『鐘の音』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
鐘の音
それは終わりを告げる音
そして始まりを告げる音
切り替えるために
新しいものにするために
鐘は鳴る
それまでの世界と区切りをつけて
新しい世界へ導くために
お題に関係ない日記
ちょうど昨日、メンタルの受診でした。睡眠時間が短くてもイマイチ平気で(眠い方が困るんだけど)、これはやばいな、と思って相談。メンタルにかかるきっかけが不眠だったので、不眠が怖い。
寝る前に飲んでいる薬を一錠増やしたらどうだろうと思いついたのを先生に相談してOKもらったのでそれでやってみた。久しぶりに「ああ眠いな」と思って寝ました。でも12時半すぎてた。本当は最低でも12時には寝ないといけないし、理想は11時半にスマホを置いて寝たい。意志が弱い。
耳からのストレスに弱いので、ちょうど今の職場の環境と人間関係が耳にクる。
木金辺りが疲れのピークで、そういうときはぐったりしてスマホを見る余裕もなく寝ちゃう。でも、余裕があったらあったで空き時間の有意義な使い方をしないので「つまんない日だな」と思うと夜更かししちゃう。スマホいじるだけなんですけどね。ソシャゲとSNSは良くない文明。
私よ積ん読を読めいっぱいある。ハズキルーペも買った。視界が本の紙面でいっぱいになるので集中するにはいいですあれ。
そういえば、このアプリは1日1投稿ですね。
もっとできたらいいけど、意味がなくなっちゃうか。
鐘の音…
平和の鐘は、現在288箇所にあるという…
今朝、広島の平和記念式典をテレビで観ていた。
私の折鶴も参加させてもらった。
小さな街の市長さんが世界に向かって放った言葉を
私たちはそれぞれの心で受けとめ、
育てなくてはならない。
広島県知事、広島市長、このお二人のスピーチを
まだ聞いていないかたは、検索すると無料で見られます。
全文をぜひ。
ねるねるねるねのCMは
シンセサイザーの音が有名だが
最初に鳴る鐘の音こそ
実は重要なファクターなのだ。
夕方5時のチャイムを知らない。
私の生まれ育った街では、
いわゆる時報が流れない。
鐘の音を知らない。
進学しても、就職しても、
未だに鐘の音が流れる街の風景を知らない。
「夕方5時のチャイムがなんだか胸に響く」
経験をしたい。
キーンコーンカーンコーン
今日は学校のチャイムが聞こえる。
あれに行動を縛られてた頃は思いもしなかったが
外から聞いてる分には結構好きな音だ。
(鐘の音)
鐘の音は密やかに、日常の通底に流れる。
それが一気に浮上して、ガラーンと鳴った。
昨日、日経平均株価が失墜してしまい、歴代最高レベルの大暴落となった。
SNSが新NISA民終了のお知らせなどといってトレンド入りしまくっている。
特に信用取引・レバレッジなどのFX取引の方々は、追証(おいしょう)と呼ばれる強制ロスカットが今週予想されているようで、
「人生に絶望した形として早朝に電車遅延か?」
「今日は人身事故に注意」
などといって警鐘を鳴らしている。
「あー、これは絶望の鐘の音が轟きましたなあ。年末の除夜の鐘の108倍の威力はありますぞ」
と他人事のように書こうかと思ったのだが、今日になって、すっかり盛り返してきた。警鐘を鳴らして成功だったか?
