『雨に佇む』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
I'll write it later.
お題「雨に佇む」
視界の端に仄白いものが過った。あれ、と思うも束の間、今度は硝子戸のむこうにある隣室に灯りがつく。ぱ、と鳴る。人感センサーが反応していた。灯りが消え、間髪入れずに玄関の戸を外から掻く音がし、それも止んだかと思えば今度は天井裏に足音がある。その繰り返しである。懐中電灯を片手にそれぞれの部屋を巡るものの正体は掴めない。鳴り様が部屋によって変わるのだ。いずれも同時には鳴らぬ。だから同じものが鳴らしているように思われる。虫よりは重い。鳥ではない。けれども、各々の部屋の音の示す質量はすべて異なっている。鼠ほどのものを感じさせる音もあれば猫の立てるような音もあり、戸を掻く音は幼児の爪を思わせる。似たような話をどこかで聞いた気がした。鵺。ではこれは客か。そう呟いた瞬間すべての気配は止んで、それぎり何も鳴らぬ。
何時間も降り止まない雨の中、私はずっと佇んでいた。髪も服も靴も全てずぶ濡れで、まるで濡れ鼠だと自分を嘲笑して目を瞑る。それでも雨に濡れることはやめない。雨に当たっていれば、内にある激情が流されて熱い心は冷えるような気がするからだ。冷えた頭に雨声が反響する。身体が冷えていくほど、心は熱を帯びるようで。雨の中佇む自分が馬鹿らしくなり、屋根下までゆっくりと歩いた。雨はまだやまない。
#雨に佇む
雨に佇む
泣いているようにみえた
雨に佇んでいた
君はきっと独りじゃ生きられなかった
“君に言われたくないな”
そう言って笑った君が眩しかった
太陽が君を照らしていた
_雨に佇む
サイダーの味がわからなくなったから
雨に佇む僕を置いて
ドイツに行くのか
晴れたら会えない君を
晴れを願って待ち続ける
昔さ、葬式場で俺盗ったじゃん、傘。
そうあの傘。あれ、なんか「佇む」って表現がすごい似合うんだよな。そうそう閉じて置いたときね。
だから俺あれ、捨てらんないの。
胡瓜雨が2人を包む…
そりゃ…
ねぇ…
そんなことされたら…
ねぇ…
そう思う~
誰でもそう
なんじゃないのかなぁ…♪
えっ…
あたしの勘違いなの?
なんだ…
損したなぁ…
この一週間どきどきしてたのに…
ねぇ…
今週の元気の理由知ってる?
じゃあさぁ…
なんで…
あんなことを…
したの?
教えてくれますか?
どうしたの?
なんか困った顔してるけど…
えっ…
第6の…
鍵
わかった…
部屋に入ると柱の横に小さく…
涙が溢れた…
これって多分…
気まぐれに外を歩いて
露花を愛でていると
先客が下から私を見上げながら
挨拶も無しとは失礼ねと言わんばかりに
不満気な鳴き声をあげる
気づかなくてごめんねと告げて
ここで雨に打たれているのも
悪くは無いけれど
ランチでもいかがですか?お姫様
と右手を出すと
しかたないわねと短めににゃっと応える
お姫様を抱っこして家へと帰りますか
雨に佇む
私の感性はズレているらしい
でも何を基準にしてズレているの?
