『鏡』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ジーっくり鏡を見る事なんてない。
着飾るのは仕事の時だけ。
見た目はお金のため。
自分がどう見られるかなんて知らない。
お金になるからその服着るだけ。
そんな私が結婚して、子供を産んだ。
なんて綺麗なお母さん!
ってお世辞かどうかわからない言葉が懐かしいと思う頃。
子供と風呂上がりに自分の真っ裸を見た。
誰だこの妖怪…
『昔は細身でモテたのよ〜』
なんて義母の言葉が聞こえた気がした。
ヤバい。
鏡に顔を近づけてみる。
うっすらとシワ、シミ、タルミの三原則。
ヤバい。
やっとけばよかったオシャレ。
私には関係ないとばかりに無視した美容法。
今ならまだ間に合う?
手遅れ?
よくわからないけれど、手荒れ予防に使ってるニベアのハンドクリームを顔に塗る。
暇ができたら若返りだとか美容だとか頑張ろう。
子供と遊ぶ以外に体も引き締めて…
無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理
私が鏡と聞いて思い浮かぶことは三つある。
一つ目は生活の中で1日で必ず必要とし使用するものでありなくてもさほど困らないがあればとても助かるものである。
二つ目は色々な形があり様々な使われ方をしている多種多様であり色々な場面で活躍し生活を助けてくれているもので大きさ等もまばらである。
三つ目は容姿を映すし使用するだけでなく自分は性格や考えていること相手に今どう見えているのかなどの内面等も容姿に出ているのでそれを確認できると私は思っている、疲れや怪我体型の変化等も確認することができる。
この三つの点が思い浮かび鏡はとても生活を豊かにしてくれていて自分のことを気づかせてくれる良い道具だと私は思う。
鏡
風呂上がりに、脱衣所の洗面台の鏡を見ながら、髪を乾かす。鏡に写るだらしない身体、皺だらけの顔、薄い白髪頭…年々と言うか、日々向かい合う自分の姿に、若い頃に思い描いた姿とのギャップ…
職業柄、1日のほとんどをこれに囲まれて過ごしている。
私はこれを通した自分を私として認識している。
お客様もそう。
面と向かって話す事は殆どなく、常にこれを通して話をする。
職場で見る顔、家で見る顔、デート中のトイレで見る顔。
全部違うけど全部間違いなく私。
今も左側に置いてある。
かがみ
「鏡」
鏡は今の自分を映し出す
ありのままの自分を映し出す
鏡の中の自分を変えることは出来ない。
ありのままの自分だから
中二女子
起きる時間だ。
また、いつもの繰り返しが始まる。
鏡を見ると、いつもと変わらない自分がそこに居た。
今日は予定は無い。テレビでも見るか。
何も変わらない。
いつもと同じ。
退屈な人生だけど、こうするように教わったから、
「社会に馴染んで、自分を消し、周りと仲良くする。
社会に馴染めないのは、貴方が可笑しいからです。
皆で団結し、より良い未来を創りましょう。
そうすれば、安心して暮らせます。」
これでいいはずだ、
なのに、何でこんなに虚しい?
人並みにお金はある、体も健康、対人関係も、普通。
なのに何故満たされない?
