『高く高く』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君と行った映画の半券を
急な突風のせいにして
空に飛ばしてやった
空高く舞い上がる紙切れを
ただぼんやりと眺める数分間
きっとどこかに落ちるけど
今はまだ空を舞っている
『竹』
高く高く伸びる竹
どこまでもどこまでも
太く柔らかく瑞々しく
蒼天に突き上げる
雨風に負けない強さと
力をいなすしなやかさ
そんな竹のような生き方をしたい
最初は笑うと褒められた。少し経つと当たり前になった。
次は立つと褒められた。少し経つと当たり前になった。
ずっと高みを目指さなければいけない人生。何十年も経つと超えられなくなった。褒められなくなった。リタイアしようと思った。私は下に落ちた。
高く高く
あなたと一緒にいられるならば、どんなに高いところでも平気だと思えるよ
高く高く
君は飛んだ。蝋の翼で、自由に、太陽を目指して。
私はそれを下から見上げる事しかできなかった。遠ざかる君が眩してくて、私は思わず顔を顰める。恐ろしくて、寂しくて堪らなかった。君がいなくなってしまうのではないかと。
溶け始めた蝋が、私の頬を涙の粒のように伝った。やがてそれがボタボタと雨のように降り注いで、呆気なく君は墜落した。
壊れかけの玩具のように呼吸する君を抱きかかえ、心の底から安堵する。もうどこにも行かないでと。
やがて蝋は冷えて固まり始めた。
魔法のほうきがあったなら、秋の心地よい風に乗って遠くまで行けるだろうか。
羊雲の群れに乗って、たなびく雲の一部になる。
胸の内がドキドキして、高く、もっと高く!
誰も見たことのない景色をみたい。
見上げるは青空。
今空へとときめく心よ。私を空へと連れていけ。
高く。高く。
【高く高く】
ずっと燻っていた違和感が
きみの音で殴られて本当にやりたかったことに
形を変えた
どん底から這い上がって
やっと海面に顔を出したところだったけど
きっとまだまだ上があって
あの澄み渡る晴天の空に手が届く時がくるのなら
まだまだ高く高く手を伸ばしていたい
やっと覚悟が決まったから
2024-10-14
高く高く
高く高く澄んだ空に、今浮かべた綺麗なだけの感情を持っていってほしかった。
日々家
高く高く
バレーボールは飛ぶ競技だ。
だから、私は飛ぶ。高く。高く。
限界なんて見るな。飛べ、仲間を自分を信じて。
地面を踏ん張って、大地をけって、上を向いて。
勝利を掴むために。
私は憧れた。地面を蹴って飛ぶ姿に。空中てボールを叩き生み出される凄まじいスパイクに。
だから飛ぶ。高く高く!
“飛べ!!”
あの鳥みたいに、高く高く飛びたい。
私が15歳だった夏。ふとそう思ったことがある。
半袖の制服で、それでもまだ暑くて。
友達と「海行きたいね」、と笑った日。
ひとり帰り道を歩いている時、何故かそう思った。
今でも何故かは分からない。
けれど、あの日私が飛んでいれば。
今みたいな幸せな日々は来なかったかもしれない、そう思うのです。
ゆれる触手が わたしを捕らえる
締め上げられるほどに 苦しくて 口の端から
嗚咽が漏れる
指の先からシビレが 身体の中心を溶かしながら
やさしくわたしを だめにする
息をしたいの このままでは死んでしまうの
わたしの意識は 身体をおいて たかくたかく
のぼっていく
光をまとった蝶が 巨大な木の下を 飛び回る
静かに ひそやかに 誰かを待っている
高く高く
なにかが空に昇っていく、あるいは手が届かないほど高い場所にあるなにかをテーマにすればいいのかな?
