『部屋の片隅で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
部屋の片隅で
どんな世界でも
片隅に追いやられると
その世界の全体像が見えてくる
部屋の片隅からでも
何となくわかってしまう
果たして自分の部屋は
どうなのか?
兎角変化を嫌っているのだ
変化は恐怖に感じる
引きこもりの方々は
そんな風感じるのか?
引きこもりする人達は
自分の事をよ〜くわかってらっしゃる
自分も今まさにそんな感覚だ
でも踏み出さなきゃ
それはポジティブな事なのか
それともネガティブな事なのか
あと数年後には「死」を迎えるわけだが
部屋の片隅で
またそんな事を想ってしまう
部屋の片隅に
秘密基地を作った
檜のアロマは
友人との思い出の香り
捨てられない絵本は
あの人が
子供達に
ふざけながら
読み聞かせていた思い出
部屋の片隅の
ちょっといい場所
友やあの人を
心地よく思い出せる場所
部屋の片隅に眠るアルバム。何年も開いてなかったからかな、掃除していたら懐かしい思い出がほこりにまみれて出てきた。あなたと過ごしたあの日々が
懐かしさを思い出させてくれる。滲み出る
笑顔。優しい日々。陽の当たるカーテンレールの
片隅で泣きながらアルバムをギュッとにぎる
時計の針は戻らない
寂しくても悲しくても
2人で決めたことならば
辛くても
乗り越えていくしかないよね。
「部屋の片隅で」
彼女は部屋の片隅でひとり、悲しみにくれていた。彼女は失恋し、心が折れてしまっていた。
そんな彼女に、突然、彼が声をかけた。彼女は彼に対して少し警戒心を抱きつつも、彼の言葉に耳を傾けることにした。
彼は彼女に優しく話しかけ、彼女の気持ちを理解しようとした。彼女は彼の優しさに触れ、少しずつ心を開いていった。
やがて、彼女は彼に惹かれていく。彼の優しさ、思いやり、そして強さに惹かれたのだ。
彼女は彼に対して素直になれず、距離を置いてしまったが、彼は彼女を待っていた。そして、彼女が自分の気持ちに気付いたとき、彼もまた彼女に想いを寄せていた。
二人は互いに惹かれ合い、やがて愛し合うようになった。部屋の片隅でひとりだった彼女が、彼の愛によって幸せを手に入れた物語である。
みんな世界の中心になりたがるけど、片隅からのほうが広く世界を見られること知らないのかな。
俺の世界は、まだ6畳ワンルームだけだけど。
「随分前に、『狭い部屋』と『静寂に包まれた部屋』っつーお題なら出てた」
部屋シリーズもこれで3回目。
「部屋三部作」でも計画しておれば、かつ過去投稿分に容易にアクセス可能であったなら、
「狭い部屋」で導入部を、「静寂に包まれた部屋」で展開部を書き、今回の「部屋の片隅で」により幕引きができたものを。
「……何書いたっけ」
某所在住物書きは頭を抱えた。「部屋」のネタのストックは存在せず、このアプリは過去作にスワイプ地獄でしか辿り着けない。
「文章にタグ埋め込んで『過去作ジャンプ実装』、ぜってー俺の他にも欲しいと思ってるヤツいる……」
それとアンケート機能と広告削除オプション。
物書きは天井を見上げ、部屋の片隅でため息を吐く。
――――――
昔々のおはなしです。まだ年号が平成だった頃、約10年ほど前のおはなしです。
都内某所、某小さな安アパートに、花と山野草いっぱいの自然豊かな雪国から、心優しい田舎者が越してきました。
