『衣替え』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【衣替え】
また一年後、
私の需要に見合ったら
一見冷たい関係だけど
この数ヶ月の私の愛情は真実
私の身を纏う大切な相手
でもその相手を変えるということは
また私たちを纏う空気の変化を認めなきゃいけない
私とあなたを引き離す絶対的な存在の移ろい
また新たな季節の訪れを告げて
忙しない日々の中
わたしは押し入れに眠る箱を開ける
衣替えは「更衣」とも書くと知り、そういえば「更衣室」とはそういう意味だったのか、と思い至る。
暖かくなってからの衣替えは身も心も軽やかになるようで好きだが、涼しくなってからの衣替えは厚く、重く、色さえも濃厚で、なんだか気が滅入る。だから、風邪に罹らない程度に、粘って粘って、ぎりぎりまで冷えを我慢してしまうのだが、年々、少しずつ諦めが早くなってきた。寛容になったのではなく、寒さに弱くなってきただけというのが、悲しいところである。
/お題「衣替え」より
「このミニスカートともお別れか……。」
これから寒い季節がやってくる。
しばらくお気に入りのミニスカートともお別れ
世の中の女の子は気温などお構い無しに
可愛いミニスカートを履いて外に出かけるが
自分はと言うと冷えやすいからそんなことはしない。
お気に入りだったんだけどね……。
まぁ来年までさよならだね。
「俺の可愛いミニスカート」
【衣替え】
「ほら、そっち片付けて」
君がイキイキと俺に指図する。
日常生活を送るギリギリの生活能力しかない俺からすると、衣替えなんて天地がひっくり返るような一大事。
それを君はTシャツや半袖をサッとケースに仕舞うと、続いてコートやセーターを魔法のように取り出した。
「こんなの持ってたっけ?」
見慣れない黒革のライダースジャケットに首を傾げていると、君は「覚えてないの?」とほっぺたを膨らませる。
「このジャケット、一緒にボクシング観に行った時に着てたじゃん」
「あ!そーだそーだ!思い出した!」
君と一緒にボクシングを観に行った時、昔友達から貰ったライダースを着たんだ。
珍しくハードにカッコつけた俺に、君が小さく「素敵だよ」って囁いてくれて……。
うん。なかなか良い夜だった。
「ちょっと!ボンヤリしてないで、これ早くハンガーに掛けて!」
真っ赤な顔で言いつける君も、きっと同じこと思い出してるに違いない。
[衣替え]
「ねぇ、ママ、あかいハッパが落ちてる。」
あ、こっちはきいろ!
いっぱいひろっていい?」
「いいよ。落ちてるのだけにしてね」
「なんでハッパがおちるの?」
「寒くなってきたからね、お着替えしてるんだよ」
【衣替え】
衣替えか…
制服だけでそういうのできちゃうから
私服全然気にしてなかったな
半袖も終わりか。長袖出そうかな
着る機会はほぼないけど……あれ?
無い…?
長袖持ってなかったっけ?
あ。全然着ないから減らしたんだった…
私服もジャージとかにしちゃおうかな
センスなんてないし
親友にもダサいとか言われたしな…
ブルベやらなんやらとか調べてみようかな
へぇ……
ブルベ夏?イエベ秋?わかんね。
――――そもそもダサい・オシャレって何?
#衣替え
今年はグレーが流行っているらしいので
3年前のカーディガンを真っ先に引っ張り出した
一年着ない服は捨てていいと
誰かが言ってたけど
このカーディガン取ってて良かった
早速羽織って彼に会いに行く
彼のマンションを眺めていると
後ろから懐かしい声がした
「なんでお前ここにいるの…」
私は満面の笑みで
彼から貰ったカーディガンを指差した
「久しぶり。これ、大事に取ってたよ」
桜の花が咲くころ
夢に向かって旅立った君
季節は移りかわり
衣替えの季節ですね
急に肌寒くなったけれど
風邪などひいていませんか
便りがないのは元気な証拠かな
今日も遠くから応援しています
#衣替え
#7
真っ暗な部屋に閉じ込められて、どれくらいの時間が経ったのだろうか。数時間だった気もするし、数日、数週間、はたまた数ヶ月、それ以上だったかもしれない。私にはわからない。
ただ言いようもなく寂しかったことだけはわかる。まるでお前なんて必要ないのだと言わんばかりに、長く見向きもされなかったからだ。あの人は私の存在なんて忘れているのかもしれない。
だけど、私は知っている。もうすぐあの人が私を思い出すことを。この真っ暗な部屋から開放され、あの人の目の前に引っぱり出されることを。
そしてあの人はこんな風に言う。
「寒くなってきたし、そろそろ衣替えかあ」
やっと私の出番だ。
“衣替え”
私のストレス発散は断捨離でした
特に”衣替え” は絶好の断捨離チャンス
でも 捨てるだけではもったいない!
リユース!! リサイクル!!
フリマアプリに出会いました
物を大事にしながらお小遣いが手に入る
Let's ECO(へそくり)活動!!!
