『雪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ふわふわと羽根が降り落ちるように地面に落ちては音もなく消えていく。降るというよりは舞うと言ったほうがいいだろうか。どんよりとした曇り空とは正反対の真白さが好きだった。雨とは違い雪が降るとなんだか嬉しく思って、寒いというのに外へ繰り出しては曇り空を見上げて、微かな冷たさが当たる頬を緩めた。
あまり雪が降るようなところではないから嬉しい気持ちになるが、住む場所が違えば憎たらしい白色となるのだから不思議なものだ。テレビに映る一面真っ白で埋まる世界は同じ国とは言え非日常の別世界に思える。
子供の頃はもう雪が降れば嬉しくてはしゃぎ倒していたけれど、大人になってはこたつに入ってアイスを食べながらしんしんと降る雪を眺めるしかない。この光景もまた風情がある、だなんて考えてはうつらうつらと微睡むのだ。
雪
私はお婆ちゃんの家の雰囲気が大好き。
人生で初めて行ったときに、何だか懐かしい雰囲気を感じたからだ。
何処かで見たことがあるような、でも来たことが無いような、何回も来たくなる。
「あいちゃん、今日も来てくれたんだねえ〜、ありがとう。」
お婆ちゃんに対しては何にも感じないけど、ここの家に覚えがある。
たまに、夢にも出てくるんだ。
「何だか来たことがある場所…、でも、それ以上の記憶が無いし…、」
夢に出てくる場所は、お婆ちゃんの家と、チラチラと雪が降っている場所。
本当にうろ覚え。
「お婆ちゃん。私ね、何かここに来たことがある気がするの。雪がチラチラ降っていて、お婆ちゃんの家の雰囲気が何だか懐かしいの。」
お母さんに、私が物心付く前に来たのかも聞いてみたけど、お母さんは来てないって言ってた。
「本当かい…?もしかしたら、前世の記憶なのかもしれないね。私にも子供が居ったから。」
寒いな・・・
仕事帰り、私はてくてくと夜道を歩いていた。
疲れた・・・。
今日も1日大変だったな〜。
1日を思い返す。
クレームが一件入って、仕事進まなかったし、他の社員がミスして、みんなでデータ入力手伝ってたし・・・。
ふう・・・。
ため息が出た私は、いつも、帰りがけに通るコンビニに寄る。
いつも買うラインナップは、温かいホットレモン。
疲れると、凄く飲みたくなって。
後は、健康に気を使ってヨーグルト、今日は自分にお疲れの意味も込めて、おでんも追加。
ちょっと家に帰って料理する手間だけ、自分に自由時間あげようっと。
買い物を済ませコンビニを出る。
さむっっ
寒すぎて震えた私は早速購入したホットレモンを飲む。
暖かくて、優しい酸味が疲れを癒やしてくれる。
喉にもいい気がするしね!
私はレジ袋を腕にかけて、ホットレモンをカイロ代わりに歩き出す。
と、、、。
「ゆき・・・?」
白い紙片みたいなものが目前を横切った。
上を見ると、沢山の雪。
わー、雪だ!と思わず見とれる。
黒い空に白い色が映えるな〜と思って見ていると・・・。
クシャン
あまりの寒さにくしゃみが出てしまう。
(いけない、早く帰らないと風邪引いちゃう)
急ぎ足になる私は、家への帰路を急ぐ。
両手にはホットレモンがある安心感。
私はこくっと一口またホットレモンを飲む。
ひらひらと降る雪も、暖かいホットレモンのおかげで少し余裕を見て眺められる。
きっとなかったら寒い〜って、走り抜けてただろうな・・・。
そしてそんな私は、明日もまた絶対に、ホットレモン買おう、と心に決めていたのだった。
雪 雪
雪
雪
雪 雪
除雪車の音で
目が覚める
しまった!!
今日も出遅れたー
夜中のうちに
しんしんと降ったらしい
業者の除雪車が来る前に
自宅前の雪をかいておくと
仕事がぐーっと減るのに…
朝一から後悔させられた
『雪』の奴め
まー
雪
白く淡い
溶けて冷たく
積もれば硬い
空と大地に帰ってゆく
ゆっくりと確実に留まらない
そのカケラの始まり
記憶のようなもの
「雪」
吹雪は嫌い
意地悪に私の頬を打つから
たとえば
月の光が優しく照らす
音のない夜に
空からゆっくり落ちてくる
冷たいけど何故か
ほんのり熱を感じるような
そんな雪に触れてみたい
雪
雪は温かいと溶けていく
自分は今とても幸せ 自分も雪みたいにとろとろに溶けていく。
雪は綺麗だけど溶けるんですよ。
『雪』
とてつもなく寒い日。
外は真っ白。大雪だ。
公園で雪合戦をする少年。
足跡を残しながら駆け回る犬。
雪の上に型をつけて寝そべるちびっ子。
嬉しそうに誰かとおしゃべりしてる。
俺は雪なんて降っても嬉しくない。
雪なんて降るな!