わりとV字回復といってもいいほどで、昨日のあれはなんだったのか、といった完全犯罪の具合である。
現場に死体以外何も残さず、犯罪者はそのまま留まって第一発見者の一団に潜り込み、素知らぬ顔。
そんな手際の良さだ。やっぱりSNSって大げさ。
これについて書くことがないので、別の鐘の音について書くことにする。
冒頭のように、比喩になってしまうが仕方がない。
早鐘を打つように、という風に、心臓という「いのちの鐘」について触れてみる。
僕が学生の時はまったく覚えてないのだが、今は「いのちの授業」なるものがあるらしい。
この授業、どことなく千家と裏千家みたいな感じで流派があるらしい。
心臓か、赤ちゃん……胎児か。
「いのちの授業」について検索してみると、こんなことを言っているPDFファイルが見つかる。引用↓
〜〜〜
子どもたちに、「命ってなんだと思う?」
と先生が問いかけると、どの子も必ず心臓に手を当てるそうです。
先生は、「それは違います」と優しく諭されて、次のように話されました。
「心臓は「いのち」ではありません。心臓は単なるポンプです。「いのち」は目に見えないものです。確かにあるものだけれど、でも、目には見えない。
では、命とは何か。
昨日も今日も見えないけれど、寝たり、勉強したり、遊んだりするのは、きみたちの持っている時間を使っているんだ。時間を使っていることが、きみが生きている証拠。つまり、命とは君たちが持っている、使っている『時間』なんだよ」
〜〜〜
子供にとって、あまり理解しづらい感じ。
なんか「ふーん」で終わってしまいそうな。
たしかに心臓=命そのものではない。
心臓手術で心臓を止めて、また動かして生還した場合、その人の命の行方はどこに行ったというのだろう。
その場合の説明ができないから、いのちは見えないものだから、時間という見えないもので説明した。
……というのは考えすぎか?
でも僕的には「いのち」って見えたほうがいいよなあ、って思ったりする。現代だと特にそう。
最近の学生たちは、
「もう消えてしまいたい」とSNSで声を上げ、共感しあい、慰め合っている。
どうしてそんなことをしているのかと言えば、鐘の音が聞こえなくなったからだという。
いのちの鐘の音。
救急車のサイレンがうるさくて眠れない街の人のように。
除夜の鐘がうるさくて夜眠れないクレーマーのように。
聞こえなくなったというわけだ。
「いのちとは、時間なんだ」
という、小さい頃に吹き込まれた大人のよくわからない説明からだと思うんだよね。
だから鐘の音は抽象度が高くなって、言語化もしやすくなった。文字起こしすれば、それで鐘の音を鳴らしあっているつもりになる。
実際は胸をさらけ出して(最近は服の上からになりつつあるけど)、聴診器で聞き取らないと聞けない代物なのに。
共感性の方を重要視しすぎて、価値が暴落してしまっている。
普段は大きい音で隠れて聴こえない鐘の音。
音は小さいから、時折耳を澄ます。
最も単調なデバイス。
リンゴンリンゴン 鐘が鳴る
私の心の鐘が鳴る
素敵な彼に一目惚れ
朝一番の鐘が鳴る
キンコンキンコン 鐘が鳴る
クラスの予鈴の鐘が鳴る
廊下の彼女は大丈夫かな
もうすぐ授業が始まるよ
*鐘の音**
詩(お題)
『鐘の音』
鐘の音が 夏ならば
ドンパチ夜空に 花火があがる
人の感動 震わせて
暑さに負けない 恋を知る
鐘の音が 秋ならば
ぴゅーぴゅー激しい 台風になる
壊れる恐怖を 震わせて
大事な家族と 屋根の下
鐘の音が 冬ならば
静かに舞い散る 粉雪になる
悔いる心を 震わせて
真っ白にしたいと 涙する
鐘の音が 春ならば
ちゃぷちゃぷ流れる 山の川
膨らむ欲求 震わせて
新たな世界へ 踏み出そう
鐘の音
鐘の音がする
鐘の音は何か勇気付けてくれるものがあると思う
お正月に鳴らす鐘は今年も頑張ろうって思わせてくれる
最近聞く鐘の音は夏の暑さをよく感じさせてくれる
【鐘の音】
「綺麗な音色だね」
幸せそうにそう小さく呟いた恋人の横顔を見て、自分自身もさらに幸福感を抱いた。
「うん…。次は自分たちの番だよ」
