高く高く』の作文集

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高く高く』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

10/15/2023, 7:59:47 AM

高く高く…

価格。高騰。家計。
高ければ高いほど、苦しくなってくるのはどういう事なのか…

どうせ高くするのならば、税だけではなく
給料も高くしてくれよ。幸福度も高くしてくれよ。

ある遠い国では、日本のようになんでも揃っているわけではなく、年収も清潔度もそれほど高くはないけれど

国民の一人一人が皆「自分のことを好きだ」と。
みんな自分に自信を持っていて、そして今あるものだけでも「幸せ」だと。

裕福ではないからこそお金の価値に重きを置いておらず、「自分を愛してるからこそ、相手を愛することができるし、幸せにできるんだ」と彼らは言う。

これはきっと日本ではこうはならないだろう。
世間の目。周りからの評価。皆と同じような「普通」を目指し、自分が浮いたり枠から外れることを嫌う。

それでは幸福度も高くならないのも頷ける…。

せめて、自分だけでも普通の枠から飛び出して「好きな自分」であり続けよう。

10/15/2023, 7:40:34 AM

#高く高く

高く高く飛んでいけ。

僕の腕が届かないところまで、飛んでいけ。

そうでもしなければきっと、僕は君を手放せないから。

お願い、僕から逃げて……。

(逃げないで、逃げて、逃げないで。)

本当は逃げないでほしいけど、僕は君の自由な姿に惹かれたから、僕なんかに捕まらないで。

10/15/2023, 7:40:26 AM

高く高く (10.15)


たん、たん、たんっ
軽快な縄跳びのリズム。朝日がほの暗く冷たい庭をキラキラと差す。
298、299、300
汗を拭って玄関を開け放つと、汲んでおいた牛乳を一気飲み。それからマジックペンの筋でしましまになった柱に背をピッタリとつける。
———私より15㎝上くらい、が理想かな?
小学生の頃、その呪いの言葉を受けてかれこれ10年間このルーティーンを続けている。
骨に刺激を与えたら背が伸びるとか、牛乳を飲んだら伸びるとか。合ってるかなんて知らないけれど、信じるしか道はなくて。
「きたっ176.0!」
アイツは161.0㎝だから、間違いない。絶対。
掠め取った彼女の身体測定の紙を思い出して、ガッツポーズしながら跳ねる。あのあとめっちゃ怒られたけど。体重は見てないのにな。
高校生になってやっと彼女の背に並んで、最近ついに念願の上目遣いに射抜かれた。条件を満たした今日こそ、こ、っ告白する。
自分にそう言い聞かせてごくりと唾を飲む。

高く、高く。それだけを目指した10年間。
果たして彼は望みを果たせたのか。それはまた別のお話。

10/15/2023, 7:36:59 AM

今日の2時雨がポツポツ降ったあと

綺麗な虹が高く高い青い空に写っていた
なんだろう。

この空、虹根元まで行きたいな

私はまた
虹の根元を探すように

人生を歩む。

◣高く高く◥

10/15/2023, 7:02:02 AM

高く高く飛べるようになりたい
 そう望んで見上げていた場所へ
 この手が届くようになると
 さらにもっと高い場所へと
 手を伸ばしたくなる

 いつかどこまでも高く
 飛んで行けるようになったら
 今度はきっとこの世界の広さを
 確かめたくなるのだろう



【高く高く】

10/15/2023, 7:01:17 AM

昔から高い場所は好きだった。
小さい頃から、煙とバカは高いところが好きと言われて、よくからかわれていた。
でもあんまり気にならなかった。
お前はバカがつくほど高いところが好きなんだと、認めてもらえた気がしたからだ。
実際気のせいなんだろうけど。

赤ん坊の頃、親にタカイタカイされた時、とても見晴らしが良かった。
非常に感激したことが原体験だろう。
それ以来、よく高いところに登り、その度に怒られていた。

大きくなってからは色んな高い場所へ行った。
高いビル、高い山なら全部行ったと思う。
景色もよくかなり満足した。
高い地位にもなってみた。
思ってみたのと違ったが、まあまあ面白かった。