そうなると前者で思い付くのは風船、たこで、後者は飛行機、星かな。
しかしそのどれもいまいち書きたいという気がしない。だから今日は別のことを書くことにする。
最近電子レンジの音がやたらとうるさい。いつからかはわからないけどいつの間にか電子レンジの音がうるさくなっていることに最近気付いた。
買った当時はもっと静かだったと思うんだけど少しずつ音が大きくなっていったんだろうな。最近までうるさいのが普通だと思っていた。
でも本当につい最近ふと、あれ?なんか電子レンジが異常にうるさくね?と気付いた。それまで全く気にならなかったんだから慣れって怖いね。
それで今の電子レンジをいつ買ったのか調べたら大体十年くらい前だった。それは異音がするようになってもしかたないか。
なので電子レンジを買い換えることにした。まだ電子レンジとしては使えるからちょっともったいないけどね。
昨日通販で買ったから届くのは明日になる。電子レンジを買い換えるなんてそうないからどのくらい音が静かになるか楽しみだ。
それと新しい電子レンジは消音機能があるからそれも楽しみ。今のやつは温めが終わったらピーピー、早く取り出さないとピーピーとうるさい。
でも新しいやつはこのピーピーという音を消せるらしい。あのピーピーはいらないと思ってたから消せるのは本当に助かる。
たとえ貴方が、高く高く、
手が届かない場所まで行ってしまったとしても。
いつか、その背に追いつけるように、
肩を並べて歩けるように、
努力し続けていくから。
だから、
遥か高みでまた会いましょう?
営業成績は棒グラフによって高く高く積み上げられていく。私はこの棒グラフを虚しい気持ちで眺めていた。
同じ社員と競争しているように見せられて、毎月の結果に一喜一憂して、果たして給与明細の数字はここ5年間で何千円増えたというのか。棒状に積み上げられたものはダルマ落としの要領で崩すことができる。このオフィスが入っているビルもなかなか細長い棒である。どこかにいい槌はないだろうか。ウチの建設機械の技術ならそれくらい作れるんじゃないか。
ああいかんいかん。現実逃避破壊衝動終末思想がすぎる。私が疲れている訳ではない。この国のサラリーマンは一様に朝から疲れすぎている。よし、すべての疲労を国に転嫁できたところで気分がリセットした。
ゲームを途中でやめて最初からやり直すというこの比喩を肯定的に使うようになったのはいつの頃からか。どんな事象も否定から肯定に多数派が切り替わる瞬間はあるもので、市民権を得るまでにどんな苦労があってもやり続けることに意義はあるものだ。かつては不良のカルチャーと呼ばれた文化のどれだけが、今の日本でメインカルチャーになっているだろうか。
英文の日本語訳のように思考を続けるのはやめよう。水平思考をいくら続けても、営業成績が垂直方向に高く積み上がることはない。
「それではみなさん、今日も一日、元気にがんばりましょう!よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」
朝礼を全く聞いていなかった。聞いても聞かなくても同じ朝礼なら毎朝全員の時間を拘束してやる意味があるのか。しかも始業時間前だぞ。この無為な朝礼こそが朝から疲れている原因の一つに違いない。
「タケヤマ、ちょっといいか」
部長から話しかけられてビクリとなる。
「はい。なんでしょう」
小さな会議室に促された。
「タケヤマ、いつも良くやってくれてありがとう。営業成績は毎月独走でトップだな」
あの縦軸の棒グラフを見て“独走”を連想するとは、部長はなかなか想像力が豊かなようだ。
「君に昇進の話がある。もちろん簡単な昇進試験もあるんだが、君なら心配ないだろう」
そうだ。営業成績を積み上げた先には昇進がある。さらなる高みへという訳だ。さすがに会社命令に逆らったら処分されるだろうし、昇進試験なんか目をつぶっていてもできるようなものをわざと落ちるのもすぐにバレそうだ。いっそ上にあがってこのくだらない会社の文化をぶち壊してやろうか。
そうか、その手があったか。すべての文化ははじめは否定される。私が変えればいいのか。やってやる、私はやってやるぞ——
「それではこれより、新たにCEOに就任されましたタケヤマ様より、ご挨拶を賜ります」
「みなさま、お集まりいただきありがとうございます。堅苦しい挨拶は抜きにして、こちらをご覧ください」
会場の大型スクリーンに巨大な機械が映し出される。キャタピラの上にドデカい鉄槌が水平に取り付けられている。会場から嘆声とざわめきが起きる。
「こちらが我が社の技術の粋を結集して作った次世代建機『超高速回転鉄槌〜ダルマ川落としPG〜」くんです」
ざわめきが激しくなる。
「この機械は高速に回転することで最大限のパワーとスピードを手に入れて、ビルの1階部分を安全にぶち抜くことが可能になりました。これにより、建ててしまったビルのレイアウトが気に入らなかった場合、2階を1階にすることができます。すべての階をぶち抜けば、カセット形式で自由に上下を入れ替えることも可能です!」
映像の中のダルマ川落としPGが高速で回転し始める。
「早速、我が社の新社屋から、1階をぶち抜いていきましょう!あはははは!」
ダルマ川落としPGは、社屋に向かってまっしぐらに進んで行った——
青い空
どこまでも高く、遠く
絶好の運動会日和
祭り日和とも言う
さあ、青空に向かって踊ろう!
