『落ちていく』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
落ちていく。
なにも重力に従った移動だけが落ちることではない。
地位から、身分から、権力から。良識から。
人はありとあらゆるものから落ちていく。
時に意図的に無意識に。
無意識だったとしたら滑稽で、意図的だったとしたら垂涎のひととき。
落ちろ堕ちろ墜ちていけ。
なにもかも。
落ちていく。
転職して、肉体労働からデスクワークになったせいか、夜眠れなくなった。
以前は、布団に入ってから、すぐ寝れたのに、目が冴えている。
軽い筋トレをするが、効果はない。
眠りに関する本を買って、実践してみた。
部屋を暗くし、目をつむる。
私は、頭の中で、海を作った。
浜辺で、海を見ている。私以外、誰もいない。
聞こえるのは、波の音だけだった。
朝でも夕方でもない天気。曇りのような天気。
少しだけ雲から光がさしていた。
海は、青というよりも黒に近かった。
私が、海に入ると、ズボンが濡れ、シャツが濡れていった。
冷たさはなく、心地よいぬるさが、肌にあたっていく。
背よりも高いところまで進むと、体は下に落ちていった。
苦しさはなく、呼吸ができた。体を横にして、沈んで行くのを楽しもう。
陽の光が見えなくなり、怖くなって目をつむった。
どこまで行ったら、底につくのだろう。
痛いかな。
それまでに、眠れたらいいな。
落ちていく太陽がボタニカルでいっぱいの水瓶に差す
彼女はコルクボードに写真を貼っていたが手を止め
愛着のあるテーブルに色づく気配をそっと撫でる
しばらく時が伸びる そして
打ちっぱなしの壁に聡明な面した愛犬の鳴き声
きっと彼のおかえり
カーテン閉めて暖房つけよう
宵に暮れたなら部屋にひだまりを!
「いつまでこんな生活、続けるつもりなんだ」
品物をトートバッグに次々と入れていく。
「バレていないか?」
思わず周りを見渡す。誰もいない。よし。今だ。さらに品物をトートバッグに入れていく。そして、何食わぬ顔をして店から出ていく。今日も見つからずにやり遂げた。このスリル感と高揚感がたまらない。しかし、帰宅すると罪悪感と自己嫌悪に苛まれる。もう二度とやらないと誓うのにやりたくなって行動してしまう。
今日はすべてレジに出して帰ろう。いつもそう思う。今日もそうだった。盗った品物をテーブルに並べる。
「うわー。これだけ盗ったのに見つからなかった。才能があるのかもしれない」
心が踊る。明日は何を盗ろう?想像するとわくわくしてくる。たまらない。
落ちていく。
落ちていく。
#落ちていく
落ちるときって
早くない?
完全に落ちたら
上がるしかないからって
良いように
よく言われた
けど、
底辺から上がるのは
簡単なことじゃないよ
私は今日、ここから落ちる
靴と手紙をおいて
地から足を離し
流れに身を任せた
ゆっくり落ちていく
ビルとビルの間から顔を出している大きな光
色々思い出す
悲しかったこと
楽しかったこと
嬉しかったこと
「あ〜落ちなきゃ良かった…」
急速に 落下するように
あなたの奏でる音に溺れていく
その声 もっと聴きたい
その低音 最高だわ
何度も何度もリピートして
ヘッドフォンで あなたを摂取する
それは満たされることなく
依存性は尚更高まる
新譜なんていらない
お気に入りの曲にだけ とことん
◇落ちていく◇
浮き上がるようでその逆だった。
掻き抱かれて苦しい海に沈められる。
「怖い」
狂おしい波が私を浚って行ってしまう。
彼の肩にしがみついて爪を立ててしまった。苦しくて苦しくて息が上がってしまい涙が溢れる。
涙を拭う唇があった。
「辛いか」
窒息しそうなほどの水の泡が身体を変えていく。うち震えて声が出た。彼も耐えている。
全てを変えてしまいそうな海に二人して落ちるのだ。
どうですか。落ちた経験はありますか。
受験に落ちる。
穴に落ちる。
段差から落ちる。
木の葉が落ちる。
あ、こんばんは。
私はしがない音楽家。曲の作れない音楽家でございます。
これは、私が出会った数多の喜劇たちのお話。
今日はひとつ、ある姉妹のお話をしよう。
