『逆光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
自作の小説で、ちょっと昼寝をしようと横になった主人公がノックの音で目覚めると、いつの間にか部屋には夕闇が降りている
ドアが開くと、部屋の外の灯りが逆光になって、その中に、ノックの主の姿がシルエットになっている
…っていう場面を書いたことがあるよ
逆光
「わたし、逆光ほど嫌なものはないと思うの」
『それは何故です?』
「だって、形しか見えないじゃない」
『ふむ?』
「期待して近づいて、形だけが似ているナニカだったらがっかりなんてものじゃないわ」
『成程、分からなくもないですね』
「でしょう?」
『ビニール袋と白い生き物を見間違える様な感じですか?』
「全然分かってないじゃない!そんなのよりももっと酷いわ!もっと残酷よ!」
『そうですか』
「それに、近づいてみないと分からないのも嫌。何だか不公平よ」
『不公平?』
「そう。光がわたしの邪魔をするの。そして相手の味方をするの」
『味方、と言うほどとは思えませんが』
「してるわよ。なによ!自然は平等じゃないの?!」
『まあまあ少し落ち着いて』
「…」
『落ち着きました?』
「そうね」
『では、続きを』
「あと、自分が暗いところにいるって、嫌でも分かっちゃうのも嫌」
『暗いところ、ですか』
「暗いわよ。真っ暗。何もない。後ろしか見えない」
『そうですね』
「前はもっとちゃんと見えたのに、最近は形しか分からない」
『…』
「何で?今までは区別できてたのに!どうして?!」
『どうしてでしょうね』
「またあの人じゃなかった!わたしが愛したあの人じゃなかった!どうして来てくれないの!」
『どうしてでしょうね。本当に』
「嫌!嫌よ!」
『そうでしょうね』
「自分がどんどん壊れてく!掠れてく!」
『消えはしないので、安心してください』
「どこにも行けないの!誰も来ないの!」
『嗚呼、もう聞こえていませんね』
「何で!何で!」
「何でわたしは暗いところにいるの?!明るいところに行けないの?!」
「酷い!酷いわ!不公平よ!」
「こっちからは見えるのに!あっちは気づいてすらくれないの?!」
形が似てるだなんて失礼な
誰の耳にも入らない叫びにため息を落として
カラスが一羽飛び立った
《キャスト》
・???
どこにも行けない。可哀想とは思うなよ。
・カラスさん
知識欲旺盛なカラスさん。“さん”までが名前。
逆光
前に進めなくなる。
苦しくなる。
でも、その先に光があるから
あの人に追いつけるなら
僕は全力で乗り越えていくよ
小さな頃から写真を撮るのが大好きだった。
大人になってもそれは変わらず、
いつしかプロの写真家に。
君はいつも応援してくれて、モデルにもなってくれた。
デート中、カメラを手にしたって怒らないし、
一緒になって景色を撮ってくれる。
こんな素晴らしい人、なかなか出会えないって、
ちゃんと思ってた。
耐えられなかったんだ。自分の欲求に、衝動に。
写真より君の方が好きだけど、写真も君も愛してる。
だから、なんて言い訳は、言える訳もない。
君の泣き顔を、撮ってしまった。
太陽を背に、静かに泣く君が、酷く美しかった。
逆光で君の顔は写っていなかった。
簡単にドラマチックになる技術だけ覚えてものまれる海で
君はいつもなぜか光の方にいて
僕はなぜかいつも陰の方にいたから
ふと見上げた時の君の表情が
どんなものだったを
未だに僕は知らないまま
風の便りに聞く君の悪行を
笑って受け流しながら
眩しい思い出に浸る夜を過ごすよ
『逆光』2024/01/2412
中学校の修学旅行ではデジカメが禁止されていて、その代わり一人につきインスタントカメラが一つ許可されていた。
30枚ぽっちの制限の中、厳選した撮影。後日、現像した写真は、逆光で何を写したかわからない写真が何枚も混じっていた。
人生に一度きりの機会。デジカメだったら起こらなかった失敗。だけどどうして、それもまた味で、思い出になる。
きみのことが好きなんですよはいチーズ白くうつった指先、まつげ
「逆光」
自分の目にはキラキラ映るものでも
画面の中では逆光で真っ暗すぎて見えない
画面か世界か
"答え"を欲しがるこの世で
どっちを見続けてどっちを守ってくんだい
逆光
艶やかな
その髪は
もう見えない
いつか見れるかな
あなたのその顔
景色とあなたの写真を撮りたくて。あの日あの時使い捨てカメラで撮った写真。
現像してようやく、逆光だったね、これじゃ見えないねって笑ったね。
写真には残っていないけれど、私の目にはあなたの姿が今でも焼き付いているよ。
逆光
眩しい光の中、君のかおが見えない
笑っているの?
