『過ぎ去った日々』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「この人を知っていますか」
一枚の写真を見せたられた私は、知っていますと頷いた。
「この人と最後に会ったのはいつですか」
昨日も会いましたけど。この人がどうかしたんですか。
「この場所は知っていますか」
この海、昨日も行きました。屋台が沢山並んでいて、焼きそばを食べました。
「海に行った帰りのことは覚えていますか」
帰り……ですか。帰りは手を繋いで帰って、いつも通り何事もなく。
「その時、彼は携帯を気にしていませんでしたか」
携帯は気にしてたかもしれません。顔色が一瞬変わったような……でも、普通でしたよ。また連絡するって言ってました。
「連絡はきましたか」
きて……あれ?
「連絡はきましたか」
……わかりません。きてないのかもしれません。私が覚えていないのかも。あれ、どうだったかな。どうして覚えてないんだろう。ちょっと待ってくださいね。いま確認しますから。
「連絡はきましたか」
きてないです。で、でも昨日の今日だし、夜になればくるのかも。もう少し待ってみましょう。きっと他愛もない会話をしてくるはずです。
「最後に連絡がきたのはいつですか」
え……だから、昨日ですよ。昨日会ったんですから。
「今日は何月何日ですか」
三月十日でしょ。わかってますよ、ほら。
「いまは令和何年ですか」
令和……?
「いまは平成じゃ、ありませんよ」
平成じゃ……ない……?
「いいですか、貴女は十年も前のことを昨日のことだと思ってるんです。あの日彼と海に行った貴女は、あれから一度も彼と会っていない。音信不通になったんですよ」
音信不通……なぜ……。
「貴女は彼に捨てられたんですよ」
やだなぁ、違いますよ。違う、違う、違う、違う。そんなわけないじゃないですか。どうして私が捨てられるんですか。捨てられませんよあの人は。私を捨てない、絶対捨てない、捨てるわけない。だってあの人、私のことが好きでしょう?
「身内に不幸があったんでしょうね。父親を亡くし、彼は貴女を捨てて母親を選んだ」
そんなこと知りません。
「いいえ、貴女は知っています。連絡がこなくなって不安になった貴女が彼の家を訪ねるとそこにはもう誰もいなかった。その足で知人からすべてを聞いた貴女はその真実を受け入れられずにいまも」
いいえ、いいえ、いいえ。
「いい加減、過去のことは忘れて現実を見てください」
過去だなんて言わないで。私はいつだって現実を見ているの。
「あの頃の彼はもういないのです」
#5 過ぎ去った日々
過ぎ去った日々。
コロナ禍によって消失した日々。
特に学生。本来はイベント事に溢れ、出会いに溢れるはずだった、新生活、新天地に淡い期待と思いを馳せていた。
待っていたのはオンライン授業と監禁に近い自宅での自堕落な生活。貴重な時間が溶けるようになくなってしまった。
過ぎ去った日々を元に戻す事は不可能だ。
しかし一方で、その日々の中で培った経験がある。
オンラインが故に得たパソコン技術。
就活の時に役立つだろう。
大学で新しい友達が出来なかった分、高校時代の友達と今でも遊ぶ事が多くなった。きっと一生物だ。
肯定的に捉えるには難しいが、過ぎ去った日々を「無かったもの」にするのは違うはずだ。
今日は卒業式。
あっという間の3年間だった。
これまで、進路のとこでたくさん話を聞いて
一緒に悩んでくれた先生方。
同じ教室で沢山のことを学んで
一緒に努力してきた友達たち。
みんな、それぞれの道をゆく。
就職活動が苦で、諦め、他の道へと歩む人もいた。
逆に、諦めずにその道へと一直線に進み
努力が報われた人もいた。
僕はどうだろう。
一人一人が、満足する道へ行っている中
僕も満足した道へと進めてるのだろうか。
僕は誰よりも のんびりで マイペースで
判断が遅く 迷ってばかりだ。
3年間学んできて僕は
やっと1年生の土台に立てたくらいだ。
あっという間に 過ぎていった日々
僕は今 ちゃんと立てているのだろうか。
自分の足で 進むことができるのだろうか。
いや、出来ないじゃない やるんだ。
今までの3年間を、自分のものにするんだ。