視線を再びウェディングベルとその下にいる友人夫婦に向け、恋人の手を握り言葉をかけた。
あの鐘の音を奏でる自分たちの姿を想像しながら。
(現パロ)
鐘の音が聞こえた。教会で鳴りそう鐘の音。まぁ、実際そこから流れているんだけれど。
「誰かが結婚した感じかい?」
ボクは頷いた。
よくあることだ、結婚式なんて。教会の近くに住んでるから特に驚くようなことでもない。
「へぇ、いいね」
だがしかし、この男には好奇心が勝っているようでそんなことを言ってのけた。
何がいいんだ。他人の結婚にも幸せにも特に興味がない。第一知り合いなわけじゃないんだから。
「きみと僕もするかい?」
「…………できないでしょ」
独り言のように小さく呟いた。
「そうだね。きみは人間、僕は天使だから」
『ユートピア』で権力者だったボクは、演奏者くんに対して絆されていたことがバレて、命を落としてしまった。少しして人間世界に生まれ変われたことに気づいた時、演奏者くんは天使様としてボクの近くにいたのだ。
「…………『ユートピア』はどうしたの」
「……きみには関係ないことだよ。そして、僕にも」
演奏者だった頃の彼とは真逆の瞳が全く笑っていない顔で君がそう言ったと同時にまた、鐘の音が鳴った。
鐘の音(憧憬)
夕方になると決まって聞こえてくる、お寺の鐘の音。
わたしが小さい頃から鳴っていたので、それはそれは古くからの由緒正しいお寺さんであることは間違いない。
友達と心ゆくまで遊んで、帰る頃に厳かに鳴り出すそれは“もう帰る時間だよ”と時刻を示してくれているようで、時計を持ち歩かない小学生には有り難い存在だった。
そして大晦日には、近所の人達が並んで鐘を撞きに来る。
―――寒い中、かじかむ手で綱を引き勢いをつけて鐘の音を鳴らす。一度。二度。三度。
昔から続く、日本ならではの風物詩。
それが普通だった。ずっと。………これまでは。
「えっ、辞めた? 鳴らすのを?」
「そうみたいよー。苦情でね」
………。そういえば確かに、最近日が暮れてもどことなく静かだった気がする。あの音を聞いていない。
「新しい家が沢山出来て、そこの若い家族からの苦情かな?と思ったんだけど。そうじゃないみたいね」
「そうじゃないって………」
「昔からお寺を支えてきたお年寄りの一人が、どうにもうるさいって文句つけたらしくって。うちが一番近くて被害がある、騒音だってね」
今まで暗黙の了解でやってきたのにねえ。
―――母の大して気にも止めていない、何気ない言葉にわたしはただ無言になる。
うるさい、って。
そんなの何も出来ないじゃん。
………近頃よく見かける看板には無機質な字体で、
―――ボール遊び全面使用禁止。
―――空き地に子供は入ってはいけません。
なんて書かれている。
そもそも廃家を更地にして公園になっても、予算がないのか知らないが遊具のひとつも置いていない。
………夕暮れ、遊び倒して薄暗い道を友達と自転車を押して帰った。
鐘の音を数え合って、疲れたね、また明日ねって。
―――もうわたしの住むここではその風景がなくなりつつある。都会だからか田舎だからか、はたまた関係なしにそうなっていっているのか。
あの頃の懐かしい声や音や景色は、今でも脳裏に鮮やかに蘇るのに―――それを再現する手立ては今やもう、失われて等しかった。
END.
《鐘の音》
鎮魂の鐘は、去り行く魂への永遠の別れと生者の悲しみの昇華のため。
祝福の鐘は、これから永遠の道のりを共に歩む二人の喜びのため。
時の鐘は、永遠に続く時間に区切りを付けて良き一年、良き一日をを過ごすため。
全ての鐘は、心を新たに切り替える音を地上に響き渡らせる。
まもなく太陽が高みまで上り詰めようかという時刻に、私は半分寝てるような意識の中ベッドで体勢を仰向けに直した。
そのまま天井へ向かってまっすぐ両腕を伸ばして手を組んで、身体を伸ばして左右に曲げる。パキッ、ポキッ。これは凝ってるなぁ。
それもそうか、熱を出した彼の看病していた時にずっと彼のベッド横で座って見てたんだもんね。
…ん? そういえば、何で自分のベッドで寝てたんだろう?
