『踊るように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
僕の心は貴方の気分によって変化する
貴方が楽しそうにしている時僕の心は白鳥のように舞い、貴方が悲しそうにしていると僕の心は悲しみのワルツを踊る
今日はどんな音楽を奏でてくれるのだろうか
貴方を見かけた時から僕の心の公演が始まる
彼は駆けていた
とても美しかった
その姿は溶けた人々の心を固め、明日への勇気を授けた
彼は歌っていた
とても美しかった
その歌は耐える人々の耳を清め、綺麗な涙を流させた
彼は踊っていた
とても醜かった
その足の運びが不快であり、その口の上がり方が気分を害した
美しい歌とのアンバランスさが、より彼を不気味にさせた
ただそれだけで人々の期待は打ち砕かれ、彼を必要としなくなった
彼は踊り続けた
足の皮が擦り切れようと
唇を噛み締め痛みに耐えた
その行為は人々に滑稽に映った
彼は踊るのを辞めた
ついでに、生きることも放棄した
彼の骨は盗まれ、
ひとつの杖となった
その杖は、いつも揺れている
ゆらゆらと
全ての者を惹き付ける
ふらふらと
リズムを取って
まるで、
お題『踊るように』
ライブ
たくさんの楽器の音、そして人の歓声、歌声が踊るように聞こえ泣いた卒業ライブ。
久しぶりに水族館に来た。
勿論一人で。
薄暗い館内は巨大な水槽の淡い光が差し込み、キラキラと揺れている。
俺は、中を踊るように泳ぐ魚達をただひたすら、それこそ取り憑かれたように見つめていた。
失恋した。
好きだった子がいた。
大好きだった。
あの子の為なら、何でもできると思ったし、あの子のことを想うと胸が締め付けられる。そんなベタな恋心を抱いていた。
本当はこの水族館も、あの子と行きたかった。
だが、勇気をだして誘って返ってきた答えは、
「私、彼氏がいるから」。
呆然と立ち尽くす俺に、彼女は「ごめんね」と言い、一世一代の告白は、好きの一言すら言えずに終わったのだ。
なんて惨めなんだろう。
なんて浅ましかったんだろう。
恋なんて大嫌いだ。
こんな、こんなにも人間を狂わしてしまう。
無理だと分かっているのに、可能性の一ミリすらないのに、まだ俺は彼女を諦めきれない。
確かに恋をしていた。
好きだった。
多分、この先一生忘れることの出来ない想いだ。
目の前で泳ぐ魚達は、そんな惨めな俺を嘲笑うかのように泳ぎ続ける。
尾鰭を広げて、水の中を自由に踊る。
泳いで、泳いで、泳いで。
その先に何かある訳でもないのに、泳ぎ続ける。
「いいなぁ……」
俺も、この水槽の中に入ってしまえば、こんな惨めな想いをしなくて済んだだろうか。
いや、そうなってしまったら、あの子の事を好きになった気持ちまでなくなってしまう。
それは、なんか嫌だ。
でもやっぱり苦しい。
せめて、好きの二文字だけでいいから、伝えたかった。
あぁ、恋なんて大嫌いだ。
『踊るように』
やっぱり綺麗だよな、と思う。
腹立たしいけれど、あの真っ青な目を三日月型に細めて「見惚れちゃったかい?」なンて聞かれたら、うっかり素直に首を縦に振っちまいそうだ。
踊ってるみてェだ。貴族の開く舞踏会っつーのに行けば、彼のように踊る人々を見れるンだろうか。いや──どんなにか大きい舞踏会に行ったって、アイツより綺麗に踊る人間なンていないだろう。ンなものには縁のねェ人生だから、きっと確かめることは一生できねェが。
真っ直ぐ伸びた背筋。
どんなに動いてもブレない頭と腰。
避けるときは絶対に四肢のどれかは地面についていて、次の動きに備えている。
武器を振り回す手は指先まで力が入っていて、それでいて滑らかでしなやかだ。
ああ、本当に綺麗だ。いつまでも眺めていたい。
………………やってることが殺しでさえなければ。
どしゅ。また鈍い音がして、彼の持ってる武器が相手の頭を叩き潰す。
両手で振り回す長い棒と鉄球のついた鎖がくっついたようなアイツの特徴的な武器は、モーニングスターとか言うらしい。勢いのついた鉄球は簡単に相手の身体を破壊し、血しぶきを派手に吹き上げていた。
「……やりすぎじゃねェか」
「やりすぎぃ? あっはははは! それは金を払わなかったこいつらに言ってくれよぉ。おれだってほんとはこんなことしたくないんだよ? でもウチはタダ働きは絶対にしない。きみの給料だって依頼者の支払いで成り立ってる。だから支払いの滞ったお客様をひん剥くのは、取立て屋のおれの大事な仕事だよ」
