『逆さま』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
心は泣いてるのに笑顔を浮かべて
心は怒ってるのに親切にして
心は限界なのにまだ大丈夫って言い聞かせる。
私は逆さまの感情表現が得意。
泣かないんじゃない。
怒らないんじゃない。
強い子なんかじゃない。
泣いてるし、怒ってるし、すごく弱いんだよ。
きっとこういう人って私だけじゃない。
街ですれ違うすました顔のあの人も、
電車で窓の外を見ているあの人も、
SNSでキラキラしているあの子だって、
本当は逆さまなのかもしれない。
逆さまに気付いてくれる人は
逆さまを知ってる人。
逆さまが得意だからこそ
人の逆さまにも気付ける人でありたい。
逆さまは悪じゃない。
逆さまは繊細で、強くて、弱い。
そんじゃさ、ゲームしよう。逆さまゲーム。
これからお互いに質問して、逆のことを答えるゲーム。
「何よ急に。…別にいいけど」
じゃあ、俺のこと好き?
「は!?…ハァァァ!?」
ほれ、ゲームゲーム。ちゃんと言えなきゃ負けだぞ?
「そ…そんなの…」
好きって言っても嫌いって言ってもいーんだぜー?
「…っ、…〜〜〜〜っ!!!ズルいっ!」
なにが?
「どっちに答えても何も言わなくても負けってことでしょ?ズルい!卑怯者ーっ!」
あーあ、なんで俺こんな天邪鬼で負けず嫌いなヤツに惚れたんだかなぁ。
「……まだゲーム中?え、どっち?どっちよ??」
9
「はい返すねありがとっ!」
「おま……落書きするにしてもせめて正面からにしろよ上下逆じゃねえかよ」
『逆さま』
/授業聴いてないにも程がある
"逆さま"
今日の昼過ぎ、宝条永夢が俺の署名が必要だという書類を持って医院の診察室に来た。
「ごめんなさい。お忙しいのに……」
永夢から書類が入った茶封筒を手渡す。封を開け、書類を取り出して一通り目を通しながら答える。
「んや、構わねぇよ。そっちの方がもっと忙しいだろ。申し訳なく思うのはこっちの方だ。……ただ」
「『ただ』?」
書類から一瞬目を離して、永夢に目を向ける。
「いくら忙しいからって、『書類』の『書』を『所』に誤字したまんま送ってくんな」
昨夜、永夢から送られてきたメッセージを思い出す。
日記を書き終えた後、今日の昼過ぎに来るというメッセージが来たのだが、そのメッセージが『書類』の『書』という字がどういう事か『所』と書かれており、『所類』という見た事のない単語を織り交ぜて送ってきた。
そんな誤字をした本人は俺の言葉に「え?」という声を発する。
呆れた声で手に取ったボールペンの先を差しながら「昨日俺に送ったメッセを見ろ」と確認するよう促す。それに反応して「は、はい……」とポケットからスマホを取り出す。
──この感じ、気付いてねぇな……。
スマホを操作して数秒後、「あぁーっ!」と大きな声が室内に響いた。あまりの大きさに思わず耳を塞ぐ。
「す、すみません!気付いてませんでした……!本当に、すみません……!」
「やっぱり……」
──こいつのおっちょこちょいなとこ、ホント変わんねぇ……。いい加減ちょっとは《落ち着き》ってもんを身に付けてほしい……。
いまだに転んだり、とちったりする元研修医──現在は小児科医──に呆れを込めてノック音を鳴らし、ボールペンの先を出す。
「俺だから良かったけどよ……、今度やったら覚えとけよ」
少々、厳しめの言葉を放つ。「はい……」と弱々しい返事を聞いて、「分かればいい」とデスクに向かって書類の署名欄にボールペンの先を滑らせ、自身のフルネームを書く。
すると横から「ん?」と小さな声が聞こえたかと思った瞬間、声をかけられた。
「あのぉ、大我さん。その書類……」
「なんだ?」
首を動かし、永夢に向ける。署名を書き終えた後、一体どうしたのかとボールペンを書類の横に置いて次の言葉を待つ。
「上下、逆さまじゃ……」
言葉の意味が分からず、反射で「は?」と返すがすぐに視線を書類に向ける。
「うあぁっ!?」
先程自分が書いた名前と、その周辺の書類の文字を見る。
自分の名前と、書類全体の文字と書いた名前の隣の『署名』という文字の向きが。
一八〇度違っていた。
書類の向きをちゃんと確認せずに署名してしまったのだ。
驚きの声を出すと、そのまま口をあんぐりと開けたまま、思わず無言で首を動かし、永夢の顔を見る。
「だ、大丈夫ですっ。横に印鑑を押す欄があります。印鑑を正しい向きで押せば……。とりあえず、二重線引いて訂正印押して、その上に正しい向きの名前を書けば大丈夫かと……っ」
あわあわと慌てふためきながら、焦る俺を落ち着かせようと言葉を紡いでいく。
──……自分以上の反応をする奴を見ると、一気に冷静になるの法則。
俺以上に慌てふためく永夢を見て冷静になっていく。
「とりあえず、線で消して訂正印押して、その上に署名書くわ」
そういうとまたデスクに向き、今度は書類の向きを確認して二重線を引いて、デスクの上の小さな箱の中から黒の朱肉と訂正印を取り出し、上から被せるように印を押す。
元の箱の中に仕舞うと、一度置いたボールペンを手に取り、再びペン先を滑らせて自分のフルネームを書き記す。
