『開けないLINE』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
テーマ:開けないLINE #292
開けないLINE
あなたのLINE
開いたら既読になっちゃうから。
通知がもう来なくなっちゃうのは嫌だから。
あの日、私がこのLINEを開いていたら、
なにか変わっていたんじゃないかって
それを忘れないために。
私のLINEの通知1。
あなたからの最後のLINE。
開けないLINE
「好きです。付き合ってください。」
君がいつしか言っていた。告白されるなら文面がいい。
僕は君のことがずっと好きだった。優しい声色。笑うと子供っぽくなるところも。いつも優しいところ。
そんな数え切れない程の想いを文に乗せて、送信のボタンを押す。
すぐには既読が付かないから、返信が来るまでの時間が、永遠に感じた。
何分?いや何時間?経って、着信音が来た。
僕は読み上げられた手札をとる如く、スマホを開いた。
案の定。君からのLINEだ。
急いでスマホにパスワードを入れるーーが、途中でピタりと手が止まってしまった。
もし、自分が望む結果じゃなかったら、立ち直ることができるのか。僕はもう何年も彼女に好意を寄せている。そんな積み重なった思いが、この一瞬で崩れ去る恐怖。
そんなことを感じていた。
しかし、きっとここで見なければ、結果は分からないし、それに彼女も勇気を出して返信してくれたはずだ。すー、と深呼吸をして目を軽く閉じる。気持ちを落ち着かせると、僕はパスワードをもう一度入れ直した。最後の決定ボタンヲタ押す手が、すごく震えていた。
すると、僕は目を疑うようなものを見た。
なんと、返信が削除されているのだ。
どうしよう。やっぱり僕から告白されるのは嫌だったか。いや、誤字をしただけで、もう一回来る。そんな思考がぐるぐると頭を占める。
さあっと、体が冷えていく気がする。
が。
突然、大きな着信音が耳に通る。かけてきた人は……君だった。
僕は震えを抑えること知らず、すぐに電話した。スマホを片手にとる。
すると、電話口から衝撃のことを言われた。
「公園で、待ってる。」
そう恥じらいのある声でそれだけ言って、電話を切られた。
……これは、期待してもいいか?
僕は、確かあの時「告白されるなら面と向かって」だと言った。しかも、今回の電話で「一人で来て」と言われている。
そしてあのトーン。ごめん。捨てられた子猫のような声で言われると、勘違いしてしまいそうだ。
僕は、服を着こなして、胸を張って外へ出た。
いま、こんないい展開を逃す訳には行かない。
これ以上開けない距離。
1歩近づく関係。
小さな一線、ラインの距離が開けない。
僕は、友達という一線を超えた関係になるために、1歩踏み出した。
緑のアイコンに赤の丸、その中に「1」の表示。すっかり見慣れた画面だ。
いくつものトークを遡って、ようやく辿り着いた彼の名前の右側に「1」。日付は数ヶ月前。スタンプが送信されているというだけの通知。そのスタンプひとつを見る勇気すら私にはなかった。
彼が最後に送ったメッセージはそのただひとつのスタンプだった。それを送った直後に崖から飛び降りたらしく、数日後に変わり果てた姿で発見されたと告げられたのが私。見ない方がいいと言われ、彼の姿は見ていない。遺書すらなかったが、綺麗に揃えられた靴や傍にそっと置かれた鞄から自殺だろうと判断された。最後まで几帳面だったのが彼らしい。
何のスタンプが送られているかも知らない。たまたま、メッセージでやり取りするのが億劫な時期に入っていたせいだ。一度もアプリを開くこともないうちに彼が身を投げたことを知ったのだ。それからずっと、既読もつけていない。心のどこかで、数ヶ月も既読をつけない私を心配するメッセージが送られてくるのを待っている。
『開けないLINE』
LINEの通知音が僕の部屋に鳴り響いた。
「……何だろう、向こうからなんで珍しいな」
だからこそ、開けなかったんだよ。
