アクリル

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踊るように


足取りひとつ、愛の対象であった。
時折の無視も、ぼけっとしていた、と頭を下げて謝る姿も、私だけに向いた好意の具現化だった。

どうやら双方の生活は暖かいらしい。
ありがたいことに毎日は癒しに満ちていて、不思議と猫背にならず過ごしている。
私を笑わせることに命をかけるあなたの気概は、私の生活をぐんぐんと幸福に吊り上げていく。

おそらくこの桃源郷は守られ続けるだろう。

なぜなら、日々前を向く怖さが薄れていっているから。
そして何よりお互いの足取りが、以前は死なないために踏みしめていた一歩一歩であったのに対し、今ではステップを踏むように軽やかだから。

昔より随分大らかになったあなたが口を開く。

「生きているんだから、細かいことはいいんだよ」

私はあなたの目を見つめて答える。

「おっしゃる通りだよ」

9/7/2024, 5:23:42 PM