小さな彼女がまた涙を落とさぬよう、どうか見守ってあげておくれ。
舞台は大きな病院。
その大きな病院の一室には、1人の少女が横たわっていた。
その少女の双眸はまるで窶れていて、見ているこちらも良い顔は出来ない。
しかし彼女は笑うのだ。
「___だって、じゃないと“のこり”がもったいないよ」
「残り?」
「うん。のこり。」
「だってせんせいが言ってた。わたしね、“のこり”半年でしんじゃうんだって。」
「病気が悪化したの。」と、幼い彼女は舌っ足らずな日本語で笑った。
まるでそれが当たり前かのように、そうなる事を知っていたかのように。
だから、彼女は「残りの余生」を余すことなく使いたいのだと。
泣いて終わるなんて勿体ないんだと。
「あ!そうだ!ね、おんがくさん。ドアをあけて?そろそろくるの。」
「ウン?ドア?いいけど来るって?…ああ!あのクソガキ!」
「くそがき?ひどい。わたしのかわいい妹なのに!」
時計がちょうど90°の形になる時。
午後15時に、いつもやってくる子供がいる。
アイツはもーーーう本当にクソガキの典型で___
「ちょっと!!!オマエなんで今日もいるのよ!!姉さんから離れて!」
うるせえ。おっと。
先程までの静かで穏やかな空気はどこかへと飛んでいってしまう。
ベッド上の穏やかな少女の顔とそっくりな、もう1人の少女。
__彼女たちは、一卵性双生児なのだ。
「なんでいつもいるのよ。アンタのせいで姉さんが“あっか”したらどうするのよ!」
「ふふ、そんなにすぐ“あっか”しないよ。」
病弱な「姉」と、
元気な「妹」。
対照的な彼女たちは、今日も楽しそうに病室で笑うのだ。
「ねえ!おんがくさん!わたしドナーが見つかったって!っ、げほっ、っぐ、」
「わ、無理しないで。」
胸元を押さえ込んで激しく咳き込んだ彼女を支えながら話に耳を傾ける。
一瞬顔を歪めた彼女はまたニコリと笑って「ありがとう」と一言。
「ごめんね。でも、すごい、うれしい。」
「ね、おんがくさん。わたしね、わたし、もう“のこり”がないんだって。わたし、いきられるって。」
「おんがくさんおんがくさん。そとであそぶって、どんなだろう?大きな声でうたうって、どんなだろう?サッカーってどんな風なるーるなの?さむさ、で、っげほ、もうくるしいは、なくなるのかな?っふ、かふ、も、こんなふうに、ならなくていいのっ?」
そこまで言った彼女はまた大きく咳き込んだ。
彼女の小さな背中をゆっくりと擦りながらその期待に答える。
「ぜーんぶ、君の病気が治れば知ることができるものだ。私に聞くまでも無いんじゃない?」
「……そっか。そうだね。……おんがくさん、ありがとう。びょうきがなおったら、わたしと、いつきと、それからたくさんの友達といっしょに鬼ごっこしようね!」
「ええ。勿論。沢山遊ぼう。あのクソガキも一緒にね」
手術の日程はたったの10日だそうで、今までの生活に比べればへっちゃらなんだとか。
ただ、入院中は家族に会えないからそこだけは辛いのだ。そう言って彼女は寂しそうに笑った。
結果だけお話しよう。
ドナー手術は成功に終わったそうだ。
ただ、彼女は前のようには笑わなくなった。
双子とは、なんとも残酷なものだ。
お互いが自分の半身とも言える双子は、臓器の適正までも半身と言えたようだった。
病弱な彼女が、願いを。
妹と沢山遊びたいのだ、と言えていれば、言うチャンスさえあれば、何かが違ったのだろうか。
全てを知った彼女は何を言うのだろう?
これからを知れることに歓喜するのか。
はたまた、これからに意味が無いことに気づいてしまうのか。
それを知る由は、私には無いけれども。
「……ねえ、おんがくさん。わたし、どうして生きてるんだろう。…………ねえ、なんで。」
小さく開かれた口から、言葉がおちていく。
しずかに、しとりしとりと涙も落としながら。
「なんで、」と静かに呟いた言葉は、果たして誰に向けられたんだか。
私にかもしれないし、病院にかもしれないし、はたまた。
妹にかもしれないし。
まあひとつ確かに言えることは、世界は確かに残酷で、愛情というものはその中でも1等、無慈悲たということ。
ああ、彼女は今も元気に生きているだろうか?
