『鏡の中の自分』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
不思議な鏡を手に入れた。
その鏡には自分が心から欲しているものは映らないという。
僕は恐る恐る覗いてみた。
そこには何も映ってはいなかった。
君と向き合ってこなかった
僕が何者なのか
君に知られるのが怖かったから
僕は大嘘つきさ、君を騙していた
その事も知られたくなかった
君に嫌われるのが一番怖かったんだ
でも、君は見抜いたよね
だから離れていった
そうだろ?
だから、こうなったのも自業自得だ
哀れだよ、まったく
いい加減に自分を変えたいよ
これからも正体を隠して、
偽って生きるのかい?
鏡の中の自分に問いかけてみたけど…
鏡の中の自分に問いかける。
今の私は可愛いかな、大丈夫かな、
貴方に可愛いって思って貰いたいから。
大丈夫、私は可愛いよ。
鏡の向こう側にいる自分は、どんな人生を送ってきたのだろうか。
私とまるっきりおんなじ人生なのだろうか、それとも、なにもかもが私と真逆の人生なのだろうか。
反対に映る自分。隔たりは、ただのガラス一枚分。
もしもそっちにいけたら、なんて。
鏡の中の自分にさえ、夢を抱いてしまうだなんて。
『鏡の中の自分』
捉え処なく あやふやな
自分というもの
鏡に映る 魂の入れものに
その一面を覗く
整えてみたり 落胆したり
上等なものが欲しくなる
/ 鏡の中の自分
「本当になりたい自分を写して」
鏡に向かってつぶやいてみる。
答えは返ってこない。
当たり前なんだけど、自分が本当になりたかった自分ってんなんだろ。
自分で両頬を思いきり叩いて気合いを入れる。
それを探す為に進まなきゃ。
私が鏡を背にして歩き始めると鏡の中の私がウインクした。
鏡の中の自分は、鏡の外の自分にとらわれている。
鏡の外の自分が動けば、鏡の中の自分も同じように動く。
鏡の外の自分が動かない限り
鏡の中の自分が動くことはない。
鏡の中の自分とは
唯一誰でも操れる操り人形なのかもしれない。
『鏡の中の自分』
笑ってますか?
それとも涙を隠してますか?
鏡に映る私の顔はどっちなんだろう…
いつか分かるといいな
舞華
息を吸って、吐いて。
窓の隙間から潜り込んだ風が、鏡を見るように私を促す。
鏡の中の私はいつも表情だけ合わなかった。
怒っているのに、煽るようにニヤニヤ笑っていた時。
悲しんで涙を流しているのに、嫌なものを見るような目で見られたこともあった。
でも今日の鏡は素直みたいだ。
私の幸せそうな笑顔を綺麗にそのまま映している。
あぁそうか、今までの鏡もきっと素直だったんだ。
1回も偽物なんて映してなかった。
幸せは自ら否定しないものだから、こんなにいい気分なんだろうか。
そんな事を思っていると扉がノックされた。
別の風が同じとこから潜り込んできて、私の背中を押す。
今世界で1番の幸せものはきっと私だ。
白いドレスに身を包んだ私を、鏡の私は嬉しそうに見ていた。
鏡の中の自分が泣いている
どうして泣いているのか わからない
慰めようと必死に笑顔をつくり
優しい言葉を沢山届けて
何とか毎日やれてきた
ある時鏡の中の自分が問う
なぜそこまで自らを傷つけるか
なぜそこまで必死に頑張るのか
ようやく知れた泣く理由が
自らを犠牲に出た涙だと気づいた時
冷たく輝く鏡に優しく
壊れないように大事に
そっと言葉を贈る
「苦しみを気づかせてくれてありがとう」
鏡の中の自分
もし、もし、鏡さん、貴方は、本当に私の姿をうつしていますか?
私は、こんなんでしたっけ?
鏡さんは、はーい、そうですよ。
私の仕事は、うつすことですから。
鏡の中の自分は、微笑んでいた。
いつもありがとう、鏡さん。
いえ、いえ。いってらっしゃい。
いってきまーす。
きらーんと鏡は、輝いた。
鏡の中の自分に
今日の調子はどうだい?
