『開けないLINE』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
恋泥棒。/『ユイカ』
貴方を探して3秒
聞き慣れた笑い声に振り向いて
貴方を見つけて2秒
誰にも見えない口元がにやけて
貴方と目が合う1秒
その瞬間に やられた
もう抜け出せないや
好きです。 付き合ってください。
そう伝えたLINE。
ぽこん。ぽこん。
二連続で鳴ったLINE。
携帯に飛びついたけど
開ける勇気のないLINE。
気になるけれど
開ける勇気の出ないLINE。
震える手で
スマホをタップ。
ぎゅっと閉じた目に
遮られる彼の返事。
「____________」
「開けないLINE」
上手くやれているはずだった。
私は学校での人間関係のリーダー的存在、みんなから慕われる優等生を毎日演じていた。
クラスは王国、私は女王様。明るいお喋り好きな国民は皆賛辞を口にし反抗的なものはない。
事が転倒して真っ逆さまに急降下したのは夏休み前の登校時間、国の王座に座る私の前を拒んだのは他国から転校してきた大人しく根暗そうな国民。
「友達いないんでしょ」
礼儀知らずは長い髪の隙間からニタニタ笑う。この時点で彼女は根暗国民から疫病神にランクアップした。
「貴方よりは沢山いるわ」
ハッと鼻で笑って自分の机の引き出しをあさり、彼女が入れたカラフルな紙束を押し付ける。彼女は目を見開いてから二ヘラと笑った。そのまま頭を下げて逃げていくものだから少し辛辣過ぎたかもしれない。また会った時に気にしていたら謝ろうと思う。
(花火大会の日にあの転校生川に──)
(精神的にダメだったんじ──)
少しだけ見えるクラスLINEの文章は噂好きな国民らしく考察で溢れかえっていた。トーク数は100は軽く超えて、多分もっと増えるだろう。
「友達、いないって言えばよかったかな」
夜遅くなってなお増え続けるLINEをどうしても開く気にはならなかった。
今どきこんな事を気にする私は
少数派だとは思ってる
だけど私は告白は直接でないと嫌だ
自分からでも
相手からであっても。。。
会って 顔を見て 勇気を振り絞って
震える声でもいい 時間がかかってもいい
始まりに 緊張感がもたらされなければ
終わりの時も結構あっさりしたものだ
今ここに書いてある内容が想像出来るから
私は決して開かない
それが不服であるというのならば
あなたの気持ちは所詮そこまでのものだから
《 開けないLINE 》
そこにみつけようとする
誰かと繋がっている証拠を
何度も何度も開こうとする
合わない数字
信じたい 信じられない
誰を?
私を
「開けないLINE」
通知を指で流す。
ため息をついてそっとトークを非表示にする。
ごめんね。
わかって。
私のことは諦めて。
『なんでそれを伝えないの』
『なんでブロックしないの』
私が悪いのかな。
私がひどいのかな。
いい人でいたいの。
面倒くさいことはきらいなの。
ギリギリのところで。
私は何も悪くないの。
思っていたいの。
わかって
「開けないLINE 」
あなたとの喧嘩 悲しかった でも言いたいこと これでもかっていう程言った 帰って泣き崩れ 電話やLINEがきたけど開けず 泣きたいたけ泣いた チャイムが鳴り あなただった 泣いていた 謝っていた 扉を開けて 二人で抱き合い泣いた やっぱりあなたが必要だと 改めて知った
開けないLINE
どんなやりとりも大好きな思い出だから
思い出せば
きっと泣いちゃうよ
深夜になると感情の起伏が激しくなる。
あなたと話すのがすごく楽しくて、
自分の言葉を見返すとすごく気持ち悪くて。
普段ならひとつひとつに時間をかけて
あなたへの言葉を紡ぐけれども、
夜は少し脳みそのネジが外れてしまうから
まるで別人のように甘くなってしまう。
朝になるとさっきまでのやり取りがひどく
滑稽に、愚かに見えて
「……あぁ、もう!なんでこんな事…」
あなたとのLINEが開けない。
開けないLINE /
「開けないLINE」
通知は常にオフにしているから開かない限りメッセージが来ているか、そうでないか分からない。
だから余計に開けない
開いてしまったらメッセージが来ているか、来ていないのか分かってしまう。
がっかりしたくない。知りたくない。知るのが怖い。
知らないまま、来ているかもしれない。という想像に浸っていたい。夢を見たままでいたい。
来ているか、来ていないか分からない宙ぶらりんな、
ふわふわとした状態でいたい。
知らないままなら、がっかりする事も、辛くなる事もない。
でもいつかは開かなくてはいけない
そう分かっていても今日もまた開けない。
勇気が持てないまま時間だけが過ぎていく。
開けないLINE。
あぁ、嫌だ。
LINEだけじゃない。
メールも。
電話も。
全ての通知を無視したい。
ゆっくり布団に沈みたい。
お気に入りのクッションを抱いて。
何も気にせず過ごしたい。
でも、いつの間にか手の中にあるから。
見たくない通知も、見る羽目になる。
今だって、そう。
あぁ、嫌な依存症。
お題「開けないLINE」
すれ違いが始まりの喧嘩
始まりは些細なものだったはずなのに、
意地の張り合いをしてしてしまっていた。
