『通り雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
通り雨。
会社での出来事、人間関係は会社内だけで十分。
会社外、将来のことまで気を使う必要はない。
猿共のために自分を削る必要はない。
「通り雨」
せめてこの雨が通りすぎるまで
そばにいさせて欲しい
雨の日の午後、空港で待ち合わせた。
しばしのお別れをするために。
悪天候ではあるが、今日は予定通りフライトするらさい。
私は延期すればよかったのに、と内心思っていたのに。
「じゃあ、そろそろ行くね」
それを知ってか知らずか、彼は搭乗するために荷物を手に取って歩き始めた。
「うん、それじゃまたいつか」
私は離れたくない思いを抑え込みながら、いつも通りに接した。
飛行機が空を一直線に進んでいく。
きっとこの雨も届かない上空へと旅立っていくのだろう。
私は傘を手に取り、空港をあとにした。
#通り雨
噂の雨男がこの村にもやって来た。
来る場所、来る場所に必ず通り雨を降らせるその男はどこでも噂になっていた、
長居すれば村を水没させる恐れがあり、
決まって追い出されるように村を追われてきたその男は水不足のこの村ではおおいに喜ばれた。
その日は村中集まり、大雨の中男を囲んで夜通し宴会騒ぎだったそうだ。
~通り雨~
通り雨にあたって濡れて帰ると、「なんでこんな目にあうのだろう!」って、私かわいそう気分になってしまう。
良いことあった日とかだったら笑ってびちょびちょのまま部屋を歩くのだけれど。そうでないなら、恋人と話して笑い話にしたい。
って、ついこの前彼と別れたばかりだからそうもいかないな。
UFOキャッチャーでとった熊さんの背中にくっついて寝るだけ。
サーッ
雨が降ってきた
軒下にはお地蔵さんと女の子が1人
車が1台通り抜けた
そこにはもう誰もいない
白日の下には変わらない風景
お地蔵さんとちょっと齧られたお饅頭があるだけ
『通り雨』より
今日は生理の中勇んでにおいがけ行けた。少しでも悩んでいる方のお助けになると良いなぁ、お互い様だなぁ有り難いなぁ。パンフレット50枚から100枚配る事大事さを感じるな。今月はにおいがけ月間だから一生懸命頑張る。
藤田瑠美やれば出来るじゃん!!大変よく出来ました。
学校を出て帰ろうとしたら、雨が降っていた。雨宿りをして、きみと話した。この時間がもっと続いたらいいのにって思っていたけど、叶わなかった。数分後には雨が止んだから。なんだ、通り雨か。
「最悪だ……」
独り言は雨の音にかき消された。なんでこんな日に限って雨なんか降るんだろう。折角こないだ買ったばかりの新しいワンピースとパンプスにしたのに。ついでに髪も少し切ったばかりで、今日はいい感じにヘアセットがキマっていた。今日の私はとてもオシャレで、自分で言うのもなんだけど可愛く見えてたの。見せたくて、褒められたくて、精いっぱいの背伸びをしてみたんだ。
でもそれは、貴方が来てくれなきゃなんの意味も無いんだけどね。
「止むかなあ」
どっかの廃れた建物の軒下で雨宿りすることにした。天気予報なんてチェックしないから当然傘なんて無かった。しばらく待ってればそのうち止むだろう。それに、待ってる間に貴方が来るかもしれないから。もしかしたら貴方も、今ここに来る途中で雨に降られて今どこかで雨宿りしてるのかもしれない。そう思って。辛抱強く待ってる。ただひたすら貴方の姿を探してる。雨が上がってもずっとずっと私は待っているのだ。
でも、本当はもう来ないんだって心の何処かで思ってるのにね。馬鹿みたいだね。こんなに待っても来ないんだから結果は見えたようなものなのに。
――いい加減目を覚ましたら?
もう一人の自分が私に問いかける。嫌だ。認めたくない。この時間もこのオシャレも無駄になってしまう。そんなの悲しすぎる。あまりにも私が可哀想。
――そうやって、被害者気取りしてる自分に酔ってて楽しい?