泣いているの?
それとも、怒っている?
君の表情がわからない
君が、僕に何を思っているのかわからない
確かに目の前にいるのに
まるで夢の中を彷徨っているようだ
冬の校庭の部活終わり
夕陽の逆光に照らされ光る彼の背中
校舎のオレンジ色の廊下から見つめてた
逆光
逆さからの
光
この言葉 たまに使う
逆光が眩しい
逆光で 写真が上手く撮れない
多分 文字通り意味は逆さからの光なんだろうけど
気になって意味を調べてみた
背後から自分の方に向かってさす光
ちょっと意味がステキで
つい昨日聞いた驚きの知らせが よぎる
大丈夫だから あなたの後ろには輝く光が射してるから どうか 気づいてくれますように…
モノづくりが趣味なんだけど、
その延長線みたいな感じで
写真も撮ったりする。
やっぱ綺麗に写真に収めたいよね。
で、
光の加減で
被写体の表情が変わるのは面白い。
状況によって逆行を使って
物をかっこよく魅せたり
いろいろ作り終わったあとの作品も楽しめる。
私は学校帰り、近くの河原を通りかかった。
今日はテスト期間で早い時間に帰れて少し嬉しい。
いつもは部活が終わる六時半ごろはもう真っ暗だから。
河原を通りかかると、川に鴨が泳いでいるのが見えた。
「わっ、可愛い、北から渡ってきたのかな?」
私は河原の側まで寄ると、カバンを脇に置いて、体育座りでジーッと鴨を見る。
優雅に泳ぐ鳥は、足の動きは凄く早いって聞いたことがある。
あんなに優雅に見えるのに不思議だなぁと感じていると。
不意に眠気が襲ってくる。
昨日もテスト勉強でそんなに寝てなかったなぁ・・・。
暗記ゲーが苦手すぎて、永遠繰り返してて・・・。
「・・がいっ、永井っ!」
ハッと目が覚める。
私はいつの間にか寝ていたらしい。
体育座りをしていたはずが、いつの間にやら仰向けで。
上から呼びかけた人の顔が逆光で見えない。
「だ・・・れ?」
「俺だけど」
声で分かる。一瞬で目が覚めた。
「あっ、キャプテン!お疲れ様です!!」
男子バレーボールのキャプテンが私を覗き込んでいた。
私は女子バレー部に所属しているから即座に認識した。
「お疲れ様。本当に疲れてたみたいだな。あんな所で無防備に寝てると危ないぞ」
爽やかな笑顔で私に言う。
あああああ、呑気に河原で寝てる所を見られたっ、しかもバレーのキャプテンに・・・。
「あの、鴨を見ててですね、そしたら勉強を一夜漬けしてたので、そこから意識が途絶えたんです・・・」
「なるほど。へー、確かに鴨いるね。明日のテストの対策は大丈夫なの?」
キャプテンと話していると思うと緊張する。
というか、何とか私の失態の口止めをしなければ。
「明日は、私の唯一得意な国語なので大丈夫です!ところでキャプテン、あの、内緒にしてくれますよね?」
私がカバンを拾い上げ、草をパッパッと払い、長身のキャプテンを見上げると、キャプテンは微かに首を傾げた。
「ん?なんのこと?」
「あの、私がここで寝てたことです。バレー部の女子キャプテンとかに言わないでください」
絞り出すように声を出して話した私の顔は真っ赤になっていたに違いない。
「ああ!そのこと。あははっ、気にしてたの?可愛いな」
そう言って私の頭に手を載せてくしゃっとするキャプテン。
忘れてた。この人けっこう軽いスキンシップする感じの人だ。
かっこいい顔と長身ということもあり、そのせいで凄い人気あるんだよなー。
泣かされた女の子も多数いると聞く。
「じゃあ、言わないでくれますか?」