そう言って自分で作った真っ赤な霧の中で、真っ青な瞳を柔らかく細めながら笑う。それはもう、いつものような──「やあ、今日はいい天気だね。このところ雨ばっかりだから嬉しいよ」と言ってたときと同じような、柔らかい笑みだった。
そンな頭のネジが1本外れたコイツ──アルコルと出会って数日、わかったことがある。
コイツは女と殺しが好きなどうしようもねェクズだ。
で、そンなことを言えば「でも酒とタバコはやらないよ。あ、クスリもね〜」と悪びれる風もなく堂々と抜かしやがる。最悪だ。
その上いつもヘラヘラした笑みを顔に貼っつけて、そのクセ腹の底は読めないときてる。普通ならまず関わりたくねェタイプだ。
だってのに──俺はコイツとペアの仕事に志願しちまった。
最悪だって思ってるのに、関わらない方がいいってわかってるのに──見たいと思っちまった。
コイツが間近で、実際に戦ってる姿を。
「ところで、新人。戦闘はおれに任せてきみは高みの見物かい? それともビビっちゃったかな?」
「……チッ、まさか。悪名高き取立て屋ってのの仕事ぶりを見たかっただけだ」
「あっはっははは! なるほどなるほど、それで俺の仕事についてきたってわけだ。いやぁ勉強熱心な若者が入ってお兄さんは嬉しいなぁ」
血の臭いが充満した部屋の中、アルコルはいつもと変わらない笑顔で馴れ馴れしく肩を組んでくる。
その時から、今の今にいたるまで。
頭のネジが外れてて、クズで、どォしようもなくて、ひたすらに強く、戦う姿の美しいコイツのことを──俺は嫌いになりきれないでいる。
出演:「ライラプス王国記」より イル、アルコル
20240907.NO.46「踊るように」
踊るように…
ホカホカ焼きそばの上の鰹節の舞〜♪
踊るように泳ぐ彼女は
人魚のようだった。
彼女は美しかった。
僕が見た中で一番。
それもいつか居なくなった。
踊るように泳ぐ彼女を
また見たい。
─────『踊るように』
お題「踊るように」
水族館の水槽を泳ぎ回る魚たち。
まるで、踊っているように見えた。
美しくヒラヒラと舞い、隙を見せない姿、形。
当時の私の心を掻き立てた、美しい生物。
海洋生物だけではなくて。
花や草などの植物や、風なども同様だった。
私は、特に海月を愛していた。
その中でも、ミズクラゲが好きだった。
溶けて死んでしまうとか、脳がないからとか。
そういうことではなくて。
ただ、海月が漂う姿を見ていると、自分の心が静かになる気がしたから。
うるさい自分の言葉を、かき消してくれるような気がしたから。
ただ、一緒にいてくれる人が欲しかったのかもしれない。
ただ、話を聞いてくれる人が欲しかったのかもしれない。
でも、だからこそ、彼らの優しい舞に見とれてしまったのかもしれない。
言葉を、踊るように、かき消して。
**「月夜の舞踏」**
ある夜、月明かりが静かに差し込む森の中で、一人の青年が佇んでいた。彼は未来への道を見つめながら、何かを探していた。彼の心は穏やかで、計画を立てながらも、どこか何か足りないものを感じていた。
その時、遠くから微かな音が聞こえてきた。まるで風が木々の間を舞い踊るような、軽やかなリズムだった。音に導かれるように彼が歩を進めると、そこには一人の女性が、月の光を浴びながら静かに踊っていた。
彼女の動きは、まるで風のようにしなやかで、心地よいリズムに乗せて世界を包み込んでいるかのようだった。彼女の踊りはただ美しいだけではなく、彼の心の奥深くにまで響いてくるようだった。
彼女は微笑みながら手を差し出した。「一緒に踊りましょう」と、優しく誘うその声に、青年は戸惑いながらもその手を取った。
ふたりは、静かに月明かりの下で踊り始めた。彼女のステップは、軽やかでリズムに溢れ、まるで彼を導くようだった。彼女は時に笑顔で、時に真剣なまなざしを向け、互いの心を通わせながら踊り続けた。
青年は次第に、彼女のリズムに身を任せ、迷いなく動けるようになった。彼女は、感情を自由に表現しながらも、安定した手で彼を支えていた。二人の踊りは、言葉のいらない会話のように、ただリズムに身を任せて互いの心を感じ取っていく。
踊りが進むにつれて、青年は気づいた。彼女はただ美しく踊るだけでなく、彼の足元に確かな道を作り出していた。彼女と共に踊ることで、未来への不安や迷いが少しずつ晴れていくのを感じたのだ。
月の光の中で、彼らは新しい未来へと一緒に進んでいく。彼女は柔らかく、そして力強く彼を導き、彼もまた彼女を支えながら、一歩一歩を共に踏み出していた。
