『街』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
街は今日も、絶え間なく動き続ける。僕の目の前を。僕の知らないところでも。動き続ける人々の顔は様々だ。無精髭を生やして、猫背のまま、ビルのなかに入っていく人たち。明るい表情を浮かべながら、道の上を歩く学生達。動き方も、動く回数もバラバラだが、彼らは動き続けている。そして、彼らは色々なものを動かしてもいるのだ。 そして、今日も僕だけが昨日と同じ場所で足踏みを続けていた。
見慣れた商店街の路地裏の向こうには、色のない黒い街がある。住人は皆影、影、影……顔の見えない人ばかり。窓辺の看板猫すらも、本当に黒猫なのかは知らない。空はいつも夜みたいに真っ暗。時計はあるけど朝はない。ポツポツと灯る街頭の明かりを辿りながら、横目で小さなお店の並びを眺める。ショーウインドーの小さなランプに照らされて、不思議なアンティークの小物が光っている。ここの人たちは、とても優しい。声も言葉も無いけれど、なんとなく、動作の一つ一つが温かい。彼らが営むこの街が、とても愛おしい。今は心の穴を埋めるために時折訪ねてくるだけだけど、近いうちに、私もここに住むことにしようかしら。
はたと足を止めて振り向いた先、目についたお気に入りの喫茶店のメニューボードに、見慣れない名前があった。ざっくり見るとスイーツらしい。
「あ!新作出したんだ!」
私は心が踊るまま、いつもより軽い足取りで店のドアを潜った。カランカランとなるベルの音を、影の行き交う石の道が静かに聞いていた。
「黒い街」Ⅰ
【街】
私はこの街が嫌いだ
生まれも育ちも嫁ぎ先も同じこの街
誰かがくしゃみをすると、直ぐに伝わるような狭い街
土地が狭いのではなくて住む人の心が狭いようなこの街
見えない視線があったり、さりげなく干渉されたり…
親睦という名で行事に参加させられて、拒否すれば影で悪口言われそうなこの街
結束が良い?
そんなのは表面だけ。
地区のボスが何か言えば誰も反対できないから、黙って従っているだけ。
田舎だから仕方がないと言えばそれまでだが、そんな街で生き生きと暮らせるのはどんな人だろうかと思う。
だから私は子どもに
この街を出て良いと、好きなところでやりたい仕事をすれば良いと話してきた。
確かに都会は隣の人の名前も顔も知らないかもしれない。
孤独な人にとっては本当に孤独かもしれない。
でも顔を知っている人、名前を知っている人、会えば話す人がたくさんいたとしても
孤独を感じないとは言えない。
仲間がいたとしても心が通じない人ばかりだとすれば、そこは孤独なところなのだから。
他の街に行っても孤独はあるだろう。
この街を出てどこかで住んだとしても、その街も好きになれるとは限らない…
とはいっても、やっぱり
私はこの街が嫌いだ。
でもたぶん私は嫌いなこの街で老いて死んでいくのだろう。
街
私の望んでいない街
みんな泣いてる街
でも、好きだよ
~街~
今は小さな集落ですが
ここは大きな街だったのですよ
この教会がその名残です
56文字の黒の史書
君が許してくれるなら
昼食を作ろう
台所はきっとぐちゃぐちゃ
謎の液が飛び散ってるかも
君は怒って 料理の味を褒めたあと
大きなため息を吐いて
掃除を手伝ってくれる
そのタイミングで
大声で叫ぶ曲をかける
2人でシャウトして
掃除しまくったら
終わる頃には
君はスッキリとした顔をしてるはずさ
夕食にはピザを頼もう
君の好きなワインを付けるから
僕の腕の中 ほんの少しうたた寝どうだい
16
ベランダから畑がみえる
少し先には小さな林が集まって鬱蒼としている
野焼きの煙臭さ、草を刈った後の青々とした匂い
季節が移り変わるたびに聴こえてくる虫の声
高い建物なんて一つもない、広い広い空