酔ってない。楽しい訳がない。じゃあ私は何がしたいの?何時間もここにいて来るはずない人を待っている。
――無意味だよ。
違う。
――あの人はアンタのこと何とも思ってないよ。
そんなことない。
――いつまでそうしてるつもり?惨めだよ。
「やめて!」
自分の声にびっくりしてしまった。頭を振って空を見上げた。雨はもうとっくにあがっている。遠くのほうの空を見れば、そこには、
「……虹だ」
そこからもう進めと言っているの?なんて綺麗な空なんだろう。太陽が眩しくて、屋根の先から垂れてくる水滴が透明で、目に映るものがみんな優しかった。雫に手を伸ばすとそれは私の掌を濡らした。ぽたぽたぽた。雨は止んだはずなのに水滴が掌に落ちてくる。自分の涙だった。
「もう行こう」
雨上がりの少し泥濘んだ道を、新しいパンプスで掛けてみた。泥がスカートにはねた。いい気はしないけど、不思議と惨めな気持ちからは解き放たれた。
私はもう、振り向かない。
一瞬で無くなってしまう天気。
話が変わりますが私、熱中症で死にかけました。
どこかしらの菌より怖いですね。
頭痛、吐き気、目眩がヤヴァイですね。
私は体育祭の練習で死にかけました。
やっぱり練習しすぎは良くないです。
9月28日はリハーサルでしたが、仕方なく
休みました。やっぱり出たいです。
本番こそは出れる様に頑張って何とかします。
小気味よい金属音のあとに、彼の煙草に火が付いた。それと同時に、肩口に雫が跳ねた。
「うーん、今日傘持ってきてないけどな……」
「だね。大丈夫だよ、送っていくから」
「いいの?ありがとう」
ガソリン代くらいは、と財布から札束を出そうとしたが断られた。その代わりと、彼に傘を差しておく。
湿って重苦しい空気で、煙がいつもより鮮明に見えた。
「雨の日って湿気で煙が重くなるんだよ」
「そうなんだ。言われてみれば、確かに……」
「やべ、煙が……場所変わろう」
私は平気だが、彼は気にするタイプらしい。
「雨の日って良いよね」
「頭痛が曲者だけど、雨上がりの空気は最高にいい。家にいる分には最高の天気だよ」
「ね、俺は匂いが好き」
「土の匂いかな?なんとなくわかるかも」
吐き出した煙が昇る。どうやら一過性の雨だった。
「毎回ついてきてもらって申し訳ないね、吸い殻捨ててくる」
「いいよ。吸ってるところ見るのも好きだから」
「あはは、ありがとう」
空を覆う雲は逃げ足早く過ぎ去っていく。
差し込む晴れ間が、地面を焼き付けるのも時間の問題だろう。
「おかえり」
「ただいま。遅くなる前に帰ろうか」
「わかった。お邪魔します」
『夕立を凌ぐ』
お題(9/28)
「通り雨」
通り雨の雨の音が、優しくてよかった
じゃなかったら立ち直れなかったよ、僕は
君にありがとうさえ
言えなかったかもしれない
通り雨。バイトいく日とかに時々あるな。あー、さっきまで聞こえてた雨音って通り雨だったのかってなる時が。
雨は嫌だね。いいことがほとんどない。昔はどうでもよかったけど自転車を使うようになってからは嫌いになった。
自転車は傘使えないからかっぱ使うわけだがあれを着るのが地味にめんどくさいし。上下着ないといけないのがめんどくさいしそれを脱ぐのもまためんどくさいんだよな。
今使ってるのは普通のやつだけどポンチョタイプのやつって使い勝手どうなんだろ。あっちのほうが着るのも脱ぐのも楽そうだから気になってる。
でも今使ってるのがまだまだ使えるから買い換えるって選択はない。このままずっと同じかっぱを使い続けてポンチョタイプを試すことは一生ないんだろうな。
人生そんなのばっかだな。気になったことがあっても金がない時間がない。もう少し余裕のある人生がよかったな。
どうでもいいけど通り雨って狐の嫁入りとも言われてるんだっけか。個人的にはこっちの呼び名のほうが好き。
【窓から見える景色】