頑張ってアタックしてOKしてもらった「彼氏権」だというのに。開けばそこにあるのは「別れよう」という四文字な気がして。
それは、宣告にも似ていた。気づいて1日たったそれは、今か今かと既読の時を待っている。
開けないLINE。
開いたが最後、上辺だけのやり取りが精神を削るから、モラトリアム。
もう少し、精神の回復を図りたい。
昨日の続き
お題沿ってないのであしからず
やっぱり微グロ注意⚠️
俺が次に目覚めたのは、意識を失ってから3日ほど後だった。
知らない天井だ、とか言ってみたかったが。
以前お世話になった病院の病室に俺は寝かされているようだ。
他の患者らしき人も数人寝ている。
それから数時間して。
駆けつけてくれた家族から聞き出した話から推測すると、どうやらあの時に落ちてきたものは人だったらしく、身元はまだ明らかになっていないようだ。
まあどんな人が死んだのかは正直言ってあまり興味がないが、あんなにグチャッといったのだからきっと痛みはなく逝っただろう。
そんなことを考えているうちにかなり時間が経っていたらしい。
家族との面会時間が終わり、就寝時間になった。
だが、人は寝なければいけないと言われるとなかなか寝れないようで。
夜中ながらトイレに行きたくなってしまった俺は、廊下に出てトイレに向かった。
まあトイレに行く時に何かあったのか?と言われたら何もなかったが正解なのだが、もう少し聞いていてほしい。
何かあったのはトイレから帰ってきた後。
俺はベットに潜り直してふと、あまりにも静かだと気付いた。
#72【開けないLINE】
開けないLINEはない。
開く。気づいたら開く。
未読の数字が付いているのが
気になって仕方がない。
公式アカウントの読む気がないやつも
気まずい友達から届いたのも
気にせず開く。
返事をするかは、別の話。
学ばずに
同じ事
繰り返して
何かが
少しずつ
変化して
長い時が過ぎた
いつも
見失ってしまう自分を
寄せては返す
波のように
いつの間にか
取り戻す
何も無くしてはいない
不完全と思う
ありのままが
最初から
完全に
完璧だから
もう
何もいらない
そうボヤきながらも
途切れることなく
息をし続けて
思考が
感情を抑え込むのを
俯瞰し
どんな道も
全て過ぎ去る事を
戻る波に見ている
分かっていても
どこか
捨て切れない
淡い期待に
苦笑いして
「不完全な僕」
開けないLINE
一つずつ、増えていく数字が。
たまっていく通知が。
追いつめられているようで、いや、実際追いつめられているんだろう。
見たくなくて、蓋をして、忘れるように努力した。
それなのに、送られてくるメッセージは止まらなかった。
「絶対に、開いてはダメよ」
そう教えてくれた友人は、数日前から行方不明で捜索願いが出されている。
ああ、きっと私は堪えられずに開いてしまうんだろう。そして、後悔する。きっと友人と同じような最後を迎えるんだろう。
私のスマホにはずっと開けないLINEが残っている。
もう一年以上開けないままだ。元彼と別れ話をして、お互い今までありがとうで終わった後に画像が送られてきた。通知欄に残っているのは、画像が送信されましたという文字だけでどんな画像なのかは確認していない。ずっとLINEの通知が一と残っている。
その後、新しい彼氏ができていい加減、元彼をブロックするなり連絡先を消すなりしようかと悩んでいた。だが、最後に残された画像が気になってそれができなかった。
しばらくして、彼氏とお互いのスマホを気兼ねなく見合える関係になった。案の定彼氏に開けないでいるLINEについて訊かれた。
「自分でもうまく説明できないんだよね。もうずっと放置してあるの」
「じゃあ、俺と一緒に見ようよ」
彼氏にとってはただの興味本位でしかなかったのかもしれない。でも、私はすぐに返事ができないぐらいには動揺していた。大丈夫だよと言われて、隣に座る。スマホは彼氏の手に中だ。
「それじゃあいくよ」
そう言われて、小さく頷くと久々に元彼とのトークが開いた。最後に送られてきた画像をタップして、大きく表示した。反射的に口元を押さえつけた。