口角をあげて話し掛ける
今日はどう?
元気になった?
大丈夫?
鏡の中の
自分に聞いた…
今日はとっても素敵よ
明日はもしかしたら
目の下のクマが
酷いかもしれないけど、
それも自分
鏡ってね
瞬間にして
自分がみたい顔を
作ってるんだって
だから、突然映った
ショーウインドゥや
知らずに撮られた写真をみると
酷い写りだ。
なんて思うんだってさ
それが、ほんとの、
人から見えてる私だと
聞きたくなかったなぁ。
鏡を覗き込みながら
まぁ、同い年のあの子よりは
マシなんじゃない?
なんて、
せっせと手入れもしながらも
少しずつ老いを受け入れていく。
そんな
大人な女性でいたかったけど
このがっかり感。
こうなれば、
口角を少しあげて
穏やかに微笑んでる
風の顔。
練習しまくるわ。
と、また、鏡を覗く。
大人になってもなっても
大人がなんだかわからない、
年老いていくことを
受け入れられないのは、自分だけ。
みんな、騙されろ。
と、まじないかけながら。
一番騙されたいのは
わたし。
#鏡のなかの自分 2022.11.4
#鏡の中の自分
己に呪文をかけ可愛いと
鏡に映るはみにくいこころ
夜の闇深く入りては振り返る
輝き映るマコトノジブン
091【鏡の中の自分】2022.11.04
女子生徒って、なんで休み時間ごとにトイレの鏡の前でたむろってんだ、あげくのはてに全校集会のとき生徒指導部の先生から鏡の使用についての注意をされるとか愚かのきわみじゃん。と、美瑞穂はいつも腹をたてている。かくいう美瑞穂のほうはというと、鏡の中の自分が大嫌いである。トイレの手洗い場ではいつも、うっかり前を見て、自分の容貌が目にはいったりしないよう、細心の注意をはらいながら手を洗い、そそくさと立ち去るようにしている。その傾向は自宅でも同様で、いちおう、デザインが素敵だから、という理由で手元においている手鏡こそあるものの、自ら好んでのぞき込むことなど、まず無い。
中学校にあがって以来、美瑞穂がいちばんおそれているのは、中2の文化祭である。なぜなら、中2は全員、美術の時間に自画像を描いて展示することになっていたからである。ただでさえ、鏡の中の自分が嫌いだというのに、それをしげしげとのぞき込み、画用紙の上に模写し、あまたの保護者生徒のまえにさらさねばならぬとは。これが精神的苦痛といわずしてなんといおう。そのようなわけで、美瑞穂は中2になってから、美術のある日とその前後の日にかぎって、遅刻をしたり欠席をしたりするようになっていった。美瑞穂自身には明確にそれとは意識はされていなかったが、いつかは必ず鏡を見ながら自画像を描かねばならぬ、という予測は、鏡の中の自分が嫌い過ぎる美瑞穂にとっては、それほどにも耐え難い重圧だったのである。
ある日のことだった。それは、昼休みのことだった。
「あ。歯に海苔、ついてない?」
他愛のない会話のあいまに、クラスメートが指摘した。彼女は制服のスカートのポケットをごそごさぐると、軽いノリでピンクのスリムな手鏡をさしだした。極力鏡を見たくない美瑞穂としては、海苔がついていようがどうしようがただただほうっておいてほしかったのだが、そうもいかなかった。なぜならそれは世間一般では親切なおこない、とされているからだ。やむをえず、黙ってうけとると、鼻から上が映らぬよう用心して、美瑞穂は手鏡をのぞいた。が、失敗した。スリムな鏡だから映り込む面積もすくないはずだ、との目算が油断をまねいたのかもしれない。いくぶん、角度を誤ったようだった。顔が映った。美瑞穂はしまった、と瞬時に目を閉じ、再び開いた、のは、なにか看過しえぬものが見えていたようなきがしたからで、そのとき。美瑞穂の目に入ったのは。
