『雪を待つ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
空を見上げ、まだ降って来ない雪を待つ。この世界が真っ白にその色を変える姿を夢想しながら全てを覆い隠して欲しいとそう願った。
自分でそれを見てしまう前に。それに気がついてしまう前に。この世界の色が全て白に塗り変われば、直視する前に忘れられる気がしたんだ。
罪も証拠も何もかもから目を逸らし、ただ安寧とした泥の中に沈んでいたい
雪を待つ。大人になってからは雪なんてうっとおしいだけだからふらないほうがいい。
ただ雪がふらないくらいの暖冬だとちょっと寂しいというのがわかった今年。
12月も半ばまで来たけど全然実感がないな。冬が終わりそうなのも今年が終わりそうなのも。
あの凍えるような寒さがないと冬が来た気がしない。冬が来ないと一年が終わる気がしない。
だけどそれでも冬が終わって春が来る。新しく年が始まる。
寒いのは嫌いなのになんだか寂しさを感じるのはなんでだろう。
雪よりも 待つはこちとら 除雪車じゃ
風情バイバイ 雪国育ち
朝。ワクワクとソワソワとドキドキを抱えながらカーテンを開く。
「だめかあ」
いつもの見慣れた街の景色が広がっていた。そんなに簡単に降るもんじゃないって分かってる。大気の温度差とか、雲の都合とか、色々な奇跡が重なって雪は降るんだそうだ。そのミラクルが起きないものかと、最近の私は朝一番に外を見る時思っている。
雪は、好きかと聞かれれば実際はどちらでもないのかもしれない。あたり一面が真っ白く染まった景色は見ていて綺麗だと思うけど、雪が降れば、体感気温は一気に下がるし交通機関は麻痺する。良いことばかりじゃないのはよく知っている。
だけどあの、儚くて弱々しく落ちてくる白いほわほわした塊を見ていると不思議と心が落ち着くのだ。ひと粒だけじゃ一瞬にで溶けてしまうのに、時間をかけて雪たちは積もり積もって白い世界を生み出す。それを見るのはなんだか好きだったりする。
だから明日からもこっそり雪が降らないかな、なんて期待を秘めながら過ごすことにする。まるで空からのサプライズみたいに、朝目が覚めて銀世界が広がっていたらすごくワクワクしそうだな。
雪を待つ
暗くなった窓の外、雨が降っている。
テレビの天気予報、明日の朝は冷え込むらしい。
この雨は明日まで降っているだろうか?
もし降っていたらー雪にならないかな。
曇りガラスを見ながら、そう願う。
「あ〜さっむ……」
朝特有のひんやりとした空気を味わいながら、朝食の支度をする。
秋だろう季節と言うのに、もうすぐ傍まで冬が近付いていると感じる。
「腹減った」
後ろから弟に声をかけられた。前から思っていたが、彼は寒くないのだろうか?いつも半袖半ズボンという格好だ。
小学生ならではなのか、反骨精神から来るものなのか。
……わからないな。
「起きれてえらいじゃん」
軽く頭を撫でる。大人しく受け入れるこの子は可愛い。
言ってなどやらないが。言ったら調子に乗ってまた事ある毎に頭を差し出してくる事になるだろう。
他の事が手につかなくなる。可愛すぎて厄介だ。
「ほら、顔洗ったりしておいで」
「うん」
今日も素直で可愛い。いい子だ。
もうじき冬がやってくる。
クリスマス、というイベントも、待ち受けている。
育てるものとしては特に気を使う。
ああ、なにをお願いするのかな。なにを貰えるのだろうか。
「冬が来たら、何がしたい?」
気紛れに聞いてみる。
「え、うーん……雪遊び?」
なるほど。雪か。
「雪は、いいね」
この子が来た日を思い出す。
私とこの子は血の繋がりは無い。赤の他人だ。
私は真っ白な肌だが彼は黄みが強い。
瞳の色も違うし、親子だとはとても言えない。
だから彼を弟にした。
周りには母親が違うのだと言っている。
この地域は治安が良いわけでは無いから、普通に受け入れられている。
それにこんなこと、この辺じゃそんなに特異でもない。
独り凍えていたあの子を連れ帰ったのは何を思ってそうしたんだろうか。もう忘れた。
今はただ守りたいと、そう思っている。
彼が健やかに育ってくれたら、それでいいと。
「雪、降るかな?」
顔を覗き込んで聞いてくる、可愛い弟。
「ああ、きっとね」
去年はこの子と出会った、雪の降るクリスマス。
今年は彼の悲しくひもじい顔ではなく、それを喜ぶ顔へと変える雪を、どうかください。
「ああでも、暖かい格好しないと風邪ひくからね」
「え〜……うん……」
その時はアウターと、マフラーと、手袋と……。
少し嫌そうな顔をしているけれど、どれか2つは着けてくれないと困るね。
彼が冬を嫌いにならないように、生きることを諦めないでいられるよう……
無事に年が明けますように、なんて願うのは少し気が早いだろうか。
「雪を待つ」2023/12/16
『雪を待つ』
北風小僧が便りを持って
山越え 谷越え やって来た
今年モゴチソウ ジュンビハイイカイ?