街灯が点滅する薄暗い夜道
ベンチが2つあるだけの公園
嫌で嫌で仕方なかったのに
ありふれた情景が心に焼き付いて離れない
この街には、思い出が多すぎる
身軽に
気楽に
街から街へ
日々飛び越えて暮らせたらどんなに楽しいだろう
しがらみなんていらない
自由な部屋と
自由なわたし
♯街
10000000➖1➕1‥
僕が知らない間にも
出会いと別れが繰り返される
街でたまたま見かけたあの人にも同じように
電柱、学校、お店
今日も何も変わらないようにみえ、
その人、その人にドラマがある
100000000➖1‥
統計上では、無味乾燥
でも、どうして僕はこうも悲しいのだろう
いつからか、人の流れに逆らうことが苦痛になった
街に溶け込む自分は色を喪い
モノクロの河で彷徨っている
(街)
街
あいつと出会った街
いい思い出のない街
あいつに話しかけられた学校
いつもより憂鬱な学校
あいつと仲良くなった昼休み
心が明るくなった昼休み
あいつと遊びに行ったゲーセン
話が膨らんだゲーセン
いつもの朝
珍しくあいつのいない朝
先生の顔
いつもとは違う暗い顔
ざわつく胸
いつもと違う
あいつとの別れを知らされた朝の会
呆然とした
話が頭に入ってこない朝の会
大嫌いな朝の会
帰り道
あいつのいない帰り道
重い足取り
あいつのいない道
ひとりぼっちの道
あいつのいない街
物足りない街
歪む視界
ほおを伝う
あいつと出会った街
思い出したくない街
街は呼吸する
早朝の新聞配達の音のように
街は呼吸する
朝 パンの焼ける香りや
お味噌汁の香りを吸い込んで
街は呼吸する
お昼のチャイムに耳を傾けて
街は呼吸する
夕方 赤く焼ける商店街で
明かりの灯る住宅街で
街は呼吸する
夜中 私達の寝息とともに
街もわたしも静かに眠る
また明日 新聞配達の音から
呼吸がはじまる
仕事帰り
金曜日
相手の会社前の公園のベンチ
駆け寄ってくる
待ってないと伝える
手を握ってくる
冷たさにびっくりされる
今日は少し寄り道してから帰ろう
この前近くに良さそうなカフェを見つけたんだ
ぐいぐいと手を引っ張る相手に連れられてカフェに着く
ドアを開ける
ふわりと広がる花のような甘い香り
若い定員さんが1人
他にお客さんはいない
カウンターに通される
ハーブティ専門店らしい
オススメは今日のブレンド
ペパーミントとレモンバーム
相手はそれにする
僕はスースーするのが苦手
では貴方だけのブレンドティーを作りましょう
普段からハーブティは飲みますか?
数えられるぐらいしか飲んだことないです
ではくせが少ないものにしますね
アレルギーはありますか?
えーっと、猫アレルギーです
ふふっ、飲食物のアレルギーはありませんか?
あ、はい ありません
隣で笑いを堪えてる
ちょっと間違えただけじゃないか 不貞腐れる
コホン 失礼しました。では最後に味の好みはありますか?
甘いものが好きです
分かりました。ではご用意しますね
定員さんがいくつかのガラス瓶を取り出しポットに入れていく
お湯を注いで砂時計をひっくり返す
棚に飾ってあった可愛らしいカップが目の前に置かれる
僕の前には小さな白い入れ物も置かれた
ハチミツです。お好みで使ってください。
相手の前にはお皿に乗せられた輪切りのレモン
そのままでもスッキリしてて美味しいのですが、レモンを入れても爽やかで更に美味しいですよ
相手が砂時計の砂が落ち切るのを今か今かと隣でソワソワしてる
砂が落ちきってカップに注がれた
まずはハチミツを入れずにのむ
ほのかに甘い、リンゴのような花のような味に思わず頬が緩む
カモミールティーです。安眠効果もあって、夜に飲むのにピッタリですよ
定員さんの話を聞きながら隣を見る、ニコニコと嬉しそうに飲んでいて可愛い
ねぇ、1口交換しようよ!