過ぎ去った日々を大事にして。
【過ぎ去った日々】
日々は過ぎても思いは残る。
そのうちに月日が経って
身が無くなってしまうまで
いつまでも思うことだけは
するだろうね。
過ぎ去った日々を思い返す時
必ず君への想いもよみがえってくるんだ
いじめにあい10年が過ぎた。後悔しても、もう後戻りは、出来ない。
過去のあなたも
現在のあなたも
あなたはひとつながり
どんなに変わったって
なにが変わったというのでしょう
あなたという
ひとつ限りのたましいを
わたしは愛しているつもりです
過去のあなたから受けとった
得難きあのやさしさが
今も忘れられず
あなたはどうしているかと
過ぎた日々の中に住むあなたを
思い出していました
わたしはなにも恐れていません
あなたが変わったというなら
わたしはたぶんもっと変わった
そしてなにも変わってはいない
それをたしかめもせず
いつまでもあなたを
過去のままにしておくなんて
待つだけの人生なんてと
あなたならきっと
やさしく笑ってもくれるのでしょう
#過ぎ去った日々
「過ぎ去った日々駅」は、過去から抜け出せない人でごった返している。駅前は郷愁でとてもとても美しいが、裏路地は、憎悪や絶望で目も当てられない。
「こちらの駅での長居にはくれぐれもお気をつけください」
今を生きる駅行きの発車時刻が迫っている。
#過ぎ去った日々
ウチの校舎は今年で閉校
来年から坂下の子と新校舎で新生活が始まる
元々ウチの島は人口が少ないからね
旧校舎最後の卒業生もすごいけど
新校舎初めての卒業生になる私達もすごいよね
見慣れた景色ともお別れ
この校舎が無くなるのは寂しい
定年劣化なのもわかるけど何かしらで残してほしかったな
過ぎ去った日々はどれもいい思い出
太鼓の発表会したり
授業中に逃げたニワトリが教室が飛び出してきたり
風で校舎の屋根が吹っ飛んだ時はさすがに笑ったね
ボロいけどやっぱりこの校舎が好きだな
いつか大人になった時ふとした時に、この場所を思い出すと思う
そんな気がする。
人生を失敗したなと思い始めたのは、30半ば
くらいから。
しらふになると罪悪感や後悔や自責の念ばかり
いつの頃からか、タイムスリップして人生やり直したくなる。
でも最近、変化が、訪れた。
もしタイムスリップして、海岸のテトラポッドの上で目が覚めたとする。
それは、高校生のぼくで、それからの人生や世の中
にどんなことがわかっている。
が、しかし僕は、きっと例え未来になにが、
起こるとわかっていても、自由に
生きていくんだろうなと思ったら、勇気が、
沸いて来た。
―過ぎ去った日々―
時々スマホの画像フォルダを覗く。
そこには過ぎ去った日々の思い出が沢山写ってる。
旅行先の風景や食べ物、花の写真が多い。
中には、こんな写真撮ったけ?っていうのもあって面白い。
友人たちの姿が見えなくなると、千沙都は振っていた手を力なく落とし、項垂れるようにバス停のベンチに座り込んだ。
(わたし、何してたんだろ…。)
高校生活も残り半年となり、一緒に遊んでいた友人たちが次々進学や就職へ向けて人生の駒を進めていく。
(みんな、まだ何にも考えてないって言ってたのに…。)
一人になると、さっきまで一緒にいた友人たちとの会話が勝手に脳裏に流れ始める。
『実は結構前から試験対策始めててさ。』
『あたしもお兄ちゃんに面接の話とか聞いたー。』
『あー、やっぱ流石に心配になるよね。』
『チサは? やっぱり成績いいし、進学するの?』
『うん、そう、ね…やっぱり進学かなぁ。』
『山下さんは国立大目指すんだって。』
『へぇ、そうなんだね。』
いつも一緒にいて、同じ気持ちや時間を共有していたはずなのに。
(普段、山下さんとなんか話さないじゃん。)
焦りといらだちと情けなさがごちゃまぜになって胸や頭をざわめかせ、それを振り払うように目をギュッと閉じたときだった。
「無為に過ぎ去った日々を取り戻したいとは思いませんか?」
千沙都はベンチから飛び退いた。
ベンチの真後ろにはにこやかな表情をしたスーツ姿の男性が立っていた。
千沙都は通学バッグを胸の前で抱きしめるように持つと、いつでも走り出せるよう身構える。