午後八時。夏祭りの花火が上がった。
市民公園が近所なので
花火は家から観ることができる。
小さい時から馴染みのある花火なので急にテンションが上がことはないが、
平和だなぁって感じてしまう。
ドーン ドーン
振動が耳からそして
身体中に広がっていく。
花火の音はかなりの爆音だ。
戦争をしているよその国では
同じ音でも人を傷つける砲撃音に変わってしまう。
花火よ、もっともっと高く上がって、
ミサイルが飛んでいる空に見えるよう花を咲かせて。
月のうさぎは跳ねる。
さらに高く、もっ高く。
銀河系の遙か彼方まで
流星となって高く跳ぶ。
夏は終わり、電車の中は、白いサラリーマンが黒いサラリーマンにコスチェンジしていく。
人の命まで奪いかねなかった灼熱地獄はどこへやら。
肌寒い風が吹き抜け、職場までの道のりがすでに冬めいている。
これからもっともっと、空を高く高く感じることだろう。
高気圧の影響で空気が澄みきっているからだろうけど、それにつられて心まで澄みきる季節がやってくる。
まさにちょっとココロオドル季節。
たぶん私は、人一倍暑がりで、人一倍寒さには強いから。
あとは、気温とともに懐が寒くならないことを願う。
そのためにも、今後も株価は高く高く、天井知らずで上がっていってほしい。
給料はまあ、限界が見えてるし。
これから、新しいスマホやPCや車が欲しいから、世界情勢も我が暮らしも、安定した状態を求む。
そんなどーでもいい個人事情でお茶を濁しつつ、欲しいものを手に入れるための志しだけは高く高く、その高みを目指して日々努力していこう。
いや…株価頼みだったりするが。
それでも、ギャンブルにドハマっていた頃を思えば、よっぽど生産性のある行為だと…信じている。
気持ちのイイ季節の話に戻そう。
清々しく澄みきった高い高い空を感じる秋を過ぎれば、その後は冷たい冬の時代が来る。
凍えるような物価高。
すべてのものが高く高く、身体を冷やし肝を冷やして、我々の生活はどうなっていくんだろう。
あれ…?話が戻ってない…。
その日は晴れていた。雲一つもない快晴である。秋の初め、まだ威力が強い太陽の光が地面や海面を照らし、上昇気流を作り上げていた。
それを待っていた者がある。
鳶である。
翼を広げると160センチにもなり、その翼に上昇気流を受けて高く飛ぶ。よい気流をつかまえればその高度も増すことができる。
次々と周囲の鳶が高く舞っていく中、その鳶はまだ松の木に留まっていた。その年に生まれ巣立ちから日も浅い若鳥である。
理屈はわかる。翼に風を受けることも何度もできてはいる。だが、あんな高度まで舞い上がったことはない。
若鳥は戸惑っていた。あんな高さでもしバランスを崩したら?気流を受け損なったら?自分がまだ知らない事態に対応できるのか?そう思うと踏み込めなかった。
そこへ、鴉がやってきた。鴉は鳶とは仲が悪い。鴉と鳶とは、求める餌が被ることも多い。知らずに鴉の餌を横取してしまい集団の鴉に追われることもある。鳥はどだい高度を取ったほうが心理的に優位になるものだが、そこは鳶の得意分野だ。
なので、鳶は少し身構えた。鴉は戯れに他の鳥や動物を突くこともあるからだ。
「あんたはなんでいかないのさ」
鳶は驚いた。鴉と鳶とは使う言葉が異なるため、互いに何を言っているのかはわからないものだ。だがこの鴉は自分にもわかる言葉で話しかけてきた。
「あの……なんでしょうか……」
恐る恐る鳶が尋ねる。伝わるのかな?