いいね そうしよう
スースーするかと思ったが、レモンの香りが爽やかで飲みやすかった
こっちもすっきりしてて美味しいね
相手に笑いかけた
うん!これも甘くてほっこりする
楽しそうに笑う相手からカップを受け取る
せっかくなのでハチミツを入れてみる
甘い、とろりとした甘さが口に広がる
美味しいれ ふわぁ〜
話してる途中であくびが出てしまった
隣からクスクスと笑い声が聞こえる
眠いんだね、もう少しゆっくりするつもりだったけど早く帰ろうか
《一回消して書き直そうと思いましたが、せっかく書いてたのを消したくなかったので下線から新しく書き直します》
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これはとある街で過ごす2人のお話
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【街】
ふわりとカーテンが波打った。
めくれたその裾を左に退ければその街が一望できる。高台に位置するマンションの上階。彼はそこから運ばれてくる風に鼻を埋めてすぅーっと肺に満たしてみた。
なんてことない環境のにおい。
神がきっと外界のにおいを知らないのと同じく、彼も思い出せるほど――――思い出すための脳の引き出しにもにおいは入っていないのかも知れない。
演算で動いているような小さなひと陰たちが忙しなく右往左往しているのを見下ろしながら、彼は目をきょろきょろと物珍しく動かす。
車の往来。
信号機がすべて赤になる瞬間。
家から出てきたひとの服装。
ベランダで時間を満喫するひとの動き。
「あ」
横目に見ていたモニターが見知った玄関を映し出す。
彼は窓をきっちりと閉めて、廊下をぱたぱたと小走り。ダイニングに顔を出せば、彼の兄がポリエステルから日用生活品を次々とダイニングテーブルに並べていた。
「あのね、おかえり」
「えぇ、戻りました。何もありませんでしたね」
「あのね、ぼくはね。けど、きみってば同じの二個買ってる」
「え」
手を止めた兄が見れば、だめになったお玉のかわりがふたつ。別の店で同じ用途のものを買ってしまったらしい。
苦虫を奥歯で噛んだ彼は「ま、まあ、予備ですよ」と声を絞り出した。
「ほんと、すっごいうかつでまぬけ」
「ぐぅ……」
そうして項垂れる兄だが、慣れているのか表面上はすぐに立ち直ってみせた。
「あのね、お店をハシゴするから忘れるんだよ」
「安いものは安いところで買ったほうがいいんです」
「あのね、お野菜、赤い看板のとこじゃなくて紫のところのほうが今日は安いんだよ」
「え」
「ここの歯ブラシ磨きにくい。きみにも合わない」
「……」
「あとね、このカバン持ち手引きちぎれなくてよかったね」
「うぅ……何なんですか…もう」
「付け焼き刃ね、あのね、よくない」
「……っ」
今度はぐうの音も出ない。口をへの字に曲げて悔しがる兄に近寄ると、弟はすん、と鼻を動かした。わずかに寄せられた眉。それに気づいた兄が何です、と訊く。
「たばこのにおいする」
「あまり嗅いではいけませんよ」
「あとね、甘い、ん……けほっ、こんっこんっ」
「香水ですね。苦手なくせに嗅いで」
「とんこつ背脂」
「ラーメン店がいくつかありましたね」
「あのね、排気口からラーメンのにおいするってほんと?」
「まあ、そうですね。じゃなかったらどこからにおいがするのか、となります」
「あのね、出入り口の開閉でねにおい外に出る」
「……」
すべて出し終わった購入品。兄がもう、もくもくと俯いてポリエステルのバッグを畳んでゆく。
そこでふと、彼が顔を上げた。
