『遠くの空へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
地図なき航海
思うままに進めばいい
果ての空は何色なのだろうか
#遠くの空へ
「俺さ、死んだら鳥になりたいな。」
ジワジワと蝉が鳴きわめく真夏、扇風機の風に吹かれたお前はそう言った。帰省した実家の縁側は、沈みゆく西陽に照らされて、茜色に染まっていた。居間に座る俺を振り向いて言ったお前の顔は、逆光になっていてよく見えない。笑っていたような気もするし、真剣な顔だった気もする。今となってはもう、確認のしようも無いが。
目の前で行われる読経が遠く聞こえる。俺は間違いなくここに居るのに、どこか他人事のように感じられる。飽きるほど見たお前の笑顔が、今はもう写真でしか見られないという事実が、信じられなかった。周りからは、見覚えのある大人達のすすり泣く声が聞こえる。普段は明朗快活なお前の父さんが泣いている姿を、俺は初めて見た。焼香の列に並び、自分の番が来る。手は機械のように焼香を挙げるのに、俺の意識は煙に燻されるお前の遺影を、ただ呆然と眺めていた。実感が湧かない。今だって、お前が俺の後ろに並んでいて、似合いもしないかしこまった喪服を着て俺に囁きかけてくる気がしてしまう。今後ろを向いたって、ハンカチを片手に添えた近所のおばさんしか居ないのは分かりきっているのに。
俺よりずっと身長が高かったお前が、今は俺の胸に収まってしまいそうな壺一つになってしまった。お前を見送り終わっても、横に居るお前の陽炎が俺の心を弄ぶ。街の至る所に残ったお前との時間の残影が、お前がもう居ない事実をかき消してしまいそうだ。お前の痕跡を辿って、意味も無く歩き続けて、やがて着いたのは海だった。夏になると、いつもここへ2人で来た。いつまでも子供っぽいお前は、来る度に靴と靴下を脱ぎ捨てて海に浸かり、俺目掛けて水を蹴り飛ばしてきた。今はもう、あの水しぶきは飛んでこない。あの時はあんなにうざったらしかったのに、飛んでこなくなると寂しくてたまらない。海水と同じ味をしたそれが頬を伝った時、カモメが鳴いた。初めは無視していたが、あまりに鳴くので音の根源を見上げる。見上げたカモメは、俺の真上をぐるぐると旋回しながら飛んでいた。珍しい光景に思わず涙が収まる。そうしたら、そいつは満足したように一声鳴いて海の向こうへ飛び去って行った。水平線に吸い込まれるように飛んでいく姿はどこか楽しそうで、お前のいつかのセリフが俺の脳裏を掠めていった。
テーマ:遠くの空へ
*お題アーカイブ用(8/16)
【遠くの空へ】
「性も言葉も違うけど、確かに分かり合えるもの」
遠くの空へ
一瞬だけ、そちら側へ行きたいと願った。
踏切越しに広がる空。
下校中はずっと地面を見て歩いてたのに、そこだけ空が綺麗に見えて。
夕日で赤く染まり始めている。
踏切を越えたら空の向こうに行けるかなって。
楽になれるかなって。
でも私は臆病だから、まだあっち側に踏み込めずにいる。
遠くの空へ
1回空になりたいよね、世界一周旅行余裕じゃないですか。雲でも可
しばし休業中
(遠くの空へ)
遠くの。。空へと。。飛んで、ゆけたなら。。
あなたと。。分かち合いたい、、
あんな場所にいたせいで
自分の馬鹿さに気づいたせいで
あなたの苦しみも
今ならわかるけど
許さないから
「くそばかやろう」
ギラギラいつまでたっても
雨が降りそうにもない
脳天気な夏空に
「くそばかやろう」
何だってできそうな希望も
いつだって砕けそうな自信の無さも
見上げた空が広すぎて
「くそばかやろう」
私の苦しみが全て
愛しいあの人に続いてたことも
「くそばかやろう」
明日もきっと
私は愛に生きている
#66「遠くの空へ」
「遠くの空へ」