名前を附子山といいます。
数年後、2023年現在から見て8年前、諸事情あって、未婚ながら改姓して、藤森になります。
詳しいことは過去作7月22日あたり投稿分参照ですが、ぶっちゃけ辿るのがバチクソ面倒。
細かいことは気にせず、おはなしを進めましょう。
「ぱいか?」
さて。当時まだまだお金が無くて、節約に節約と節約を計4枚くらい重ねて、日常1週間をコツコツ周回しておった附子山です。
「豚バラ軟骨煮込み用?」
食材の買い出しに近所のスーパーマーケットを訪ねたところ、見慣れぬお肉の半額が、ひとつ、残っておりました。
豚バラ軟骨だそうです。別名をパイカといいます。
消費期限、明日の昼だそうです。
すごく安いのに、そこの嫁様もあの夫様も、誰も一度も手に取らない、視線に入れない。
何故でしょう。 骨が固いからです。
「軟骨」など社交辞令。「煮込み用」こそ事実。
こやつは圧力鍋や炭酸水、重曹等の手助けが無ければ、普通鍋で5時間程度煮込まないと、固くて固くて骨が食えぬのです。
上京したばかりの自炊初心者な附子山、その社交辞令が分からなかった。
「なんだろう?随分、大きい」
そうです。4日前のお題、12月4日投稿分、己の未来の後輩が豚バラ軟骨の固さを知らず買ってきた、アレのいわゆる過去エピソードです。
「鶏軟骨みたいなものかな」
鶏軟骨の唐揚げイメージで、附子山パイカをお買い上げ。半額豚バラ軟骨を、200グラム入り1パック、買い物カゴに入れまして、
「良い物を手に入れた」なんて、何も知らぬまま、ちょっぴり笑顔などして。
部屋の片隅で試しに1個、小さな塊を煮込んでようやく、パイカの「パイカ」に気がついた。
「か……ッ!」
軟骨が、固いのです。鶏軟骨の比じゃないのです。
煮込めど煮込めど20分、30分、
1時間煮込み続けても崩れない。
附子山、ようやく理解しました。
長時間煮込まなければいけない強敵だから、皆半額でも手に取らなかったのだ。
「これが、『豚バラ軟骨』……」
どうしよう。この固い固い骨っコが、まだ約160グラムあるのです。
「どうする、どうすればいい……?」
骨の周囲の肉は美味いが、この骨っコはどうしよう。
自炊初心者の附子山、固い固い白を見つめて、部屋の片隅で口をパックリ。開いた口が塞がらない。
ただ途方に暮れるばかりです。
最寄りの肉屋に駆け込んで、コレコレ困ったと事情を話し、「パイカはじっくり煮込んで5時間」と攻略法を、サクサクほっこり焼きたてコロッケ2個購入で聞き出しまして、
附子山がその日晩ごはん用に買ったパイカは、翌日の昼食になりましたとさ。
おしまい、おしまい。
『部屋の片隅で』
足りなくて
満たされなくて
そんなことが多々あって
どうしたってそちらにばかり
視点が向いてしまうのです
部屋の真中
不平不満
部屋の片隅
自分自身
きっと見えてないだけで
それ以上の幸福を
自分は得ているはずなのに
『生きてることが証明』と
言われたところでピントはこない
部屋の片隅で、何かがあなたを待つ。あなたは部屋に入り灯を点す、あなたは、それには気付かない。そして、911をダイヤルされる。
奥の和室、母の鏡台の更に奥。
その部屋の片隅に、何かオレンジ色のような茶色のような
半透明のくすんだフィルムっぽいものが落ちている。
母の化粧品にでも付いてたのかな?