私が、希望の眼差しで見上げると、キャプテンは、私を見て笑った。
「言わないよ。言ったって、僕に得ないでしょ?それより、本当にあんなとこで寝てたらだめだよ?」
言った後、真剣な顔で話してくるキャプテンに、私も思わず焦って言い訳する。
「大丈夫ですっ、今日は特別疲れてたからっ、それに無性に鴨に惹かれる日だったんです。そういう日はそうそうないですからっ」
焦りのあまりトンチンカンな回答。してしまう。
その回答を聞いて、先輩は口に手を当てて笑いをこらえている。
「確かに、そういう日はあまりないかもね、面白いね、永井って」
「先輩もあまりそこらの女の子に可愛いって言わないほうがいいと思います!」
馬鹿にされたように感じてつい言い返してしまう。
あっけにとられたような顔をした先輩は吹き出した。
「そうだね、一本取られたかな」
いつの間にやら一緒の方向へ歩き出す私達。
キャプテンもこっちが帰り道らしい。
「でも、別に誰にでも言ってるわけじゃないけどな」
「うそですよ、それは。先輩の被害者の会があるの、知ってるんですからね」
私が、ジトッとした目を、して見ると、先輩はまた笑う。
「被害者の会って、それは嘘でしょ。凄く誤解があると思うけど」
「うーん、確かに、私もウワサでしか聞いたことないです」
そう言えば、と思い返して考え直す私。
「そうそう、ウワサに惑わされちゃだめだよ、気づいて偉いね」
頭を撫でられる。
「だからっそれがだめなんですよ?」
私は思わず赤面してしまう。
「あ・・・」
自分の手を見つめてから私の方を向く先輩。
「そうだね、やってたわ無意識に。気をつけるよ」
「はい、そうしてください・・・」
なんの時間だろう、と思わせるような会話。
「それで、永井も被害者の会の一員だったりする?」
いきなりの、先輩からの質問。
「いや、そんな、恐れ多いっ、バレー部の頂点に君臨する人にそんなっ」
私の言葉に、またしても先輩は笑い出す。
笑い過ぎじゃないの?もう
憮然とした顔をする私に先輩が言葉を発する。
「やっぱり、口止めしてほしかったら、今度お茶に付き合ってほしいな」
「えっ?だってさっきいいって言ったのに・・・」
私が話の流れに当惑してると、先輩が笑顔で私をみた。
「気が変わった。もちろん付き合ってくれるよね?」
話が違う!と思ったけど、私に選択権はない。
「わかりましたよ」
ヤケクソのように言うと、先輩は嬉しそうに笑った。
イジワルだ、と私は思う。
まあ、お茶位ならいいかな。
私と先輩は、その後どこへ行くかという話をしながら案外楽しく分かれ道まで話して帰宅したのだった。
お題:逆光
現れた童 口開けて見える ラッパ水仙
ラッパ水仙や 降り注ぐ 逆光のメロディ
根本から そびえる富士の 喉仏
逆光よと 雲斑に 富士称え
過去も未来もない。あるのは今だけ――とは開き直りと欺瞞だ。過去がなければ今はなく、今を経て未来へ至れる。そんなことは多少の分別があれば誰もが知っている。それでもなお分からないふりをしているのは、目を覆い、耳をふさぎ、鼻をつまみ、思考を断ち――見栄と慣習に眠るうつけ者だ。しかし。分かっていながら愚かさに縛られることもまた、珍しくないことだった。