自分に雰囲気がよく似た爬虫類の……
顔。
だった。
きゃぁっ、と短く叫んで、気がついたときにはすでにクラスメートの手鏡を投擲していた。どこかとおく離れたほうで、鋭くガラスの割れた音がした。
美瑞穂はわれにかえった。その場は謝ることと、割れたガラスを回収することと、顔に虫がついてるように見えてびっくりしたのだ、とウソで誤魔化すこととで必死だった。あれよというまに五時間目の予鈴が鳴った。わけもわからぬうちに、本鈴が鳴り、先生が来て、授業がはじまっていた。あれがどういう現象だったのか、美瑞穂がぼんやりとでも反芻することができるようになったのは、やっと、五時間目の半ばを過ぎたころであった。
これって、まるで万城目の「鹿男あをによし」じゃん……
美瑞穂は、非現実感しかないふわふわとしたとりとめもない思考の波間をただよいながら、愛読していた小説のことを、ふと思い出した。
しかし、だ。あの小説の主人公には、喋る鹿、という存在があった。が、美瑞穂にそんな解決のキーになる存在がいるはずもなかった。だってあれは空想の出来事なのだ、しかし、こちらは現実だ。朝起きたら自分の顔が鹿の顔になっていて鏡の前で途方に暮れた主人公の心情は泣きたいほど理解できたが、なんの救いにもなりはしなかった。突然、目の前がぼやけた。涙だった。美瑞穂はなんとか耐えようとした。だけど、解決の糸口がない、という冷たく強張った絶望感に、もう、嗚咽がこらえられそうになかった。机にむかって顔を伏せ気味にしながら静かに手をあげて、頭が痛いので保健室にいっていいですか、と許可をとるだけで、せいいっぱいだった。
なんで今日にかぎって給食に味付け海苔がついていたんだ。なんで今日にかぎって給食に味付け海苔がついていたんだ。なんで今日にかぎって給食に味付け海苔がついていたんだ。なんで、今日にかぎって……!
なんとか美瑞穂は椅子から立ち上がった。理不尽なやつあたりであることはわかっている。給食のおばちゃんたちに罪はない。だが、美瑞穂は止められなかった。もしそのリフレインを止めたら、逆に、美瑞穂の足が止まっていただろう。やつあたりが撒き散らす怒りをエネルギー源にすることでかろうじて保健室にたどりついた美瑞穂はすでに、顔も心も、涙と嗚咽にまみれて、めちゃくちゃになっていた。
『鏡の中の自分』
ここは夢?
壁越しに、合わさる手と手。
"Who are you?"
"貴方は誰?"
"I am you."
"私は貴方。"
今日も1日が終わる。
いつもに比べれば順調な1日だ。
仕事のミスもなかったし、
お局様への受け答えもまあまあだったと思う。
後輩の作業が終わらなかったので、
1時間だけ残業したが、
まだ夕方のうちに帰宅できた。
自宅に着くと顔を洗う。
うん。今日は順調に行けた。
明日も明後日も大丈夫かな?
もう薬も飲んでないし、
夜も眠れる。
明日も明後日もきっと大丈夫。
だけど、不意に心臓を掴まれたような気分になる。
何かが込み上げてきたけれど、
水で洗い流す。
タオルで顔を拭いて、ふと、鏡の中の私と目が合う。
それって、どんな表情なの?
三面鏡で合わせ鏡にした世界で問う
あなたは誰?
くすくすと笑う幼い子
それから幾年
洗面台で、ふと鏡の中の自分と目が合う
この人誰なんだろう
自分の顔だとは頭では理解しているけれど
どうにもしっくりこないのは
自分の事が嫌いでまともに鏡なんて見ていなかったから?
鏡には見知らぬ顔の私が居る
1人のときでないとなんだか照れくさくて見れない鏡の中の私
あなたを真似するのは割と好き
また、あなたと話ができたらと思うけど
怖がりだからきっと無理かな
───お題『鏡の中の自分』