一番良かったのは、飛行機からの景色である。
金さえあれば、結構手軽に高い場所を体験できる。
機内もそれなりに快適なのも評価点である。

でも地球にはもっと高い場所があることを俺は知っている。
今そこを目指して訓練している。
非常に狭き門だが、諦める選択肢はない。
その場所とは宇宙ステーション。
地球で最も高い場所。
写真では見たことあるが、実際見るのとはまた違う感動がある。
そこまで行けば、また違うものが見えるだろう。
もしかしたらもっと高い場所が見つかるかもしれない。

高く高く、より高く、これからも高みを求め続ける

10/15/2023, 6:54:53 AM

空を飛ぶ事に
こんなにも
焦がれるのは


遥か昔
背に翼を持ち
この大空を悠々と
自由に飛んでいた


そんな
埋もれた記憶のせいなのか



肉体という
重い波動の塊を纏い

しかし
それ無くしては
人ではいられず



今はこの星で
この地で
この足で


ただ
進む

ただ
生きる



いつかまた

高く高く舞い上がり

自由に

飛び回れる日まで




あの広い空に帰る


いつかの




約束の日まで






「高く高く」




**************



|👁 👁)ジー


この絵文字

なんという

「鋭い眼差し」

だろう・・・

10/15/2023, 6:51:18 AM

【高く高く】
最近才能について考えることが増えた。
あの人はこの才能があるからとか
私はこの才能がないからとか。
考えながらも才能がないなりに頑張っているはず。

先輩に追いつけるように
先輩として引っ張っていけるように。

でも逆に引っ張ってもらってる気がする。
ならもっと努力しなきゃいけないはずなのに…
できないからへらへら笑ってやり過ごしてる。

まぁ、才能ってそういうものなんだけどさ。

"あの人の才能があれば…"なんて普通だ
その人だって自分が才能があるかなんて知らない
たぶんね。

大事なのは自分が持ってるものでどれだけいけるか

足りないものを持ってるもので補う
持ってないならそれくらいしかできないだろう。
でも自分が持ってるものは分からない
分からないから他人が羨ましくてたまらない。

こんな独り言も誰も聞くはずないし。

親に言われたんだ
「姉ちゃんは人を見る目が優れてるね
弟くんの好きな物とかよく知ってるし―――」って

もしそれが才能ならば、

私は先輩や後輩をみて、悪い所やいい所をみて
アドバイスをすればいいのか?

自分は諦めて他人を育てればいいのか?

他人の技術を目で見て盗めるほど
私の人を見る目は優れていないから。

ならどうすればいい?


―――――――――――高みへ行く切符

10/15/2023, 6:08:01 AM

兄は昔から怖いもの知らずで、飛行訓練になると父の静止も聞かず、あっという間に高く舞い上がって見えなくなった。私は万が一途中でバランスを失ったらと思うと怖くて、地上に置いてけぼりを食らっていた。父がついていても屋根から本の数メートルばかり飛び上がったところまでしかいけず、
「そんなに低いと逆に何かにぶつかって危ない」とよく言われた。
 そんな折り、どうして兄はあんなにやすやすと飛べるのかと、一度父に尋ねたことがある。
「お前はどう思う?」
「……自分の技術に自信があるから?」
「確かに、それもあるだろうな。だが恐らく最たる理由は……」父はかがんで声を落とし、近くで訓練の様子を眺めていた母に聞こえないよう耳打ちした。「あれは母親似で好奇心の塊だから、知らない景色を見に行くのが楽しいんだろう。空を見れば高くまで飛ばずにはいられないのさ」
 父は悪戯っぽく笑った。
「お前は父に似たな。慎重なのはよいことだ。だが、怖いからと試してもみないのは、勿体ないぞ」
 そう言った父の背中は大きく、当時の私には、父が空の全てを知り尽くしているかのようにさえ見えていた。自由に飛べるようになった今でも、憧れは色褪せないままだ。