しばらくすると無くなっていたので気にも留めなかった。
それから日も置かずまた部屋の片隅でまたフィルムが落ちている。
前のより小さいのが2つ。なんだあれは。
さすがに気になって拾い上げる。
…タマネギの皮。
そういえば母は最近急に寒くなってモコモコ靴下履いてたな。
台所から連れてきてるに違いない。
ごみ箱に捨てようとしたら既に皮が何枚か入っていた。
いや、連れてこないように気を付けようよ。
部屋の片隅で
部屋の片隅で 舞う埃
箪笥の隅に隠れてしまった。
片方の靴下 ペン 消しゴムなど
普段は、意識しない 部屋の端っこ
仕事納めの 師走の日
私達 一家は、大掃除を開始した。
部屋の隅に溜まった埃
糸クズ 髪の毛 クモの巣も張っていた。
ハタキで クモの巣を 払い落とし
畳を 茶殻を撒き 箒で掃く
網戸や 障子を 張り替え
床掃除 庭掃除 風呂掃除や
トイレ掃除も 普段の掃除より
念入りに 丁寧に
大掃除という 特別な日に限り
部屋の片隅を目にする。
家族 皆が 協力し 片隅を意識する。
綺麗にして あげるからね
いつも 迎えてくれてありがとう
これからも 行って来ますと
ただいまを繰り返し
必ず帰って来る場所
私達 家族を 迎えて 繋げてくれる場所
そうして ピカピカにして
また 部屋の片隅を閉じる。
そうして また来年 部屋の片隅を意識する。
お疲れ様と言って 綺麗にする為に
部屋の片隅で、小さなものがくごめいている。
最初は飴玉ひとつくらいの大きさだったものが、
いつの間にか自分の影ほど大きくなっている。
恐る恐る私はそれに近づいていき…
「気は済んだかい」
重い頭を声の主に向かって持ち上げると、
ひっくり返ったソファや割れたグラスが
散乱した部屋も自然と目に入って来た。
「…さぁ。済ませたくない気もするんで」
自分でもこんな強がりを言うほど余裕は無いのだが
最後の矜持が気持ちを鎮める気になれなかった。
「じゃあ、今度こそ済ませに行こうか」
自分の心を見透かしたように声の主は言う。
確かに、ここに居ても自分の気は一生晴れる日など
来るはずも無いのだ。
「…とことん気が済むまで行きますよ」
そう言って身を起こすと、
久々に世界が明るく見えた気がした。
『部屋の片隅で』
疲れてるなぁー私
毎日やるべきことはありつつ
後もう少しだけ
ソファに胡座をかいて座って
のんびりと過ごす
外は良い天気
窓から青空が見える
12月上旬だけれど
レースのカーテン越しに
差す日差しは
何だか暖かい
外気に触れ、日光を浴び
少々冷たい風に当たりたい
そんな欲求も湧いてくるが
今日は何だか
居心地良いリビングで
好きなことをして
自分を労わり癒しながら
過ごそうと決めた
部屋の片隅で
そう思う私は平和で幸せだ
[ #38. 部屋の片隅で ]
#部屋の片隅で
私が暮らす部屋の片隅には穴が空いている。
物理的に壁を破壊してできた穴ではない。この部屋には三年ほど住んでいるが、内見の時はもちろん、入居してから全く気づかなかった。
それが1ヶ月ほど前、ふと、「穴が空いている」と思ったのだ。
穴は直径五センチほど。あまり大きくない。床から10センチあまりの高さに空いている。もう少し低い位置ならば、子供の頃にカートゥーンアニメで見たネズミの巣穴のようだ。
1kの小さな単身向けアパートの2階。穴が空いている壁の向こうは隣の部屋ではなく、外。
ちょうど、ベッドを背もたれに座ってテレビを見る方向の左隅の方に黒々と空いていた。
むろん私が空けた覚えはない。白い壁に黒いシミのように空いている穴を見つけたときは、恐怖や不安よりも好奇心が優った。ぽっかりと空いているが奥は見えない。
向こう側ももちろん見えないし、深さが知れない。