そこに映されていたのは今まで撮った多くの写真がコラージュされて一枚の画像になっていた。その真ん中に「愛してる。これからも幸せにね」と書かれている。元彼はこんなことできる人じゃないのだ。こんなサプライズのようなことなんてできない。ずっと私の話を聞くばかりで寡黙な人で、自分の意見よりも私の意見を優先してきた。どんな時だって私の選択を尊重してくれた。愛情表現だって滅多になかった。
私はそれが耐えられなかった。自分だけ特別であるかのような。常に自分を卑下しているかのような。そんな態度がずっと嫌だった。対等な関係になれないならと思って、別れたのに、元彼は最後の最後に私を喜ばせようとしてくれたのだ。
なんてことをしたのだろうと、涙が溢れて止まらなかった。今さらどうしようもないことだが、時を戻せるのならあの頃の自分に教えてやりたい。ちゃんと愛されているよって。
「……元彼と連絡とってみたら」
彼氏にそう提案されたが、断った。私たちの関係はこの時で終わったのだ。蒸し返してはならない。
私は今を大切にしていく。元彼にはメッセージを送らず、そのままトーク画面を閉じた。ずっとつけられなかった既読の二文字が、いつか彼の目にも届きますように。
2件の通知
誰かなあ
おかあさんかなあ、
友達かなあ、
彼女かなあ、
彼女からだとしたら、どうしようね
ここ最近の貴方、私のこと冷めてるように感じるの
別れを告げるLINEだったらどうしようかな
そんなことを考えてるとあっという間に一日が過ぎてしまう
でもきりがないから 開いてみることにしたの
そうしたらね
公式LINEからだったよ
ほんと、呆れちゃうね笑
#開けないLINE
夜景が自慢のレストランで君とディナー
「幼稚園の頃は向かい合わせでお弁当食べてたのにね」
素敵でお洒落になったね、と
君はクスクス笑う
右のポケットに隠しているのは
ビスケットではなくてエンゲージリングだ
(ブブブ…ブブブ…)
左のポケットで
スマホが幾度も振動している
恐らくは仕事のLINEだろう
いつまでも子供じゃない
立場的に
開かなきゃならないのはわかっていた
#開けないLINE
【開けないLINE】
あれから何年経っただろうか
開けるのが億劫な貴方のLINE
傷は癒えた筈なのに、
ビビりな私の親指は
貴方の名を前にすると神経が遮断される
思考停止になる。
それと同時に、
いくつもの感情が私の頭を支配する、
とても億劫だ。
あーきっと、
人生で一番愛した人なんだろうな、
高二の私は今日も想う。
【開けないLINE】
好きだよって送ったら、すぐに冗談だろって返ってきた。
それきりLINEは開けなかった。
お前の周りには冗談で好きって言うやつばかりいるんだな。
気の効いたジョーク、洒落た会話、頭の回転の早いやつら。
それに比べたらおれなんて……。
みっともなくグズグズしてたらインターホンが鳴った。
画面に映る黒バケハ、被り方が変で全然似合ってない。
(俺も好きだよ)
インターホン越しにLINEの返事をするお前に、「冗談だろ」って答えながらロック解除した。
日本史の時間もずっと巡ってるLINEの通知は来てる、だけどね
開けないLINE
楽しかったこと
面白かったこと
悲しかったこと
辛かったこと
2人の記録が
全部残ってて
見るときっと思い出す
大好きな君を
開くことも
消すことも
できないほど
まだ君を想っているよ
君も想ってくれたらな
開けないLINE
よく連絡をとる9人とのグループライン
私はもう、送っちゃえ!の、のりで
「私9人に恋しちゃんたんだ!」
なんて、バカげたことを今送ったナウです
はい、もうこのLINEの名前は((?
開けないLINE
って名前にしよう
皆さん!今日もお疲れさまでした
ゆっくり寝てくださいね
「明日時間ある?」
1週間前に君から送られてきたLINE。
もちろんこのメッセージは無効になってしまった。
時間があると言えば、君は会って話がしたいと言うんだろう?
