』の作文集

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』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

6/11/2024, 2:17:31 PM

「ねぇ、君って”過客”でしょう。マスクを付けていないもの」

突然話しかけてきたそいつは、ペストマスクをしたミニキャラだった。
頭には鍔付きの黒い帽子を被り、顔には歴史の教科書で見たペスト医師のマスクをつけ、幼稚園生くらいの身長を包む洋服は、これまたペスト医師のような黒いコートだった。

「こんな所で”過客”に出会えるなんて珍しいな」

ペストマスクが喜んでいる。
顔は見えなくても、ウキウキとした身振りや喜色を帯びた声から上機嫌なのが伝わってくる。

「ここで会えたのも何かの縁だし、僕がこの街を案内するよ」

断る暇も与えずにペストマスクが袖をグイグイと引っ張ってくる。

何故ここにいるのか不明な今、このへんてこりんなペストマスクに付き合うのも悪くないだろう。

そんな事を考えていると、ペストマスクが袖をつかんだまま歩き出した。
ペストマスクはミニキャラのくせに力が強い。
引っ張られ、つんのめる形で石畳の暗い裏道を抜けると、日の当たる円形の大広場に出た。

大広場の中心では、噴水が涼し気な水音を周囲に響かせている。
まだ高い位置にある太陽の日差しを受けた水しぶきが
キラキラと輝き、まるで絵画の一場面のようだ。

広場を囲う建物は、どの建物もステンドグラスの窓を持ち、全体的に棘棘としている。
所謂ゴシック建築と言われるものだろう。
思わず歴史的な建築物という想像をしたが、ハズレのようだ。
どの建物もドア付近にショーウィンドウを持ち、プラプラと風に揺れる看板を掲げている。

意外だなと思いながら、ショーウィンドウを軽く流し見て驚いた。
ショーウィンドウの中に飾られているのは全て、本だ。

プラプラと揺れる看板の文字はよく読めないが、多分本屋と書いてあるのだろう。

ショーウィンドウの中に児童書を掲げたこじんまりとした本屋の隣に、一揃いの小説を慎ましやかに飾った本屋がある。その隣にはカラフルな漫画本でショーウィンドウを賑やかに飾った大型店があり…どこを見ても本屋、本屋、本屋。本屋がひしめき合っていた。

「ここは本屋通り。この街の住民は本が好きなんだ。目移りするくらいあるでしょ」

ペストマスクが自慢気に言ってくる。

「でもね、これでも昔より少ないんだ」

ペストマスクは少し寂しげな様子で、広場にある本屋を見渡した。

「昔はもっと多かったの?」

「昔は、さっき通った裏路地にも本屋があったんだよ。でも、こういうのってしょうがないことなんだよね。新しいものが増えたら、古いものは廃れてしまうんだ」
ここにある本屋達はもってほしいな…。

ペストマスクは寂しげに呟くと、首をふるふると振った。

「しんみりしちゃいけないね。”過客”の方をご案内中なのだから」

「さっきから言っている過客って何?」

「旅人のことだよ。色々な世界を旅する尊い人。過客に出会ったら丁重にもてなすよう教えられているんだ」

ペストマスクは誇らしげに胸を張ると、再び袖をぐいっと引っ張ってきた。

「街の全体が見える塔に連れて行ってあげる」

どうやらこの子は、丁重にもてなすの意味を知らないようだ。

────────────────────────
ペストマスクに引かれながら本屋通りを抜けると、緩やかな坂道が現れた。

それと同時に不思議な音楽が聞こえてきた。

「不思議な曲でしょう?」

ペストマスクの言葉に素直に頷くと、ペストマスクはうんうんと頷き言葉を続けた。

「民族的で、未来的で、懐古的。十数年前にこの街で流行った音楽なんだけど、また密かに流行り始めてるんだよ。僕はこの曲を聴くと、遠い昔から知っていたような、大切な何かを思い出せそうな気分になるんだ」

ペストマスクが言うように、その曲は次元を超えた何かを持っているように感じた。

その証拠に、歌声を聴くたびに心が震えてしょうがない。

物事は出会うべくして出会うと言うが、この広い世界で出会うべきものと出会える確率はどれくらいだろうか。
そして、出会ったものに心が打ち震える確率は一体どれくらいなのだろうか。