#高く高く

10/15/2023, 5:52:28 AM

♯高く高く

        橘 月子

秋になると空がグンと高くなる。

夏が低いわけではないだろう。
見上げる気持ちの差なのだろうか。

気持ち良いなぁ、と思いながら見上げる空。

なんでいつまでも暑いのさ、と恨めしげに睨む空。

ごめんね。
空が悪いわけではないのは知ってるよ。

何が悪いのか?
悪くない。なにも誰も悪くない。

気持ち良い気候が嬉しいのだからそれだけに感謝しよう。

10/15/2023, 5:48:20 AM

・高く高く
♪どんどん伸びて 天まで届け♪

その合図で、「たかいたかい」をされる。先生に抱えられると、輪になった友達の顔がよく見えた。大人になったら、どんな景色が見えるんだろうって、わくわくした。
あの頃、誕生日が楽しみでしかたなかった。
誕生日だけは、自分を中心に世界が回っている気がしていた。
バカみたい、と吐き捨てながら、大きく伸びをする。23歳の誕生日の朝は、笑えるほどいつも通りだ。
大学に行って、午後からバイトに行って、くたくたになって眠る。
洗面所の鏡には、朝っぱらから疲れた顔をした私がいた。

「いってきまあす」

誰もいない部屋にそう言い残して、私はボロアパートを後にする。

「あ、おはようございます。LINEプロフィール見ましたよ。誕生日おめでとうございます」

振り返ると、見上げるほど背の高い、細身の男性がいた。同じ学部の同級生で、隣人。
ありがとうございます、と答えながら思う。
本当に天まで伸びたようなこの人には、どんな景色が見えるんだろうか、と。

10/15/2023, 5:34:07 AM

高く高く



⚠二次創作要素が入っています。⚠
⚠苦手な方は飛ばしてください。⚠



月が丸く輝く夜
美しい黒猫に誘われた夜
あの日から数ヶ月と
経とうとしていた。

「主様、身体が冷えてしまいます。
そろそろ屋敷の中にお戻りになられては?」

振り返るとそこには
黒と白の燕尾服を着た男
もとい、ベリアン・クライアンが
心配そうな瞳で
こちらを伺っていた。

「……そうだね、そろそろ戻ろうかな」

立ち上がろうとすると
突然木の上から

「えぇ〜!?もう帰っちゃうんですかぁ~…?」
「この声は、ラムリくん?」

ベリアンが木の上を見上げながら
驚いた声を出す。

紫色の癖っ毛を風に揺らしながら
木の上からこちらを見下ろしている男
もといラムリ・ベネットは
ギザギザの歯を見せながら

「だってだって、今日はと~っても月が綺麗に見えるんですよ!もう帰っちゃうなんてもったいないですよ〜!」
「ですがラムリくん、このまま外に居たら
風邪をひいてしまいますよ。」

ベリアンがそう言うと
ラムリはハッとした顔で

「そ、そうだった!主様、風邪ひいちゃう!
主様、寒いよね、気づかなくってごめんなさい!」

バッと木から飛び降りたかと思うと
ぎゅうっと抱き締められてしまった

「ラ、ラムリ?大丈夫だから、離して……
ちょっと、恥ずかしい…かも」

そう言うと勢いよく離れて

「ごごご、ごめんなさい!!僕、つい焦っちゃって…!」

顔を赤くして慌てだすラムリを見て
相変わらず感情豊かな人だなぁと思い
つい笑ってしまう。

「ふふ、ラムリくんは相変わらずですね。
確かに、今日は空気が澄んでいて
星も月も綺麗に見えますね。」

ベリアンにそう言われ
顔を上げてみると
木々の隙間から溢れんばかりの光が
射し込んでいた

澄み切った空に浮かぶ月を見て
思わず手を伸ばしてしまった

「主様?どうかされました?」

ベリアンの声にハッとする
美しい月は今にも零れ落ちそうで
もしかしたら、この手に
落ちてきてくれるかもしれないと
そう思った。

「ううん、なんでもないよ。
そろそろ帰ろう。ベリアン、ラムリ」

そう言うと二人は
わかりましたと言い
ベリアンは自分の少し前を
ラムリは自分の少し後ろを
歩き始める。

自分達の真上には
今にも零れ落ちそうな
月が在る。

それでも
月は高く高く
誰にも届かない空に
星と身を寄せ合って
浮かんでいる。

10/15/2023, 5:25:50 AM

悪路を踏みしめ、ひたむきに歩く。
 山道のハイキングとは、極論すればそんなようなものだと思う。
 山登りと一口に言っても、ハイキング、トレッキング、クライミングまで難易度も手段も様々だ。共通して言えることは、「過信は禁物」と「ごみは持ち帰りましょう」ということ。
 自分の場合は運動の延長でやっているけど、いつかは高い山にも登ってみたいなと思う。それこそ富士山とか。
 どうして人は高い山を目指すのか。それはこの一言に要約されるんじゃないかと思っている。
 ──そこに山があるから。

10/15/2023, 5:06:28 AM

子供もペットも最後まで面倒見れないなら飼わないでください。

10/15/2023, 5:05:37 AM

──時に、人の欲望を良い仕組みだと思うかね?