たった一言のごめんなさいを打つために、どれだけの時間を使っただろう、どれだけ手が震えていただろう
スポン、という愉快な音と同時
胸には強い圧迫感と焦燥感。
なんの緊張なのかはもはやわからない。
ただひたすら、自分の胸をなでながら、
大丈夫とやり過ごした時間。
ピコン、と着信音が鳴り、君の名前と
「新着のメッセージがあります」
の表示にどきりとする。
ふぅ、と深呼吸をしても、なかなか指が進まない。
「どうか仲直りできますように」
精一杯の願いを込めて、指に力を込めた。
028【開けないLINE】2022.09.01
ある日のことだった。きゅうにLINEを開けなくなった。アイコンをタップしてもタップしても、LINEが開かなくなってしまった。
パニックになりそうになりながら、家族にたずねてみた。家族のスマホは、ちゃんとLINEが開いた。翌日、職場の人にもたずねてみた。やはりちゃんと、LINEは開いた。そして、なぜ私のスマホだけきゅうにLINEが開けなくなったのか、だれもおもいあたるふしがなかった。インターネット関係に詳しいS君なんかは、親切にも一時間くらいあれこれ調べてくれたが、同じような症状はヒットしなかった。
結局、そのままひと月たった。私のLINEはいまだに開けない。だけど、開けないなら開けないなりに、なんとかやっていけている。それに、LINE特有のわずらわしさから解放されて、実は、ホッとしたりしてるのだ。
もう、ホンネをいうと、このままなおらずいてくれるほうがありがたいんだけど……みんながあいかわらず心配してくれてるから、さすがにそれはナイショにしている。
開けないLINE。
君のLINE。
通知が来たと思ったら公式LINEだった。
君からLINEきてもなんて返そうか悩むな…
少し緊張するけど、
待ってるよ。
彼氏との別れ話になった。
理由は些細なすれ違いで起こった喧嘩だった。喧嘩別れなんて、毎回の事だったのに、なぜかこの人とは、別れなくない
彼は別れたいと思ってる。話が合わない。妥協し合うこともしたけど、無理だった。
LINEは、文字が出ないように通知設定をしてる。
彼からのLINEだ。別れ話だったらどうしよう。でも、謝らないといけないところは自分にもある。だから開かないといけないはずのLINEが開けない。
開けないLINE。勇気を出さなきゃ。。自分のためにも、彼のためにも、、、、、
「 開けないLINE 」
八月 夏祭り
密かに想いを寄せる彼と
LINEを交換した
九月 文化祭
アタックし続けた彼から
LINEで告白をされた
十月 私の誕生日
付き合いたての彼から
LINEで沢山お祝いして貰えた
一年間ありがとう、好きだよ
六ヶ月 卒業式
同じクラスの彼ともお別れ
LINEでおめでとうって言い合った
七ヶ月 クラス替え
同じクラスだった彼と同じクラスだった
LINEでやったねって言い合った
八ヶ月 遊園地
好き過ぎる彼と遊園地
LINEで待ち合わせをしたよ
彼が好き過ぎる
一年 プロポーズ
大好きな彼から
LINEでプロポーズされた
二年 子供
愛してる彼との子供
LINEで写真を送った
三年 彼が事故
彼が亡くなった
もう何も感じられない
彼はもう言葉の世界にしか存在しない
ああ、もう
LINEは開けないのね
――あれ、おかしいな。
ふとLINEを開くと、一番上に《俺》とのトークが。
誰か名前とアイコンを変えたのか?
でも、俺と全く同じプロフにするなんて気色が悪い。
さらに奇妙なことに、
名前の下にある最後のトークの表示もない。
吸い込まれるようにして《俺》の名前に指が伸びる――
[《俺》が写真を送信しました]
[《俺》が写真を送信しました]
[《俺》が写真を送信しました]
ピコピコと鳴り止まない無機質な通知音。
指が震える。
指先と電子画面、興味と恐怖の、あと数ミリの葛藤。
――ピコン。
[《俺》が写真を送信しました]
2022/09/01【開けないLINE】
『好きです』
なんて、送らなければよかった。
通知の音が鳴るたびに心臓が跳ねて、肩が飛び上がって、恐る恐るタップして、あなたからの返信じゃ無かったと安堵して、落胆して。
ピコン
ああ、ほらまた。きっとさっきお母さんに送ったLINEの返事が返ってきたんだろうと躊躇なく開いて指が止まった。
あなたの名前に通知を知らせる①のマーク。
不安と期待の混じったこの気持ちをなんと表せば良いのだろうか。
#開けないLINE
開けないLINE
既読ついたら嫌だから。
気づいてないことにしたい。
あなたが何を言いたいか分かっている。
でも、知りたくない。
別れが怖いよ。
開けないLINE、オンラインの表示を消したインスタ、見つけたまま見られないTwitter。全部、全部君のせい。好きな人のことを知ろうとして何が悪いというのだ。けれど、最後の一歩は踏み出せない。インスタもTwitterも執着して監視するようなことはできない。そんな勇気はなかった。そんなことをしたら、自分が次にどんな行動をするのか分からなかったから。
けれど、開けないLINEだけは自分でも謎だった。別に未読スルーしてるわけじゃない。ただ、君への一言を自ら送ることが出来なかっただけ。
開けないLINE、君からの通知だけを待っている。
[開けないLINE]