『遠くの空へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
拝啓
拝啓と敬具はセットなんだね。
手紙を書いたことがあまり無かったから、パソコンで調べたら、初めと終わりにつけることを知ったよ。
メールでやり取りしてたから手紙を送るのは新鮮だなって思う。
君は今どこにいるの?でも、きっと空の上だよね。
私たちを見守ってくれてる。今も守ってくれてるの、知ってるよ。ありがとう。
それと、ずっと伝えられなかったけれど、君のことが好きでした。手紙でなら簡単に書けちゃうね。
君ともっと喋ればよかったなあとか、勇気を出してどこかに誘えばよかったなあとか、後悔ばかり浮かんできます。
自分のことばかり書いちゃってごめんね。こうでもしないと、ずっと引きずってしまいそうで、今回手紙をかきました。
君は今、辛くない?寂しくない?出来ることなら会いに行きたいけど、そしたらきっと怒られちゃうね。
君を悲しませたくないから、わたしは今日も元気に生きていきます。
私が頑張って生きた先でまた会えたら嬉しいです。
敬具
草木の少ない庭で、マッチ箱にマッチを擦って、綴った手紙を燃やしました。届くといいな、という自己満足。分かってるけど、伝えられずにはいられなかったのです。
遠くの空へ
遠くの空へ
(宝石の国二次創作)
漆黒の中に輝く砂粒が散りばめられたような空。見慣れない空の色にも慣れてきた。月へ来て三年。まだスピネルは来ない。遥か遠くの空の、自分の生まれた星を見る。冴えた青が懐かしい。
(君は俺がいなくなって、悲しんでくれただろうか)
胸を痛めたなら嬉しいと、意地悪なことを考える。月での生活はよかった。知らない大地、知らない空。踏み出すたびにワクワクする。地上で満たされなかった心が、満ちるのを感じる。だけど、君を裏切るなんて出来なかったから、せめて君を共犯にしたいと思う。
(遠くの空へ。今日のスピネルはなにしてる?)
君とこの空を見るのを楽しみにしてる。空を見上げながら語らって、君の決断を聞こう。俺はどんな答えでも従うよ。
遠くの空へ
私の代わりにあの人を護り
私の代わりにあの人を支えて
私の代わりにあの人に幸せを与えてください
そう思って
ありがとうの気持ちを
空へ投げた
薄濁る、梅雨の雨。
屋上は風が強く吹き荒れ
黒曜石のように、暗く 冷たい。
容赦なく打ち付ける鋭い雨が制服に滲み、じわじわと私を冷やす。
迷いなく足を浮かせる。
宙に傾く体
落ちていく
雨とともに、降り注ぐ
いつの間にか 落ちてたどり着いたのは
なにもない
薄灰色にただ染まっている
遠い空
お題
遠い空へ より
拝啓
遠くの空へ飛び立って行った貴方へ
元気にしていますか。
病気はしていませんか。
寂しい思いをしていませんか。
そちらの空は綺麗ですか。
こちらの空は、綺麗です。
毎日違う顔を私に見せます。
でも、毎日見るのは
見たことの無い空の顔でも、
思い出すのは、共に空を眺めた貴方の横顔なのです。
貴方が一緒になってようやく、
私の空は完成したように、私は思います。
毎日穏やかに、時に荒れ狂う空ですが、
そこを伝っていけば、貴方の横顔がまた
見られるでしょうか。
貴方の横顔は常に、この空の傍にあるのでしょうか。
こちらの空と、そちらの空は
繋がっているのでしょうか。
そう考えても答えは分かりませんが、
そう思うようにすると少し、
心が軽くなります。
またいつか、美しい空と共に貴方の横顔が
見られる日を夢見て、今日も1人、夕日を眺めます。
またいつか、お会いしましょう。
敬具
「遠くの空へ」
あーあ。
やり場のないこの気持ちをどうしようか。
あーあ。
怒っても泣いても慰めてくれる訳でもない。
あーあ。
ため息ひとつ。
あーあ
昼下がりの公園。
お気に入りのメロンパンを奪って、
トンビは遠くの空へ飛んでいったのであった。
あの日のメロンパン
お題 遠くの空へ
一人じゃ何も出来ない女だと
誰かに噂されたくないから
昨日の私を捨てて遠くの空へ歩き出す
隠してた今までの自分の姿を
怖がらずに魅せていく
夕焼け空
青とオレンジのグラデーション
いま この街の空はきれいな色だよ
君がいる場所はどうかな?
らしくもないけど 遠くの空へ 思いを馳せたよ
「遠くの空へ」
あの場所に行っちゃった
貴女に会いたい
大人になった 私を見てほしかった
仕事の話 恋の話、色んな話を
たくさんしたかったなぁ
Lumie're sombre
届か無い想いだけ
天に舞う
叶わ無い嘆きさえ
光に散る・・・ 今・・・
彷徨う闇の中
募る時の数だけ
傷痕が疼いた
逝き定めた夢
歩き続ける刹那
堪えた意味は
「何故 生きてるの・・・?