力があれば、この共同体では認められる。ひとを動かす弁舌、そして「範囲」をわきまえた知恵とがあれば敬われる。重宝される。俺にはどちらもなかった。力とは対極の身体と、それに根ざす逸脱と、異端・邪道とされる技術。それらに搦めとられた俺の作法に共鳴するものはない。それだけだ。そしてあるとき、耳をそがれ、仲間を見捨てた俺の立ち位置はこれまで以上になくなった。負け犬の逃亡者――そう、正面きって非難する、たいこもちも少なくなかった。言い返さなければ、甲斐性なしとさらに笑われた。俺はさらに、冷めた。
だから、だけではないが、あるとき俺は訴えた。誇りが傷ついたと。誉れ高き民としての責務を果たす機会がほしいと。そのための方策を。
老人たちは満足げだった。誇り高き民としての責務を果たせと。威勢よく。昂然と。陶然と。半年のうちに、彼らに近づくすべを身につけ、見事復讐を果たせと。そのためのあらゆる方策を許すと。
そうして、暗い洞穴を抜けるようにして。
洞穴の先、暗く、眩しい異郷の人々と、異教のひとのもとに投げこまれた。そして復讐の仕込みとしての酒と**とを。
やつらが覗き見ているであろうそのことを。俺は享受していた。
「ああ、ああ――僕を、」
俺を溺れさせてください。俺の、俺の。
庇護者を失った十数年前、暗さを知った数年前、弄した詭弁で逃げだした数ケ月。それはきっと。俺が引き寄せた洞窟の出口。見たことのない光、その先を塞いでいた影。
「僕は、僕はあなたが、あなたに」
そこに至るのはあといくらもなく、まだずっと遠かった。
"逆光"
「みゃーう」
皿の中を空にしてそう鳴くと、水を数口飲んで窓辺に飛び乗り、窓の外に視線を向ける。
──食い切るの早……。
そう思いながら手に持ったお握りと机の上の、剥がされたお握り二つ分の包装と四分の一程減ったペットボトルの麦茶を見る。
食べ始めたタイミングがほぼ同時で、診察室のパソコンと共有しているファイルを開いて確認、時折麦茶を飲みながら食べていたのにもにも関わらず、その時点ではようやく一個食べ切った所だった。
ちらりとパソコンの時計を見て逆算する。時間に換算すると、五分か十分くらいだろう。
子有り余る体力とは言え、睡眠や食事等で回復する必要がある。その上育ち盛りだ。人間の子どものようによく食べよく寝て、少しでも身体を大きくさせる事が仕事のようなものだ。けれど、そうだとしても……。
──もうちょいゆっくり食え……。
開けたばかりのお握りを一口齧って咀嚼しながら、窓越しに外を眺めるハナを見る。
はらはらと舞い散る雪を背景に外を見ているハナ。ハナの小さな身体に、舞いながら降ってくる雪の影が写る。その様がとても幻想的で、気付けば手を止めて引き出しの中からスマホを取り出して──仕事中は居室の卓上の引き出しの中に入れている──、電源をつけてカメラを起動していた。
──そういえば、ハナの写真、まだ一枚も撮ってなかった。
画面にハナと窓を写した時に気付く。
ならばこれからシャッターを押して撮る写真は、ハナとの大切な思い出の、最初の一枚になる。
──もっと大きくなれよ。
願いを込めながら、シャッターを押す。今撮った写真を確認する。
「あっ……」
外は綺麗に写っているが、肝心の被写体であるハナが逆光でシルエットのようになってしまっていた。かろうじて輪郭周辺の白い体毛部分は青白くなっているので写っているのは動物で、それとシルエットが相まって猫である事は認識できる。
──けど、幻想的な雰囲気で、芸術作品のようで、綺麗。
そのままスマホの電源を切って、机に向き直って卓上の引き出しの中に戻し、残りのお握りを食べ始めた。
カメラで写真を撮ると上から撮りたいので逆光で陰になっちゃう。
悲しい