『通り雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
通り雨
「うわ、雨!あ〜あ〜…朝は降りませんよみたいな空してたから外に干したのに…。」
怜が突然の雨音で慌ててバルコニーに出て、ぶつぶつ言いながら干したタオルや服を取り込む。
俺はまったりと立ち上がって、窓の側で怜から半乾きのそれらを受け取った。
雨で一際冷えた空気が窓から吹き込み、自然と深く息を吸い込む。
「…でもいい匂いだ。」
「そうだけど…乾いてから降ってくれたらなぁ。」
「俺が干し直すから、ほら深呼吸。」
「…、うん、確かにいい匂い。」
「ね!」
『通り雨のせいにして』
冷えた手も
頬を伝う涙も
忌まわしい記憶も
突然降ってきたこの雨のせいにして
心に巣喰う闇も
孤独も
虚しさも
すべて通り雨で隠して
誰にも知られないように
濡れた身体で
「参ったな…」と言えば
きっとあなたに伝わらない
でもなにも知らないあなたが
「馬鹿ね。風邪引くわ」と
雫をタオルで拭ってくれるから
少しだけ、少しだけ、晴れてゆく
ただの通り雨だよ、すぐ止むよ。
それが、こんなに尾を引くなんて。
人生何があるかわからない。
あれからぼくの心はずっと雨模様。
お日様は何処に行った?傘は役に立たない。
雨上がりの虹を探しに行こう
通り雨。
会社での出来事、人間関係は会社内だけで十分。
会社外、将来のことまで気を使う必要はない。
猿共のために自分を削る必要はない。
「通り雨」
せめてこの雨が通りすぎるまで
そばにいさせて欲しい
雨の日の午後、空港で待ち合わせた。
しばしのお別れをするために。
悪天候ではあるが、今日は予定通りフライトするらさい。
私は延期すればよかったのに、と内心思っていたのに。
「じゃあ、そろそろ行くね」
それを知ってか知らずか、彼は搭乗するために荷物を手に取って歩き始めた。
「うん、それじゃまたいつか」
私は離れたくない思いを抑え込みながら、いつも通りに接した。
飛行機が空を一直線に進んでいく。
きっとこの雨も届かない上空へと旅立っていくのだろう。
私は傘を手に取り、空港をあとにした。
#通り雨
噂の雨男がこの村にもやって来た。
来る場所、来る場所に必ず通り雨を降らせるその男はどこでも噂になっていた、
長居すれば村を水没させる恐れがあり、
決まって追い出されるように村を追われてきたその男は水不足のこの村ではおおいに喜ばれた。
その日は村中集まり、大雨の中男を囲んで夜通し宴会騒ぎだったそうだ。
~通り雨~
通り雨にあたって濡れて帰ると、「なんでこんな目にあうのだろう!」って、私かわいそう気分になってしまう。
良いことあった日とかだったら笑ってびちょびちょのまま部屋を歩くのだけれど。そうでないなら、恋人と話して笑い話にしたい。
って、ついこの前彼と別れたばかりだからそうもいかないな。
UFOキャッチャーでとった熊さんの背中にくっついて寝るだけ。
サーッ
雨が降ってきた
軒下にはお地蔵さんと女の子が1人
車が1台通り抜けた
そこにはもう誰もいない
白日の下には変わらない風景
お地蔵さんとちょっと齧られたお饅頭があるだけ
『通り雨』より
今日は生理の中勇んでにおいがけ行けた。少しでも悩んでいる方のお助けになると良いなぁ、お互い様だなぁ有り難いなぁ。パンフレット50枚から100枚配る事大事さを感じるな。今月はにおいがけ月間だから一生懸命頑張る。
藤田瑠美やれば出来るじゃん!!大変よく出来ました。
学校を出て帰ろうとしたら、雨が降っていた。雨宿りをして、きみと話した。この時間がもっと続いたらいいのにって思っていたけど、叶わなかった。数分後には雨が止んだから。なんだ、通り雨か。
「最悪だ……」
独り言は雨の音にかき消された。なんでこんな日に限って雨なんか降るんだろう。折角こないだ買ったばかりの新しいワンピースとパンプスにしたのに。ついでに髪も少し切ったばかりで、今日はいい感じにヘアセットがキマっていた。今日の私はとてもオシャレで、自分で言うのもなんだけど可愛く見えてたの。見せたくて、褒められたくて、精いっぱいの背伸びをしてみたんだ。
でもそれは、貴方が来てくれなきゃなんの意味も無いんだけどね。
「止むかなあ」
どっかの廃れた建物の軒下で雨宿りすることにした。天気予報なんてチェックしないから当然傘なんて無かった。しばらく待ってればそのうち止むだろう。それに、待ってる間に貴方が来るかもしれないから。もしかしたら貴方も、今ここに来る途中で雨に降られて今どこかで雨宿りしてるのかもしれない。そう思って。辛抱強く待ってる。ただひたすら貴方の姿を探してる。雨が上がってもずっとずっと私は待っているのだ。
でも、本当はもう来ないんだって心の何処かで思ってるのにね。馬鹿みたいだね。こんなに待っても来ないんだから結果は見えたようなものなのに。
――いい加減目を覚ましたら?
