『踊るように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『踊るように』
ゆれるゆられる
ひらひらと舞う
澄んだ水の中に落ちる花びらは
貴方を思い出させる
ゆれるゆられる
ひらひらと踊る
澄んだ瞳の中に落ちる君の姿は
僕を魅了していく
惹かれていく
花を見つけた。かわいらしく、どこか少女を思い起こさせる花を。
花瓶に飾ってみた。なかなかいい感じだ。名前も知らないが、インテリアとしてしばらく利用させてもらおう。
なんて思ってたら、目の前の花は少女へと姿を変えてひらひらと踊り出した……様な気がした。
気のせいかと思ったが、それから毎日、あの幻覚を見るもので。
流石に麻薬の材料でも拾ったのか?と焦り、調べてみた。彼女はオンシジウムと言うらしい。花言葉は一緒に踊って、だそうだ。
だから僕は急いで帰ったよ。もちろん、踊るように、ね。
踊るように
手を叩き
じゃれくりあい
もぎ取った
俺たちのハートたち
お前に掴まれちやぁ
私もイチコロだよ
でもすまねぇ、そんな私にも
心に決めたヤツがいるんさ
そんなもん
ばやしこばやしちみにきまってる
今日の今夜はお前と夜を明かし、一緒に
朝日をみるぜ
俺たちの証
心に刻もう
証らぶゆー
お前にゆー
【踊るように】
タンタン、タン。
「おめでとう」とスマホのチャットアプリに打ち込み3分が経過した。未だに送信ボタンを押すことはできていない。この言葉が本心ではないとはいえ、軽く人差し指を動かすだけで済むことなのに、頑なに動いてくれない。どのような言葉を打ち込めば、この指は送信ボタンを押す気になってくれるのだろうか。キーボードの右上にある消去ボタンを、さっと左へスワイプさせる。一気に「おめでとう」という文字が消えた。
トーク画面の1番下には、相手から送られてきたスタンプが表示されている。わーいという文字と共に、可愛らしいうさぎの絵が描かれている。何がわーいだ。人の気も知らずに。
私がこんなにも悩んでいるのは、彼女から送られてきた1つのメッセージが原因である。
「聞いて聞いて、彼氏ができた!」だと。客観的に見ればとてもおめでたいことなのだが、私にとっては違う。何故なら彼女のことを恋愛対象として見ていたからだ。いや、恋愛対象どころか、恋人になりたいとはっきり思っていた。
いつかはこうなるだろうとは思っていた。お互い永遠に恋人ができない可能性の方が低いし、うんざりするほど彼女から「彼氏ほし〜」という言葉を聞かされていたからだ。本当に、人の気も知らずに。
「彼氏ほし〜」という言葉から、彼女からして私が恋愛対象外であることは明白だった。彼氏ということは、恋人として求める条件の1つとして、男であることが定められていることが分かる。これが「恋人ほし〜」という言葉であれば、私にも可能性が僅かながらにでもあったと解釈できる。加えて更に「彼女ほし〜」であれば、喜んで私が彼女候補として立候補していただろう。きっと、おそらく。しかし、そんな可能性は最初から潰されている。「彼氏」なのだから。
それよりも、彼女に何らかのメッセージを返さなければならないことの方が最優先だ。こんなことを考えていたら、私が既読を付けてから7分が経過していた。ああ、もったいない。相手に既読したと伝わってしまうこの機能が本当に鬱陶しい。こんな機能がなければ、メッセージを返すのが遅くなったと理由をいくらでも付けることができるのに。
何よりも、最後にスタンプを送った彼女の方が恨めしいかもしれない。トーク一覧の「スタンプを送信しました」というメッセージのせいで、彼女が私に何を伝えようとしたのかを知るために、トーク画面を開いてしまったからだ。スタンプ機能も嫌いだ。全部嫌いだよ、もう。