 積み重なった硬貨の山に向けて、一枚の硬貨を指で弾く。
 弾かれた硬貨は、男の狙い通りに硬貨の山へとぶつかり、その衝撃で幾つもの硬貨がテーブルから落ちていく。
 ジャラジャラと音を立てて落ちていく硬貨。
 数秒後にはそれも収まり、部屋の中は静寂に包まれるが、その間に、男の問いに答える者は居なかった。

 そんな状況に対してか、男は顔に貼り付けられたような笑みを深め、更に言葉を紡ぐ。

 ──それは生きる為の指針。目的とも言おうか、自身の根本に根付いた欲望を満たす為だけに、人は意識せずとも、自身が生きる手段を選べる。

 崩れた落ちた硬貨の山の中から、男は金色に染まった硬貨だけを拾い上げていく。

 ──しかしそれと同時に、人は欲望を満たす為に自身の生命さえも捧げてしまうことがある。それは何故か?

 男は先と同じように、硬貨を指で弾いた。

 ──それは外部からの攻撃、或いは抵抗による影響が大きい。欲に従って腹を満たそうとする人間に対して、他の動植物は毒を身につけた。

 男は興が乗っているのか、口を止めない。

 ──人の文明が発展する程に、毒は増えた。そしていつか、毒は日常にまで現れるようになった。

 ──そしてその内の一つが、余裕その物だ。数の差が明確になる程、人は余裕を増し、油断をするようになった。弱者の在り方を忘れてしまった。

 ──人に残ったのは、欲望だけ。だが欲望は、生きることに余裕が出来る程に、機能しなくなる。

 男は弾いた硬貨の上に、丁寧に硬貨を重ねる。

 ──そうなれば、底無しの沼の完成だ。人は自身を満たそうとする為に、無意味な消費を続ける。

 一枚、二枚、三枚、悠々と硬貨を重ねていく男の姿は何処か、懺悔しているようであった。

 ──ああでもない。こうでもない。自身を満たせずに時間が流れていくことに人の焦りは増え、段々と手段が過剰になっていく。

 いずれ、高く積み上がった硬貨は、些細な振動でグラグラと揺れ、不安定な物へとなる。

 ──欲望を満たそうとする程に、次はこんどこそと感じる程に人は消費を増やした。そして……

 男は一枚の硬貨を慎重に、丁寧に硬貨の塔の頂上へと乗せる。
 その瞬間。
 ジャラジャラと音を立てながら、硬貨はまた崩れていった。

 ──また、やり直すことになる。或いはそれですら、消費を増やそうとする過程なのかもしれない。

 男は溜め息を吐くと、その手を止めた。

 ──私には、そこまでする理由が分からない……何故、無駄を重ねるのか、分からない。

 テーブルの上の崩れた硬貨。
 男はそれを睨みつけ、乱雑に払い除ける。

 ジャラジャラ、ジャラジャラ、その音が部屋に響く程に、男は顔を顰め……

 再度、影が差した硬貨へと、その手を伸ばした。

10/15/2023, 4:57:09 AM

高く高く


高く高く昇っていく。
摩天楼から街を見下ろすような、そんな夜があってもいいじゃないか。
まがい物じゃない、君となら。



#57

10/15/2023, 4:43:47 AM

台風並みの風に吹っ飛ばされてく羊雲と木の葉の合間。

青空をバックに若いカラスが「おわあああっ」と鳴きながら、転がっていった。

テーマ「高く高く」

10/15/2023, 4:34:55 AM

高く。空高く。

「ぶぉーー」私は広くて青い空を見上げている。
青空には、白く長く続く飛行機雲が描かれた。

私は高校2年生の神崎あゆみ。17歳。
今は学校の屋上にいる。
最近、お昼休みにここに来ることが私の日課だ。
お弁当は教室でたべて、それから屋上に登ってくる。
もちろん1人で。私には「友達」という存在がないからだ。
友達のどこがいいのか。友達がいたら何が楽しいのか。私には未だに分からない。一人でいた方が楽で、好きなことが出来る。なのに何故、人は友達を作りたがるのだろう。