空気が吐き出されることも、吸い込まれることもなさそうだ(気付いたのは冬の寒い朝だったけれど、穴から外気が入ってきている様子はなかった)。
穴のことを大家さんや管理会社に伝えることはしなかった。
繰り返される単調な毎日に飽きてしまっていたし、そんなエネルギーもなかったのだ。
退去時に穴のことを咎められたらどうしようという考えは脳裏を掠めたが、目の前の「面倒くさい」にはなにものも勝てない。
なにせ、もう何年も同じような日々だ。
毎日家と会社の往復だけの生活。晩御飯は最寄駅から家までの間にあるチェーン店の弁当屋で日替わり弁当を買って帰ったり、駅前のスーパーで半額のお惣菜を買ったり、なかなか心と時間に余裕がない。
こんなんじゃ結婚しても料理なんてできないと思いつつ、まあ、結婚の予定なんてない上に彼氏すらいないんだから、私は一生このまま独身で他人の作った冷飯を温めて食べていくのだろうと思う。
最初の一週間目。穴との同居は順調そのものだった。
二週間が過ぎた頃、微妙に穴の大きさが違う時があることに気がついた。
テレビに顔を向けると視界の端に映るため、どうしても穴を見てしまうわけだが、5センチくらいだったはずが、手のひら大になったり、逆にものすごく小さくなっている時がある。
消えることはなく、どれだけ小さくとも1センチ以下にはならないようだ。
あまり大きいと不気味だと思いつつ、休日のある日、ぼんやりと好きなスマホゲームをしていたときだ。欲しいカードが1回のガチャで出た。
やったー!と誰もいない部屋で大きな声を出し、両手を振り上げて喜んでいると、ふと穴が目に入った。
見る間に、シュルシュルと穴が小さくなった。
「え?縮んだ?」
驚き、穴に近寄ってみる。先ほどまでの喜びが消え、不安な気持ちになった瞬間、穴がにゅるにゅると大きくなった。
「今度は大きくなった?え、やだ、気持ち悪いな」
手のひら大の大きさになって止まり、それ以上は動かなかった。
大きさが変わった以外、変化はなさそうだ。
考えてもわからないと感じ、壁から身を離して座り直した。
その夜、次の日の仕事のことを考え、休日中にやらなくてはいけない積み残しの仕事を嫌々やって、それが終わり、顔を上げると、穴がまた一段と大きくなっていた。
この穴は私のストレスや不安で大きさが変化するのだ。
そうわかったのが最近。そして今に至る。
今日は珍しく映画を観に行くため、早起きをした。
休みの日に出かけるなんていつぶりだろう。
休日はベッドかベッド下のラグの上でダラダラするだけが多かったので、春めいてきたこともあるし、春休みに合わせた映画を見ようと思い立ったのだ。
穴はとても小さくなっている。私は浮き足立っているからね。
久しぶりのフルメイク。仕事の時は必要最低限の化粧を面倒だと文句を言いながらするが、誰に会うわけでなくとも、こういう時のメイクは心の高鳴りが違う。
ずっと繁忙期が続いていたせいで、肌荒れがひどい。穴もずっと大きかったもんな。
仕上げに大ぶりのイヤリングをつけ、もう片方、と、イヤリングが手元から落ちて床へバウンドした。
イヤリングが、ポイっときれいに放物線を描いて、穴に吸い込まれていった。
「え、入っちゃった!」
まさか穴に物が入ってしまうとは思わなかった。
でも、この穴に手を入れるのは怖い。
仕方なくイヤリングは諦め、時計を一瞥して家を出た。
噂通り、映画はとても壮大で良い映画だった。
お昼ご飯も贅沢をしてちょっといいお店で食べたし、大満足。
帰りに高級スーパーでお惣菜を買い込み、ビールも用意した。同じお惣菜でもいつもの激安スーパーとは値段が違う。きっと味も違うことだろう。
意気揚々と帰宅し、荷物を置いてシャワーを浴び、パジャマに着替えて早速ビールを開ける。