「何…何ですかあなた。」
トキナガと申します、と男は紙を差し出したが千砂都に受け取る気がないのを見て取ると「ではこちらに置いておきますね」とそれをベンチの隅に置く。
「過ごした日々を後悔されていたご様子でしたので、お声を掛けさせていただきました。」
千沙都は何も言わず男を睨みつける。遠くから誰かを呼ぶ声が聞こえた気がした。
男はニコリと笑い、話を続ける。
「私共は皆様が人生に悔いのないよう、より良い時間を過ごせるよう、その手助けをさせていただいておりまして。方法は簡単です。こちらの」
男は先程ベンチに置いた紙を手で示す。
「QRコードからアプリをインストールいただきまして、あとは案内に従って戻りたい年月日をご入力いただけば、そこからの人生をやり直すことができるのです。」
千沙都はちらりとベンチの上の紙に目を向ける。足が一歩前に出る。また誰かが呼ぶ声がする。
「お支払い方法ですが、お客様の現在の残りの寿命から、戻った年数×1.3倍の年数を引かせていただくことになっております。」
1年前に戻るとしたら1年3ヶ月と17日ほどになります、と男がベンチの上の紙を取り上げ千沙都に改めて差し出す。
それは“時間屋 時永 智”という文字と見慣れたQRコードだけが印字された名刺だった。
千沙都の右手が、身を守るように抱えていたバッグから離れおずおずと名刺に近づく。
名刺を凝視している千沙都は男の口元に今までと違う笑みが浮かんでいることには気づかない。
千沙都の手が名刺に触れる。
「チサ! チサ!」
肩を揺すられ目が覚める。
「あ…?」
「こんなとこで寝て、風邪引くよ! ってか危ないよ! ヤバいおじさんとか来たらどうすんの!」
ここで手を振ったはずの友人の真顔が目の前にあった。千沙都はバス停のベンチに座っている。
「え? スーツの人、いなかった?」
「スーツ? 誰もいなかったけど…何かされたの!?」
友人は千沙都の両肩を掴み、鬼気迫る顔を近づける。
「ううん、何でもない。大丈夫だよ。でも、どうしたの?」
「何が?」
「だって、さっき別れたばっかりなのに、戻ってきてくれたんじゃないの?」
友人は一瞬、間の抜けたような顔を見せると、千砂都から体と目を離し「なんか変だったなぁと思って。」と呟いた。
その言葉と表情に千沙都の心がふわっと軽くなる。
日々は無為に過ぎ去ったわけじゃない。
「ごめん、心配かけて。」とはにかんだ笑顔で話し出した千沙都の足元では小さな紙が風に巻かれて飛んでいった。
過ぎ去った日々
を思い出しては
後悔するばかり
過ぎ去った日々を思い出すと、思い出したくない、辛い出来事ばかりが浮かぶ。
上手くクラスに馴染めなくて、ポツンとしてた学生時代。グループを作る。という時間がキライだった。誰にも誘われず、かと言って、自分からも声を掛けられず、人数の足りないところに入れられる。泣きたくなるくらい、自分の存在意義の無さを感じる時間だった。そんなわけで、親友と呼べる相手もいないし、仲の良い子もいない。ただ、何となく日々を過ごしてた。
けど、そんな自分も歳を重ね、それなりに人付き合いができるように成長できた。今では友と呼べる相手もいるし、好きな人もいる。
過ぎ去った日々を思い出すと、思い出したくない、辛い出来事ばかりだったけど、ここに来るために必要な過程だったんだ。と、思えるほどには昇華できた。
これから先も辛いことはきっとある。けれど、その出来事を振り返ったときに、あれがあったから今があるんだな。と、笑って言えるように、なれたらいいなと思う。
成長は痛みだと知った。
試合で負けた時、失恋した時
この痛みを愛しいと感じられる時が来ると信じて
私は今日も痛み続ける
道の途中で立ち止まる。
振り返るとそこにはたくさんの思い出とつながり。
あの日の出会いがあったから、あの時の僕は誰かに優しくできた。
あの日の苦労があったから、あの時の僕は襲いかかる困難に立ち向かえた。
あの日の後悔がまだ拭えないから、今も僕は悩みながら考える。
もう同じ場所に帰ることはできないけれど。
あの日に生まれることができたから、僕はこうしてここにいる。
【過ぎ去った日々】
…あったけぇ~…ここどこ~?
