浮き上がるようでその逆だった。掻き抱かれて苦しい海に沈められる。「怖い」狂おしい波が私を浚って行ってしまう。彼の肩にしがみついて爪を立ててしまった。苦しくて苦しくて息が上がってしまい涙が溢れる。涙を拭う唇があった。「辛いか」窒息しそうなほどの水の泡が身体を変えていく。うち震えて声が出た。彼も耐えている。全てを変えてしまいそうな海に二人して落ちるのだ。
11/23/2023, 3:43:12 PM