心から湧き上がってくる歓喜と敬虔な気持ちに感じ入っていると、「ほら、あそこを見て」ペストマスクが左方の遠くを指差した。

ペストマスクの指差す方を目で追うと、屋根の合間から小高い丘が見えた。

「夜になるとね、あそこ」

ペストマスクは、緑の丘の中央付近をぐるりと指した。

「あの辺りで、この音楽を作ったアーティストのホログラム演奏が見られるんだよ。あっ、因みにホログラム演奏っていうのは、実際に本人がいるわけじゃなくて、立体映像のことなんだ。何処の誰がホログラムを流しているのか誰も知らないし、その事を追及する住民はこの街にはいない。皆、一度彼の曲を聴くと酔いしれちゃうからね。彼の音楽が聴けることに異論なんてないのさ。その証拠に、好きな曲を僕たちで選ぶことは出来ないけれど、文句を言っている人は一人も見たことがないよ。彼が歌う姿を貴方にも観てもらいたいな。彼が歌うとね、金星が一等輝くんだ。オーロラが出ている時は、歌声に合わせて赤や緑に変わるんだよ」

ペストマスクは興奮した様子で捲し立てると、丘を指さしていた手を引っ込め、自身の胸元をギュッと握りしめた。
まるで、そうでもしないと心臓が飛び出してしまうと言わんばかりに黒いコートを掴む手は白くなっている。

「僕、彼の歌っている姿が好きだ。夜空に向かって歌う姿は、まるで遠い存在に向けて祈っているみたいに見えるんだ。彼の歌う歌詞は難しいけれど、旋律に身を委ねていると歌詞の根底に隠された深い優しさに気付けるんだ。僕はその優しさに触れてどんなに心が満たされたか知れないよ」

ペストマスクはホーっと長い息を吐くと、コートから手を離した。
握りしめられていた黒いコートは、クチャクチャになってしまっているが、ペストマスクの意識はアーティストのことでいっぱいらしい。
コートのシワを伸ばすこともせず、今は見えないホログラムのアーティストを幻視するかのように丘を見つめている。

「彼は世界に向けて、音楽という形で愛を届けているんだろうね」

ペストマスクの言う、夜空へ向けて祈りを捧げるように歌うアーティストの事を想った。
彼が空へ歌声を響かせると金星が光を放ち、その側では天女の羽衣のようなオーロラが鮮やかな色でそよぎ始める。
金、緑、青、赤、ピンク、紫。
豊かな色彩の中心にいるアーティストは、自身の中にある愛で世界を満たしていた。

幻想的な想像に浸っていると、ペストマスクの声が現実へと意識を引き戻した。

「昔はね、吟遊詩人がこの街のために歌を作ってくれていた時もあるんだよ」

ペストマスクは遠くの丘から目を離すことなく、大切な秘密を明かすかの様にひっそりと言葉を続けた。


まだ終わらない(´・ω・`)
続きはまた今度

6/11/2024, 2:16:36 PM

「街」

しずかにしめった路地裏に
靴音だけが響いてくる
切り絵の街

迎えに来る
その足音だけを待っていた

久しぶりだね
君はずっと 変わらないんだね

あの日の約束は覚えていたから
旅支度は済んでいる

添えられた象牙色の手に
そっと手を合わせたら
待ち侘びた年月分の
時が戻った

6/11/2024, 2:14:32 PM



行ってきますが
こんにちはが
ありがとうが
街を飛び交う

一人ひとりに
意思があって
希望があって
思いがある

優しい言葉だけじゃないけど
それも含めて、
この街だから

愛してみようと思う
喧嘩が起こるこの街を
愛してみたいと思う
眠れば夢見るこの街を

今日もまた産声が上がって
愛してやろう

生きとし生ける
全ての想いを抱き締めた
そんな街を
皆が支えて
今日も街は生きている

6/11/2024, 2:14:31 PM

街灯だけが起きていて
人が寝静まった夜の街を1人でぐるぐる歩き回る。


――誰もいない。私だけ。


なんとも言えない征服感の中、姿は夜闇に溶けていった。


#街

6/11/2024, 2:12:41 PM

街は不思議な場所だ。朝日が昇ると、静かだった街が一気に目を覚ます。通勤ラッシュの時間には、人々が駅に向かって急ぎ足で歩き、電車の中で新聞を読む姿が見られる。店が開き、カフェからは新鮮なコーヒーの香りが漂ってくる。昼間には、オフィスで働く人々や買い物を楽しむ人々で賑わう。学校の子供たちの笑い声や、公園で遊ぶ犬の鳴き声が街の背景音として響く。