よく考えてみれば、自分の部屋に戻った記憶がそもそもない。
軽い上半身ストレッチで覚めてきた頭の中で、何とか記憶を反芻してみる。
記憶がはっきりしてるところ。…今思い出しても嬉しさで心臓が破裂しそうになる。
高熱に浮かされた彼が私の手を取って、『傍にいて』と言ってくれた。
その後、彼がそのまま眠った後に手を離そうとしたけれど、なかなか離れない。ギュッと力を入れ直される。
これは起こさないようにする方がよさそうだな、と握られた手はそのままにベッド脇の床に腰を降ろした。
私は、彼に自分の存在を求められるような言葉が聞けた喜びに浮かれていた。
熱で大変な彼には本当に申し訳ないけど、何だか甘えられてるようで、可愛いな。
なんて、握られた手と一緒にベッドに頬を付けていたところまでははっきりと覚えてる。
その後の記憶が朧気だけど。
何とか記憶を掘り出してみる。
過った記憶は、明け切らぬほんのりとした日差しの中。廊下、だと思う。ほんの少しの間の…夢?
身体に軽く伝わる振動。シャツの下から伝わる熱くはない、暖かく逞しい腕と胸板。
少し下から見上げるような角度で見える、彼の顔。その向こうで、動いていく天井や壁。
あ、あれ? これ、私抱き上げて運ばれてる? 夢じゃなくて?
病み上がりの彼に何させてるの、私? というか彼はちゃんと病み上がったの? 大丈夫なの?
自分の記憶の衝撃に軽い混乱を来した脳の中、間もなくまた次の記憶が蘇る。
明け方に夢を見たのを覚えてる。
私の混乱のせいで彼に謝らせた事が申し訳なくて。
それでも傍にいたいと言ってくれた事が嬉しくて。
私にとって貴方との日常は、手放したくない大事なものだから。
ごめんなさい。私の方こそ、傍にいさせてほしい。
そう祈り、誓う夢を。
…思い出した。私、一度ぼんやりだけど目を覚ましてる。
私はギュッと両手でタオルケットを握りしめる。
ベッドの中で、私は半覚醒状態だった。
その脇から顔を覗き込ませていた彼は、私のこめかみ辺りを髪を梳くように撫でていて。
彼の手付きは、恭しく柔らかで。
彼の笑顔は、上等のシロップが朝日に煌めいてるようで。
そうして確か彼は、私にこう言っていた。
『本当にありがとう。貴女の心の内が聞けて、最高の気分です。』
私は掘り出した記憶のあまりの大きさに、ガバっと起き上がる。
信じ難い情報でパンクしそうな脳を抑え込むように、胸にタオルケットを掻き抱く。
彼の手と笑顔の優しさ、甘さ、柔らかさ。泣きたくなるような幸福感。
それに心から喜び酔いしれる一方で、もう片方がフル回転で情報を整理している。
…あの時は、頭が働いていなかった。
何せ、その後彼に『まだ眠いでしょう。僕はもう回復したから、貴女もゆっくり休んで下さい。』と言われ、何も考えられずに眠りに付いたくらいだから。
寝室に運んでくれた彼のおかげで、徹夜から看病のコンボでもこうしてすっきり目覚められているけれど、これは…まさかの展開過ぎて。
そして、彼の言葉の意味について考える。
貴女の心の内、とは…? 誓いの言葉は、本当に夢の中だけの物…?