もう一人の自分が私に問いかける。嫌だ。認めたくない。この時間もこのオシャレも無駄になってしまう。そんなの悲しすぎる。あまりにも私が可哀想。
――そうやって、被害者気取りしてる自分に酔ってて楽しい?
酔ってない。楽しい訳がない。じゃあ私は何がしたいの?何時間もここにいて来るはずない人を待っている。
――無意味だよ。
違う。
――あの人はアンタのこと何とも思ってないよ。
そんなことない。
――いつまでそうしてるつもり?惨めだよ。
「やめて!」
自分の声にびっくりしてしまった。頭を振って空を見上げた。雨はもうとっくにあがっている。遠くのほうの空を見れば、そこには、
「……虹だ」
そこからもう進めと言っているの?なんて綺麗な空なんだろう。太陽が眩しくて、屋根の先から垂れてくる水滴が透明で、目に映るものがみんな優しかった。雫に手を伸ばすとそれは私の掌を濡らした。ぽたぽたぽた。雨は止んだはずなのに水滴が掌に落ちてくる。自分の涙だった。
「もう行こう」
雨上がりの少し泥濘んだ道を、新しいパンプスで掛けてみた。泥がスカートにはねた。いい気はしないけど、不思議と惨めな気持ちからは解き放たれた。
私はもう、振り向かない。
一瞬で無くなってしまう天気。
話が変わりますが私、熱中症で死にかけました。
どこかしらの菌より怖いですね。
頭痛、吐き気、目眩がヤヴァイですね。
私は体育祭の練習で死にかけました。
やっぱり練習しすぎは良くないです。
9月28日はリハーサルでしたが、仕方なく
休みました。やっぱり出たいです。
本番こそは出れる様に頑張って何とかします。
小気味よい金属音のあとに、彼の煙草に火が付いた。それと同時に、肩口に雫が跳ねた。
「うーん、今日傘持ってきてないけどな……」
「だね。大丈夫だよ、送っていくから」
「いいの?ありがとう」
ガソリン代くらいは、と財布から札束を出そうとしたが断られた。その代わりと、彼に傘を差しておく。
湿って重苦しい空気で、煙がいつもより鮮明に見えた。
「雨の日って湿気で煙が重くなるんだよ」
「そうなんだ。言われてみれば、確かに……」
「やべ、煙が……場所変わろう」
私は平気だが、彼は気にするタイプらしい。
「雨の日って良いよね」
「頭痛が曲者だけど、雨上がりの空気は最高にいい。家にいる分には最高の天気だよ」
「ね、俺は匂いが好き」
「土の匂いかな?なんとなくわかるかも」
吐き出した煙が昇る。どうやら一過性の雨だった。
「毎回ついてきてもらって申し訳ないね、吸い殻捨ててくる」
「いいよ。吸ってるところ見るのも好きだから」
「あはは、ありがとう」
空を覆う雲は逃げ足早く過ぎ去っていく。
差し込む晴れ間が、地面を焼き付けるのも時間の問題だろう。
「おかえり」
「ただいま。遅くなる前に帰ろうか」
「わかった。お邪魔します」
『夕立を凌ぐ』
お題(9/28)
「通り雨」
通り雨の雨の音が、優しくてよかった
じゃなかったら立ち直れなかったよ、僕は
君にありがとうさえ
言えなかったかもしれない
通り雨。バイトいく日とかに時々あるな。あー、さっきまで聞こえてた雨音って通り雨だったのかってなる時が。
雨は嫌だね。いいことがほとんどない。昔はどうでもよかったけど自転車を使うようになってからは嫌いになった。
自転車は傘使えないからかっぱ使うわけだがあれを着るのが地味にめんどくさいし。上下着ないといけないのがめんどくさいしそれを脱ぐのもまためんどくさいんだよな。
今使ってるのは普通のやつだけどポンチョタイプのやつって使い勝手どうなんだろ。あっちのほうが着るのも脱ぐのも楽そうだから気になってる。
でも今使ってるのがまだまだ使えるから買い換えるって選択はない。このままずっと同じかっぱを使い続けてポンチョタイプを試すことは一生ないんだろうな。
