『貝殻』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あの人に貰った貝殻に
耳を当てて海の音を聞く
二人の道は違えてしまったけれど
幸せでありますようにと願いながら
カラスがもう寝静まった頃。旅館から抜け出した俺たちは、錆びて注意書きも読めなくなった鉄階段を降りて浜辺を歩いていた。夜の海はその光を落ち着かせて、緩やかな夜凪の波の音だけを発している。
前を歩いていた彼女は急にしゃがんだかと思えば、貝を手に取り、こちらに見せびらかしてきた。
「なんか貝殻耳に当てると音聞こえるんでしょ?うちの出身県海無くてさ、ずっと試してみたかったんだよなぁ」
「試してみてどうだった?」
「うーん、ここ海だしどっちの音なのかわからないや」
そう言うと、彼女は海に貝殻を投げ捨てた。
いいのかよ?いいのいいの。
そんな適当な会話すら静かな海に吸い込まれていく。
いつか、この日のことを忘れる日が来るのだろう。
でも今だけは、この景色を二人だけで。
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「ねえ、」
『小説同好会』と記された部屋で、二人の人間が向かい合って座っている。
片方の男はスマートフォンを弄りながら、
もう片方の女は作文用紙で顔を仰ぎながら。
女は先程の声掛けに反応しない男に溜息を付きながら言った。
「珍しく良い結末になりそうだな〜って思ったけどさ?何が何でもハピエンは嫌なわけ?」
男は女の方に視線を向けて言った。
「書けないんだよ。幸せな話。」
小さい頃、何でもかんでもコレクション癖があった。そこら辺の石から浜辺の貝殻、セミのぬけがらまで。
中学の時、母親に要らないと一掃された。お気に入りだった貝殻を2つだけポッケに忍ばせて、一人暮らしになるまで大切に保管した。
そして大学2年生の時。恋人ができた。向こうからの告白。嬉しかった。デートも楽しくて、幸せだった。貝殻のコレクションも褒めてくれた。
……まぁ、結局浮気されていたけれど。お気に入りだった2つの貝殻を見る。やっぱりお気に入りはひとつしか生き残れない運命らしい。
捨てられる方の気持ちなんて知りもしない癖に。貝殻を1つ手に取って、思い出と共に握りつぶした。
『貝殻』
貝殻
ある日押し入れを片付けていたら高校生時代の時、友達と海に行った時拾ってきた貝殻があった。
社会人になってふと貝殻を見て高校生時代を思い出した。
卒業後はみんなそれぞれの道に進むために別れた。
今思うと最高な友達だったし最高な時間だった。
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みんなも友達、家族と楽しんで大切な人も作ったりして精一杯人生楽しんでね。
僕は夕焼けの綺麗な海へ来た
「海の匂い…」もう少しで海に沈む太陽
ツンと香る海の匂い
人々を魅了する夕焼けに無我夢中になりながら
貝殻を拾う
ここで出会ったあの子……
今、何をしているのだろうか
題名「貝殻」
貝殻
貝殻って綺麗だよね。
呼吸をするかのように音を聞かせてくれる。
あなたの呼吸を感じること同じ。
そっと耳を傾けるね。
ほら、聞こえる。貝殻の音。
貝殻の内側は、なんて
美しいんだろう。
見る角度によって、色が変わり
星のようであり、虹色にも見える。
内側の幾重もの薄い層の反射と
光の反射、反射光同士が干渉して
出来るのだとか。
軽く調べた、浅知恵だから
間違いも多々あるかもしれないが
反射光同士が干渉するという点が
気になった。
まるで、人間関係のようだなと。
お互いが、存在してこその
美しさが続く時もあれば
逆に、弱めてしまうこともあるのだ。
手のひらの、小さな宇宙を浜辺に
そっと戻し…目の前に広がる海を眺めた。
この浜辺に散らばる無数の貝は
なんて、ちっぽけなのだろうと…
目に見えぬ、海の底には
まだ、知らない宇宙が無限に広がっているのだ。
【お題:貝殻】
夏が来ると、家族で葉山へ海水浴に行った。
兄と競って、つやつや光る貝殻を
両手いっぱい集めたのに
うちへ帰るころにはどこかへ行ってしまう。
海から離れるのがさみしくて、泡になって消えちゃうんだ、と思ってた。
遠い遠い、夏の記憶。
-貝殻-
みんな嘘つき
助けてって言ったところで、そんな力なんてないくせに
[貝殻]
貴方と初めて会ったのは海
その日2人で似たような貝殻拾って
ネックレスにした…
数日後…
貴方が浮気現場を見て…別れた…
それから数日…
おそろいの貝殻のネックレスを海に投げ捨てようと
あの海に来た
だけど…投げ捨てられず両手で握りしめていた
貝殻
貝殻って綺麗
海で洗われて洗練されている
私もたくさん洗ったら
綺麗って言って貰えるだろうか?