向きが合っている事を確認して、茶封筒の中に入れ封をする。
「ほれ」
「ありがとうございます!」
そう答えて差し出した茶封筒を受け取ると、意味ありげな視線を送ってくる。
「……なんだよ」
「あ、いえ……。大我さんでも、とちる事があるんだなぁ、って」
聞き返そうとすると「あ!そ、それだけです、すみませんっ」と腰を曲げて謝罪する。
──いや、俺何も言ってねぇ……。それじゃ、俺がパワハラ上司みてぇじゃねぇか……。
「それでは」と背を向けて部屋を出ようとするが、その背中に「待て」と声をかける。俺に「何ですか?」と疑問を投げかけながら振り向くと、引き出しから出した、ラッピングされたクッキーを投げて渡す。慌てて両手でキャッチすると、小さく「ナイスキャッチ」と賞賛する。
「休憩時間に食え」
「は、はいっ、ありがとうございます!」
「美味しそう……」と声を漏らしながら身を翻し、扉を開いて廊下に出る。
「ではっ」
「おう」
短く返信をすると、扉がゆっくり閉まっていく。完全に閉まるのを見届ける。
「……」
──俺、疲れてるんかな……?今夜はちゃんと寝よ……。
「恋愛に溺れて身を持ち崩すことを堕ちていく、なんて言うけれど」
「なに? 突然」
「それは第三者の価値観で見てるからそう言うんであって、本人は堕ちるどころか天にも昇る気持ちなのかもね」
「それだって脳内麻薬が変な作用してるだけでしょ?」
「まぁ恋愛なんて所詮脳が見せる幻覚だって言うしね。……でも、天にも昇る気持ちってどういう感覚なんだろ」
「分かんないなぁ」
「私も」
「まぁでも、分かんなくても生きていけるし人生は楽しいしさ、酒は美味いからいいんじゃね?」
「そりゃそうだ」
今夜も気の置けない友人と美味い酒が呑めるなら、それでいいのだ。
END
「逆さま」
逆さま
ガラスポットの中でジャンピングしていく茶葉
逆さまにした砂時計から
さらさらと流れ落ちる砂を見つめながら
とっておきのスイーツを準備する
たまにはゆっくりと丁寧に
五感で味わってみよう
忙しない日々のなか自分へのご褒美時間
幸せを感じられるひととき
水たまりをのぞくと逆さまの世界がみえた。
お空がすぐ手の届きそうなところにある。
お空を飛べたらいいのにな。
水たまりを踏んでしまうとその世界はなくなってしまう。
見上げるとお空はなにもなかったように広がっている。
水たまりの世界はよどんでしまったのに。
この世界も水たまりの世界と同じように儚い。
踏んでしまえばよどむ。
よどまぬように大事に大事に生きてみたいものだ。
大人になって逆さまになった私の価値観はもうあなたに熱を感じない
#逆さま
ふとした拍子に君と言い争いになった。
とても小さくてくだらない事。それなのに揉み合いにまで発展して、階段の踊り場で喧嘩をしていたのがいけなかった。
ズルりと足を滑らせた君は、真っ逆さまに階段から落ちていき、次の瞬間僕に聞こえてきたのはドシャリというどこか気味の悪い音。
その音に慌てて階段の下を見下ろすと、そこには血の池と変わり果てた君の姿。
違う、違う、違う!!
僕は悪くない!悪いのはあんな些細なことで僕に突っかかってきた君だ!
だから、僕は悪くないんだ!!
自分に言い聞かせるように何度も何度も呟いた。
逆さまだから はなから わからずや
ああ 若さは わなだが
あなたは さながら ばら または 宝だ
…バカやったら?また明日から
かならずや腹から 笑わなきゃ なんだかな
「逆さま」
この世界は色んな逆さまが転がっているように思う。
どんな対象にも必ず 逆さま がある。
誰かが上空から殻のない中身だけを落とした。
落ちたものは、手近にあった外枠をヤドカリのように着込むと、平然と電車に乗って会社へ行ってしまう。
私はベットでテレビのワイドショーを見て過ごす。
カップラーメンの残したスープにタバコの灰が浮いているのを見て過ごす。
外枠さんは中身さんのことを知らない。
中身さんも外枠さんのことをしらない。
もしあのとき投げ落とされたのが、あの中身さんじゃなくてこの中身さんだったのであれば、SheはただのHeだったのだ。
私は遅刻する前に会社へ行かなくてはいけない。
テレビとタバコを見て日を過ごすあの人を置いて。
いってきます。
いってらっしゃい。
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【10】逆さま
私とあの人の心は逆さまだった。
私はネガティブ思考。あの人はポジティブ思考。
前向きで、真っ直ぐで眩しい人。ずっと憧れの人。それは今も変わらない。
私が悩めばかならず手を差し伸べて、笑顔で笑った。そして、
"大丈夫。何度でも笑わせるから"
その言葉で何度も救われた。
誰の言葉でも一喜一憂できてしまう私は生きづらい。
それでも、
"あなたはあなただから。どんなあなたも魅力的だから"
そんな言葉に今日も救われて、今日という日を終える。
逆さま____
2023.12.06
いつからわたしの心はこんなに大人びたんだろう。
担任の先生に暴力を振るわれた時?
