『赤い糸』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
人生という無色の糸の束には──
からはじまる、シャーロック・ホームズの有名な
台詞がかっこよくて好き。
殺人という緋色の糸が1本混じっているから、それを抜き出して明るみに出す、ということだけれど
人の出会いや結びつきも、それくらい繊細で難しい作業になるんだろう。
人と人とを結んでいるという赤い糸が目に見えたら
まるで血管が張り巡らされているみたいな、
巨大生物の体内のような、なかなか壮大な景色がのぞめそう。
そうやっていろんな赤い糸が絡み合って、ひとつの生き物のように蠢くのなら、人の繋がりが世界を動かすんだとも思えてくる。
【赤い糸】
後ろの方から声がして気にしちゃいけない。そんなのは分かっていたのに振り向いたらそこに化け物がいた。指には赤い糸。繋がってる先はとても可憐な少女。相変わらず綺麗だ、なんて。上から目線。
「何調べてんの?」
肩をぽんと軽めに叩いて隣に立つ。この距離感でいいのだろうか。
「わ、びっくりした。これ、駅前のスイーツだよ。」
キラキラしたものが似合う可憐な女の子。そんなものとは縁遠い人生を送ってきたはずなのに。
「行く?」
驚いた。こんな簡単に誘ってくるんだ。何も思わずに行くなんてことは無理だと思う。それでも、違う誰かが行くことになるのも嫌だった。
「行く。」
「フッ軽じゃん。いいね、そういうの。」
ほら、まただ。笑いかける度に膨れ上がった化け物が赤い糸を大切にしながら幸せそうな顔をする。早くこの糸を切らなきゃ。私に繋ぎ止めていい人じゃない。運命の赤い糸なんて嘘だ。
「 」
え、なんて? 聞こえなかったのなら気にする必要も無いのだろうか。赤い糸はきっと切るんだから。
「ちょっと小指かして」
そう言われて咄嗟に小指だけを立たせた右拳を差し出せば、彼女は何やらポケットから取り出したものを、僕の小指に巻き付けた。
「何この毛糸・・・・・・」
「赤い糸の代わり」
はあ。そうですか。と、曖昧な返事をする。なぜ彼女が急にこんなことをし始めたのかその理由はわからないまま、作業を見守る。
「できた」
糸からぱっと指を離した彼女は、僕の小指に留まった赤い蝶々結びを、誇らしげに眺めていた。
「・・・・・・えっと、これは?」
「君が私のものだっていう印」
・・・・・・さいですか。と、僕は心の内で微妙な相槌を打った。
「でも、赤い糸って運命の人に繋がってるものなんじゃないの? これだと僕は誰とも繋がってないし、君のものっていう証明にはならないんじゃ・・・・・・?」
ふと浮かんだ疑問を口にすれば、彼女はきょとんと目を丸くする。
「証明じゃなくて、これは印。君が私のものだっていうことは、君と私だけが知っていればいいことだから、別に周りに明かすこともないでしょ」
とりあえず周りの人には、君が誰かのものだっていうのが分かればいいんだと、何とも彼女らしい持論を振るう。
「・・・・・・それじゃあ、君が僕のものだっていう印もつけてよ」
そう提案してみたら、彼女は「いいよ」と言ってやや小指を浮かせた形で右手を突き出してきた。
僕はポケットに手を突っ込む。まさかこんな流れになるとはと、いささかの驚きを抱えながら、彼女の右手の指先を掴む。
「・・・・・・先に言っとくけど、僕の印は赤くはないから」
その言葉に彼女が一瞬だけ小首を傾げる。彼女的にはちょっとしたお遊びも兼ねてこの赤い糸の印を思い付いたんだろうけど、僕の場合はお遊びにして貰ったら困る。
「その代わり、無くさないでね」
けっこう悩みに悩んで選んだんだからと、彼女の指先をぱっと離せば、小指の代わりに薬指の根元へ小さなリングを留まらせる。
薬指を見た彼女が目を見張り、嬉しさで跳びはねるまでの数秒の間、僕の心臓は気が気じゃなかった。
【赤い糸】
あなたと私は繋がってると思ってた。勝手に。
バカでごめんね。
あなたの気持ちを考えられなくてごめんね。
自己中でごめんね。
こんな私と付き合ってくれてありがとう。
察してもらおうとしてごめんね。
優しく出来なくてごめんね。
私はあなたの運命の人なんかじゃない。
あなたは私なんかの運命の人じゃない。
リッパー……あるから。
赤い糸ってあるじゃない?