楽しみだったサッカーはできたのかな。
大きな声で歌えているといい。
友達と寄り道なんかして、親と喧嘩して。
それで、また大きな声で笑えていれば、いいけれど。
彼女が繋いでくれた“のこり”を、謳歌してほしい。
曰く、成し遂げんとした志を1度の敗北によって捨ててはいけない。……なんて誰が言ったか。
そんな彼女達には、エリーゼのために。
敬具 あなたたちのおんがくより。
___________
すみません、迷走してしまった。
意識が落ちていく狭間でこれを書く。
今日も1日頑張ったと褒められる日もあれば
今日のあの一言はあの子を傷つけたかもしれないと
1人反省会を開く日もある。
今日も、高熱にうなされながらフリック入力。
こんな時くらい休めよときっと思われるだろう。
でも、病気の時ほど
孤独で、辛くて、世界が真っ暗に見える。
誰かと繋がりたくて
いつも以上に明るい文面でLINEを返し
書く習慣を開く。
さぁそろそろ落とそう。
ばいばい意識。
落ちていく。
何処から?
落ちていく。
何処へ?
上も下も分からない無重力の暗闇を
堕ちていく。
辿り着く先が地獄の底だったとしても、貴方となら。
『落ちていく』
落ちていく
今日も飽きずに恋をする。
愛しいあなたに落ちていく。
落ちていった...
みんな、みんな
消えていく
俺を置いて
みんな消えていく
置いていかないで...
お願いだから
# 3
落ちていく
落ちていく
どんどん落ちていく
あなたと二人
高揚感の中落ちていった
先のことはどうでも良かった
だんだん光が遠くなった
暗闇が深くなった
落ちていく
もう何も見えない
手を繋ぐあなたの顔すら
落ちていく
二人で奈落へ
─落ちていく─
私は今、落ちている。
まるで海みたいに蒼い空のような。
まるで桜が浮いている川のような。
そんな綺麗な景色へと、私はゆっくり落ちていく。
いつもは上にいる鳥達も、今は私が上に居るようで。
今までなかった自由すら、今は私の羽になっている。
耐えられなかった世界すら、今はこんなにも美しい。
花のなかった生活も、やっと自由になってゆく。
息苦しかった生活も、やっと幸せになってゆく。
さぁ、もう少し。怖がる必要なんてない。
ただ目を瞑って、落ちるだけ。
お久しぶりの作者です。
ハート1500いきました!ありがとうございます!
ここまで来たら小説家の夢を持ってもいいでしょうかね…?
これからはハート500ごとに報告させていただきます。
これからもよろしくお願いします!
以上、作者でした。
考えすぎかな?
いや、どうだろう
そんなふうに
すぐ思ってしまうもので
毎度毎度考えまくり
そして落ちてゆく
奈落の底
ほぼ100%
対人関係
家族ですよ
仕事なんかは
何かあったとて
特に気にしないスキル発動
家族だけはそうはいかない
厄介だけど愛おしい
そして今日も
奈落の底
6.落ちていく
最初は変なやつだと思ってた。
陰キャでキモい。
でもこいつの目を見てると目が離せなくなる。
なぜなんだ。分からない。
「ムカつく…」
こいつを知る度にむかついてくる。
声も顔も性格もキモイのに何故かそばにいたくなる。
こんなのおかしいのに…
お前は俺に「永遠を捧げるよ」とか言っててすっごい
キモい。でも俺は少し嬉しかった。
これが好きということなのだろうか?
いつの間にか俺はこいつ中心の生活になっている。
キモいし俺のことしか眼中にないけど、逆に俺しか
考えてなくて俺の事になると目がキラキラになる。
こいつに俺は恋に落ちてしまったんだな。
最初は何ともなかった。
声も匂いも仕草も顔もどうも思ってなかったのに
優しくするから、たまにかっこいいとこ見せるから
全部が好きになった。
みんなに優しいあなたは色んな人の心を落としてしまうのかな。
私だけ落ちていけばいい。
他の人は落ちていかないでいい。
その無邪気な顔も、いたずらも私のものだけでいい
困ったように笑いかけるあなた。
勉強を教えてくれるあなた。
いじわるするあなた。
その全てに落ちていく。
暗闇に
ふっと
落ちてゆく
どこまでも暗く
深い場所に
落ちてゆく
溶けてゆく
淡く白い灯りに
もう届かない
『落ちていく』
#落ちていく
ヒラヒラと一葉の紅葉が落ちていく。
すぐ下の水溜まりに落ちたその紅葉は、優雅に水溜まりの中を泳ぐもすぐに対岸に着いてしまった。
その姿にきっと私もこの紅葉のように狭い世間しか知らないのだなと、ふと思うと虚しくなって、死にたくなった。