『逆さま』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
逆さま
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実は、パラレルワールドをこっそり信じている
きっかけは確か、友達に誘われて初めてみた恋愛映画
主人公たちのいる世界線は、悲惨な運命を辿った
でも、それをなんとか別の世界線の自分達に伝え、別の世界線の主人公たちはハッピーエンドになる
そんな話だったような気がする
以前母から、一番最初の子は流れてしまったのだけれど、もう一度私を選んでくれて貴方として産まれてきてくれたのかもね、なんて話を聞いたことがある
私は末っ子だけれど、もしそうだとして
もしその時生まれていたら、私は逆に長子で、今とは全く違う人生があったのかも、なんて考えたことがある
ありえない話だけれど、もしかしたらそんなことがあったのかも、と考えるだけでちょっとワクワクする
この考えは、選択に迷ったり、選んだことを後悔しそうな時に使ったりする
AとBがあって、Aを選んだけれど後々Bの方が良かったのかも...なんてごちゃごちゃ悩んでしまう時には、
今私がいる世界線ではAを選んだ
もしかしたらBを選んでいた世界線もあるかもしれないけど、今、私がいるのはAを選んだ世界線で、
Bを選ぶのは、この世界線の私の答えではない
なんて考える
私の場合は、これで腑に落ちることが多い
考えるだけはタダだから
なんでも自由に考える
きっとどこかの世界線には、今の私とは逆さまな私がいる世界線もあるかもなんて
馬鹿らしいだろうか
嫌い、ウザい、触るな。
そう言って私を遠ざけた君に私はどうすれば良かったのかな。
幸せだった日々にもう戻れるはずもなく心はどんどん離れていく。
私が別れを切り出した時、無関心で無表情で接してくれるものだと思っていた。
なのに何故そんな顔をするの?
どうして嫌そうな顔をするの?
あれだけ私を突き放しておいて何を望むの?
彼が私の腕を掴もうとした時、私はもう彼に触れられたくなくて初めて「嫌い」と言った。
好きだったはずなのに、こんな事言いたくなかったのに。
君の声に耳を貸さず私は彼から離れた、遠い遠い場所に向かった。
……本当は分かってた、貴方が素直じゃない事。
全て裏返しの言葉だったって事も分かってた、でもその時の私には君を受け止められるだけの器も心も無かったの。
貴方のその言葉の棘が私を引き裂いた、だから思うの。
次に貴方を好いた人が私と同じ目に合わない事、ただそれだけを願う。
逆さまな愛情なんて、伝わりっこないの。
剣の道を極めた
まっすぐな剣を愛した
曲がった人間
腐った人間
強欲な人間
自分とは違う人間
すべてを斬った
斬り果てた先に思い描く理想郷があると信じた
私は武勇と思想を称えられ、国の王になった
そして知った
自分の愚かさと罪を
曲げられた人間が支えていた人々
罪を背負う人間が支えていた綺麗事
欲に忠実な人間の努力
矛盾を愛すことができなかった
自分と逆の相手の立場に立てなかった
滅びゆく国を見下ろしながら
私は剣を首に突き立てた
逆さま
ぱっと浮かんだのは
たまごか鶏か問題
逆のさま、その様子
内と外は間違えてる人らはいるね
どちらも別に裏でも表でもない
一部ですよってね
でも実はその人らに向けた表現で
ようは合わせているだけ
その表現者とは無関係だったり
無関係は言い過ぎだけど
要するに合わせてあげてる
ちょっとした優しさ
勘違いされても困りませんから
ほとんどはどうでもいい
そのちょっとで楽しめる幅が変わる
ちょっとではなくなる
多くのちょっとに関わるものなんです
体験を出来て良かった事柄は
割と大きかったんだなって
たまにわかるときがある
知ってるか知らないかで全然違う
コツって奴は使えば使うほど
上手くなるから
下手でも使ってみてる内に