あのコの好物 沢山作り
「準備はいいよ。いつでもおいで。」
冬待つ 雪待つ あのコを待つ
春の便りが来るまでは
長い長い冬ごもり
ポカポカお部屋で
ごちそう囲み
どんな話をしようかな?
この瞬間を生きるようになると
何かを待つということも
意識しなくなってくる
自分で創り出している世界だから
ベストなタイミングで起こるだろう
そんな風に生きている
それでも
雪を待つという表現は
美しいと思った
〜雪を待つ〜
[雪を待つ]
太陽の光にあたると、雪は白く輝いてとてもきれいだ。
小さい頃、弟と二人で大きな雪だるまを作ったな。
今は、寒くて作れないけどね。
でも、他の楽しみ方もある。
季節によって、違う写真を撮ることができて面白い。
冬は寂しい感じの写真がたくさん撮れる。だが、そこに
笑っている顔をのせると冬を楽しんでいる写真が撮れ
る。
色んな写真が撮れるようでワクワクする。
早く雪が降ってきてほしい。
No.7
雪を待ったことはない
雪はロマンチックなものではなく
厳しい冬のはじまりだ
わたしは春を待つ
厳しい冬のあとに訪れる春のよろこび
雪溶け水が作物を育む
それもすべて
雪に閉ざされた暮らしを経験してのこと
だから
雪を待ったことはないが
雪は嫌いじゃない
#雪を待つ
#61
ホワイト
記憶は深い場所に監禁されている
絶え間なく反響する足音に怯えながら
俺は地下道を忍び足で歩いていた
お前の一言が俺の世界を変えたんだぜ
お願いだから笑ってくれよ
俺は酔っていたい
心はずっと雨漏りしているんだ
白い光に向かって歩き続けている
お前の顔が俺の世界を変えたんだぜ
愚かなほどに破壊された秩序
でも俺は希望を失っていない
それどころか、俺は今確かに可能性を得たんだ
恐怖なんかに、打ち倒されるものか
お前の存在が俺の世界を変えたんだぜ
このホワイトノイズに溢れる場所で
それでも生きていける
それでも闘えるんだ
背中に白い翼が生えたら、飛んでいける
お前が世界の中心だったんだ
お前こそが世界の秩序だったんだ
お前は遥かな、そして偉大な存在だった
もうすぐあの白い光が見えてくる
そこへ行けば俺は変われると思うんだ
お前のおかげなんだぜ
お前がこの世界を創造したんだ
だから届かなかった
それでも、お前の世界に俺を置いておいてくれよ
『雪を待つ』
れっきとした殺意を持って山深い場所へその人を呼び出し、背中を見せたときに急所を狙って包丁をえぐりこんだ。血泡を吐いて息絶えたその人を見てすうと胸がすく。
平野では霜も降りず、氷も張らなかった今年の冬は際の際になって雪を降らせるという。急激に下がった気温は土を凍らせ、倒れるその人の体温も同化を始めている。あとは降るのを待つばかりだ。この山ならひと足早く雪も積もるだろう。
「春が来たら見つけてもらえるといいな」
「またあの子窓の外見てるよ。」
「天気予報に雪マークがあったからね。」
「ねぇ、まま!!雪まだ?」
可愛いあの子の声がする。
もう少しじゃない?