季節感がない。私は半袖、君は随分と着込んで膨れている。この身にうずまく熱を、君と分かち合いたいと思ったことはない。それが誇りだ。分かち合わずとも隣にあることができる。それが。
衣更えをしましょ!あの衣から、あの衣へ!ついでに顔も変えましょ!髪型も性格も声も変えて、全く別人の私になる!それが諜報員の、私の日常なのだ。
私が貴女と初めて言葉を交わした2年前
その日は少し湿っていて、空は青く光る夏だった
それから2年が経ち、3度目の衣替えの季節を迎えた
結構寒くなってきても未だに半袖の貴女は
きっと相当な暑がりなんだろうな
でもまあ、もうそろそろ見納めかな。
真夏に手持ちの扇風機を持ちながら、暑いな。なんて言う貴女も、もう見れないのかなって思うよ
だって私は、あと数ヶ月で卒業だから。
きっと貴女と会えるのは数ヶ月に1回
いや、年に1回かもしれないからね
次の衣替えの季節まで
ずっと元気で半袖着ててね(笑)
薄い夏服を畳んで
ちょっとだけ厚い冬服に袖を通す
ぶかぶかじゃない制服に
喜びと寂しさを抱きながら
感謝を込めて
ありがとう
転がり落ちるように気温が下がり、空には白鳥の賑やかな声が聞こえる。秋を楽しめたのは短い期間だった。にわかに防寒着の人たちが増えて、私も冬の外套を引っ張り出した。「そろそろ衣替えか」などと思う暇すらなかった。慌ててあたたかい服やコート、マフラーや手袋を準備して、衣替えの整理はこれから取りかかるという体たらくの今年である。
「今は紅葉が見頃です」と、酷暑の後の遅い彩りが伝えられた二日後、その岳は冠雪した。9月下旬前、山裾に紅葉の気配はまったく無かった。今は10月下旬に入ったばかり。
白鳥は大急ぎ。熊はちゃんと寝られるだろうか。実りが足りる前に雪が来てしまった。
私も自分の外套に、修繕が必要な部分を見つけてしまった。使いながらの直しになる。
季節変わりはもっとゆっくりで良い。
夏が長居したから帳尻を合わせるように冬が突進して来るのでは、薄手のコートも出番が無くて、ちょっと残念だ。
最近肌寒苦なってきた
秋の気配がさるように感じる
そうだ、衣替えをしよう
久しぶりに見る冬服。
この服、あの時も着てたっけ。
記憶も蘇る。
来年は違うはず。
(衣替え)
#31衣替え
古い恋は捨てて、
新しい恋を着せて下さい
この恋大切にしますから
2023/10/23
黒ばかりの衣服だったのに
白、青、グレー、チャコール…一夏終えたら
クローゼットの中は色彩に溢れていた
秋冬の衣服も実のところ黒ばかりなんだけど
「ね、ね!気になってる映画があってね、日曜日に
一緒に観に行きたいな〜って」
部屋で寛ぐ『彼女』を眺めて
これから先の季節も
カラーバリエーションが増えていきそうだなと
幸せに思った
#衣替え
ジョニー・ビー・バッド
女の子は、自分の部屋の隣の家から、やかましいヘタクソなエレキギターが毎日決まって17時頃に聞こえてくるのがたまらなく嫌だった。たいてい、18時になると騒音は止むのだが、女の子はもう自分の両耳を引きちぎるか、首を搔き切りたくなる衝動に何度も駆られたものだった。チャック・ベリーの『ジョニー・ビー・グッド』をあそこまで不協和音にできるのは、ある意味才能だろう、と女の子は思っては、首筋をさすった。
女の子は何とか首を切らずにすむよう、穏やかなジャズのピアノ・トリオをレコードでかける。そうすることで、心を落ち着かせるのだ。無駄なストレスを溜めないように、一種の精神安定剤として、20世紀の偉大なるジャズ・ピアニストたちの数々の名盤を楽しむのだ。子守唄のような優しいメロディーに包まれながら、女の子はうっとりとしていた。そこに部屋の扉をノックをする音が聞こえてきたので、女の子は音量を小さくした。
「お姉ちゃん、入ってもいい?」
「グラハムかい? いいわよ。どうしたの?」
女の子の弟が頭を垂れたまま、とぼとぼと部屋に入って、扉を静かに閉めた。
「あのね、昨日お姉ちゃんに教えられた通りにね、放課後にマリーに告白したんだ。だけど、彼女にはもう彼氏がいてね、その彼氏というのがあの意地悪なジョニー・バーリングだったんだ」
「ほう」
「それでね、そのジョニーなんだけどさ。すごく意地悪なヤツなんだ。だけど、正直彼は美形だし、僕より背も高い。頭もいいしね。だけど諦めきれないんだよ、彼女のことがさ。どうすればいいのかな、ね? お姉ちゃん?」
「貴方には二つ選択肢があります」
「え?」
「一つ、『その子のことを諦める』。二つ、『そのジョニーなんちゃら君を八つ裂きにして、女の子を無理矢理奪い取る』」
「ふざけないでよ! やめて! 僕は真剣に悩んでいるんだ。からかうならもうお姉ちゃんなんかに相談しないからな!」
女の子は尚も続けた。
「じゃあ三つ。『今からお姉ちゃんと大人の階段を上ってみる』」
弟は顔を真っ赤にして、女の子を思い切り睨んだ。
「お姉ちゃんのクソッタレ! 阿婆擦れ! グズ! クソ野郎!!」
「アンタ、どこでそんな言葉を…」
女の子が言い終わらないうちに、弟は部屋を飛び出して階段をどすどすと駆け降りていった。女の子はペロリと舌を出すと「いつでも待ってるからね…」と呟いた。
いつの間にかレコードも、そしてあの『ジョニー・ビー・グッド』も演奏が終わり、部屋は時計の秒針の音だけが響いていた。