儚花

Open App

遠くの空へ



わたしの母からきょう

ふるい桐箪笥をゆずりうける

母のおさない指のふれた

母の兄弟、姉妹たちの育ちをみつめた 

母の父、また母の

祖父母、また曾祖父母たちの

私の存在にいたる

永い血のつらなりを共にしてきた

ふるい桐箪笥


きょう

血のつらなりの先陣をゆく

わたしの娘のもとに

この幾年のいとなみを連れた桐箪笥は

やってくる

娘のいのちの育ちの日々は

また

このふるい桐箪笥に寄り添われ

おぶわれ

ただ、いるという愛で

わたしたちの日々を

その身に積んでゆくのだろう


ようこそ

古い歴史

ありがとう

家族のいのちの日々を見つめてくれて

これからも

どうぞよろしくね

4/13/2022, 1:32:01 AM