(キーンコーンカーンコーン)授業始まりのチャイム

チャイムがなった。だけど私は焦らない。
ゆっくりと眺めていた空から視線を落とす。その時、
目の前のフェンスに足をひっかけた鳥が羽をバタバタしている。
私はそっとフェンスに近ずき、鳥を手に取った。
鳥は、逃げようとしない。何故だろう。

私は聞いたことがある。幸せを運ぶのは白い鳥。
いま、私の手の上にいるのは白い鳥。
「もしかして、あなたは幸せを私に運んで来てくれたの?」
私は冗談で問いかけた。その時、小さな羽をパタパタと羽ばたいた。大きな青空へ、高く、高く、小さな鳥が消えていった。

1年後ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドンッ!とお腹に大きいものが乗っかる。
「もー千咲!痛いって言ってるでしょー!!!」
「ごめんねっ!!でも、頭だよ?!」
「もー笑笑!!千咲の頭は大きいんだから!」
「何それぇー納得いかなーい」
「冗談だよ笑笑」

「あ、あゆみ?」
「ん?どーしたの?」
「私ね、あゆみに出会えて幸せだよ!ずっと大好きだからね」
今はお昼の時間。私と、、、去年であった千咲は学校の屋上で寝そべって青空を見上げている。あの日のように私は青空を見上げている。

その時、私の頬に一筋の温かい光が流れた。

10/15/2023, 4:19:58 AM

高く高く舞い上がった後は、綺麗さっぱり燃え尽きるものだと思っていた。だが、現実はそう甘くない。叶わなかった事実は残酷なまでに傷を残すし、絶望にも似た虚無を連れてくる。


 週末の深夜、もういいやと自棄になってしまった。駅近のお高めなホテルにチェックインして、着の身着のままですぐ近くにある飲み屋を徘徊し、かなり悪酔いした状態で今カウンターに伏せている。
 まだ半分以上残っているジョッキに映る、なんとも不細工な顔をした女と見つめ合うことになるとは予想外だ。

「お客さん、そんな飲み方したら危ないよ」

 ──優しさからくる言葉じゃないんだろ、どうせ。

 反射的に心の中で毒づく。単にここでぶっ倒れられたら困るっていうだけの話だ。心の底から心配してくれる人なんて、きっと私の人生には用意されてない。

 重たい頭をもたげて、ゆっくりと体を起こす。悪酔いしている自覚はあるけど、見も知らぬ相手に喧嘩を売るようなみっともない真似はしない。そこまでは落ちぶれたくない。

「ご忠告、ありがとうございます」
「お、おお。なんだ、ちゃんとしてたんだな。こりゃ失敬」

 そそくさと奥に引っ込んでいった店長の背中を眺める。今の私のどこを見て『ちゃんとしてる』って言ったんだ。酒の力を借りてもなお泣けないような理性が褒められることならば、誰もが眉をひそめるくらい醜悪になりたい。

 もうそろそろ引き上げようとジョッキに手をかけたそのとき、隣から伸びてきた手に押さえられた。

「さすがに飲みすぎですよ、先輩」

 誰かと思ったら後輩だ。呆れたような顔で頬杖をついている彼の手を振り払おうとしたけど、酔っ払っているせいで上手く力が入らない。

「プライベートの時間なのよ。別にいいじゃない」
「体に障るでしょ。いくら酒に強くても、過剰なアルコール摂取は褒められたことじゃないですよ」
「うるさい! 私の体をどうしようが、あんたに関係ないわ!」
「はいはい、ここで暴れないでください。お店に迷惑ですから」