…あ♡テイちゃんっ♡(兄)にすっぽり抱っこされ
てるぅ♡……これ、もしかしてオレが赤ちゃん
だった頃の夢?う~わ良い夢じゃぁん♡
って、テイちゃんの肩から姉さんがオレを
見てる…ほぼ白目剥き出しで、心霊映像に出て
くる幽霊みたいな顔で凝視してるぅ~。
流石に赤子のオレには遠慮してるのか、姉さん
…いや目が怖っ。テイちゃん取られたと思って
るんかな…普段ベッタリだもんね…。
《ピンポーン♪︎》あ、誰か来た…。
え!?テイちゃん!?ちょっと待って!
オレと姉さんを二人きりにしないで!ヤバいて!
座布団にそぅっと…置いてかないでぇっ!!
……ほら来た、姉さんが顔を近付けて…、
何か匂い嗅いでるぅ~っフガフガ言ってるぅ。
お?…おお!?座布団ごとオレを抱っこした!
おぉお…ぎこちなく揺らして……何か…
姉さん楽しんでる…?オレも…笑ってる…。
姉さんのさっきの怖い顔は、
オレを抱っこしたかったら…?なのかな……。
あ!オレ漏らした…。
あああ~!!オレを放り投げたぁぁあ!!!
…テイちゃんキャッチ!ナイス!!
なっ何ちゅう事をっ姉さんんん~~~。
……、目が覚めた…。姉さんとテイちゃんは
隣でくっついて寝てる…。とりあえず…二人に
抱きついておく……そしてまた寝る。
過ぎ去った日々とは、どんな日々だろうか。私にとっては、高校時代のことだ。あの頃は、夢に向かって一生懸命勉強したり、友達と楽しく遊んだり、恋をしたり、悩んだりした。あの頃は、自分が何者であるか、何をしたいか、どこへ行きたいかを探していた。あの頃は、まだ世界が広くて新しくて魅力的に見えた。
今となっては、あの日々は遠くなりすぎてしまった。社会人になってからは、仕事や家庭やお金や健康などの現実的な問題に追われるようになった。夢や希望や情熱はどこへ行ってしまったのだろうか。友達とも疎遠になり、恋もしなくなった。悩むことも少なくなったが、それは自分が諦めてしまったからではないか。
私は時々、あの日々に戻りたいと思う。もう一度、純真で情熱的で好奇心旺盛な自分に出会いたいと思う。もう一度、夢を見て追いかけてみたいと思う。もう一度、友達と笑って泣いて話してみたいと思う。もう一度、恋をして胸が高鳴る感覚を味わってみたいと思う。
でも私はわかっている。あの日々は二度と戻らないことを。あの日々は私の人生の一部であり貴重な経験であり思い出であるが、それ以上でも以下でもないことを。私は今この瞬間を生きているし、これからも生きていくことを。
だから私は過ぎ去った日々に感謝するし大切にするが、それに囚われることはしない。私は今この瞬間に目を向けるし楽しむが、それに満足することはしない。私はこれから訪れる未来に期待するし挑戦するが、それに怯えることはしない。
過ぎ去った日々も今この瞬間もこれから訪れる未来もすべて私の人生であり私自身であるからだ。
過ぎ去った日々
今、その人は自分と闘っている
この人も当然、過去に闘ってきた
過ぎてしまえば、自分を褒めたり悔いたり
そこにたどり着くまでが長いが
過ぎてしまえば一瞬のこと
その長い、過ぎ去る日々の
真っ只中にいる今
溺れないようそばに居り
うまく泳ぎ出すのを見守ろう
#52 『過ぎ去った日々』
タイムマシンを作った
たった一人で
とうに還暦を超えてしまった
友と呼べる人も愛し愛される人はいなかった
ただタイムマシンを作っても若返りはしないし、過ぎ去った日々は取り戻せない
そこで若かりし自分にやり直して欲しいと思った。
そうすれば今の私にも友や愛する人ができるかもしれ………
私はタイムマシンを壊した
今の私に友や愛する人がいても多分苦しいだけだ
私は孤独を楽しむことにした