悩みがある時は、高い所に登って街を見渡すといい。
ミニチュアの様な人々や車が細々と動いている。
上から眺めると、私達もあんなちっぽけに見えているのかと、よく実感できる。
まさにその通りだ。
馬が合わない上司も、自分を大切にしてくれない恋人も、誰よりあなたを愛してくれている家族も。
そして他ならぬあなた自身も、こんなにちっぽけな存在に過ぎないのだ。
そんなちっぽけな事に思考を支配されて、頭を悩ませるのがどれだけ馬鹿らしい事か、あなたは思い知るだろう。
ちっぽけな人間の営みを眺めるのは止めて、空を見上げてごらん。
どれだけ高いビルや山に登ろうと、空はどこまでも広がっていて、地平線の先を見渡すことはできない。
ちっぽけな人間に悩まされるのはもうやめて、遠くの空へ視野を広げてみよう。
遠くの空へ 願う
僕を連れていって
遠くの空に 向かう
もうすぐいくから
遠くの空は 言った
もう少し 待ちんさい
愛と平和を投げかける
遠くの空へ
必ず届くから
【遠くの空へ】
帰り道に浮かぶ、紫と青の交わり。
浮かぶわたあめを食べたかった、幼き頃を思い出す。
ストーカーの宝石は、私のことを愛してるのだと思っていた。
照りつける炎をあまりみてはいけなかったから、そのときの青さしか覚えていない。
背が伸びるたび、少しずつ近くなる。
しっかり息をしないと、苦しくなっていく。
それでもまだ生きていたい。
#遠くの空へ
わたしには
翼なんて無いから
そこには行けないよ
貴方は知らないことだけど
わたしには
毎晩決まって見る夢があるの
とおくとおくの
淡く蕩けた
トパーズ色のあの空へ
ずーっと羽ばたく
そんな夢
「それは、オルゴールみたいに
トクトクって
音を立てて
心臓が高鳴るの。」
ねぇ、ちゃんと聴こえてる?
トパーズって、まるで貴方の声みたい。
遠くの空へ…
と…透明度の高い高い高ーーーい
お…おくとぱすおくとぱすおっおっおっおおくと
ぱす
く…クローして生きてんだ!ってフコーずぃまん
の…のっぴきのっぴきのっのっのっののぴきならねぇ事態時代
そ…そらでゆえるほどのことはしゃかいになんらひつよーのないことだらけまつり
ら…らんちゅーるいもちゅーるたべる????
へ…へッへへへへッへッッ⭐︎へのへのもへじぃ〜
お題『遠くの空へ』
あの子の家くらい遠く、向こう。
それは嘘のように一瞬で、けれど確かな瞬間。君が瞬きをする間に過ぎ去る日々。僕の一生。
遠くの空へ
空へ遠く
空の遠く
空は何処からでも果てしない
お題のない
お題に導かれながら
手に取れるお題に挑むけど
このお題が主題ではないと知ってはいる
主題なんてないと思いながら
どこか遠くへ
遠くの空へ行ってしまいたい
ひとり自由に遠くへ飛んで行きたい
【遠くの空へ】
【遠くの空へ】
聞こえる
たっぷりと水を含ませた絵筆で
アクアブルーの絵の具を塗り広げたみたいな
澄み切った青空の向こう
死んでいった人たちの想いが
耳ではなく心に聞こえてくる
死人に口なしと言うから
想像でしかないと言われればそれまでだけれど
確かに聞こえる
生きている私たちに託したかった想いが届いている
ちゃんと聞こえたよ
遠くの空へと声を張り上げ
大きく手を振った
緩やかに白い雲が流れていく
平和で退屈な時がゆっくりと進む
多くの人が今を幸せだとは知らぬまま
当たり前のように青空の下を歩く
遠くの空へと想いをはせる。あの人は今どこで何をしているのだろう。私にはもう到底分からなくなってしまった。
心が明るくなる日がきたら、その日はどんな空をしているだろう。
【遠くの空へ】
【遠くの空へ】
遠く 遠く 遥か遠くまで
この想いを乗せて
飛んでいけ
きっと
後悔なんてしない
あなたのところまで
私が行けなくとも
この想いが
あなたに届くなら
それだけで