運命の人とは赤い糸で結ばれてるっていうね。
でもね、私は思うんだ、運命の人って決められてるのかなって、
だって、決められた人と結ばれるなんて、なんだか少し嫌じゃない?
だから私は決めた。運命の人を見つけるんじゃなくて、今好きな人を運命の人にするんだ。って、
そうしたら、なんだか楽よ。
#赤い糸
赤い糸が見えた。
私とあなたは赤い糸で結ばれてる。
ちょっとやばい奴だと思うかもしれないが、本当に見えたんだ。
そして今日
〈では、誓いのキスを、、〉
たくさんの人たちからお祝いの拍手をもらっている。
ふふ
「わたし、幸せだな、、、」
『僕もだよ。
でも僕は君と結ばれる運命だったと思う』
「え、」
『見えたんだ。赤い糸。君と僕には。』
ふっと笑う旦那さんと
びっくりして口が開いた私の写真が
結婚式のアルバムって送られてきたのは3ヶ月後。
運命の赤い糸の相手は、
「この人だったんだぁ」って、
何十年後に分かるらしい。
答え合わせをするより、
この人だぁ!
って勘違いしてる方が、幸せかも。
赤い糸を見つけた。都会の雑踏の中では細い糸は目立たなかったが、私は一瞬でその糸に目を奪われ、気がつくと糸の続く方へと歩みを進めていた。
赤い糸の続く先は長かった。私は糸に導かれるようにして歩き続けたが、それにしてもちょっと長すぎやしないか、と思うくらいには長かった。
何度か心が折れそうになり、この度に自力で克服した。そんな経験が重なり、謎の無敵感に包まれながら歩みを進めていると、突然糸が途絶えた。赤い糸は、森の中の一本の木に結びつけられていた。
──え、何もないじゃん。
「その時は本気でそう思ったよね。でも、なんだかんだでそのままここで暮らすことになったんだ。ま、運命なんて、案外そんなものかもね。」
人生に絶望して都会を彷徨っていた時に偶然見つけた赤茶けた糸を辿って行った先の立派なツリーハウスの住人は、そう言って笑った。
(赤い糸)
#赤い糸
あなたと結ばれたい
私と結ばれるはずだった人は
遠くへ行っちゃった、
また、夢を見る。あなたと共に居た夢を。
あなたとの糸が切れてから、わたしの毎日は無気力になった。
3年前。わたしはあなたと糸で繋がっていると、信じて疑わなかった。あなたもそうであるはずだった。
苦しい。それがわたしを締め付ける。どうしてと問うても、そこにあなたは存在しない。そういう運命だと頭では解っていても、心は言うことを聞いてくれないものだ。
願わくば、あなたと最期に会いたかった。
#赤い糸
この胸に空いた穴をふさぎますあなた離した赤い糸もて
#jtanka #短歌
運命の赤い糸は、たった一人の相手とだけ繋がっている。
そんなロマンチックのような噂話が、皆の中でかしましく広まっている。
ただ私は、それが美しいだとか、ロマンチックには到底見えない。
だって運命とは、ある種の呪いだから。
恋人とか腑抜けたものじゃない。
運命の相手は全てを受け入れ、ともに歩むものだから。
赤い糸なんていらない。素敵な人は自分の力で見つけるから。
運命の赤い糸って、信じますか?
