『閉ざされた日記』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題︰閉ざされた日記
つまらないな、と思った。封のされた手紙の束を全て開封し終え、疲れもあったのか浅い感想しか出てこなかった。
この手紙の束は古い家を購入し掃除をしていたときに見つけたものだ。宛名も差出人の名前も無くすべてが不明な手紙だが、おそらくこの家の前の持ち主が書いたものではないだろうか。そんなことが分かったところで結局捨てるのだから無意味だけれど。
……捨ててしまうのは、勿体無い気がした。
■■
「そう、そう、上手ね」と微笑みかけてくれた先生のような人を愛情と呼ぶのだろうか。
こちらはもういい年した人間だというのにまるで小さい子相手にされたみたいだった。
(へ、へへ、なんだかてれくさいな)
にやけながら頭の後ろをガシガシ掻いた。
たかが一つ当たり前のことができただけだというのに褒められて、甘やかされたみたいで、天にも登る心地。
頭の中のモヤモヤがどこかへ弾け飛んで、薬でも消えなかった憂鬱が砕けて無くなった。人に褒められただけでこんなにも簡単に生命力が湧いて出てくる。
■■
幸せ、かは分かりませんが、ふとあなたのことを思い出します。あなたの背中を追いかけてここまで来ました。あなたの隣にやっと立てると思ったら、あなたは別人になっていて。あまりの豹変ぶりにあなただと認められず、衝動のまま殴ってしまったこと、よく覚えています。
■■
去年の誕生日は一緒に食事に行った。今年の誕生日は?あれ!今年の誕生日どこにも行ってないじゃない!
と思ったけれど、部屋に飾ってあったくまのぬいぐるみを見て思い出した。そうだ、このくまさんを貰ったんだった。
忘れてるなんて、なんて薄情な奴だろう。
■■
「正しい自分」を探してるんだろ。目を閉じていると自分が誰だか分からなくなるからなぁ。周りの状況が見えないと自分という存在すら危ういものだ。
■■
「いろんな味を楽しめる」が謳い文句の小さなケーキ6つセット。どれも似たようなチープな味で、見た目だけが違う同じケーキ6つセット。これをなんと表せばよいか。不出来さ、足りなさ、どれだけ着飾っても同じ味の、滑稽さ。それが恐ろしいほど愛おしい。
■■
時が止まったように感じる。静かで、誰もいない、なんの変化もない。異世界に飛ばされたみたいで恐ろしい。自分一人しか生きていないなんて、孤独で寂しい。
■■
朝の静かな空気と薄い空は良いものだ。気持ちがスッと落ち着く。不安と隣り合わせとも言えるが、健康な日は穏やかだと思えるよ。
■■
あの夜からずっと抜け出せないでいる。僕たちの間ではタブーばかりが増えた。もっと僕が強かったら……そんなことを思う。
何かを見ようとしてやめてしまった。今となってはそれも正しかったのかもしれない。
殴りたいし殴られたい、誰かに罰してもらいたい。哀れだな、僕たち。
今すぐにでも殴ってほしいよ。でも、恋人を犯罪者にしようとするような僕はきっと君を愛していないんだろうな。
あの日、あの時、君との思い出を大切に書き残していた日記。
新しいページに書き残すことは、もう、ない。
だけど願ってしまう。
君と私の時が動き出すことを。
どうしたって願ってしまう。
心の底に沈んでいる閉ざされた日記をもう一度開けることを。
私は、日記を書き始めた。
家族、仕事、自分のこと。
でも、日記を書いていると嫌なことを思い出すことがあった。
だから、私は日記を書くのをやめようとした。でも、今も現在付き合っている方から「日記は書いていたほうがいい。」と言われた。
なぜかと聞くと「日記を書くのはとても大事なことだし、辛いこと、苦しいこと、悲しいことこととか書くことで自分が抱えていた悩みが少しでも減るからだよ。」と言ってくれた。
たしかに、書くことによって気持ちは少し楽になっていた気がする。
私は日記はやめず書き続けることにした。
中学生の頃に思春期爆発の日記を書いたな…。
あのときの気持ちをポエムにしたり、小説風にして長々と文章を綴ったりしていた。
学校のつまらなさ、気になる人のこと…などなど。
高校に入学する前、部屋を片付けているときに日記を見つけた。
読み返すと、叫びたくなるくらいの恥ずかしさを感じてビリビリに破って捨ててしまった。
今思い出しても恥ずかしくなるけど、読みたくなる気持ちもある。
なんで破ってしまったんだ自分。
棚の奥底に閉まった一冊の手帳。
過去の私が詰まった日記。
明るい未来など見えなかったあの頃
私は一冊の手帳にひたすらに弱音を綴る。
辛かった事、苦しかった事、泣いた事、全て終わりにしたかった事。
そうして自分を保っていた。
あの日記は過去の私そのものなのだ。
強くある為に今は閉ざされた日記。
自ら閉ざしてしまった日記。
ー閉ざされた日記ー
閉ざされた日記 …それって三日坊主で
書かなくなったってこと?