「いやね、鳶の皆さんは気流を掴むのが上手いなって。そりゃ儂らも気流を使って高くまで飛ぶよ?でもあんたらには敵わないなって、いつも惚れ惚れして眺めてんだよ」
変わった鴉だな、と若い鳶は思った。鴉は鳶を見ると集団でぎゃあぎゃあ騒ぎ立てるものなのに、そんな相手に惚れ惚れだなんて。
「心配なんです。あんな高くまで飛んで、もしバランスを崩したらどうなってしまうんだろうって」
まだ巣立って間もない頃、台風の名残の強風を受け損ない、木の枝に打ち付けられた事がある。幸い羽に怪我はなかったが、打ち付けた腹はしばらく痛かった。
「大丈夫だよ、あんた鳶だろ?風にさえ乗ってしまえば、あとはあんたの本能が教えてくれるさ」
本当だろうか。本能は確かに翼の使い方を教えてくれたが、あんな高度での身のこなしまで教えてくれるものだろうか。
「まあいいさ、儂も少しは風に乗れる。ちとあんたに教えてあげれるだろ」
なんでこの鴉はこんなに世話を焼くんだろ、と不思議がる若鳶に、鴉は翼を広げてみせた。
「ほら、気流はわかるだろ。そこに羽を被せれば」ふわりと浮かぶ。「まずはやってみな」
訝しながらも若鳶も羽根を広げる。言われなくとも昇る気流はよく感じる。そこに翼を被せるようにすると、ふわりと体が浮いた。
「そう、その調子」
鴉の声に合わせて、昇る気流の角度に合わせて右へ、左へと翼を傾けているうちに、ずいぶん高く上がってきた。
ふと見ると、鴉は自分より下にいる。
「どうしたんですか」
「儂らにゃあここまでだ。やはり鳶は上手いね」
慌てて鳶が鴉に尋ねた。
「あの、どうしてこんなに親切に」
「いやあね、」と鴉がきまり悪そうに答えた。
「あんたの前の年に生まれた、同じ親御さんの卵。昔割っちゃってね」
あの日もいつものように鴉と鳶とで揉めていた。きっかけは、鴉が狙っていた獲物を鳶の誰かが掠め取ったことだった。それを知った鴉達は、集団でその鳶を追いかけていた。たまたまその鳶が止まったのが、目の前の若鳶の両親が営巣していた巣であった。気が高ぶっていた鴉たちは鳶に次々と体当たりをしていたが、揺れた木が巣の中の卵を全て落としてしまった。あともう少しで孵るとこだったのに。
「あんたの兄弟は死なせちまったけど、あんたは元気そうだし、そうやって餌を取って卵を産めれば」
もう鴉の声は聞こえなかった。若鳶は高く高く飛んでいた。他の鳶たちと合流し、上昇気流を舞っていた。
鴉はその姿を眩しそうに眺め、やがて去っていった。
「高く高く」
秋の空が大好きだ
どこまでも澄んでいて
雲もゆったりとしているように感じる
冬が近づいている淋しさはあるけれど
心が自由になるかんじがする
さて
始めようか