この考え自体がズレているのだろうか
あぁ、今日もわからない
雨の中、一人佇む
そして傘をたたむ
一瞬にして体が水滴で覆われた
「心地よい」
思わずそんな言葉が、洩れていた
私は、通り過ぎる人々から怪訝な顔で見られていた
雨に佇む。傘は一つだけ。
あなたが傘を差し出してくれて、
今度はあなたが濡れてしまった。
ありがとう、大丈夫だよ。
私は私の傘を探しに行くね。
元気でね。
雨に佇む
雨が降り頻る朝。
独り森を歩く。
朝靄のような霧雨は、
次第にその雨粒を、
大きくしていった。
雨粒は森の木々の、
豊かな緑の葉を叩く。
その静かな音が、
疲れ切った私の心を、
僅かに癒やしてくれる。
そんな気がした。
私は雨が降り頻る森で、
そのまま、独り佇む。
雨を避ける事なく。
降り頻る雨が、
私の罪を洗い流してくれないか。
そう想いながら。
雨に佇む。
雨は私も木々も地面も、
別け隔てなく濡らしていく。
そう。私は、孤独だ。
私は雨降る中、
森を彷徨った。
そして。
雨で烟る森の出口に、
私を待つかの様に、雨に佇む
懐かしい人影を見た。
真っ白に染まる
傘をさしている意味なんてないぐらいに
強い雨が降っているときに 見慣れた景色が消えて
白い世界に迷いこんだ気持ちになる
心配されたかった。
誰でもいいから、涙を拭って欲しかった。
頭を撫でて、寄り添って欲しかった。
私の不調で誰かの予定が狂ってしまった時、
私の看病を第一に優先してくれた時、
優越感と満足感に浸ってしまった。
あの日からだ。同情を愛だと錯覚したのは。
熱を出したかった。
顔が真っ赤になるくらいに。
風邪を引きたかった。
病院で診てもらうくらいの。
看病してもらいたかった。
大事にされてる確信を得られるように。
なんでもいいから病名が欲しかった。
心配してもらうための大義名分が欲しかった。
私の不調を見抜いてくれるような、
私の不調を憐れんでくれるような、
大事に思ってくれてる人を見つけたくて。
雨に佇む。
熱が出ますようにと、祈りながら。
ざぁざあ、水が落ちてくる。
バイトの帰りに突然大雨降られたもので、急遽、雨宿りをしている。駆け込んだ場所は、シャッターの降りた定休日の花屋だった。人の邪魔にもならず、雨が止むか、緩むかを待ち続けることができる。これだけ激しい雨なら通り雨だろうと自分に言い聞かせ、濡れた足を見る。今日もまたイマイチ運のない自分を恨んだ。
雨が止まないなか、ふと、考えつく。擬音だけで状況を表せるのは日本語だけという可能性。オリジナルの擬音を作れば、表現の用法が広がるのではないか、それとも、細いコマをランダムに並べれば雨に見えるのではないか、などのくだらない妄想をするにはピッタリの状況である。いいや、やめよう。もう諦めたのだ。才能のない脳では食っていけないと。
その言葉で思い出したかのように、背中にしょった無駄に大きなリュックの中からB4サイズの茶色い封筒を取り出した。しまった、入れっぱなしだったのかと今になって思い出す。水によって変色していないかを確認した後、暇つぶしにと中身を取りだしてみる。中身は、私が書いた漫画の原稿だ。数週間前に出版社に持っていった原稿そのもの。あの時はめちゃくちゃ酷評された。
「キミのは売れないよ、単純に面白くないんだもの。」
自信作を選び、努力し、手を汚した日々を否定した
この言葉が1番くらった。
ただ、流石はプロの漫画家を支える編集部。改善点をあっという間に伝えるだけで、私の作品はよりランクが上がった、という結果を残した。それが、作品がおもしろくないテンプレ通りだったからなのか、編集者の頭の回転が早かったからなのかは未だに分からない。前者だったらと考えるだけで気分が沈んでしまう。
ひとつ、ひとつ、知っているページをめくる。綺麗に描けた場所、改善が必要だったバランス、全てを抱きしめるような感覚でめくっていった。世界の色を奪った邪龍を、勇者が成敗しに行く物語。
私のせいで、くだらないと言われた物語。
どしゃどしゃ。邪竜の怨念を押し出してくる。
「色が何をくれたのだ。黒龍の私を畏怖した愚か者は私に赤黒い傷のみ与えたのだ。こんな事が許されるとでも?」
色を奪った邪竜は、格下の人間に傷をつけられたことが玉に瑕であったのだろう。己のプライドのために、世界を犠牲にできる力を携えておきながら。
ざぁざあ。主人公が流れを変える。
「それはお前が人の命をおもちゃのように扱い、殺し続けてきたからだ!!白黒の世界なんて、オレが全部壊してやる!!」
7色の剣を掲げ、邪竜に突き刺す。
邪竜を倒し、世界には色が戻り、平和になる。
これが白黒の原稿では読者に伝わりにくかったのだ。
良く考えれば、分かっていたのかもしれない。
ぽつぽつ。なんやかんやで主人公がハーレムを作った。
…うーん。ちょっと詰め込みすぎたかも。
ヒロインがちょっと目立たなくなってる。