時に彼女は大胆に、風のように新しいステップを踏み、挑戦を楽しんでいた。青年はその姿に心を揺さぶられ、共に挑戦する喜びを感じた。そして、彼女が疲れた時には、今度は青年が彼女を支える番だった。
踊りの最後、彼らは満天の星空の下で立ち止まり、微笑み合った。言葉はいらない。互いに共感し、理解し合い、支え合うリズムは、これからも続いていくと感じていたからだ。
---
彼女との踊りは、ただの一時のものではなかった。それは、彼の人生の中で、新しいリズムと感情の調和を見つける物語の始まりだった。
空からアイスクリームが降ってきた。
見事に頭のてっぺんに直撃したそれが溶けて額へ、口の中へとつたってくる。
甘い、バニラ味。
頭がじんと冷たい。
ハンカチを取り出してできるだけ拭ってみようとする。
どこから落ちてきたのかと見上げても高い建物もなくただ虚しいほどの雲ひとつない青空が広がっている。
夢、だろうか。
でも口の中は甘くて、頭は冷たくて、ハンカチはベタベタだ。
すると突然、
「お姉ちゃん、踊ろ!!」
小さな女の子の声と共に右手をぐいと掴まれた。
女の子は手を掴んだまま私の周りをぐるぐると走っている。
視界がぐるぐると回る、回る。
そういえば、
そういえばアイスを食べたのはずいぶん久しぶりだった。
女の子は楽しそうに走り続けている。
自然と笑顔がこぼれた。
何もかも嘘みたいだ。
アイスも、青空も、女の子も、私も
でもなぜか楽しい、私の足もつられて動く
すべてが撹拌されて 溶けあっていく
まだまだ まわる まわる
『踊るように』
人生のでこぼこ道を踊るように歩いていけたら
少しは楽になれるのかな
仕事とプライベートの線引きをして
踊るように空を飛ぶ鳥を脳に焼き付ける
私もいつか無になれる自由が来ると願って
踊るように
踊るようにして君は
ふり返らずに
雑踏の中へ消えて行った
僕はただ見ていた
追いかけもせず
君の背中が遠ざかるのを
誤解なのに
言い訳もできない
毅然と前を向き
顔をあげた君の頬に涙
僕になにが言えただろう
なにも言えなかった
「踊るように」
今日ダンスの先生に「貴方は体の動きが硬い」と言われた
なので緩やかに踊るようにイメージしてみたができやしなかった
「踊るように」
自分の中にどす黒いものが滲み出てきたな
タイムラインに流れてくる批判の相手が
自分の事だと思ってしまう
発言者のアカウントをミュートしたり
また戻してみたり
ああいやだ
自分が嫌だ
もっとサラッと 上手に世の中を渡って行きたい
踊るように
歌うように
飄々と生きて行きたい
単純に暇だから
ネットに張り付いているのであって
お茶でも飲んで 流せば良いのだ
踊りながら
歌いながら
黒い自分ごと 愛せば良いのだ
鬼のパンツも
マイムマイムも
炭鉱節も
踊れますよ。
踊りましょうか?
どういうわけか何年経っても
振り付けがいまだに頭に残ってますんで。
上手下手を言わないでもらえればね。
(踊るように)
軽やかに、踊るように
その身を委ねると、君は優しそうに微笑んだ
どんなに危なっかしい足捌きでも、その手は絶対に離れない
その姿に、私はどれだけ安心しただろう
そうしてまるでお姫様を扱うように身を寄せて、心まで掴み取っていくのだ
踊るように狂っていたの。何だかどうでも良くなって、無性に叫びたくなって、その場から逃げたかった。とにかく走った。場所なんてどうでも良かった。離れるために走った。足が擦り切れても、喉が痛みに焼けても走った。走った先にあったのは圧倒的自由と、ただの孤独だった。
踊るように、練る…
実際、彼は、踊るようにねるねるねるねを練っていた。練ることに関しては、彼は一目置かれていた。
踊 る よ う に
心を沈黙させる 360度の闇の中
身の回りだけを 明るく暖め
薪を爆ぜさせ 火の粉を舞い上げながら
踊るように 揺らめき 立ち上る炎が
いま 俺の頬を少し熱すぎる程に照らし
鼻の奥をくすぐる煙も
その全てが このほんの小さな
地上の一点と 壮大過ぎる宇宙空間とを
妖しく結び付ける
焚き火 と呼ばれる
神秘の焔だ。
#踊るように
銀髪の青年が籠いっぱいの花を、道行く人に配っていた。
どうぞ!と目の前に差し出されたのは、真っ赤なケイトウの小さな花束。
添えられたカードに「autumn field」の文字と簡単な地図が記されていて、新しいお花屋さん?それともカフェ?と首をひねった。
翌日から急に涼しくなり、週末に地図の場所を訪ねてみると、住宅地が途切れた先にススキの海が踊っていた。
そういえばあの青年の銀髪は、ススキの穂だったような…。