なんて言うとあの子は
ワクワクしながら雪を待っている。
その姿が可愛くて、思わず私は写真を撮る。
今年も雪が降るといいね。
─────『雪を待つ』
『雪を待つ』
『今日の夜、雪が降ったら、そこの公園へ行ってあげる。そこで一緒にお酒、飲もうよ』
そう言って僕の頭を撫でて帰っていった彼女と交わした約束。学校帰りに寄ったコンビニで買った、あの人が好きなハイボール。僕はそれを持ってそこへ行く。いつか一緒に触っていたベンチに腰をかけ、僕はあの人と雪を待つ。
______やまとゆう
肌寒くなり
秋の面影もなくなった
あとは世界を白く染め上げる
雪を待つ
雪を待つ
しっかりと
冬を深めて
締めの月を渡る
いつもより雪は
のんびり
やってくるから
今のうちに
乾いた寒さを
肌に伝わらせて
雪の温かみを
ほんの少しだけ
忘れさせてしまおう
白い世界の訪れは
誰にも告げずに
やってくるから
いつもの景色を
いつものままに
目に焼きつけておこう
一度降ってしまえば
春まではまた
白いままだからね
今日はかなり寒い
雪が降る事が期待できそうだ
そう思いながら空を見上げる
分厚い濃い灰色の雲が
空一面に広がり
空が低い
夜になってやっと雪が降ってきた
辺り一面が白くなり
誰も歩いてない所を
わーい雪だー叫びながら
キュッキュッと音を立てて
歩く事の楽しさ
お爺ちゃんがお椀を持ってきて
車に降り積もった雪の上っ面を取り
砂糖をかけて食べる
かき氷みたいだね
私も恐る恐る一口食べる
皆が寝静まる頃
窓を開けて雪を眺める
外は静まり返り
しんしん しんしん
国語の教科書に出てくる擬音語が
頭の中に響き
明日の朝には溶けて
この世界はなくなってるんだろうな
寂しい気持ちになる
私の住む地域は
滅多に雪が降らない
天気予報で雪の予報
でも降らない事が多い
子供の頃
雪が降るのを待っていた
だから…
肌感覚や視覚
雪が降る条件
自然とデータを
自分なりに分析してた
今思い出すと
子供の頃の私って
無邪気で可愛いな
好きな事に
好奇心旺盛だったんだって
今からでも遅くないよって
教えられるんだ
[ #46. 雪を待つ ]
「冷たくなってる」
冬の部屋の中
私の体に 毛布と貴方の体が包む
雪が降る空の下なら
貴方の温もりをどう伝えてくれる?
「雪を待つ」
雪がこんなに億劫な存在になったのは、私が大人になったということなのだろうか。地面は凍って歩きにくいし、電車も遅れる。ノーマルタイヤの車は使い物にならない。
この地域で滅多に降らない雪は、子どもたちの目を輝かせる。年に数回、またとないこの機会を逃すまいと、無邪気に駆け抜ける。
億劫な気持ちの後には必ず、懐かしいあの頃の気持ちが蘇る。薄く消えかかっているあの頃の高揚感が。
周りに染まった今、何色にも染まらない雪と純粋な子供たちを、待っているのかもしれない。
雪を待っている。
冷たいけれど、キラキラしていて、世界を白く埋め尽くしてくれる雪を。
――だって、いくらなんでも12月だっていうのに暑過ぎない!?
昨夜――12月15日の夜の都心の気温を知ってる? 20℃だって。12月の夜の気温じゃないよ。実際、夜に少し出歩いていたんだけど、まるで春のような温かさだったよ。
温かいのは好き。
でも、そうじゃない。今は冬だから。冬には冬の良さがある。
外では雪が積もり、それを眺めてからこたつに潜って、夕飯の鍋を美味しく感じる。たくさんの行事も待っている。
そんな時季が来たんだよ。って、告げてくれる雪を待っている。
『雪を待つ』