 私の両手を片手で押さえ込んだ彼は空いてる方の手でジョッキを持ち、まるで見せつけるかのようにひと息に飲み干してしまった。

「ごちそうさまでした。勘定お願いします」
「ちょっと、なに勝手に」
「先輩のことだから、どっかのホテルに部屋取ってるんでしょ。送りますから教えてください」

 手早くカードで精算した彼は、私の手を開放することなく外へ出る。ひやりと冷たい風に身震いすれば、コートを肩に掛けられる。彼のではなく、私のお気に入りのコート。そうだ、夜は冷えるからって持ってきたんだった。

「……なんで泣いてるんですか」

 ああもう、最悪だ。

「可愛げないでしょ」
「は?」
「帰りの心配をしなくていいようにホテル取るし、夜は冷えるからってコート持ってるし、あれだけ飲んだのに腰が抜けることもないし」
「まあ、最後のは体質でしょうからスルーするとして、かなり用意周到ですよね」
「可愛くないんだって。しっかりしすぎて隙がなくて、おまえといると息が詰まる……って」

 今日の朝、付き合ってた彼氏から一方的に別れを告げられた。口には出してなかったけど、いずれ結婚できたらいいなって思ってた。
 なのに『可愛げがないから別れてくれ』だなんて、自分でも納得できちゃうような理由でフラれたなんて、誰にも知られたくなかった。

「なんで、一番情けないところを……君に見られなきゃなんないのよ」

 もう頭が痛い。涙で思考も顔もぐしゃぐしゃだ。子供みたいにしゃくりあげるなんて信じられない。それでもお気に入りのコートを汚したくなくて、必死に手の甲で拭ってて馬鹿みたいだ。

「別に情けないなんて思ってませんよ」

 優しくはない真面目な声と一緒にハンカチが差し出される。それを戸惑いながら受け取ると、今度は柔らかく手を握られる。

「で、ホテルどこなんですか?」
「この状況で他に言うことないわけ!?」
「ドラマの観過ぎじゃないですかね。何を期待してるんだか」
「してないわよ!」

 悲しいのか腹立たしいのか分からなくなってきた。半分怒鳴るようにホテル名を言うと、彼はさっさと歩き出す。そう遠くまで足を伸ばしてないところも、可愛くないって言われる要因なんだろう。
 ──ダメだ、何を考えても卑屈になってしまう。

 借りたハンカチはすぐびしょ濡れになってしまった。化粧も染み込んでしまったから、買い直して弁償しないといけない。
 ──ああもう、今はそんなこと考えたくないのに。

「俺、慰めとか同情とか、そういう手を使いたくないんですよ」

 ホテルの前まで来て、彼は突然そう言った。そうして、見たこともないくらい真剣な顔で私に向き直る。

「一夜の過ちとかで逃げられても困るんで」
「……は?」
「相手がいるなら諦めようと思ってましたけど、その必要もなくなったので口説くことにします」
「え、は、なに言って」
「どっかの馬鹿と違って、俺は自立しているあなたが好きです。そもそも、頼れない相手を前にして隙ができるわけないじゃないですか。その男が馬鹿なんですよ」

 目の前がぐるぐるしてくる。握られたままの手がじわりと汗ばんできて、なんだか顔が熱い。言葉も出てこないままで彼を見上げていれば、ぎゅうっと眉間にしわが寄った。

 こほんと咳払いをしたかと思うと、私をホテルの中へと連れて行く。暖かいロビーに足を踏み入れたら、彼の名残惜しそうな指先が手を掠めながら離れていく。

「風邪引かないでくださいね。……おやすみなさい」

 足早に立ち去った彼を呆然と見送りながら、彼に言われた言葉を反芻する。彼は私を好きだと言った。逃げられたら困るから手は出さないとも言った。

 ──つまりなに、私は今告白をされたわけ?

 回転の遅い頭が結論を出したとき、我ながら呆れるほどの速さで鼓動が高鳴りだした。ちょっと待ってよと意味のない制止をかけたが、高く高く舞い上がりそうな不謹慎な感情は止められそうになかった。

10/15/2023, 4:14:26 AM

高く、高く空を舞う。
翼が生えたらいいのにという願いはきっとここでは叶わない。
でも空を飛んで、遥か彼方空へ駆け出したい。
その衝動が抑えられないのは
きっとここから抜け出したいだけなのだ。

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