人生そんなのばっかだな。気になったことがあっても金がない時間がない。もう少し余裕のある人生がよかったな。
どうでもいいけど通り雨って狐の嫁入りとも言われてるんだっけか。個人的にはこっちの呼び名のほうが好き。
【窓から見える景色】
自分の家でもないのに見慣れてしまった、窓の外に広がる眺め。ふと思い当たって感慨を噛み締めた。
他人の家でこんなにも平穏で満ち足りた想いになる自分を昔は想像さえしなかった。自分の家ですら、こんなにも凪いだ心地になったことはなかった。その功労者を密かに窺うと嬉しそうに微笑み返された。
ポツ、ポツポツ、ザー、ザーザー。
夏に良くある通り雨。
スマホで天気予報を見たときは、
しばらく雨が降らないって出ていたのに
なんで~
買い物袋を両手に下げ、空を見上げる。
通り雨は、やむ気配がない。
傘もないから、帰ることができない。
朝、干してきた洗濯ものは全滅だ。
スマホだけの情報に頼った自分を戒める。罰として、水を張ったバケツを持たされている気分だった。
予報に出てなくても、この時期は特に通り雨対策をしなくては……と、反省する。
ある日、彼と彼女は偶然にも通り雨に遭遇した。彼女は雨に濡れないようにと、彼に傘を差し出すが、彼は「いいよ、濡れるのは気持ちいいから」と断った。
彼女は笑って、「それなら私も濡れちゃうね」と言うと、彼女は雨に打たれていく。彼は彼女の潔さに心を打たれ、自分も一緒に濡れてしまった。
二人は傘もなく、ただ雨の中を歩きながら、会話を楽しんでいた。雨音が聞こえる中、二人はお互いに惹かれあっていく。
そして、雨が上がった後、二人はカフェに入り、コーヒーを飲みながら、お互いのことを話し合った。そこで、彼は彼女に好意を寄せていることを告白した。
彼女もそれに応え、二人は手を繋いで帰っていった。以来、通り雨の日には、二人は必ず一緒にいるようになった。
通り雨の日に出会った彼と彼女の物語である。
『通り雨』
聖域から帰ってきたら、弟子が一人減っていた。
ただひたすら泣き続けるもう一人の弟子――氷河から何とか話を聞き出すと、海底に眠る母に会いに行く途中に激しい潮流に流された、そこで気を失ったが微かにアイザックの声が聞こえたので、自分を助ける代わりに流されてしまったのかもしれない、という事だった。事実、アイザックは姿を見せず、私は数日間海底を含め捜索したが彼を見付け出すことはできなかった。
氷河は、自分のせいだと自らを責めていた。それは事実そうだろう。私やアイザックから諫められても彼は母親に会おうとすることを止めなかった。彼の甘い考えが、アイザックの命を奪ったかもしれないのだから。
だが、私は氷河を責めることをしなかった。彼を責めてアイザックが帰ってくる訳では無いし、常日頃からクールであれと教えている私自身が感情に任せて彼を咎めることはできない。何より、今の彼にそのようなことを言えば、彼はきっと自ら命を断つか、そうでなくてもこの地から去ってしまうだろう。弟子を二人とも失うわけにはいかなかった。
私はなおも一週間、アイザックを探し続けたが彼を見付け出すことはできず、ひょっこりと戻ってくるようなこともなかった。ここに至り、私は彼が死んだという事実を認めざるを得なかった。
私は氷原に立つ。目の前には氷河が開け、そしてアイザックがそこから飛び込んだとされる大きな穴があった。その穴をじっと見つめていると、突如雨が降り始めた。それは徐々に強くなり私の体を打つ。先程まで晴れていたので、恐らくただの通り雨、すぐにやむだろう。
私は手を広げる。周囲の空気が冷え、天から降る雨は雪に変わった。これは鎮魂の雪だ。彼が死の間際、どのような想いを抱いていたかは分からないが、せめて魂は安らかに眠って欲しいと思った。
私は踵を返し歩き出す。頬に一筋の涙が流れるが、私は振り返りはしなかった。