ふと、穴のそばにイヤリングが落ちているのが見えた。
今朝、穴に入ってしまったイヤリングだ。
「戻ってきたのかな?それとも入ったと思ったのが気のせいだった?」
真相はわからないが、失したものが戻って嬉しかった。
私は普段、アルコール類はほとんど飲まない。だが、今日の映画はとても良かったし、パンフレットを眺めながらビールを飲みたい気分だった。
穴からイヤリングが帰ってきたのも幸運に感じたし、ついつい飲み過ぎてしまった。
一人暮らしで酒を飲むと止める人がいなくて駄目だ。
気づくとかなり酔っ払って、ふわふわしながらラグの上に転がっていた。
目線の先に穴がある。
穴。なんだろう、あれ。改めて、あの穴はなんだろうという気持ちになった。
酔いからの好奇心で、私はゆっくりと起き上がると穴の前に正座した。
穴はちょうど女の私の手首が入るくらいの大きさ。
「穴……本当になんなのよ」
穴に手を入れた。いや、入った。
右手を穴に差し入れると、抵抗なくにゅっと20センチほど入った。
穴の中は暑くもなく、寒くもなく。風も吹いておらず、土や水の感触もない。空間へすっと入った感じだ。
「なんだろう」
そう呟いた瞬間、穴の中の右手が誰かに掴まれた。
しっかり、人間であろう感触に手首を掴まれ、私は悲鳴を上げながら手を引き抜いた。
手は無事だった。しかし、あまりの恐怖に心臓が割れそうだ。
パニックになりながら後退り、近くにあったビールが入っていたビニール袋が手に触れたので、それで穴を覆おうと思った。
部屋を眺めまわし、ガムテープを引っ掴んで、穴の上にビニール袋を貼り付け、ガムテープで固定する。
穴はなぜか小さくなっており、ビニール袋で見えなくなった。
なんとか塞いでやったという安堵の気持ちもあるが、あの掴まれた感触が残っていて肌が粟立った。
ああ、酔いなど冷めてしまった。やれやれだ。
私はどうして今まで安穏と穴と暮らしてきたのだろう。今更、後悔が浮かんだ。
翌朝、ビニール袋が壁に貼り付いている光景を見て、夜のことを思い出した。
恐怖しながらも、疲れていたせいもあってあの時はそのまま寝てしまったのだ。
穴は見えない。今日は会社に行かなければいけないし、私は恐ろしさをふりほどくように家を出た。
仕事が終わって「家に帰りたくない」と思うなんて初めてのことだ。
部屋には穴がある。消えていてほしいと願うものの、きっとまだあるという妙な確信があった。
玄関のドアを開け、電気を点けて進む。
4歩も歩けば寝室兼居室。電気のスイッチを押し、「落ち着け、落ち着け」と独り言を言いながら壁を見る。
ビニール袋がなくなり、穴が空いていた。
膝から崩れ落ち、絶望感を感じた。
穴は大きくなればビニール袋を飲み込むだろう。
もっと大きな紙なり、なんなら、ホームセンターでベニヤ板のようなものを買ってきて貼り付けるべきか。
私はため息と共にゆらゆらと立ち上がって、穴に近づいた。むろん、手など入れない。今は直径が30センチほどだ。
すると、穴から何かぴょこんと出てきて、覗き込む私の額に当たった。
「痛っ!」
転がったものを見ると、小石だった。
「なんでこんなものが?」
つまんで首を傾げていると、またポイと穴の向こうから小石が。
コツン。コツン。コツン。コツン。
小石はどんどん出てくる。
「何よ?これ?」
不安になって穴から体を離すが、今度は少し大きめの石も出てきた。
いや、帰宅した時は小石が通る程度だった穴が、大きくなっているのだ。
石が増えるごとに、私の不安と不快感と恐怖が大きくなり、穴が大きくなる。
コツン。ゴトン。ガチャン。ガチン。
私の心臓の音と目の奥が痛くなるほどの恐怖と連動するように穴は大きくなり、ついに。
人が通れるほどの大きさになった。