彼女は頻繁に追いメッセージというものをする。「おーい」「何やってるの?」「ねえ!」とよく催促されるため、私は既読を付けたら直ぐに返信をしなければならないという習慣を植え付けられた。
返信しなければならないタイムリミットは、彼女からの普段の追いメッセージから推測するに、30分であると見立てる。30分を過ぎれば、彼女は私の既読に気づいてしまうだろう。そして返信をしない私に違和感を覚える。最悪な場合、彼氏ができたことに対して私がよくないと思っていることがバレてしまう。それだけは避けなければならない。
では、どのような言葉であれば、この指は送信ボタンを押す気になってくれるのだろう。
タタタタ、タッ。
「羨ましい!」と打ち込んでみた。そんな訳があるか。
タンタンタンタンタン。
人差し指もそうだそうだと言わんばかりに消去ボタンの上で激しく頷いた。いや、それなら送信ボタンの上で頷いてくれよ。どうやら私の人差し指は嘘が苦手らしい。真実を含んだ言葉ならば、きっと送信してくれるに違いない。
タンタン。タン、カツカツ。
「私も恋人ほし〜」と今度は打ち込んでみた。この言葉に偽りはない。何故なら貴女を恋人にしたかったからだ。私の人差し指が送信ボタンの上で固まった。どうだ、この言葉なら文句を言うまい。
スーッ。
またもや言葉を消されてしまった。どうして、なに、恥ずかしいって?わがままなやつめ。またもやこの指を説得することができず、別の案を考えることになってしまった。
タッ、タッ、タッ、タッ。
「どんな人?」
どうだ。お前もどんな人が彼女の恋人になったのか気になるだろう?送信ボタンの上で、大切なものが質に取られたかのように人差し指が震える。…分かるよ、できるなら私だって、相手のことは少なくとも今はあまり知りたくない。人差し指のために、この言葉は消してあげた。
タンタン、タン。
何も思い浮かばず、初心にかえって「おめでとう」と打ってみた。しかし、やはり人差し指は動いてくれない。現在、既読を付けてから22分が経過していた。もし私の見立てが誤っていたとしたら、もう彼女に既読が付いていると気付かれているかもしれない。いや、嬉しい話題だからこそ普段より返信が待ち遠しくて、トーク画面を彼女にチラチラと見られているかもしれない。
タン。
「……あ」
うさぎのスタンプの下に私の「おめでとう」という文字が追加された。メッセージを送信したのは私でも人差し指でもない、中指である。なんという刺客だ。想定していなかった事態に、焦りが加速していく。
(書き途中です、操作に慣れてなくてOKボタン押してしまいましたごめんなさい。これで完成でいいですかの一言くらいくれよ!)
踊るように
将来の夢という題名の作文は周りに合わせて、お花屋さん、パティシエ、先生…。適当に夢を語って、周りの大人の反応を気にしていた。大人が求めている答えを知っていた、いや知りすぎていた。小さい頃から、夢などなかった。いや、そう自分に言い聞かせていた。
書くのが怖かった、何か言われるのが怖かった。心の奥底で強く音が鳴りひびいていた。その音に気づかないふりをした。ただ、あのとき本当は願っていたのかもしれない、ダンサーになりたいと。ただあのとき書きたくてたまらなかったのかもしれない、踊りたいと。踊るように書きたいと。
“踊るように”
ジュウジュウという音に合わせて踊るように、フライパンの上で薄いベーコンが跳ねる。時刻は午前10時。朝ご飯を作り始めるには少し遅い時間だけれど、日付を跨いでからしばらくして帰ってきた不眠気味の同居人が起きてくるには少し早い時間だ。