主人公も嫌な奴に見えるかもしれない…。
そんな反省点を考えながら、ハッとして前を見る。
本当に通り雨だったのか、少しずつ空が見えてきた。
こんなに時間を浪費できる能力があったなんて。
もうそろそろ帰らなくては。素早く片付けを済ませ、
濡れた足で自宅へと駆け出した。
雨に佇む
最悪だ
雨が降っている
降らない予報だったのに
傘も持っていないのに
仕方がないからリュックからバインダーを取り出し、傘代わりにして歩き出す
プラスチックのバインダーに当たる雨音が何となく懐かしくて、もういいかとバインダーを下ろし歩いてみた
小さい頃は雨が好きだった
傘を差すというのが1歩大人になったような気がして晴れの日も傘を差していた
リュックの肩紐をぎゅっと握り、水溜まりの中に入ってみた
あんまり楽しくないなと思ったところでふと思い出した
バシャバシャと足踏みをしていた気がする
ただ入るだけでは面白くないのは当たり前だ
現に靴下まで濡れてぐちょぐちょしていて不愉快だ
試しにその場で軽く足踏みをしてみる
足を下ろすと水が跳ねる
持ち上げると澄んだ水の中で土がふわりと浮かび濁る
じっと観察してるうちに少しだけ楽しくなった
「雨に佇む」
#雨に佇む…
夏の日
暑さの合間にサラサラと降る
陽の光に輝いて
薄水色の空に虹がかかる
空を見上げやさしい雨に打たれる
この時間が好き
ステップを踏む高く高く
水溜りがパシャンと鳴った…
髪の雫がキラリキラリ…
無心になる
吾輩は電柱である。名前はまだ無い。が電柱番号はある。
なーんて『吾輩は猫である』風にしてみたけど、実際は、転生したら電柱だった件(笑)である。
いやー、まさかさー最近人気の転生もので電柱になるとか、有り得ない有り得ない(笑)
え、転生モノなんて古い? そんなー。これから電柱の回想にいこうと思ったのに。でも勝手に回想します。
この意識が芽生えたのはこんな雨の日。
白い乗用車がこの電柱に突っ込んだ衝撃で、なんか前世の人間の時の記憶を思い出した。衝撃っていっても気付いたら車がめり込んでただけで電柱としては痛くないわけだけど。ま、事故だよね事故。
んで、絶望したもんだ。
生まれた(?)途端に事故電柱。……しかも電柱、電柱か……と。
異世界じゃないし。犬も猫も人間も足元に糞尿するし、酔っ払いは吐くし。カラスは巣を作るし、針金を巣材にするのはヤメロ。蜘蛛も巣を作るし、虫柱もできて鬱陶しいし。花束やお菓子が置かれたりね。
その事故の時、車と電柱の間に女の子がいたけどよくある事故だよね。
ほらそこにいるセミロングの女の子。あの娘がその時挟まってた女の子だよ。
やっぱり死んじゃったのかな。いつもいるんだけど雨の日になると存在感増々で電柱の電球の下でビニール傘をさして佇んでるんだ。
電柱は電柱で、あの娘は幽霊だから会話できないんだけど電柱一本だけじゃないんだって安心したんだ。
――――まあ、そしたら事故増えたんだけど。
で、事故が増えると電柱の下に花束やお供え物が引っ切り無しに置かれて、魔の道路とかって呼ばれてんのネット上で。
え、どうやって知ったかって? そこは電柱なので流れてくる電気信号からニュースにアニメやドラマ音楽番組とかネット回線でY●uTubeとかネ●フリとか観れるから。
電柱の下に多分死んじゃったんだろう幽霊が密集しちゃってね、お坊さんとか霊媒師? 霊能力者がお祓いに来るんだよ。ちゃんと力があると祓えるというか存在感消えるというか成仏? してるんだろうけど。
電柱は幽霊でもないから見えないみたい。幽霊じゃないから祓われることもない。あの娘が最後だからあの娘が祓われたら電柱はヒトリぼっち。
電柱って死ぬの? いつ意識消えるの?
ねーねー、女の子と二人で佇んでるのも飽きたからさ、速度上げて電柱ぶち折ってよ。
台風に屈してもいいけど。ここあんまり台風来ないんだよね〜。
折られたらさ、そしたら電柱の意識消えるんじゃないかな。分かんないけど。
女の子はきっと祓われるだろうからさ。良いこと尽くめじゃん。
雨に佇む
雨の音に耳を傾ける。
降っている音、屋根に落ちる音、葉っぱに当たる音、色々ある。
雨は嫌いだけれど音は好きという人も多いはず。
私もその1人。
ボーッとしながら雨の音を聴く。
外出時で雨の音を聴くのと家の中で聴く音は違う。
予定がない日は雨の中に佇みながら音を聴くのも悪くないだろう。
雨に佇む脱力から逃げたくて
小さな社会を適当に畳んでみたの
あの子やあいつ 楽しい記憶さえも
重いを賭け 全部である高次元へ
足元が濡れたのにまだ傘さすの?
まあいいけど
いつだってびびってんのに
いつだって気づくのは表面化してから
でも自己嫌悪と感謝で世界をとってやる
君は 君は? 変に泡立てないでさ
一人でも窮屈な傘の中、
濡れる勇気は僕には無い。
雨に打たれ、
項垂れている君の役には立てないよ。
ごめんね。