夕方になると、街はまた違う表情を見せる。仕事を終えた人々が家路に急ぎ、飲み屋やレストランには、友人や同僚と一緒に時間を過ごす人々が集まる。ライトアップされた建物や看板が、夜の街に彩りを添える。

そんな街の風景の中で、人々は日々の生活を営んでいる。一つ一つの瞬間が積み重なり、それぞれの物語が紡がれていく。街は、無数の物語が交差する場所であり、そこで生まれる出会いや出来事が、また新しい物語を生み出していく。

夜が更けると、街は静けさを取り戻す。しかし、そこには次の日への期待や希望が満ちている。街はいつも変わらずそこにあり、私たちの生活の一部として、見守り続けてくれる場所なのだ。

※※※

6/11/2024, 2:07:05 PM

8.街 黒大
蝉の声もほとんど聞こえなくなってきた頃、俺は街へ繰り出していた。目的は特になく、ただ街を散策するだけだ。普段の買い物は近所のスーパーやホームセンターで済ませているので、こういった大きな街に来るのは久しぶりだった。街並みも結構変わっていたりして面白い。流行りのスイーツ屋何かは入れ替わりが激しいようで、前来た時はタピオカミルクティーのお店だったところに、今度は食パン専門店ができていた。

とちう

6/11/2024, 2:07:04 PM





夜、住宅地で迷子になると
思いのほか静かでこわい
壁一枚隔てたところに
たくさん人はいるはずなのに
まるで人里離れた森の中で迷ったみたい
そして薄暗い

夜景が綺麗なのは
やっぱり働いている人がいるってことなんだなと
なんかそんなことを思ったんだ

6/11/2024, 1:59:38 PM



♫大学通り流れるかわ走る路面電車
 背の低い山を見て君と僕の明日
高石ともやとナターシャセブン 街 より

学生時代によく歌った

憧れの京都

あのとき住んでしまう

なんて 考えればよかった

もう一回行って来よう

今でも憧れの街

6/11/2024, 1:57:00 PM

「街」

 一人で街を歩くのがとても好きだ。
たまにふらっと出て、何も考えずに街を歩くのが好きだし『今日はここへ行くぞ。』と、目的を決めて行く事もある。
 給料日が前日だった時、 その逆で給料日の前日だった時、 街を歩く足取りも微妙に違ってくる。

 明日は土曜日、仕事もアルバイトも休み。
さぁ何処へ行こう。

6/11/2024, 1:56:53 PM



「街」、「町」、「まち」の違いを最近聞いたのですが、皆さんはどのマチが好きですか?
私は「まち」ですかねー。

見た目のやわらかさのことを表す時が、「まち」

農地や山林も挟んでいるのが「町」

境界線がきちんと決まっていないものの時が「街」

さて、あなたは、どれが好きですか?

そんじゃ今日は、この辺で👋🏻‪

6/11/2024, 1:56:41 PM

たった1人にだけでも愛される事が
どれだけありがたいことで
幸せなことか知る由もなく
僕は別れた。

何人もの人に愛されたい方を選び
僕は愛ではなく好きを得た。

好きを得て僕は
もう一度特別な愛を欲した
【愛】
ーーーーーーーーーーー✂
あるキャラクターを見て僕は変わった。
必死に誰かのために戦い
努力を怠らない人だった。

「かっこいい」
そう感じた。
だから僕は努力をした。
無理をしすぎて体が不調になっても
涙が溢れても
そのキャラを見れば頑張れた。
【尊敬】

6/11/2024, 1:56:32 PM

お題:街
 行き交う人々を横目に
 僕はカフェで本を読む
 時折窓の外を眺めたり
 冷えた珈琲を飲んだり
 ゆるりと過ごしている
 皆誰もが急ぎ足の街で
 ここは時の流れが遅い
 忙しない日常の喧騒と
 壁一つ隔て距離を置き
 僕は僕を取り戻すべく
 静かな時間を堪能する

***
執筆時間…15分くらい?
【ひとりごと】
 全部同じ文字数で、詩になるように…と試行錯誤した。
 別に、縦読みしても何の言葉になる訳でもないけれども。
 そう考えると、『劇場版TRICK(1)』の「あいして います たからは いらない」と「あいたい いまから しすらな て はい」は本当に秀逸だよなぁとしみじみ思う。

6/11/2024, 1:56:11 PM

帰り道を照らす
街灯とマンションの明かり
もう少しでお家に着くと
教えてくれる

6/11/2024, 1:55:00 PM

「街」

全てが嫌になって
飛び出したとしても
何も変わらない日常で
私が居なくても無関係なら
私が居ることに意味なんて無かった

6/11/2024, 1:54:57 PM

街な、行と圭だ
行とは十字の路を模した図が元だ
圭とは古代の天子が貴族に与えた身分を示す宝玉だが、そこから転じてしるしの意味だ
十字の交差の中心にしるしがあるんだ

街には道があるだろ?

