『見つめられると』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
見つめられると
数学教師が何やら複雑そうな公式を書き連ねていく時に聞こえる心地よいリズムは、一つ前の授業から妙に耳に残っているバルチック艦隊という単語から、仮想の戦闘風景を夢想させる。
弾丸の雨の中、軍服を着た髭のおじさんたちが何やら頑張っている。東郷平八郎だっけ?大塩平八郎だっけ?どっちか忘れたけど、なんかそんな感じだった。
頭を下さないことがバレないコツなのだが、今日ばかりは耐えられそうにない。惰性で過ごして時計を見ていなかった、昨晩の夜更かしが悔やまれる。
教室には微かにバーベキューソースの香りが漂っていた。チョークの音が止んだ。
私はまだ寝ていません。
私は無実です。
はいすみませんおきます。起きますから。
見つめられると
緊張するし
手元が狂うから
止めてほしい
こっちも見つめていたいから
仕事が終わるまでもう少し待ってて
見つめられると、その意図を勘繰ってしまう。
いつからそんなにかわいげが無くなったのか。
人と見つめ合うことは、愛情の確認であり、心からの純粋な施しであった。
そうであるべきで、そうでなければいけない。
幼い頃に触れる漫画や小説、アニメなどの物語では、それは常識だ。そう世間に教えられたのだ。
だからこそ、信じたくなかった。
見つめあっていたとしても、同じ気持ちを抱えていないこともあるということを。
若さゆえの傲慢だ、と寂しくなった。
見つめられると
そんなに見ないで…でも、目は逸らさないで…あなたに、見つめられると胸の鼓動が、バレてしまいそう…でも、無視されるのはもっといや…
あなたの瞳には、多分不思議な魅力がある…あなたの視線には、優しく見守る力がある…もう、あなたの眼差し無しでは、生きていけないくらい…
「見つめられると」
ひっ?!
な、なんですか?
そんなに私のことをみて…
わ、私…なにかしましたか?
それとも、どこか変ですか?
うぅっ…
そ、そんなに見つめないでくださいっ!
見つめられると…
石になってしまいますよ?
って、言っても遅いよね…
あーあ、また石にしちゃった
なんでみんな石になるんだろ…
私は見ないようにしてるのに
見つめちゃうみんなが悪いんだ…
「見つめられると」
ボロボロだから塗装したのに
塗装したからボロボロに。
【#198】
「見つめられると」
見つめすぎて、あなたの瞳に吸い込まれそうになる
なんてことが実際に起こると思わなかったと君は言う。
俺の目がとても綺麗だと。
言われ慣れない褒め言葉に、ありがとうと普通すぎる返答をするほかなかった。
やめてくれ。見ないで。
吸い込まれようとしてるでしょそれは。
君を吸い込んでしまうとばれてしまうじゃないか。
気持ちを見透かされそうで怖いんだよ。
見つめられると、調子が狂う。
心臓の音がうるさいくらいに響く。
顔が熱くなって、喉が渇いて、視界が滲む。
見つめられただけでこんな風になってしまうなんて。
あぁ、これ以上は駄目だ。
これでもし、あの低い鉄のような声で名前を呼ばれようものなら·····。
どうなってしまうか分からない。
だから早く、時間が過ぎていって欲しい。
END
「見つめられると」
『見つめられると』
人からの視線が怖い。自分が見定められているような気がしてしまうから。自分の何かがおかしいと無言の批判を受けている気持ちになってしまうから。
だから私は、人からの視線を避けて生きてきた。前髪は伸ばしているし、なるべく目立たないようにやり過ごしてきたつもりだ。
それなのに、何故だろうか。あの人の視線だけは怖くない。前に目があった時は、気恥ずかしさは感じたが、いつものように息が詰まるようなことはなかった。
友人がふとした時に向けてくる視線でさえ恐ろしい時があるのに、特段仲の良いわけでもないあの人が、何故。
確かに、穏やかそうな人だなとは思う。雰囲気であったり顔の造形が。でも、私の周りの人が特段激しい性格かと言ったらそういうわけでもない。
どうしてだろうと考えているうちに、またあの人の眼差しを思い出した。
……もう一度視線を向けられたら、どうだろう?