祖母が脳梗塞になった時?
初めて親族の死を経験した時?
父が家から出て行った時?
飼っていた小鳥が餌をあげなかったせいで死んだ時?
大好きだった犬が虹の橋を渡った時?
自分の体を傷つけた時?
女性が好きになった時?
隣で母が脳出血になった時?
ストーカーされた時?
最愛の人を傷つけた時?
親友と離れた時?
彼氏ができた時?
アンハッピーリフレインじゃないけどさ、「画面の向こう落ちて行った逆さまのガール大人の世界。」これ、今見てるあなたは体験できた?不幸が重なることで、人が大人になるのなら、反対に、幸せが重なれば子供のままでいられるの?ピーターパンシンドロームはあいにく持ち合わせていないから。わたしはこのまま安心して空気抵抗と一緒に身を委ねてみるよ。
逆さま(2023/12/6)
確かに先輩方も好きだし、仲いいあの子も好き。
でも、2つの好きの性質が少し違う。
恋なんてものではなく、友愛のほうが近い。
ただ、あの子へ向ける感情は友愛なんてきれいなものではなく、もっとドロドロした、汚いものが混ざってる。
おそらく向こうも気配を感じてる。
書いてけばどうにかなるかと思ったけど、逆さ要素あるかな、どうもならなかったな、、
一般的に作られているような人間関係は、苦手。
苦手というより、分からない。
恋と友情は同じパラメーターを違う言い方しただけに感じる。ボリュームと音量みたいな。
相手が求める形となって現れる。
私が逆さまなのかもね、世間一般と呼ばれるものと比べると。
久々に開いたし、久々に書いたな。
あ、あと、目的と手段もひっくり返りやすいよね!
この世界に制裁を
『正』を守り、『悪』を挫く。
それこそが『正』
そう、教えられた。
人は正しく生きなくてはいけない。
だが、悪く生きないと生き残れない。
この矛盾よ。
自分の心は自分が思っているよりも「純粋」、悪くいえば、「幼い」。
大人の心は自分が思っているよりも「複雑」で真っ黒い。
そう気がついたのだ。
汚いことでも、自分に利があるなら平気でしてしまうと、
そんなことをしている暇があるのなら、自分の道を信じて進めばいいのに。
信じれないんだね。
大人は。
どうか、この逆さまな世界に制裁を。
逆さま
「逆さま」
目的と手段が逆さまになってやるべきことができなくなっていたんだなと気付いた今日このごろ
目についたそれを見た時、何故か思い浮かんだ。
これは逆さま?
これが普通?
まさか、自分が逆さまになってる?
多分、どれも正解なんかじゃない。
自分たちに合わせて、常識を作ったのだから。
本当は、自分たちが逆さまで、自分たち以外も好き勝手、生きたいように、都合良くできているのだ。
逆さま。
それは、自分たち以外にも、生きているものがいる証。
『逆さま』2023.12.06
逆さまに見た世界のなんと奇妙なことか。見慣れたはずの光景が見慣れないその違和感に、つい笑みがこぼれてしまった。
鉄棒の組まれた板の上。パルクールを使った作品なのだと言われたので、試しにぶら下がってみた。
鉄棒なんて小学校のとき以来だ。ジャングルジムのように組まれたその鉄棒で、前に体を倒した。
途端、世界が反転してさっきまで見ていた景色が違ってみえる。
「わはは」
と笑い声が出てしまい、体を起こす。
鉄棒じゃないよ、とパルクールの講師が苦笑いをして、適当に平謝り。
だって、こんな前回りなり逆上がりなりしてくださいと言っているようなものじゃないか。と素直に口にすれば、他の出演者も頷く。
そういう技があることはある、と講師は言う。
ただ回転するだけでなく、いくつか技を組み込むとかっこよくなるのだと。
そう言われたら、やりたくなってしまうのが男というものである。
心は少年の良い歳をした男たちは、早く教えてくれと急かす。いい子にするから、とまで言い出したものだから、講師はプッと噴き出した。
地上でのアクロバット、鉄棒上でのアクション。
宙を飛んで一回転。その刹那に見る逆さまの世界。
それは普段はなかなかお目にかかることのない、新鮮な世界である。
みんな逆さまで
僕だけ出来なくて
敷かれたレールから外れていって
みんなみんな逆さまで歩いていって
僕を置いていって非難された
何故みんな逆さまなんだろう
可笑しいな可笑しいな
みんな僕をわらった