何故 生きてたの・・・?」
何時迄・・・
届か無い想いだけ
天に舞う
叶わ無い嘆きさえ
光に散る・・・
遮る記憶が痛くて
流れた雫
言葉に出来無い程
瞼を閉じ・・・
今 此処から・・・
光を・・・
2022.4.13
鳥になったら、何も考えずに飛んで暮らせるかな。
何もしてないのに、涙が出るなんて日は無いのかな。
『遠くの空へ』
【遠くの空へ】
見上げた空には鳥が飛ぶ。
ここに繋がれた鳥たちも飛びたいのだろう。
窓の外を見ては、自身を繋ぐロープを噛む。
「子犬工場」
子犬工場には、由緒正しき家庭から来た犬達がいました。
犬達は皆、血統書と言う紙切れを持っています。
この工場にいるメスのチワワも、お父さん、お母さん共にチワワの血しか流れていない由緒正しき家庭から来ました。
子犬工場は、血統書付きの犬を作るための工場で、チワワはチワワ、トイプードルはトイプードルと言った同じ犬種のオスメス二匹で子供を作り続けなければなりません。
子犬工場の環境は劣悪で、狭い檻に同じ犬種のオスメス二匹を閉じ込められています。餌はほんの少ししか与えられません。シャンプーやカットや爪切りや肛門絞りと言った体のケアはさせてもらえません。
メスのチワワも、同じ檻のオス同様にワンワン吠えて餌やシャンプーを要求しますが、犬達を管理している人間が来て、犬達を怒鳴り散らし、犬達が吠えなくなるまで棒で殴り続けました。
体中は泥だらけのように汚れてしまい、突然同じ檻に入れられた見知らぬ犬と毎日のように交尾して、子供を産み続けなければならない日々。同じ仲間の中には、病気になり、治療もさせてもらえず天国に行ってしまう犬達もいました。
メスのチワワはいつしか鳴かなくなり、人間に何されても抵抗出来なくなったある日、夢を見ました。
いつも檻部屋に来ている人間の他に、見た事の無い人間が来ました。いつも来ている人間は、
「この犬、子供産まなくなったんで引き取って下さい」
と、見た事の無い人間に言って、見た事の無い人間は、メスのチワワをキャリーケースに入れました。メスのチワワは、
「どこに連れて行かれるんだろう?」
と、不安でした。保健所に連れて行かれた場合、殺処分される可能性が高いからです。メスのチワワは震えていると、見た事の無い人間は、
「キレイにしてあげるからね」
と、メスのチワワに優しく語りかけました。
着いた先は保護施設。メスのチワワは栄養価の高い餌をお腹いっぱい与えられ、トリマーの男性に生まれて初めてシャンプーやカットや爪切りや肛門絞りをやってもらいました。トリマーの男性は、モサモサに生えて、所々毛玉になっているメスのチワワの毛のカットに苦戦しましたが、見事にポスターに載っているチワワらしい外見に仕上がりました。メスのチワワは嬉しくて、思わず「ワン」と吠えました。
「これで新しい飼い主さんを見つけるだけ。もっと鳴いたりして犬らしく生きても良いんだよ」
トリマーの男性はメスのチワワに優しく語りかけました。すると、雲に乗った人間が現れて、メスのチワワを空の国へ連れて行ってしまいました。
「安心して下さい。雲の上の世界は苦しい事も辛い事も悲しい事もありませんよ」
朝になり、オスのチワワはメスのチワワを起こそうとしましたが、メスのチワワは動きませんでした。
遠くの空へ向かって
紙ヒコーキを飛ばす
風に乗ってどこまでも行け
きっと君なら出来るから
舞華
遠くの空へ
思いを込めて
遠くの空へ
願いを届け
今この時
起こること全て
遠くの空を眺め
今が始まる
かほ
遠くの空へ
わたしの母からきょう
ふるい桐箪笥をゆずりうける
母のおさない指のふれた
母の兄弟、姉妹たちの育ちをみつめた
母の父、また母の
祖父母、また曾祖父母たちの
私の存在にいたる
永い血のつらなりを共にしてきた
ふるい桐箪笥
きょう
血のつらなりの先陣をゆく
わたしの娘のもとに
この幾年のいとなみを連れた桐箪笥は
やってくる
娘のいのちの育ちの日々は
また
このふるい桐箪笥に寄り添われ
おぶわれ
ただ、いるという愛で
わたしたちの日々を
その身に積んでゆくのだろう
ようこそ
古い歴史
ありがとう
家族のいのちの日々を見つめてくれて
これからも
どうぞよろしくね
どこまで逃げたって頭上は同じ空。
嗚呼恨めしい。
今日もわたしは遠くの空を眺める。
君への想いをのせて空を見る。
いつか叶う日が来るといいな。
『遠くの空へ』
願いを書いた紙飛行機
どこまでもどこまでも
飛んでいけ
遠くの空へたどり着いたら
願いは叶うと信じてる
遠くの空へ
遠くの空へ
飛べるなら
久しぶりに
お見舞いに行きたい。