自分の今持っている糸は赤くはないかもしれません。
オレンジ、黄色、紺色、または他の色かも。
それでも、糸を手にしたんです。赤い糸は見えなかったけれど。
見えたのではなく、密かに縛られていたんです。
糸って言い始めた人は誰だ。これは糸ではない。もっと強く、人を狂わせる何かだ。
赤い糸
昔から私には赤い糸が見えた。
運命の人と繋がっているという例のあれだ。
といっても、見えるのは自分の糸だけ。
見えたての頃は、この先に私の王子様がいる!!!!
なんて思って興奮したけれど、そのドキドキはすぐになくなってしまった。いや、しらけてしまった、というのが正しいのかもしれない。
この糸、定期的に切れる。
何を言っているか分からないかもしれないけど、私の運命の赤い糸は定期的に切れるのだ。1週間持ったら長い方。短いと5分とかで切れて、また新しい赤い糸が延びる。
頭の悪い私なりに考えた結果、運命なんてものはきっとないのだ、という結論にいたった。きっと、今この瞬間で切り取ったら私と幸せになってくれる相手というのはいるのだろうけど、世界中の人間が何か一歩行動すると、きっと変わってしまうんだ。
だいたい、この赤い糸どこに繋がってるか分からない。
何度も繋がってる先まで私の方から殴り込んでやる!!なんて考えたことはあるけど、いかんせんこの赤い糸寿命が短い。
先まで辿り着く前にプツンと切れて、またあらぬ方向を指してしまう。
そんなことが積み重なった結果、私は運命なんてものを信じなくなっていた。ついさっきまでは。
私は人生で初めて、自分のかぼそい赤い糸が指し示す人物と出会ってしまった。どうして、こんなことになったのかは分からない。
そもそも、今の状況自体把握しきれていない。
けど、確かに私の赤い糸は……目の前の誘拐犯と繋がっていた。
誰にも一本は赤い糸があるのでしょうか
その貴重な一本を自ら断ち切った場合
次は無いのでしょうか
私の赤い糸は
きっと絡まり絡まり
相手に届かないんだ
お題
赤い糸
赤い糸。というと運命の赤い糸しか思い浮かばない。小説のタイトルになりそう。
『赤い糸』
運命の赤い糸だとか言われているけど
僕にとっては運命なんかじゃない
これがなければ死んでしまう
救命
こう呼んだ方がいいのかも
僕はずっと管に繋がれていて
そこから赤い糸が伸びている
いつか
この糸が
切れる日が来ることを願っている
赤い糸ときいて「縦の糸はあなた、横の糸は私。」という歌詞を思い出した。これは糸という中島みゆきの曲であるが、
僕はこれをカラオケに行ったときは毎回歌う。特に好きな子とか可愛い子が居たときには必ず歌う。本気出して歌う。
理由は単にモテたいからだ、変に好きなバンドの、誰も知らないような曲とかボカロ歌ったところで失敗する可能性を持ってしまうだけだし、かといって流行っているKPOPの曲を歌おうとすれば難しくて失敗してしまうだけだ。
中島みゆきはいい。基本みんなが知っている曲ばかりだし恋愛の曲なんてどうすればあんなに純粋で切なげなものが書けるのかどうやってもわからない、素晴らしい。
だが、正直のところ、中島みゆきを歌うより好きなバンドを歌った方がよくわからんが盛り下がる。たぶんしんみりちゃう、僕の十八番。
それで何が言いたいかって言うと僕には彼氏は居ないし彼女すらも居ない、結局糸を歌う僕をカッコいいと言う人はいない。カラオケか合コンかになんて赤い糸はない。
それに気づいた瞬間、ムカついて国道沿いの家からめっちゃでかい声で「うんこ!」って叫んだわ。
くそう、どうやったら赤い糸結ばれるってんだよ!!