姿も心も人生という問題だらけの難問を解いて
クタクタで汚いが
汚い私は努力したからこそ出来上がったのだから
その汚い私を洗ったら
努力を身に着けたより上の私に出会える
だからなんか綺麗よりどんどん素敵になっていくね
って言ってもらいたいなぁ
と貝殻の綺麗さを見つめキラキラに貝殻を輝かせる為に磨いている私である
「わっ!?」
突然、恋人が背中に抱きついてきた。背中に頬を擦り寄せて柔らかい温もりに胸が高鳴ってしまう。
「この前は旅行、ありがとうございました。とっても楽しかったです」
抱きしめながら、彼女は俺の手に自分の手を重ねる。すると手の中にころんと何かが転がった。
「なに?」
何を渡されたのか覗いてみると、コルクで栓をされた小瓶だった。中には、砂浜の上に淡い色の貝殻と、渦を巻いた貝殻が転がっているように見えた。
「お土産です。この前の海でこっそり拾って作ってみました。可愛いでしょ」
「可愛い……」
可愛いのは小瓶もそうだけれど、「手作りの思い出をお土産に作ってくれた」ことが、また可愛いと思ってしまった。
「連れて行ってくれたことが、楽しかったですし、嬉しかったので!」
俺は彼女に振り返って、また強く抱き締めた。
買ってくるお土産も良いけれど、こういうお土産も宝物になると胸が暖かくなった。
「ありがとうね」
おわり
一一二、貝殻
妹の作ってくれた貝殻のアクセサリー。
きれいなピンク、
海みたいな青、
ぴかぴかな白、
どれも宝石みたいだった。
大好きな、妹から貰った大切なもの。
どこに行くにも付けてった。
小学校、
いつもはだめって言われてるけど、
今日ぐらいはいいよね…?
私は貝殻のアクセサリーを持ってった。
学校についた。
みんなからきれい、
すごい
ってたくさんほめてもらった。
うれしかった。
先生が教室に入ってきた。
いつも厳しいけど、
大好きな先生。
「せんせい!見て!」
そうやって見せようとした時。
私を睨んで、
「貸しなさい。」
って。
見たいのかなって思って、
貸したの。
そしたらね。
ぐちゃぐちゃになっちゃった。
貝殻のアクセサリー。
先生が、足で踏みつけたの。
なんで。
なんでそんなことするの…?
私の顔もぐちゃぐちゃ。
涙で前が見えない。
「あなたが悪いのよ。こんなふざけたもの持ってきたから。」
私が悪いの?
持ってきたのがだめだったとしても、
壊さなくて、いいじゃん。
…じゃあ、今からすることは、先生が悪いから。
いいんだ。
私は、今日の工作で使うカッターを取りだした。
先生は驚いてたけど、
もういい。
私の大事を壊したから。
先生の大事も壊してあげる。
あは、あはは。
先生も、ぐちゃぐちゃ。
悲鳴でぐちゃぐちゃ。
顔がぐちゃぐちゃ。
みんなの顔もぐちゃぐちゃ。
全部全部全部全部。
ぐっちゃぐちゃ。
先生、喋らなくなった。
他の先生が来た。
私を連れてく。
待って、貝殻のアクセサリーだけ。
もう戻らないかもしれないけど。
お願い。お願い。お願い。
私、なんてことをしてしまったんだろう。
【貝殻】*90*
気分的に妄想がNG笑
桜貝ってキレイだよね、
とか言ってみたりなんかしてみたり…笑
どこまでも続く海と空。
優しい波。
波の音。
終わりのない波の音。
いつまでも聞いていたいけどそろそろ帰ろう。
砂浜でみつけたさくら貝。
淡いピンクの小さな貝殻。
来年も探しに来よう。
あなたの好きなピンクの貝殻。
また一緒に。
貝殻を集めて瓶に詰めた。
振ると聴こえる海の音。
きみの足が砂浜を歩く音。
目を閉じて、光に透けるきみの髪を思い出す。
夏は過ぎ去った。
白昼夢の季節が幻のように霞んでゆく。
白い貝殻は入道雲の抜け殻だ。
きみは夏みたいなひとだった。
たった1つだけ、捨てられないモノがある。
貴方から貰った【貝殻】。
何の価値も無くなってしまったよ。
貴方が傍にいないから。
そういえばさ、あれから見れた?
まあ、なんというか
こんな退屈な生活をしていたら定期的にこの話題になるのも仕方ない
いや、ないよ
少し開いたとこまでは見かけるけど奥まではやっぱり見えないよね
そうなんだよな
先っちょは見えるけど中身までは見えないんだよな
毎回この結論である
僕たちは僕たちの中身を知らない
哲学的な話ではなく物理的に見えないからだ
次は怪物に襲われたのを目撃した話になる
いきなりね
巨大な毛の生えたヤツに捕まると
お腹の上にのせられて石でガンガン割られるんだって
その時さ、偶々そこにいたんだって
砂囓ってたら出くわしたヤツがいて
なんとね、中が見えたらしいよ
どんなんだったんだろうね
それがさ、よくは見えなかったみたいだけど
スゴい綺麗だったんだって、僕たちの中身
えー、そうなんだ
なんか嬉しいね
見てみたいなあ、そんな美しいなら
だよなあ、見てみたいよなあ
この話題は毎回このパターンで終わる
僕たちは僕たちの中身を知らない
僕たちは怪物に襲われてまで僕たちの中身を見に行く勇気はないし
僕たちはきっとこのままが幸せなんだろう、とそんな気がしてる
『貝殻』
時には貝殻になるのも良い
すべてをさらけ出す必要は無い
また、歩めばいいんだよ
分かってくれる人は居る。
海辺にいったら少し屈んだりしつつ貝殻を探す。
小さめで淡いピンク色の貝殻を見つけた時は嬉しかった。
色々な貝殻があって、たまにヤドカリが居たりして驚いた記憶もある。
家に帰ってきてからも持ち帰った貝殻を眺める時間が未だに好きだ。