!
(広いと掃除大変だし、維持費もなぁ)
あの新しくでたゲーム!
(たったそれのために使っちゃうの?!)
みんな持ってるから、一番新しいスマホ
(また新しいの出るけどな、わかるわかる)
一番いい靴
(一番いいってなんだ……?)
古くなったから新しい冷蔵庫
(搬入めんどくさいけどそれいいなぁ)
物はいらないから時間をくれないか
(時間は1つじゃ数えられないでしょ 判定はどうなんだろ)
現実を知って、物語を知った私は
なんでも叶える魔法があったとして、
バカげていて、思い切っていて、強欲で突拍子も無い
それでいて夢がある願いを言えるかな
お題:1つだけ
『1つだけ』
私はマヨヒガの番人です。
マヨヒガとは、山中に突然現れる家の怪異のこと。
通常、『たった今まで人がいたような状態なのにもぬけの殻』であり『そこから何かひとつ物を持ち帰った者に富を授ける』と言われています。
しかし昨今ではその知名度も薄れ、倫理観の高まりなのか、周囲からの糾弾を恐れてなのか分かりませんが、訪れる者は屋内に声をかけて人がいないと分かるとそのまま立ち去ってしまうのです。
これに困ったマヨヒガの怪異は、私をこのマヨヒガの番人として作り出したのでした。
私の役割は、迷い込んだ人間を屋敷に招き入れて、何かひとつを持ち帰らせることなのです。
「さぁ、なにかひとつお持ちください」
私の説明に口を挟むこともなく、うんうんと頷きながら聞いていた青年に、私は促します。
「それは、この家の中にあるものならなんでもいいのですか?」
「ええ、構いませんよ」
どんな小さなものでもその効果に差はないことを言い添えて、私は彼の選択を待とうとしました。
しかし、彼がそう問うたのは悩んでいるからではなく、確認の為だったのです。
「では、君を連れて帰ります」
何のためらいもなく告げられた言葉に絶句していると、彼は初めて困った顔をして言いました。
「……お嫌なら、諦めます」
「いいえ、喜んで」
私はそうしてマヨヒガから持ち出され、このお役目を終えたのでした。
めでたし、めでたし。
1つだけなんて選べねっすよ 何事も
いつかその一番以外切り捨てなきゃいけない瞬間が来るのかね
来ないで欲しい~
完
―1つだけ―
毎年、家の庭に1輪だけ咲く椿がある。
蕾から花が開くまで毎日見るのが楽しい。
今年は気温が高い日が続いたからかあっという間に開いて終わってしまった。
【1つだけ】
君の笑顔がみたいから
美味しいご飯をご馳走するよ。
欲しいものは買ってあげる。
悲しいときには慰めて
優しさで君を包みたい。
君が笑ってくれるならそれだけでいい。
そう思っていたのに
愛しさは積もり積もって
愚かな僕は君の特別になりたいと望んでしまった。
そうはなれないと
もう随分前から分かっているのに。
会うたびに好きだと伝えたくなって。
けれどその言葉1つだけで
僕らの関係が壊れてしまうと思うと
ここから1歩も動けなくて。
君への愛おしさだけは止められず
今日も君に僕の特別をあげるんだ。
だいじょうぶ、禁忌を定めるのは人間だからね!
人間じゃない神にとって、いち動物に過ぎない人間の悪だとか善だとか法だとか、そんなのは全部滑稽な飯事でしかないよ!
きっと神はお前も救ってくださるよ!
まあ、神とかいう信仰先も人間が定めた偶像なんですけどね!ギャハハ!
「気持ち」
自分の気持ちが分からない
A君には彼女がいた
わたしは勘違いをしていただけらしい
私の気持ちを返して欲しい
R君の事が好きなのかもしれない
しかし、自分の気持ちが迷子になっている
どうすればいいんだろう
どうしたら、私の心・気持ちは帰ってくるんだろう