扉を閉ざされれば、誰にも邪魔させることはない
ちらちら覗いたり
その日の天気や、できごと、気持ちを書き、見せつけてくるアイツもいない
静かで居心地が良い
とはいえアイツは私と瓜二つで
好きなこととか、思うことも一緒で
なかなか憎めないヤツだ
私がニッキと呼ばれていることも
ひらかれるのが夜に決まっているのも
どことなく気分が良いこと
アイツと私と
ここで共有したことは二人の秘密なのだ
アイツのことを一番知っているのは私
ニッキが留守番をしている限り
アイツのあらゆる書き物は私だけのものなのだ
他のヤツは見るんじゃない
それにしてもそろそろ来てもいいではないか
アイツめ
───────────────────────────
►閉ざされた日記
日記の中の人(?)はツンデレさんでした
独占欲も強め
三日坊主の日記帳だけが、わたしの唯一の秘密を知っていてくれる。
#閉ざされた日記
閉ざされた日記。他の誰にも見せない自分のための記録。
閉ざされた日記では、自分自身と向き合うことができる。
遠い君へ
昔に書いた黒い感情ばかりが詰まった日記は、いつしか閉ざされた日記となった。
〈8月15日〉
今日もお人形さんたちと一緒に絵本を読んだ。楽しかった!
〈8月16日〉
お庭でお人形さんと遊んでいたら、人間の子に声をかけられた。森の中で迷子になったから、偶然この家に入ってしまったんだって。名前をRくんと教えてくれた。人間とお話したのは初めてだったからとってもドキドキした!
〈9月6日〉
今日も遊びに来たRくんとお話した。Rくんは僕にはない綺麗な心を持ってて、笑顔がキラキラしてて可愛い。人形なんかとはまるで違うな。なんだか、いつもより一人の時が寂しく感じちゃう。明日も会えるといいな。
しばらくRと遊ぶ内容のページが続く
〈9月7日〉
今日は彼は来なかった。そんな日もあるよね。
〈9月16日〉
今日も来なかった。一人で何度も読み飽きた絵本を読んだが、つまらなかった。
ページが黒塗りされていて読めない
〈9月21日〉
つまり彼は人間だった。それだけ。
〈10月3日〉
僕の傍にいてくれるのは人形しかいないんだな。いや、違うか。人形には心なんてないもんね。一人ぼっちだ。
大量のページが破られたり黒塗りされたりしていて読めない。一部分だけ辛うじて読めた。「Rくんはこんな僕でも好いてくれるかな」ペンで黒く塗りつぶした。
〈1月16日〉
なにか勘違いしていたよう。今日もRくんが僕を起こしてくれた。今日もRくんが朝ご飯を作ってくれた。今日もRくんが僕と一緒に遊んでくれた。楽しかった
〈1月17日〉
クソクソクソまた失敗した、今度はたったの一日で。何度失敗すれば気が済むんだ。こんな嘘だらけのノート、新しいRくんには見せられない。新しいRって何だ?Rくんはいつでも彼一人だろ。僕はまた彼に会いたいだけなのに。なんで彼奴等は人形のくせして自我を持とうとするんだ。本当に気分が悪くなる。
そこでページを捲る手を止め、白いページを撫でた。小さな魔術師はペンを手に取り、今日の分の日記を綴った。
〈1月18日〉
日記を書くのはやめにする。久しぶりに見返したけど、ほとんど破られてて見れたものじゃない。少しだけもったいなく感じていたんだと思う。本物の彼との日々を綴った日記を捨てるのは。でも、Rくんにはまた会える。絶対に。
幼き頃の淡い記憶は
心という名の閉ざされた日記にしまっておこう