BGMとして付けたテレビからは、気象予報士の抜けるような青空が広がり、絶好の洗濯日和ですとこの時間帯に告げるには少し遅いようなコメントが聞こえてきた。もしかしたら三連休初日の今日はどの家庭ものんびり過ごしているのかもしれない。カリカリのベーコンを2枚ずつお揃いの皿に乗せて、残った油の上に卵を落とす。ジュウっと少しだけ油が跳ねて、白身が歪な形になる。
ゆで卵の黄身の具合には口うるさい同居人は、なぜか目玉焼きには頓着がなく、焦げない程度に火を落とし隣のコンロに火を付ける。小さい鍋には野菜のたっぷり入ったミネストローネが入っている。
チラチラと目玉焼きを確認しつつ、テーブルのセッティングをしているうちに洗面所から水が流れる音が聞こえてきた。どうやらやっと同居人も目を覚ましたらしい。テレビをちらっとのぞくと、最新の映画情報が流れていた。
今日はゆっくり家で映画を見るのも悪くないな。しっかりと火が通った目玉焼きをベーコンの上に落とす。もう一つ卵を落としたところで思いの外しゃっきり目を覚ました様子の同居人が顔を出した。
ちょうど、今話題のホラー映画の予告映像が流れたせいかちょっとびっくりしている同居人に少しだけ笑いつつおはようと声をかける。おはよう、って時間じゃないけどね。同居人はちょっとだけバツが悪そうに口を尖らせてそう言った。
もうすぐできるから、ちょっと待っててとバケットの入った皿を渡す。口を尖らせたままの同居人は子供扱いするなと言いながらも大人しく皿を持ってテーブルの方へ歩いていった。そのままいつも通りのイスに座って仕事用の端末を覗いている様だ。やっと取れた休暇だというのにワーカホリックも大変だ。
目玉焼きをテーブルに置きがてら、仕事も程々にねと寝癖のついたままの頭を軽く小突くとすぐ終わる!と拗ねた様な声が聞こえた。
【踊るように】
君の文面はいつも優しくて踊っているように楽しそうだった
でも君の本音を一度だって聞いたことがない
踊るようにはしゃぐ君も優しい君も本当の君なのだろう
でも言葉だけはどこか嘘をついてるような感じで
君の言う「大丈夫」はいつも信用できなかったんだ
君の「大丈夫」はいつも弱々しかったからね
詩(お題)
『踊るように』
踊るように…と言いながら
ステップ踏んで肩を揺らして
歌うように…と言いながら
大声だして夜空に叫ぶ
人は卑屈で謙虚なのだ
勇気というチケットはいつも
○○のように…なのだ
愛するように、好きなように
あなたの前では、初恋のように
踊るように、歌うように
あなたの前では、道化のように
心臓がダンス、ハートがジャンプ
あなたの前では、
「ように」じゃいられない
踊るように
跳ねて
飛んで
回って
笑うの
あぁ幸せだった、と
_踊るように
私の仕事はデスクワーク。
各ブースに隔てられた静かな空間、単純作業だし味気がないから、口パクで歌いながら踊るように左から右へと手を運ばせる。
傍から見たらノリノリで横揺れしてる奴だろう。
自分でもトモコレのウキウキ状態くらい揺れていると思う。無心で仕事をする時もあるけど、揺れてる時のが何だかんだ楽しい。勤務時間中ほとんど座ってるけど体を動かしてるから姿勢もきつくないし。
ダンスって楽しいから、踊るように仕事をするのも楽しいんだな。
わかってる事が
どうしてもできない
覚えてきた日常に囚われて
手を伸ばせない
誰も助けてくれない
自分が決める自分の人生
…
言い訳していないか
流されていないか
怒りを忘れていないか
弱いから立ち向かえる
弱いから優しくなれる
誰のものでも
誰のためでもない
掛け替えの無い僕の人生
風の坂道 小田和正
踊るように
明かりの灯らない、
蒼い月が照らす部屋で、
独り、踊るように、
ステップを踏む貴方。
まるで貴族の様な、
優美で華麗な身の熟しで、
誰もいない虚空を見詰めて、
そっと手を伸ばし、
優しく微笑む貴方…。
僅かに潤んだ、貴方の瞳には、
一体、何方が、
映っているのでしょう?