自分の家でもないのに見慣れてしまった、窓の外に広がる眺め。ふと思い当たって感慨を噛み締めた。
他人の家でこんなにも平穏で満ち足りた想いになる自分を昔は想像さえしなかった。自分の家ですら、こんなにも凪いだ心地になったことはなかった。その功労者を密かに窺うと嬉しそうに微笑み返された。
ポツ、ポツポツ、ザー、ザーザー。
夏に良くある通り雨。
スマホで天気予報を見たときは、
しばらく雨が降らないって出ていたのに
なんで~
買い物袋を両手に下げ、空を見上げる。
通り雨は、やむ気配がない。
傘もないから、帰ることができない。
朝、干してきた洗濯ものは全滅だ。
スマホだけの情報に頼った自分を戒める。罰として、水を張ったバケツを持たされている気分だった。
予報に出てなくても、この時期は特に通り雨対策をしなくては……と、反省する。
ある日、彼と彼女は偶然にも通り雨に遭遇した。彼女は雨に濡れないようにと、彼に傘を差し出すが、彼は「いいよ、濡れるのは気持ちいいから」と断った。
彼女は笑って、「それなら私も濡れちゃうね」と言うと、彼女は雨に打たれていく。彼は彼女の潔さに心を打たれ、自分も一緒に濡れてしまった。
二人は傘もなく、ただ雨の中を歩きながら、会話を楽しんでいた。雨音が聞こえる中、二人はお互いに惹かれあっていく。
そして、雨が上がった後、二人はカフェに入り、コーヒーを飲みながら、お互いのことを話し合った。そこで、彼は彼女に好意を寄せていることを告白した。
彼女もそれに応え、二人は手を繋いで帰っていった。以来、通り雨の日には、二人は必ず一緒にいるようになった。
通り雨の日に出会った彼と彼女の物語である。
『通り雨』
聖域から帰ってきたら、弟子が一人減っていた。
ただひたすら泣き続けるもう一人の弟子――氷河から何とか話を聞き出すと、海底に眠る母に会いに行く途中に激しい潮流に流された、そこで気を失ったが微かにアイザックの声が聞こえたので、自分を助ける代わりに流されてしまったのかもしれない、という事だった。事実、アイザックは姿を見せず、私は数日間海底を含め捜索したが彼を見付け出すことはできなかった。
氷河は、自分のせいだと自らを責めていた。それは事実そうだろう。私やアイザックから諫められても彼は母親に会おうとすることを止めなかった。彼の甘い考えが、アイザックの命を奪ったかもしれないのだから。
だが、私は氷河を責めることをしなかった。彼を責めてアイザックが帰ってくる訳では無いし、常日頃からクールであれと教えている私自身が感情に任せて彼を咎めることはできない。何より、今の彼にそのようなことを言えば、彼はきっと自ら命を断つか、そうでなくてもこの地から去ってしまうだろう。弟子を二人とも失うわけにはいかなかった。
私はなおも一週間、アイザックを探し続けたが彼を見付け出すことはできず、ひょっこりと戻ってくるようなこともなかった。ここに至り、私は彼が死んだという事実を認めざるを得なかった。
私は氷原に立つ。目の前には氷河が開け、そしてアイザックがそこから飛び込んだとされる大きな穴があった。その穴をじっと見つめていると、突如雨が降り始めた。それは徐々に強くなり私の体を打つ。先程まで晴れていたので、恐らくただの通り雨、すぐにやむだろう。
私は手を広げる。周囲の空気が冷え、天から降る雨は雪に変わった。これは鎮魂の雪だ。彼が死の間際、どのような想いを抱いていたかは分からないが、せめて魂は安らかに眠って欲しいと思った。
私は踵を返し歩き出す。頬に一筋の涙が流れるが、私は振り返りはしなかった。
突然の雨。
強すぎて、電車が止まる。
傘もない。
帰れなくなってしまった。
だから、
今だけは同じ屋根の下で。
「『雨』もね。これで5例目なのよ……」