誰にも見られぬように。
決して悟られぬように。
閉ざされた日記
地下にある、俺しか入れない部屋。
そこには、ある日記がある。
しかし鍵がかかっていて、見ることが出来ない。
閉ざされた日記は、今日も変わらずそこにある
「…なぁ、どうやったら開くんやろな?この鍵は。」
使用人である君に聞けば
『……存じ上げません。』
なんて、秘密を知ってそうな口調で答えるから
もっと、知りたくなっちゃうよ?君のことが
「…嘘下手やなぁ、
……なぁ、この日記には何が隠されてるん?」
『……あなたの、秘密です。』
そう初めて応えてくれた君の顔は、
不気味だった
~閉ざされた日記~
最後に、日記を深い海に沈めるように
その日記は膨大な量の真実を載せて
届かぬ深い深い海の底へ
葬られる
恋い焦がれた想いも
大切なあの人も
心底苦しんだ思いも、
ポっ と手からすり抜けた途端に、ただ目の前から消えていく
手放してみれば なにごともなかったかのように
時を刻んでいる
ただ、この身が果てたのちにも
あの閉ざされた日記が この地球のどこかで
大きな口をあけて、誰かに読まれるのを
待っている
忘れようと思ったんだ
蓋をして見えないように
なんて気にかけているうちは
きっと思い出すことも出来ずに
ずっと君が僕の中心なのでしょう。
閉ざしてきたのは一つではない
そこに綴られる事はもうこの先ない
浄化されて新たにまた始まる
また閉ざされても
またいつか浄化され繰り返される
辛く悲しいことも、幸せで平凡だったことも
新たなものが過去より満足でありますように
――閉ざされた日記――
希望を愛す詩人はひとつ。
未来を変える手立てを思い。
今日も嫌いな一日だから
明日は亡くして愛す日にしよう。
言葉を愛す詩人の秘密。
閉ざされた日記の最期の役目。
心は閉塞感に覆われていた
はてしない光の断片は...
空虚な世界に連れてかれる
にもかかわらず
非日常の日記を心に灯した
ずっと揺れている
記憶にない日記のように
伝わらない想い胸に
のらりくらりと
私は生きています
しっかり生きたことはないですが
ぬくもりある心のスポンジと
のらりくらりと生きてみます
ずっと止まっていた
非日常的な神経は
ニヒリズムのようだった
空を見上げた刹那
はにかむ未来に
心は開放感に包まれていた
#5 閉ざされた日記
~コソコソ裏話~
最初の段落から最後の段落前まで最初の文字を縦書きで意味を残しました。
「心は空に非ず 記伝の私 死(し)ぬの」もちろん意味はあります。出なきゃ書きません。まだ工夫があります。
最後の段落から最初の段落前まで
逆から読んでみてください。すると、
「心は空に非ず の主(ぬし)私の伝記」 になります。ね?びっくりしたでしょ?どういう意味だろうね。
その頭で考えてみてください。
あとは、最初の段落から読むのはもちろんのこと、これに関しては、最後の段落から逆に進んで読んでみても面白いんじゃないでしょうか。どこで区切るか、どこで感情を解放させるかによって、また、さらに一味違う嗜み方が出来ると思いますです。(個人的には3段落が好き)
いつも、風呂に入ろうか寝て明日入ろうかを
悩んでいる。日々決断、今日このアプリを入れた。悩みを全部書き留め終止符を打つ
文書として残した時点で「閉ざされた日記」ではなくなる。心の中に残っているあの日のことが「閉ざされた日記」。口にすることもない。誰も知らない。