「羨ましがるならお前も外に出ればいいんです」
「…ふぅん」
「……何です、その顔」
「あのね、別にぼくが行かなくてもきみが行けばぜんぶ解決する」
「どういう」
「これ」
弟が指差したのは兄のシャツのエンブレム。とん、と指で弾けば硬い音がした。
小型カメラ、と弟の唇が動く。
「は」
「気づかなかったの」
「装飾とばかり」
「この前着たときこんなのなかったでしょ。うかつでまぬけ」
「私にプライバシーもお前にデリカシーもないなんて……」
「きみが言うとね、わらえるね」
そう大して表情を変えずに言う弟は、バス停前のきみの行きつけでモーニング食べたいね、と今度はくすりと笑う。
兄が一瞬ぽかんとして、すぐに小型カメラのエンブレムを触った。
「お前っ、いつから私の身の回りにカメラを…!」
「ね、ぼくけっこう、この街のこと知ってる」
「ず、随分前からですか⁉」
「んふ。だから、きみが外でにおいをつけて来ればぜんぶね、分かっちゃうんだよ」
だからぼくはお家でおとなしくしてるね。
弟はもう一度スマイルを見せ、自分の好きな駄菓子だけを手に取って部屋に戻ってゆく。
さっそくひとつ開けた駄菓子を口に含み、モニターの電源を落としてカーテンも閉め切って。
#街
誰かの泣く声が夜の街に響く。
でも、私では救うことができないから。
名前も知らない誰かに、ごめんねと心の中で言って。
息を潜めて、その泣く声を聞いているだけ。
僕のことを全く知らない街に行ってみたい。
そしたら、僕のことをちゃんとひとりの人間として扱ってくれるだろう。
出来たら、綺麗な雑貨屋さんが並ぶ西洋風なところがいい。
海が近くて人が少なくてでもいい人たちで。
そんなところに行ってみたい。
眠る事を忘れている街
皆何かを隠して何かを
求めている
寂しい心かきけしたくて
一瞬の快感を今日も又
貪るように
はしゃぐその笑顔は何かを
手に出来なくてさ迷った
魂と魂
一時だけの温もりの中
心の空洞を今日も又
慰めるように
今日また好きな人に会えた❤️
同じ職場とか普通に考えて最高😃
でも、付き合ってるわけじゃない…⤵️
でも、一眼見るだけで幸せなんだよねって感じる
最近は、あのガラガラじゃないんだな。
福引券を渡して、タブレットの前に行く。
ビンゴゲームのようなもの、マス目をタッチして同じ絵柄が出たら「当たり」のようだ。
……ガラガラを回したかった。
公平性重視でいけば、少しずつこういうものに移行していくんだろうな、と少々ベタベタするパネルをタッチする。
お、五百円割引券が当たった。らっきー。
テーマ「街」
イングランド最大の州、ヨークシャー。
シーズンオフの今のうちにイングランド観光しようという話になって、イギリスの中で一番に星を獲得したレストランがあるとかでそこで食事をしたり、景色を見たりする日帰り旅行先として訪れた。
ゲームで見たファンタジー世界のような景観には、物事にあまり関心を持たない自分でもワクワクさせられた。
観光ガイド情報を昨晩頭に叩き入れたらしい彼は、あちこち指をさして建物の造りがなぜこうか、地理がどうの経済がどうのと解説をしてくれる。
正直話半分で聞いて、解説する彼自身を見ていた。
上等なアメジストがはめ込まれたような目に映る街は、自分の目で見るよりも何倍も美しく、住み心地が良さそうだ。
「次に住む場所はこういう長閑で街並みが綺麗なところも良いかもなー!」
うん、と一言の相槌から呆けているのを察知したのか、ちゃんと聞けよなーっと不貞腐れる姿を見て、いたずら心が顔を出す。
お前の瞳に映る街に引っ越ししたい。
なんて言ったらどんな顔するのかな。