道は、首と辶だ
辶とは辵で十字の路を足で歩む図が元だ
殺した相手の首を持って部隊を率いて進むんだ
それで十字路なんだが、そこには首を埋めるんだ
なんでって言われてもな、わたしは知らない

そうして道は集まり大路となって新しい街となる

多くの知恵や命が交わり消費されて発展するのが『街』なんだろうが、そこに至るためにいったいどれほどの首が埋められたんだろうなぁ?

……まぁ、あまり信じるな

6/11/2024, 1:53:15 PM



なんだか不思議に思う。

1つの街であっても、人々は分離している。

それぞれ違うコミュニティによって人が分かれる。
どのコミュニティにも属さない人もいる。

その街で過ごす人たちに共通するものはあるのだろうか。

例えば、その街が好きだということ?
...他に思い当たるものは私にはない。

もし共通するものがないのだとしたら、街というのは、
一体何のためにあるのだろうか。

6/11/2024, 1:53:14 PM

騒がしい祭りのような交差点

行き交う車
自転車
忙しい信号

なぜ誰も立ち止まらないのか

流れるように
信号に従って


ざわざわと
風が吹いていく

6/11/2024, 1:52:18 PM




花の街パリの【パリ市庁舎前のキス】っていう有名な写真

人が行き交う雑踏の中男女がキスをする
という感じの写真ですが

1つの絵としては本当に素敵で
とても想像力が掻き立てられます。

これからこの2人が別れてしまうのではないのか
どんな会話を交わされていたのか
引かれるような恋をしたのだろうか
などなど

そんなことを想像してしまいます。

人が往来する中で誰もこの2人に目を止める人がいない
2人だけの世界みたいなそんな世界観が
私は大好きでとても素敵だなって思います。

ただ裁判になってたり、これがただの演出だったり
っていう裏話はあったりします。


そうだったとしても、
こういう世界観をリアルのように見せて瞬時に写すって凄いなぁ

6/11/2024, 1:48:17 PM

君と歩く
手を繋いで
「マリカやろうよ」
偏頭痛を一瞬忘れる
エスカレーターの下り
後ろからそっと耳の匂いを嗅いだ

恋人でごった返す池袋
看板持った女の子
おっぱいを誇れる人間じゃなくてごめん
うつむきたくない
君の手をぎゅっと握った

大好き 触れたい
君の心に心をすりすり
でもこんな雑多の中じゃ
君は気づきゃしないよな

「クレープ食べたい」
真夜中に送ったLINE
営業中は西口だけ
…また今度でいいや

「今度ここ行こ」
死んだらごめんと言った翌日
突然だね、いいよ行こう
そう打ち込む指先に
しょっぱい水を垂らす

街の薄闇に足を踏み入れる
耳元で君が囁いたんだ
「だいすき」
でれでれじゃねえか
お互い様か

今日は帰んないよ?
いやらしい意図もなく
カラオケに君を引きずり込む
嫌いなのは知ってるよ
朝までそこで聴いててよ

朝になったらマック行こうよ
そんで帰って
布団の上で抱き合って微睡もう

若気の至りを
若気の至りで溶かしていく
どろどろに混ぜて
舌に乗せるんだ
怠惰な青春を

つと押したら
変わってしまいそうな
そんな日々を 世界のただ中で
ただ君を離さない
薄暗い街の中で
指先を絡めて
生きる

6/11/2024, 1:48:17 PM

目に刺さるネオンカラーの看板の脇をすり抜けて路地裏に入る。念のため後ろを振り返るが誰もいない。
顔を隠すようにフードを被り深呼吸し合言葉を紡ぐ。

「とおりゃんせ とおりゃんせ ここはどこのほそみちか」
「てんじんさまのほそみちじゃ」

どこからか聞こえた声とともにゆらりと視界が歪み、先ほどのネオンカラーの街並みが消え、提灯行灯が並ぶ。

「また来たのか?」

呆れたように話しかけてくるヤツを無視してぶらりと歩きだす。

転人(てんじん)したオレの故郷はここだ。あのネオンカラーの冷たい街じゃないと自分に言い聞かせながら行く宛もない道を歩くしかなかった。

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