あり得ない、とは言い切れない可能性に至りそうになった心は、キュッと引き締まる。
その直後、寝室のドアがコンコンと鳴る。
返事をすると、廊下から彼の声が。
「よかった、起きていますか。よければ軽く食事でもどうですか?」
声から察するに非常に上機嫌で、昨日の発熱の気配は全く感じられない。
ひとまず無事に熱が治まってホッとすると同時に、その快い声に擽られた耳は、胸の鼓動を否が応にも速くする。
着替えたら行くと伝えれば、遠くから鳴り響く、正午を告げる鐘の音。
私は、いつもどおりの私でいられるのかな。
昨夜までの自分の弱さと混乱。
熱に浮かされた彼の言葉。
今朝の夢の祈りの行方。
胸に残る、最高の気分という彼の言葉。
この濃密な数日間の全てを吸い込むように、深呼吸する。
これらは全て、私のものだ。大丈夫。信じて、いこう。
いつもどおりの日常。それでも私の中で以前からもあった誓いは、より強いものに変わった。
鳴り終えた鐘の音が、微かに耳に広がる。
それがどんな道でも構わない。気持ちも新たに切り替えて、また彼の隣を歩いていこう。
鐘の音。
それは起床時間を知らせ、昼休憩を知らせ、終業時管を知らせるものだ。
しかしそれを知らない者もいる。
街に長く留まらない若い行商人たちだ。彼等の多くは入街税すら支払わないために、外壁に沿って商売をする。もちろん、街の宿屋などには泊まらずに野宿だ。
では何故行商人を続ける?──大抵は金がないからだ。
定住するには金がいる。仲介人や住居の斡旋、街の税金。それらは行商人が細く長く貯蓄して何とかなる金額ではなかった。
彼らが知っているのは、鐘の音で人の動きが変わるということだけ。無学だと詰る声もある。誇らしげに鐘や時計を語る口もある。だがそれは行商人の生活の足しにはならないと反論したりはしない。
彼らを口で攻撃する者は、行商人が戦士であることを知っている。力で勝てないと分かっているから、粗探しをしているに過ぎない。
そんな阿呆相手に商売をするのだ。勘定を誤魔化しても大抵は気づかれない。そうして貯蓄を増やす。
一端の行商人になった頃には、今度は街に嫌気が差していて、夢だったはずの定住から意識が外れる。
貯蓄は良い馬、良い餌、良い護衛に使われていく。
あまりに対応の酷い街での商売を避けて行動するようになって、ふと気づくのだ。
鐘の音が無い町や村で、自分たちを卑下する者がいないことに。
そういう所は居心地がいい。同じ野宿でも気の持ちようが違う。ゆったりと商売をして、のんびりと子育てしながら旅をする。
そして次世代の行商人は向かう。
心を荒らす、鐘の音の鳴る方へ。
鐘の音
体の芯から響く、心を凪ぐ、自分の存在を見透かすかのように巡っていく
今の自分ではどんな音になるのだろうか
願わくは清流がごとく体中に浸透してほしい、音はぶつかると耳に残るから
2024 8月12日
夏の夕暮れ、鐘の音が聞こえてきたら、それが始まり。
『鐘の音』
二軒先のSさんは、子供の頃からたびたび見る夢があると言う。
なんでも、何かから逃げ続け、隠れ続け、最後には断崖絶壁から飛び降りるのだとか。
掌に何かを握りしめて。
そしてその瞬間、どこからか鐘の音が鳴り響くそうな。
「何度見てもさっぱり訳が分からない」とSさんは笑う。
ふと思いついてスマホを取り出し、動画サイトを検索して、とある鐘の音を聴かせてみると、Sさんはたいそう驚いた顔をしていた。
私がそれに気づいたのは、ある島の伝説を知っていたからだ。
でも、そのことはSさんには話さなかった。
これからもずっと、ただの「訳の分からない夢」であればいいと思う。
じっと耐えても、息を潜めて祈り続けても、彼らの神は遠かったのか。
Sさんは、これからもアンジェラスの鐘の音を夢の中で聴くのだろうか。
#今日のお題
#鐘の音
#涙海の小説
鐘の音がする度にとある人を思い出す。おーい!!