なんだかんだ出来るようになる
最近だとテトリスのテンプレがそう
まぁやってみることが成果になってる
諦めてもいいことがあって
諦めるんだけど
それでも手放さない
それが志なのかもしれない
気が付かないうちに結局はやってる
やってるものは違うんだけどさ
逆さまになりやすいのは
手段と目的ってことでまとめとこう
またがあったらまたここで
ここにはここで
そこにはそこで
またがあるといいね
散歩中の ちいさな犬が
一生懸命階段を降りてる
まるで さかだち してるみたい
可愛い 愛らしい
鏡に写った逆さまの自分の姿。
その姿を見て寒気がして後ろをみた。
後ろも鏡だ。
しかも私の見てる方向に、また私が逆さまになっている。
どこまでも延々と繰り返し自分を写して、そうして周りが万華鏡のようになっているのに気づく。
出口がどこにあるのか、そもそもあるのか。
果てしなく続くこの世界から私は、
脱出できるのだろうか。
逆さまのお題を見て思い出した事がある
僕は昔、逆立ちがとっても好きだったし得意だった
逆さまにみる世界はいつもとは別世界
だからこそ新鮮で
とても面白く楽しかった
誰にしろと言われる訳でもなく
ただ逆さになる
自己満足でしかないが
とても満たされていた
今はもうずっと出来ていないし
きっと出来ないだろう
でも床を蹴って反動をつける時の
体の動き
手の位置
視界
重力のかかり方
昨日のことの様に思い出せる
僕の体は変わっても
心はあの時のままなのだと思う
それがいいか悪いかは分からないが
正解や不正解はきっとない
いつか記憶がなくなる日が来ても
体は覚えていてくれるだろうか
そんな事を考えながら
夜はまだまだ続く
心は泣いてるのに笑顔を浮かべて
心は怒ってるのに親切にして
心は限界なのにまだ大丈夫って言い聞かせる。
私は逆さまの感情表現が得意。
泣かないんじゃない。
怒らないんじゃない。
強い子なんかじゃない。
泣いてるし、怒ってるし、すごく弱いんだよ。
きっとこういう人って私だけじゃない。
街ですれ違うすました顔のあの人も、
電車で窓の外を見ているあの人も、
SNSでキラキラしているあの子だって、
本当は逆さまなのかもしれない。
逆さまに気付いてくれる人は
逆さまを知ってる人。
逆さまが得意だからこそ
人の逆さまにも気付ける人でありたい。
逆さまは悪じゃない。
逆さまは繊細で、強くて、弱い。
そんじゃさ、ゲームしよう。逆さまゲーム。
これからお互いに質問して、逆のことを答えるゲーム。
「何よ急に。…別にいいけど」
じゃあ、俺のこと好き?
「は!?…ハァァァ!?」
ほれ、ゲームゲーム。ちゃんと言えなきゃ負けだぞ?
「そ…そんなの…」
好きって言っても嫌いって言ってもいーんだぜー?
「…っ、…〜〜〜〜っ!!!ズルいっ!」
なにが?
「どっちに答えても何も言わなくても負けってことでしょ?ズルい!卑怯者ーっ!」
あーあ、なんで俺こんな天邪鬼で負けず嫌いなヤツに惚れたんだかなぁ。
「……まだゲーム中?え、どっち?どっちよ??」
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「はい返すねありがとっ!」
「おま……落書きするにしてもせめて正面からにしろよ上下逆じゃねえかよ」
『逆さま』
/授業聴いてないにも程がある
"逆さま"
今日の昼過ぎ、宝条永夢が俺の署名が必要だという書類を持って医院の診察室に来た。
「ごめんなさい。お忙しいのに……」
永夢から書類が入った茶封筒を手渡す。封を開け、書類を取り出して一通り目を通しながら答える。
「んや、構わねぇよ。そっちの方がもっと忙しいだろ。申し訳なく思うのはこっちの方だ。……ただ」
「『ただ』?」
書類から一瞬目を離して、永夢に目を向ける。
「いくら忙しいからって、『書類』の『書』を『所』に誤字したまんま送ってくんな」
昨夜、永夢から送られてきたメッセージを思い出す。