そんなの、ずるいじゃないか。
こっちの気も知らないで。
許してくれなくていいよ、無視してごめんね。
※BL
※編集中※
【UNDER_TAKER 小噺】
バラ園を抜けてしばらく経ったが、まだ香りがしているような気がする。
開花もしていない蕾だったのに。
薄い陽光が照らす中、青々とした芝生を踏み進めて歩く。
まだ植えられたばかりのそれにはもうヘたりが見え始めており、それほどこの芝生が踏まれたという事を表していた。
そのへたりこそ、生者の歩いた跡であり。
そして死者への思いの証であった。
並ぶ碑の間を進む足はさくさくと音を立てる。
この村は10年前に盗賊団の襲撃に遭い、村人たちは住むところを余儀なく追われた。
その盗賊団も程なくして去ったが、その頃の村人たちにはもう別の生活があった。
何より、あの惨劇の
─────しかし1年前に「界戦」が終結し、制度の立て直しが始まって治安復興が進み出した。
そして8ヶ月前、先代村長の孫息子が新村長となり、ついにこの村は再起を遂げた。
そんな村の小さいながらも活気のある中心地を抜け、名産であるバラ園を抜けたその先。
俺は今、恋人の墓参りに来ている。
墓地の端っこの、更に端っこの方。並ぶ中でもひときわ小さな墓石の前で止まった俺は、目線を合わせるように屈み、それをそっと撫でる。
まだ誰も掃除をしていないだろうに綺麗なままなのが、どうしようもなく悔しくて寂しかった。
「お前は、ここに帰ってくることを何年待ち望んでいたんだろうな……」
どうしようも無かったよ、大丈夫だよなんてこいつは言うんだろうが。
俺は気付いてしまったんだ。
よりにもよって、こいつの置き土産のせいで。
ぱしゃんっ、と持ってきたバケツの水を墓石に被せる。
「本ッ当に、いつも詰めが甘ぇんだよお前は」
そう言いながら、墓石全体を丁寧に拭きあげていく。
「帰れる可能性なんて無いようなもんだったくせに」
刻まれた文字の溝、それを囲う線の溝、隅々まで布巾で拭いていく。
「どうせ俺を連れて行きたいからとかそんな魂胆だったんだろ?」
丁寧に、丁寧に拭きあげていく。
「だから、」
「あんな簡単におっ死んじまって」
ガン、ばしゃりと音が弾けた。
見やると。
どうやら掃除に夢中になるばかりで、足元が疎かになっていたみたいだ。
直そうと下を向いた時、ぽつりと芝生に水滴が乗っかる。
空は相変わらず快晴とは言えないような、薄ぼんやりとした陽光を放っているままなのに。
しかしそれに向けた背は、じりじりと焼かれるように痛い。痛い。どうしようもなく痛い!
気付かないふりをしていたかったのに。
炎に焼かれた時よりも耐え難いその痛みは、背中から心臓へ、心臓から喉元へ、喉元から腹へ、指先、頭の先まで焼き付いていく。
その痛みは紛れもなくバラの香りを放っていた。
「……生きるって、痛ェな……」
崩れ落ちるようにその場に座り込んでしまった俺は、
薄ぼんやりとした陽から落ちる、薄ぼんやりとした影。そこにとめどなく落ちていく水滴。
それを止める術なんて、わかる訳もない。
「お前さあ、いつもつけてるこれなんの匂いなんだよ?」
「ん?香水だよ?」
「お前が付けてるとこ毎日見てるわバカタレ。そうじゃなくて、なんの匂いの香水かって話だわ」
数年前、まだテイカーが壊滅するなんて考えもしなかった頃。あいつが生きていた頃。
いつものように出撃前の準備をしていた
怒られるのが、怖い。
私の方が悪かったけど、あの子に嫌われたら、
生きてけないよ。
開けないLINEからは、絶えない通知。
その音に飲み込まれてしまいそう。
これは、罪滅ぼしだ。
*開けないLINE*
なに言ってるのか自分でもちんぷんかんぷんです。