考えても答えは出ない。
諦めて、テレビに視線を戻した。
社会的な話題を取り扱う番組のようだ。
[社会に合わせるだけでは、幸せになれない、
最近の世代は、周りに合わせるのではなく、
自分の個性を大切にしているようです。]
へぇ。いいなぁ、個性を持ってる人間は。
俺は平凡な人間。
個性は無い癖に、どこか生きづらい。
大多数に従わないと生きていけない人間になった。
鏡
写るのは誰で映すのは誰
そこに立っているのは誰でしょう
誰だかは知らないけど
誰だって知らないだろうね
鏡にありのまま移せない
だけど誰がどう見たって鏡なんですよ
そんなありきたりな鏡
あなたには何が見えるのかな
誰の言葉だったかすら記憶にない
ただ言葉があるだけで
言葉は色々なものを映すけど
写るのはその時の何かでしかない
僕に向きあってくれるとき
皆髪の毛を触ったり、顔になにかを乗せたり、
様々な布を纏っては変えたり、忙しそう。
でも人間が自分自身に細工を加えた後、僕を見て何故か笑顔になる人が居るんだ。
そのときはなんだか役に立てたような気がして
誇らしくなるよ。
たまに僕を見て泣いている人もいるよ。
僕は何か悪いことをしたかな。
ごめんねって思いつつ、気持ちを吐き出すきっかけになってたらいいと思うよ。
毎日皆の行動を不思議に思いながら、
たまに嬉しくなったり悲しくなったりしているよ。
僕は役に立てているかな。
分からないけど、僕はあいも変わらずここに居るよ。
「鏡の中の子」
子供の頃、年の離れた従兄弟からもらった、古くてとても立派な装丁の「世界児童文学集」に入っていたお話だ。
寝る前によく、母親に読んでもらっていた。
主人公はヒルデブランドという名前の、
つい嘘をついてしまう男の子。
その場しのぎのすぐバレる嘘ばかりつくので、彼はいつも友達にからかわれていた。でもどうしてもやめられない。
ある時鏡を見ていると、中に映る子が話しかけてきた。
「明日から君がついた嘘は全部本当になるよ。だからもう誰も君をバカにしない」
翌日ヒルデブランドは友達とボールで遊んでいるうち、ボールが逸れて藪の中で見失ってしまった。
友達に弁償しろと責められ、いつものようについ「熊が出て探せなかった」と言ってしまう。
またそんな嘘を…と友達に笑われかけた時、奥から本当に熊が出て来て町は大騒ぎ、当然ボールのことはうやむやになった。
さらに翌日、宿題を忘れて先生に問い詰められたヒルデブランドは
「妹が目の病気になり看病をしていて、宿題が出来ませんでした」と言ってしまう。しまったと思いながら、おそるおそる家に帰ってみると、妹は本当に目が見えなくなっていた。
怖くなった彼は、鏡の中の子に「妹を元に戻せ!」と詰め寄る。
「だって君は約束したじゃないか。」
と中の子はにべもない。彼は怒りのあまり、鏡を殴って割ってしまった。
この後の件りは忘れてしまったが、ともかく事態は無事に収まり
「それからヒルデブランドは、正直で優しい子供になりました。めでたしめでたし」
という結末だったと思う。
当時
「後味わるい話だな。嘘つきだけどすごく妹思いだし、そんなに悪い子かな」
と思ったものの、なぜか読んでくれる母親にそれを言えなかったのをよく覚えている。
今なら分かる。なぜ感じたことを正直に言えなかったか。
それはその古くて立派な本が、こんな風に語りかけてくるように感じていたから。
「いいか、お前は従順なただの子供だ。子供は目の前のことを正直にやってればいい。決して嘘など作り出してはならぬ。嘘は自分の頭で考えることだ。それはこの社会からの逸脱に繋がる。そんな事は決して許さないぞ」
ああそうか。
「鏡の中の子」はやっぱり、鏡に映る、ヒルデブランド本人だったんだ。
嘘をついていたのは物語の読み手、私たちの方だったのか。。
鏡よ鏡、この世で1番美しいのはだあれ?
そんなこと聞いたって答えてくれやしない。
もし答えてくれたとしても
「貴女です。」
なんて言ってくれるわけがない。
自分の容姿に自信なんてない。
人から羨まれたって、そんなものは意味をなさない。
自分の容姿が大っ嫌いだ。
と言って努力しない自分も大っ嫌いだ。
鏡よ鏡、鏡さん。
私を美しく写しておくれ。
この一瞬だけで構わないから。
魔法をかけて。
2023.8.18.鏡
小学生の頃、祖母の家にあった三面鏡が怖かった。
「開けば、お化けが出てくるんよ」と言われてたからだ。夏休みにテレビで放送していた怪奇現象の番組も三面鏡が良く出ていたので、その時は素直に鏡の向こうには、お化けがいると思っていた。
中学生になる頃に祖母が他界し、三面鏡を見なくなった。自宅にあるのは、どこにでもあるような普通の鏡。年頃ということもあり、お化けの存在なんて忘れて、鏡と向き合う生活になった。
そして、年を重ねて中高年になった。自分の顔を見つめ「最近、しみが増えたなぁ~。肌もカサカサだ」と呟く。シワも出てきた。髪も薄く、白髪が増えた。老化現象だから仕方ないと思う半面、ちゃんと手入れしないとお化けみたいになると感じた。
お化け?