日記を書き終えた後、今日の昼過ぎに来るというメッセージが来たのだが、そのメッセージが『書類』の『書』という字がどういう事か『所』と書かれており、『所類』という見た事のない単語を織り交ぜて送ってきた。
そんな誤字をした本人は俺の言葉に「え?」という声を発する。
呆れた声で手に取ったボールペンの先を差しながら「昨日俺に送ったメッセを見ろ」と確認するよう促す。それに反応して「は、はい……」とポケットからスマホを取り出す。
──この感じ、気付いてねぇな……。
スマホを操作して数秒後、「あぁーっ!」と大きな声が室内に響いた。あまりの大きさに思わず耳を塞ぐ。
「す、すみません!気付いてませんでした……!本当に、すみません……!」
「やっぱり……」
──こいつのおっちょこちょいなとこ、ホント変わんねぇ……。いい加減ちょっとは《落ち着き》ってもんを身に付けてほしい……。
いまだに転んだり、とちったりする元研修医──現在は小児科医──に呆れを込めてノック音を鳴らし、ボールペンの先を出す。
「俺だから良かったけどよ……、今度やったら覚えとけよ」
少々、厳しめの言葉を放つ。「はい……」と弱々しい返事を聞いて、「分かればいい」とデスクに向かって書類の署名欄にボールペンの先を滑らせ、自身のフルネームを書く。
すると横から「ん?」と小さな声が聞こえたかと思った瞬間、声をかけられた。
「あのぉ、大我さん。その書類……」
「なんだ?」
首を動かし、永夢に向ける。署名を書き終えた後、一体どうしたのかとボールペンを書類の横に置いて次の言葉を待つ。
「上下、逆さまじゃ……」
言葉の意味が分からず、反射で「は?」と返すがすぐに視線を書類に向ける。
「うあぁっ!?」
先程自分が書いた名前と、その周辺の書類の文字を見る。
自分の名前と、書類全体の文字と書いた名前の隣の『署名』という文字の向きが。
一八〇度違っていた。
書類の向きをちゃんと確認せずに署名してしまったのだ。
驚きの声を出すと、そのまま口をあんぐりと開けたまま、思わず無言で首を動かし、永夢の顔を見る。
「だ、大丈夫ですっ。横に印鑑を押す欄があります。印鑑を正しい向きで押せば……。とりあえず、二重線引いて訂正印押して、その上に正しい向きの名前を書けば大丈夫かと……っ」
あわあわと慌てふためきながら、焦る俺を落ち着かせようと言葉を紡いでいく。
──……自分以上の反応をする奴を見ると、一気に冷静になるの法則。
俺以上に慌てふためく永夢を見て冷静になっていく。
「とりあえず、線で消して訂正印押して、その上に署名書くわ」
そういうとまたデスクに向き、今度は書類の向きを確認して二重線を引いて、デスクの上の小さな箱の中から黒の朱肉と訂正印を取り出し、上から被せるように印を押す。
元の箱の中に仕舞うと、一度置いたボールペンを手に取り、再びペン先を滑らせて自分のフルネームを書き記す。
向きが合っている事を確認して、茶封筒の中に入れ封をする。
「ほれ」
「ありがとうございます!」
そう答えて差し出した茶封筒を受け取ると、意味ありげな視線を送ってくる。
「……なんだよ」
「あ、いえ……。大我さんでも、とちる事があるんだなぁ、って」
聞き返そうとすると「あ!そ、それだけです、すみませんっ」と腰を曲げて謝罪する。
──いや、俺何も言ってねぇ……。それじゃ、俺がパワハラ上司みてぇじゃねぇか……。
「それでは」と背を向けて部屋を出ようとするが、その背中に「待て」と声をかける。俺に「何ですか?」と疑問を投げかけながら振り向くと、引き出しから出した、ラッピングされたクッキーを投げて渡す。慌てて両手でキャッチすると、小さく「ナイスキャッチ」と賞賛する。
「休憩時間に食え」
「は、はいっ、ありがとうございます!」
「美味しそう……」と声を漏らしながら身を翻し、扉を開いて廊下に出る。
「ではっ」
「おう」
短く返信をすると、扉がゆっくり閉まっていく。完全に閉まるのを見届ける。