私は咄嗟に放り出していたカバンを引っ掴み、一目散に家を飛び出した。
どこをどう走ったのかわからない。とにかく誰か人がいるところ、人気があるところと、駅を目指した気がする。
その後、私は一度もあの部屋に帰ることなく、実家へ身を寄せ、落ち着いてから引っ越した。
あの部屋の片隅にあった穴はなんだったのかわからない。
引越し業者の人は穴など空いていなかったと言っていたし、もちろん大家さんも同様だ。
過ぎたことは気にしないようにしたが、一つだけ、そう、一つだけ気になることがある。
新しい部屋の廊下にも。
穴が。
2023/12/08 猫田こぎん
部屋の片隅で#18
気づけば季節はもう冬らしい。私はまた一日という時間を無駄にする。あの別れから4ヶ月が経つけれどまだ心の整理がつかずに休職させてもらっている。会社の人に迷惑だと思ったから退職してもいいかなとも思ったけど、友達が「一旦休職して心と部屋の整理をしなさい」って足の踏み場もない部屋に目を落としながら優しく言ってくれて一応延命できている。
私は8月の初旬に突然別れを告げられて、連絡手段も全て絶たれた。私の話なんて聞いてくれなかった。いつだって自由な彼は私のくだらない話も聞いてくれた。すごく安心できる時間でなんとなく無くならない時間だと思っていた。期待しちゃいけないと思っていたけれど私はいつからか彼に期待をしてしまっていた。私のことなんて興味ないことわかっていたのに。本当に愚かな話だよね。
私は部屋の片隅で涙を堪えながらあの日の思いを吐き出していく。
後悔なんてもうごめんだよ。
過去に縋って生きるのはもうやめよう。
ありがとう、さようなら。
僕の家、今は使われていない暗い部屋の片隅に
それはあった。
形や色は見えない。
ライトの光を当てると、逃げるように去って行く。
出ていったと思ってあかりを消すと、姿はない。
だけどその部屋にいると、じっとりと見つめられるような視線を感じる。
まだいるのだろう。
そんな薄気味悪さを抱えながらも、年末の家の掃除があるので僕は仕方なくその部屋の扉を開けたのだ。
部屋の片隅で体育座りしながら泣く。そんな光景を漫画かアニメで見たような気がするけど実際にはやる奴いないか。
しかし今日のお題も中々難しいな。隅っこか。なにかあるかな。
考えたけど何もないや。今日も普通の日記にするか。
昨日もそうだったけど今日も暖かい。昨日なんて昼間はちょっと暑いくらいだった。これで冬なのか。
部屋の中でも暖房をつける必要がない。寝る時に電気毛布はいるけどそのくらいだ。
今年はまだ吐く息が白くなるくらいの寒さは数えるくらいだな。涼しくて過ごしやすい。
夏が異常に暑かったからその代わりに冬が暖かいのかね。なら酷暑もそうわるくないのかもしれない。
とはいえ慣れちゃったけど今の夏はエアコン必須なのが普通に嫌だな。一年中春ならいいのに。
部屋の片隅で。
溜まったホコリ。
残された虫の死骸。
玩具の破片。
主観的にも客観的にもなり得る。
1人暮らしを始めて不安だったから
部屋の四隅にお守りの塩を置いた
僕には
僕には出来ないことがたくさんあって
もちろん飛行機で遠いどこかへ旅することも
出来ません
でも僕はこの場所から空を見上げて
青空の中のひこうき雲を見ることが出来ます
僕はその瞬間とても幸せで
僕より優れた誰かを羨むこともないし
僕より劣った誰かを蔑むこともありません
その幸せは誰かの基準ではなく
僕自身の基準で
誰かに承認や許可を得たりすることもなく
ただそこにあるものです
幸せはいつもただそこにある瞬間であり空間です
あなたの幸せは何ですか?
そんな話を誰かとたくさんしたくなる日が
僕にはあります
それは確認ではなく共有であり
強制ではなく解放であり自由なのです