でも、心の奥で思ってしまう。「羨ましい」
不登校陰キャの俺。
友達が居たら少しははしゃげたのかな。
〈フィクション〉
-雪-
雪が降った日の帰り道
あの公園でいつも雪だるまを作ったよね
将来の話とかしてさ
今日は雪降らないのかなって楽しみだった
今では雪のせいで電車が止まってあなたに会えない
雪なんか降らなければいいのに
雪の日の静けさが生む、凪がある
/お題「雪」より
「雪」
掌に無音で着地する雪は
心なしかぬくもりを感じる
それは錯覚なのだけど
結晶のようなもの
探す前に消えてしまう
強い風に吹き飛ばされて
ひとしきり空中を遊んだら
一瞬にして鞭となって
冷えきった頬を打つ
穏やかな純白に煌めく世界に
巡り合うのは簡単じゃない
それが雪国
ふわふわに降り積もった新雪の斜面を
歓声をあげ橇で滑り降りていく子ら
…を、見守っていたはずが
なぜか視野いっぱいの青空
わたしは宙を飛んでいた
宇宙船からの謎の光線で吸い上げられるように
空中に浮かんでいたのだ
しばし静止した感覚ののち
バサッと背中から落ちた 雪なので痛くない
何が起きたかわからぬまま空を見上げていると
わたしを呼ぶ 娘の悲痛な声
まさか自分は絶命したのか?
いや、そうではなかった
斜面の上方、立っていた私の後ろから
勢いよく滑り降りてきた子が
スパーンとわたしの足もとに激突
そのまま滑り抜けて行ったのだとか
まったく無傷だったこともあり
どんな図だったか想像しては笑ってしまう
身を案じて泣いたり怒ったりしてくれた娘は
そのまま優しい大人に育って いい思い出話
「雪」
#294
雪
舞い降りる白い妖精に歓声を上げる君
北の国では珍しいものではないのに
それでも君は無邪気にはしゃぐ
明日には街は白く染め上げられるだろう
今ははしゃぐ君も
歩きにくい滑ると文句を言うだろう
雪はふわふわひらひらと舞い続ける
君はふわふわくるくると舞い踊る
僕はそんな君と雪を穏やかに見つめている
雪が降ってた
すかさずスマホで写真を撮る
#雪
投稿する
反射的にSNSに投稿してしまう
あー私って
ネット依存だな
踏み潰した雪が、ぎしぎしと笑っている。
公園に雪が積もっている。
公園で、女の子が走り回っている。
すごく楽しそうに笑っている。
一緒に雪も笑う。
女の子は、こけた
大泣きだ。
一緒に雪も泣く。
踏み潰した雪が、ぎしぎしと泣いている。
女の子は、お母さんに抱きつき、泣いている。
雪
今年は全然降らなかった。
雪はどちらかというと嫌いな方だ。
まだ雨の方がいい。
雪は綺麗だと思う。
冬が感じられていい。
けど、雪は上を見れば綺麗だ。
下を見ると積もった雪に色々な跡。
靴、タイヤの跡。
跡がつくだけではまだ許せる。
だが、もともとついていた土などが綺麗な白を汚していく。
どうもそれが気にくわない。
これはただのわがままなんだけど、雪は積もらないでほしい。
こんなことは自然上不可能だ。
でも、綺麗なものが汚れていくのが嫌だ。
溶けてなくなってしまうのが嫌だ。
僕は自分の勝手な考えに囚われてしまう。
頭でわかっていても心のどこかでそれを否定する。
僕は僕に囚われている。
どうか心のどこかにある呪いのようなものを綺麗な雪で溶かしたい。
溶けるのを
じっと待つ。
いつも一緒にいて、よく話してた人は
友達じゃなかった
友達はいなかった
誰のせいか、何が悪かったか
もう忘れたよ…
天気より寒くてつらい中
卒業を待つ
雪解けを待つ
きっと暖かいよ
きっと素敵な春だよ
凍えながら
自分に言い聞かす。
じっと体温を保つ
今やるのは
それだけでいい。
#雪
雪
不安定な心…凍える不安
温かなもので
一瞬でも…癒されますように
【雪】
今日は雪が降っている。
こたつから出てこない君を引きずり出して外出することに
「雪も降ってんじゃん…最悪、」
「引きこもりすぎるんだよ」
口を尖らせて嫌味文句を言うと君は笑って
「はは、何その顔。かわい」
と頬を撫でてきた。
「…別に嬉しくないし、」
「このツンデレめ」
「雪」
空から
次々
降ってくる
雪...
手のひらで
受け止めたら
すぐに
消えていった
まるで
あの冬に見た
あなたの
笑顔みたい