以前のは偶然で、いつものように恐怖を感じるのか、それとも。もし恐怖を感じないのだとしたら、これを克服するヒントがあるんじゃないか?それ以前に、私はあの人自体に興味を持っているのかもしれない。
今度は話しかけてみようか。人に話しかけるのなんてもちろん得意じゃないが、数回は話したことがあるし、あの人の雰囲気的に他の人よりは話しかけやすい。
一度、目と目を合わせてちゃんと会話をしてみたい。
……明後日、あの人に話しかけるチャンスがある。
予定を思い出しながら、そんなことを思った。
やっぱり勇気を出して話しかけてみよう。
私は小さな決意をした。
見つめられると
同じクラスのいつも教室の端でいちゃついてるやつ
でしかなかった印象が変わったのは
君の目を見てから
吸い込まれそうなラテの色 日本人とは思えないほど透き通ったその瞳に一目惚れした
いつもマスクをして顔を隠しているから、どうしてもそこから視線が外せない ガラス玉のように光を吸収してその分輝きを放っているように感じた
何も言わずその目を見つめる時間が好きだった
不思議そうにされるが笑ってみれば笑い返してくれるから
ずるいものだ
恋とも愛とも見分けのつかない そうする必要もない
君の瞳に、
このまま、腕に抱いていたい
あなたの世界と
わたしの世界が
同じ時
同じ場所に
そっと重なっている
ただ、静かに呼吸をして
見えない想いが
やわらかく
まじわっていく
#同じ場所、ちがう世界
見つめられると
あなたに見つめられると、いつも心臓が不規則な音を立てる。
どうしてそんなに愛おしそうに見つめるの?
あなたの瞳に、わたしはどう映っているのかな。
覗いてみたくて、そっと顔を近づける。
勘違いしたあなたに落とされたキスは、幸せな味がした。
やつが見ている。
じと、と訴えかけるように。
長く尾を引いたような巨大な影、
その中から幼い自分が見つめてくる。
夢を見るな、人を愛すな、幸せになるな。
幸せにならなくてはいけない。
なぜなら見られているから。
私は影よりも大きいから。
見つめられると
好きになる
見つめられた瞬間
恋に落ちる
視線が交差すること7秒。
隣合った君がフッと微笑む。
瞬間、僕は君のことが、一層愛おしくなる。
「お題 見つめられると」#207
#見つめられると
貴方に見つめられるたび、心臓が嫌に騒ぐ。
それは、あの瞳の中に自分だけが映っているという事実に、どうしようもなく満たされるからか。
――それとも、この醜く歪んだ独占欲を、貴方に見抜かれてしまう気がしているからか。
その瞳の奥を、塗り潰してしまいたい。
他の何も、誰も、入り込む余地なんてないくらいに。
そうしてしまえたなら、きっと安心できるのに。
それなのに、貴方に見つめられるほど、逃げ場がなくなる。
この感情の輪郭を、指先でなぞられるような錯覚に襲われて、
今すぐ目を逸らしたくなる。
欲しくて堪らないくせに、知られるのが怖い。
満たしたいくせに、壊れてしまいそうで手が出せない。
こんな矛盾を抱えたまま、
それでもなお、貴方の視線を求めてしまう自分が――
どうしようもない程救いようがなく。狂っていると思う。
見られる分には問題ない
自分を作るのは慣れている
従順で優秀な娘
文句の言わない優等生
愚痴を聞いてくれる親友
みんな欲しいものしか見ないから
注視されると少し困る
そこにはなにも居ないから
綻びそうになる
透けてしまう
本当はなにもないんだって
上手く私を保てなくなる
あっけなく
底まで見えてしまう
#8. 見つめられると
見つめられるのが怖い。
心の内を図っているような、
見透かされているような気がして。
*見つめられると*
1000♡ありがとうございます
こんなに続けられたのが奇跡です
あ 行かない
い え?
あ だって、行きたくないんでしょ
い …まあ
あ なら
い 大丈夫?
あ もちろん
い でもなんで?
あ ん…勘?
『見つめられると』
見つめられると
泣いてしまうから
僕はただ、前だけ向いた
僕より何年も戦場を駆け抜けた貴方は
人を殺した事実に押し潰されそうな僕を
決して『軟弱者』とは言わなかった
『お前はただ、前だけ見てろ』
貴方がそう言った
僕の他に何人にも言った
死んで欲しくないからだって、わかっていた
助からないとわかっていた
だから振り替えられなかった
僕だって、貴方に死んで欲しくなかったのに
でも
一瞬合った目が、言っていた
『前だけ見てろ』
それはイコール、『生きろ』の意味だから
走った
叫びながら、泣くのを堪えながら
背中に貴方の視線を感じながら
どんなに罪を重ねても
たった一人が『生きろ』と言うなら
振り返らない
貴方の、もう光が灯らない目を見ない