鏡を前にして久々に発するワード。
そうか、そういう意味だったのか。
なぜか腑に落ち、鏡の前で笑った。
「三面鏡を開ければ、お化けが出てくるんよ。」
あれは鏡に映った自分の姿をお化けに例え、祖母がユーモアで言ったことなんだ。と、気付いた。あの時は本気でお化けを信じて笑えなかったが、その意味がわかると微笑んでしまう。
おばあちゃん。鏡にお化けが映らないように、ちゃんとお手入れします。
その日から毎日。
祖母のユーモアな忠告を胸に、鏡の前に座って肌の手入れをしている。自宅の鏡からは、まだお化けが出てきていない。
テーマ「鏡」
私はこの世で1番嫌いなものがある。
それは双子の姉とそっくりな容姿と私の事など興味もない家族である。
双子の姉は昔から周りの人に可愛がられていた。
両親を始めご近所さん、クラスメイト、先生、周りの大人たち。
姉を見た人は必ず『○○ちゃんは可愛いわね、まるで天使みたい』
『あんなに可愛くて優しい子と付き合えたら幸せだろうな〜』
『○○さんは勉強も優秀だな。こないだのテストも学年一位だったし』
姉に対しての評価は誰に聞いても賞賛ばかり。
一方私はまるでそこに存在してないかのように扱われた。
『あの子…確か○○ちゃんの双子の妹よね?顔は瓜二つなのに無愛想だし頭もそんなに良くないんでしょ?
あんなの自分の娘だったら恥ずかしくて外に出したくないわよ』
『なーお前の姉ちゃん、めっちゃ可愛いよな。紹介してくれよ。
お前で我慢しようとも思ったけどやっぱ無理。お前、顔しか取り柄無いし』
『一緒に遊びたいの?え〜じゃあ○○さんも一緒なら良いよ』
『なんで○○は優秀なのに君はここまで出来が悪いんだ?双子なのに』
私のことを否定する言葉しか投げつけてこない周りの人達が大嫌い。
双子の姉も両親もまるで初めから3人家族の様に振舞ってるのにも…もう疲れた。
容姿だけは瓜二つだから鏡を見ているようだとも言われるけどその言葉は私にとって1番言われたくない言葉だ。
いつか私を知らない場所で、私自身を見てくれる人と見つけたい。
そんな風に思っていた私はその機会が思ったよりも早く来たことに驚いた。
それは学校帰りのある日のこと。
鏡に写る私は好き。なのに写真に写る私は嫌い。反転しただけなのに何でそんなに違う?それは顔が左右非対称だからだ。
鏡の奥を触りたい。鏡の仕組みがわからなくなる。
はじめは背中だった。
時間をかけてゆっくりと、生きる姿を。
善し悪しの基準。ものを見る角度。
ひととは、どんなものなのか。
見つめて、知って、幼いそれはぼくに成った。
ふとした事で、誰かが笑う。
表情が反射して、その表情をきみへと綺麗に照らす。
それは瞳を通ってこころへと。
まっすぐに、屈折せず輝きをくれる。
こころは
そのまま心にオーロラをかけるのだろう。
みんな、誰かの言葉や感情越しに
毎日虹色のベールを見ているのだ。
「鏡」
私のあまりの醜さに、
目を合わせてくれる人はいない。
部屋の隅にある鏡が、
唯一目を見せてくれる。
充血して爛れた私の目を。
誰か。
誰か助けて。
この醜い私を。
生きた心地がしなかった。
もう私は石だった。
「鏡」
鏡にうつる自分は
自分ではない。
左右が反対
心も反対
表と裏も反対
直視していられなくて
思わず目をそらすと
鏡の私も反対側に目をそらす。
離れながらも遠くからチラリと見ると
やはり同じようにこちらを伺う。
わたしはこの裏側のわたしと
どうやって折り合いをつけて生きて行けるか。
向こうの世界では
私と反対なのだから
裏の私ならば
すでに答えを持っているのかもしれない。
「鏡」
鏡
手を繋ぐことはできないけれど、手を合わせることはできる。
たった一枚隔てられたそれは自身を客観的にうつしだすものだ。
果たしてそれを本当に客観的に見えるかどうかは、また別の話。
鏡よ鏡、なぜ笑う
女王の心がわかっておそろしいのか
すれ違い
見え方と見せ方の狭間で
繰り返される言い訳
試される器
根拠のない自信
根拠のない卑下
一瞬の勝負
※鏡