こっちこっち!!手を振るあなた。いつも色んなことを教えてくれた。私の地元には小さな神社があって
幼い頃よくその方と家族でお参りに行っていた。
私は夢をまだ見ている気がして。その人は5月の終わりに病院で息を引き取った。前から大腿骨頸部骨折で2年ほど入院して、その前から認知症があって。じい、私だよ!!それでもお前、誰だ??お前のこと俺は知らない。そう言われた時私の胸につきんと痛みが走った。そして、、、朝早く悲しいニュースが入って、その日は泣きながら寺に行った。何度かじいを助けて、お願い。と願っていた。けれど病気には勝てなかった。
今年初盆。じい、安らかに眠ってね、ばあを
大事にしてね。じい私もしも結婚する時にね
じいに見せたいの。私はいつもあの神社を見る度に懐かしい気持ち、暖かくて少しだけ切ない気持ちになる。もしも、じいがこの場にいてくれたら。。。
でも、じいはよく言ってた。るー、若い頃はたくさんたくさん遊んで学んでそして大人になれじいちゃんは
戦後の子供たちだから遊ぶことない
けれどお前らはこれからの人生、お前が生きろ
お前らしくな。
じい、ありがとう
私らしく生きていくよ
きっと
あの花火は
私の一等星だ。
今日のお題
鐘の音
end。
朝から嫌な予感がしていた。
目が覚めて身支度を整えている時から胸がざわついて落ち着かなかった。朝ご飯を用意しても食欲がなくて喉が通らない。いつも通りの調子が出てこない。徐々に動かしていた体が鈍く重たくなっていた。
結局慌ただしく勤め先の商店へ向かえば、女将にひどく心配された。
「いつも勤勉に働いてくれてるんだ。今日くらい休んだっていいんだよ」
「いえ、私だけ休むわけには」
倦怠感の抜けない体に鞭を打って、とにかく手を動かした。女将は何か言いたそうにしていたが、私の好きなようにさせてくれた。そのことに申し訳ないと思っていたが、今日は何かせずにはいられないのだ。
外で務めを果たしてきた夫が帰ってくる。
先週、夫が所属している部隊の任務が完了したと託けを授かった。今回の遠征はひと月以上もあり、かなり大掛かりだった。それに距離もあったから、帰ってくるのにも時間がかかる。
お慕いした夫が久々に帰ってくる。
そのことで居ても立っても居られないから、朝から落ち着きがなく、胸がざわついているのだと。そう言い聞かせていた。
--カラン カラン カラン カラン
町の中心にある鐘の音が鳴った。どこからともなく張り上げた声が聞こえた。
「帰ってきたぞーー!!」
遠征で外へ出ていた部隊は、必ず町の中心を通る。私は女将に背中を押されるまま、路地を抜けて大通りに出た。大通りには町中の人々が駆けつけて、溢れかえっていた。
どうにか隙間から目を凝らせば、ちょうど部隊が行列で帰還してきたところだ。
私は必死に夫の姿を探した。階級からこの辺りだと予想したところには夫の姿はなかった。おかしい、もう過ぎてしまったのだろうか。夫の姿が見えず落胆していると、行列の最後に目を奪われた。
部隊の行列の最後は、遠征中に大怪我を負った人や亡くなった人の亡骸が担架で運ばれている。痛々しい姿に私はいつも目を逸らしてしまうのだが、今日は逸らすことができなかった。
担架が行列を成すうちの一つ。担架ごと大きな布で覆われていて中がどうなっているかわからない。ただ、布が緩んだ隙間からだらりと腕が垂れ下がっていた。おそらく右腕だろう。その手の甲には、古傷が親指から手首にかけて大きく横断している。夫の手と同じだった。
私は両手で口を覆った。声を押し殺していたが、涙を抑えることができなかった。嗚咽すら我慢して、私はその場で膝から崩れ落ちた。
翌朝、夫と同世代だろう隊員の人から届けられたのは、風呂敷に覆われた夫の右腕と、部隊の紋章だった。
『鐘の音』