窓から差し込む月明かりが、
貴方の影を作り出します。
貴方は、とても楽しげに、
踊るように、ステップを踏んでいるのに、
貴方の影は、酷く悲しげに、
何方かを求めて、彷徨います。
大切な人と、踊るように。
独りきりの貴方は、
月明かりが照らす、
静かな部屋の中で、
夢に揺蕩っていました。
挙動不審をまるで踊っているかのように見せるのが私の特技です。
私はこれでブロードウェイに立ちました。
本当です。
【踊るように】
まるで踊るように歌を歌う子がいるのです。
盛り上がったり、悲しんだり、
歌から動きが感じられました。
とても楽しそうに歌う子です。
その歌い方はその子自身を表しているようでした。
ーとある後輩の印象ー
合わせて手足をくり返す動かす意味が理由が
わからないの
楽しいときに無秩序に跳ねたいの
悲しいときはぐるぐる回るの
#踊るように
会議は踊る、されど進まず
ナポレオン戦争後のウィーン会議を揶揄してつくられた言葉。私はてっきり、話がコロコロ変わって何も決まらないというニュアンスだと思っていたが、本当にダンスばっかりしていたかららしい。
ダンスしながらだと、悪いことなんか言えなそうだ。実際、めっちゃ踊ってはいたけどけっこう戦後の平和に貢献したらしい。
同じリズムで、足を揃えてステップを踏めば、意見も揃いそうだ。レコードのグルーヴ感に酔って、全てYESだと首を振れば、縦ノリのフロアの完成だ。
会議は踊るように進む。
さあ、君も一緒に。
踊るように
足取りひとつ、愛の対象であった。
時折の無視も、ぼけっとしていた、と頭を下げて謝る姿も、私だけに向いた好意の具現化だった。
どうやら双方の生活は暖かいらしい。
ありがたいことに毎日は癒しに満ちていて、不思議と猫背にならず過ごしている。
私を笑わせることに命をかけるあなたの気概は、私の生活をぐんぐんと幸福に吊り上げていく。
おそらくこの桃源郷は守られ続けるだろう。
なぜなら、日々前を向く怖さが薄れていっているから。
そして何よりお互いの足取りが、以前は死なないために踏みしめていた一歩一歩であったのに対し、今ではステップを踏むように軽やかだから。
昔より随分大らかになったあなたが口を開く。
「生きているんだから、細かいことはいいんだよ」
私はあなたの目を見つめて答える。
「おっしゃる通りだよ」
踊るように
世界のルールの中に自分ルールを内包して守ることで一定数偉くなる
それが幸せだった
ルールの中で踊ることができるようになってからは
自由と限界と境目を覚えた
それでも私が踊れば影も踊った
花弁が最後の生を全うするかのように
踊るように煌めいて落ちていった
その絨毯の残る橋は絶対に崩れない気がする
・踊るように
全く手が進まん。
紙の上をダンスフロアに見立ててペンを踊らせろ?冗談キツいぜ。
どんだけアガる曲を流してもペンは一切ノってくれないし、それどころか代わりに自分が踊ってたわ。
一体誰がこんなこと言ったんだよ。情報に踊らされただけじゃねーか。
って、ここで上手いこと言っても意味ないの。紙に上手いこと書いて欲しいのよ。
わかる?わかんないか。わかってたらもっとスムーズに書けてるわな。
あーあ。1度でいいから勝手に手が動いて執筆してくれないかなぁ。
→『彼らの時間』2 〜時よ、進め。〜
(改稿 2024.9.8)
踊るように手を動かしたワタヌキ昴晴は、階段の手摺を掴んだ。階段の踊り場で、彼の繊細で美しい手の動きに目を奪われた。
何とか友だちになりたくて、次の授業中に声を掛けた。国語だった。なぜだか心臓が跳ね上がるように速く打った。
「時を告げるって、なんか大層な言葉だよね」
急に話しかけられた彼は驚いた顔で何度も小さく頷いた。
その日の夜、なかなか寝付けず、「時よ、進め」と朝を待った。新しい友だちと早く会いたかった。それが友情とは違う、焦がれるという感情だと知るのは、もっと先の話だ。
あれから十年。偶然の再会を経て、ワタヌキと一緒に暮らしている。
「おかえり」
「ただいま。あれ? もしかして夕食作ってくれたの?」
「まぁね」
「ヒロトくんは優しいね」
ことある事に、ワタヌキは俺を優しいと言う。褒められている気がせず、彼を遠くに感じることがあるのは、何故だろう?
スーツ姿のワタヌキがネクタイに指をかけた。彼の美しい手が神経質にネクタイを解く。とても絵画的だ。何度も見ているのに、つい目で追ってしまう。
「ワタヌキ、生姜焼き、好きだろ?」
食べたかったやつだーと嬉しそうな声を残してワタヌキは着替えに行った。
ワタヌキは名前で呼ばれることを嫌がる。コウセイと呼びかけても返事をしない。
そう言った垣間見える問題を、いつか二人で乗り切りたい。
そしてずっと一緒に暮らすのだ。笑ったり、喧嘩したり、コウセイと手を取り合って。
二人の時間が今よりもっと絆を強くしますように。「二人の時よ、進め」と生姜焼きを盛り付けながら、呟いてみた。
テーマ; 踊るように