「……」
──俺、疲れてるんかな……?今夜はちゃんと寝よ……。
「恋愛に溺れて身を持ち崩すことを堕ちていく、なんて言うけれど」
「なに? 突然」
「それは第三者の価値観で見てるからそう言うんであって、本人は堕ちるどころか天にも昇る気持ちなのかもね」
「それだって脳内麻薬が変な作用してるだけでしょ?」
「まぁ恋愛なんて所詮脳が見せる幻覚だって言うしね。……でも、天にも昇る気持ちってどういう感覚なんだろ」
「分かんないなぁ」
「私も」
「まぁでも、分かんなくても生きていけるし人生は楽しいしさ、酒は美味いからいいんじゃね?」
「そりゃそうだ」
今夜も気の置けない友人と美味い酒が呑めるなら、それでいいのだ。
END
「逆さま」
逆さま
ガラスポットの中でジャンピングしていく茶葉
逆さまにした砂時計から
さらさらと流れ落ちる砂を見つめながら
とっておきのスイーツを準備する
たまにはゆっくりと丁寧に
五感で味わってみよう
忙しない日々のなか自分へのご褒美時間
幸せを感じられるひととき
水たまりをのぞくと逆さまの世界がみえた。
お空がすぐ手の届きそうなところにある。
お空を飛べたらいいのにな。
水たまりを踏んでしまうとその世界はなくなってしまう。
見上げるとお空はなにもなかったように広がっている。
水たまりの世界はよどんでしまったのに。
この世界も水たまりの世界と同じように儚い。
踏んでしまえばよどむ。
よどまぬように大事に大事に生きてみたいものだ。
大人になって逆さまになった私の価値観はもうあなたに熱を感じない
#逆さま
ふとした拍子に君と言い争いになった。
とても小さくてくだらない事。それなのに揉み合いにまで発展して、階段の踊り場で喧嘩をしていたのがいけなかった。
ズルりと足を滑らせた君は、真っ逆さまに階段から落ちていき、次の瞬間僕に聞こえてきたのはドシャリというどこか気味の悪い音。
その音に慌てて階段の下を見下ろすと、そこには血の池と変わり果てた君の姿。
違う、違う、違う!!
僕は悪くない!悪いのはあんな些細なことで僕に突っかかってきた君だ!
だから、僕は悪くないんだ!!
自分に言い聞かせるように何度も何度も呟いた。
逆さまだから はなから わからずや
ああ 若さは わなだが
あなたは さながら ばら または 宝だ
…バカやったら?また明日から
かならずや腹から 笑わなきゃ なんだかな
「逆さま」
この世界は色んな逆さまが転がっているように思う。
どんな対象にも必ず 逆さま がある。
誰かが上空から殻のない中身だけを落とした。
落ちたものは、手近にあった外枠をヤドカリのように着込むと、平然と電車に乗って会社へ行ってしまう。
私はベットでテレビのワイドショーを見て過ごす。
カップラーメンの残したスープにタバコの灰が浮いているのを見て過ごす。
外枠さんは中身さんのことを知らない。
中身さんも外枠さんのことをしらない。
もしあのとき投げ落とされたのが、あの中身さんじゃなくてこの中身さんだったのであれば、SheはただのHeだったのだ。
私は遅刻する前に会社へ行かなくてはいけない。
テレビとタバコを見て日を過ごすあの人を置いて。
いってきます。
いってらっしゃい。
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【10】逆さま
私とあの人の心は逆さまだった。
私はネガティブ思考。あの人はポジティブ思考。
前向きで、真っ直ぐで眩しい人。ずっと憧れの人。それは今も変わらない。
私が悩めばかならず手を差し伸べて、笑顔で笑った。そして、
"大丈夫。何度でも笑わせるから"
その言葉で何度も救われた。
誰の言葉でも一喜一憂できてしまう私は生きづらい。
それでも、
"あなたはあなただから。どんなあなたも魅力的だから"
そんな言葉に今日も救われて、今日という日を終える。
逆さま____
2023.12.06