どの「雨」が何月何日に出題されたかは、8月27日投稿分「雨に佇む」の上部にまとめてあるから、気になったらどうぞ。某所在住物書きはポツリ、降雨の外を気にしながら言った。
「物語に出てくる『通り雨』も、3月24日あたりの『ところにより雨』に似たところが有る気がする」
つまり、一部地域にしか降らない筈が、まさしくその「一部地域」に、自分が居るシチュエーション。
二番煎じが無難かと、物書きはため息を吐く。
――――――
ネット情報によれば、「通り雨」は気象用語における「時雨」、そして時雨は冬の季語だそうですね。
冬どころか、9月末なのに30℃超えの地域がある昨今ですが、こんなおはなしをご用意しました。
最近最近の都内某所、某アパートに、人間嫌いと寂しがり屋を併発したひねくれ者が住んでおり、名前を藤森といいました。
この藤森の部屋に、何がどうバグって現実ネタ風の物語に忍び込んだか、週に1〜2回、
現実ネタには有るまじく、不思議なお餅を売りに、なんと不思議な子狐が、コンコン、やって来るのです。
コンコン子狐は稲荷の狐。近所の神社のご利益豊かな、ありがたいお餅を売りに来ます。
ひとくち食べれば心に溜まった毒を落としてくれる、心も身体もお財布も喜ぶコスパ抜群なお餅を、コンコン、売りに来るのです。
その日もお題の「通り雨」どおり、通り雨降りしきるなか、子狐が藤森のアパートにやって来ました。
「お月見団子、ごよやく、いかがですか」
葛で編んだカゴの中のお餅と、クレヨンで一生懸命ぐりぐり描いたと思しき手作りパンフレットを、しっかり雨から守った子狐。
だけど自分はぐっしょり濡れて、まるで洗濯直後のぬいぐるみです。
「焼きもち、へそもち、餡かぶり、おはぎもあるよ」
雨に体温を持っていかれて、少しぷるぷる震える子狐は、なんだかんだで根っこの優しい藤森に、タオルで包まれて優しくポンポン、叩き拭かれておりました。
「今予約とって、スケジュールは間に合うのか」
忙しい仕事と、季節感ブレイカーな気温のせいで、すっかり忘れていた藤森。
9月29日は中秋の名月。十五夜です。
「十五夜など、すぐだろう。大丈夫か?」
狐ゆえに、たとえ五穀豊穣を呼び寄せる恵みの雨とて、濡れるのは好かないだろうに。
それでも商売魂たくましく、お餅の予約をとりに来るのは、なんともまた、微笑ましい。
通り雨いまだ止まぬ外を、防音防振設備バッチリな、ほぼ静音の部屋から眺めて、
藤森は子狐を、気遣ってやりました。
「キツネのおとくいさん、おとくいさんひとりしか、いないもん。へーきだよ」
「そのびしょ濡れのせいで、予約とって帰った途端、熱出して、風邪でも引いたらどうする」
「キツネ、人間の風邪ひかないもん」
「そうじゃなくてだな」
「たんと買ってくれるの?いっぱいいっぱい、間に合わないくらい、どっさり買ってくれるの?」
「そうじゃない」
「ごよやく、ありがとうございます!」
「あのな子狐」
3月3日に初めて会ってから、随分稲荷の商売人、商売狐として図太く賢く、成長したものだ。
藤森はため息を吐いて、ポンポン、拭いてるタオルを新しいものに替えてやります。
「……ひとまず、何か、温かいものでも飲むか?」
いまだにプルプル、寒さで震える子狐は、「温かい」の単語に、尻尾をブンブン、振り回しましたとさ。
「あったかいもの!おしるこ!」
「小豆が無い。雑煮なら、可能だが」
「お月見雑煮!
ごよやく、ありがとうございます」
「そうじゃないと言っている」
「おもちはいくつ、ごよーいしましょう」
「子狐。ひとの話を、まず聞きなさい」
「ふぇっ、へっッ、くしゅん!」
「そらみろ。くしゃみが出た……」
小さな店の軒先で。
君と二人きりで雨宿り。
予期せぬ通り雨に感謝をしつつ。
「すぐに止みそうで良かったね」と笑う君の隣で。
まだ行かないでくれと。
遠離る雨粒に強く縋ってみたり。
【通り雨】