『花束』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
花束
雨が降って、どんよりした空気が漂う今日。
私は、近所の花屋に立ち寄った。
扉を開けると、花屋独特のあの匂いに包まれた。
「いらっしゃいませ」
ドアベルが音を立てると、おしとやかな女性の声が小さな店に響いた。
私は、女性に向かってこう言った。
「花束をつくってもらえませんか?」
すると、女性は頷きながら、
「お花のオーダーは、ございますか?」
と、言った。
私は、少し考えて、5種類の花をオーダーした。
女性から、花束を受け取ると、私は、金だけ払い、
店の外に出た。
外に出ると、雨はすっかり止んでいて、水溜りが照りつける太陽を映していた。
病院に着く頃には、空一面が東雲色に染まっていた。
中に入り、いつもの場所へ向かう。
「大切な妻」が待っている場所へ。
「遅くなってごめん。」
小さく呟いて、花束を置く。
返事はない。
この時間だと、眠りについているのも当然だ。
ブルースター、マリーゴールド、キキョウ、白いダリア、ピンク色のガーベラ。
色とりどりの美しい花束の匂いが、病室に漂った。
『花束』
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花言葉
ブルースター 『幸福な愛』
マリーゴールド 『変わらぬ愛』
キキョウ 『深い愛情』『永遠の愛』
白いダリア 『感謝』『豊かな愛情』
ピンク色のガーベラ 『感謝』『崇高美』
今回は、かなり時間をかけた力作です。情景の表現の仕方を試行錯誤して書いたので、意識して読んでくださると嬉しいです。
お花屋さんが存在しない過去の時代の人たちは、お花屋さんがある時代を知ったらビックリするのだろうか。
【花束】
君の為に花束を買った 薔薇の花を108本
店の人に「素敵ね」と言われ少し照れくさい
そうして君と会う
君も薔薇を持っていた
君の薔薇は99本
「考えてる事は同じかな」
君は優しく微笑む
『これから よろしくお願いします』
花束
花は萎れてしまうけれど
わたしたちは永遠だからね
いつまでも枯れない花束を
ふたりの心の中に
沢山の花の中で
あなたが1番キレイで輝いていた。
私は、あなたと過ごして
大きい花束を貰ってます。
その花束を2人で大切に育てていきたい。
花束
花束というか花のよさにまだ気づけてない。
花ってそんなに素晴らしいものかしら?
わならない。
花束
色とりどりの花束ができた。色の統一感や見た目の美しさなんかは一切気にせずに作ったようなそれは、まるで小さな子どもが好きなように選んでできた花束のようだった。
たしかに、色を統一させようとも、見た目の綺麗さで組み合わせようともしなかったのは事実だ。
ただ、花言葉だけを重視した花束だった。伝えたいことがありすぎて、そのくせ素直に口からは出てきてくれないから、花言葉に頼るしかなかったのだ。
たとえば、一緒にいれて嬉しいだったり、いつもありがとうだったり。本当は大好きなんだってことも、口に出すのは気恥ずかしいから、だからあなたがこの花束の意味を知ったらきっと喜ぶだろうと思って、必死に調べながら選んだ花たちだった。
きっとあなたは笑うだろうから。この花束を受け取って、なーに、これ、と少し困惑したように眉を下げて、でもどこか嬉しそうに笑うだろうから。
どうか、この思いが伝わりますように。そう祈りながら花束を抱えて、あなたに会いに行くんだ。
花束
専門学校の卒業式で、花束と旅行券と
皮の名刺入れをもらった。花束と旅行
券は、卒業製作で優秀賞みたいなもの
に選ばれたからだ。
だがしかし、すべてあげてしまった。
花束はお腹の大きいキレイな先生に、
旅行券は友達カップルに、名刺入れは
お父さんに。豪華な花束は、私には似
合わず恥ずかしさもあった。旅行券は、
旅館はタダでも他に交通費も食事代も
かかるから。皮の名刺入れはとても格
好良く、お父さんが喜んでくれたから。
あれが人生初めての花束だったな。
次は結婚式で、その次は退職した日。
人生の節目に、祝福の花束が。
次は……娘の結婚式で、
ご両親に感謝の花束かっ!?
無機質な空間に似つかない
色鮮やかな花束。
だけど、これだけじゃ物足りない。
貴方が花束のそばにいて、
初めて花束が花束になる気がするの。
だから、早く帰ってきて。
このお花たちが枯れてしまわぬうちに。
「花束」
道端に咲く小さな花を集めても
花束にはできなかった
摘むとすぐに生気を失って
花は花でなくなった
僕は申し訳なくなって
花を土に帰した
また芽吹いておくれと
身勝手な願いを込めて
君に逢いに行った時
僕は手ぶらだった
渡すはずの花束がなくて
僕の手は空っぽだった
だけどその空っぽの手を
君はぎゅっと握りしめてくれた
来てくれてありがとうって
そう言ってくれた
毒がある花、太陽のような花
花には様々な個性がある。
忌み嫌われたり好かれたり…
それがあわさるとどうなるんだろう?
どんだけ嫌いな花だって好きになるかもしれない
嫌われている花同士くっつけるとどうなるだろう?
もしかしたら好かれるかもしれない
様々な個性が集まってできたひとつの花束…
どんなに嫌われてたって合わさると綺麗になる
だから花は飽きない、どんな花でもひとつになれるから
『花束』
花束といえば、100万本のバラですよね。
100万本の花束なんてもらうことなんてないけど、100本はありました、バラ。
元気にしていますか?
私は元気です。
おはようって景気よく言えた朝には黄色
ひとり怯える夜には青色
推しの先生と話せたときには桃色
いつしか心の中にできたいろとりどりの花畑
いつかうつむいたあの子に
それらの花を束ねて贈れるといい
私のヒーローがそうしてくれたように
「花束」
植物は静かに生きてるから好き。
お家に着いたら描きたいな。
「花束」
なんて美しいんだろう。
十人十色、百人百様に個性があってそれぞれ花を咲かせているこの地球という名の花束は。
テーマ:花束 #89
花束ってもらって嬉しいの?
男からしたらわからない。
花って枯れるし。
貰ったときだけきれいなだけで、その後どうなるのか正直知らない。
でも、花束を家に飾っている人を見たことがない。
きっとすぐ枯れてしまうんだろうな。
なんて思って横目で見ていると、花屋から出てきた男性に声をかけられた。
「こんにちは。なにかお探しですか?」
どうやら男性は店員さんらしい。
「あ、いえ…なんでもないです」
僕がそう言って立ち去ろうとすると
「花束って綺麗。でも、もらって嬉しい…?」
僕は思わず振り返った。それは店員さんが言った言葉だった。
「え…?」
エスパーなんだろうか。心を読む能力…?
「そんな顔をしていたので…」
ヘラっと笑う店員さん。
「そうですよね、わかります。僕もわからないことですし」
「花を売っているのに…ですか?」
僕の言葉に頷く。そのまま彼は視線を花に向ける。
「僕はどちらかというと送る側ですからね」
店員さんはまたヘラっと笑う。
「でも…」
そんな店員さんの顔が急に引き締まる。
「花屋をやって思ったんです。花束がどうなるか、じゃなくて。送る相手がその人に対して花束あげたいから送るんだって。
いろんなものがある中で、花束をプレゼントする。それはその人には花束あげたいって思ってあげている。その気持ちを相手が受け取る。それが大事なんだって」
店員さんの花を見る目は優しかった。
「まぁ、最終的にいえば、気持ちが伝われば何をあげてもいいってなるんですけどね」
そう言って顔を上げ、僕を見る。
「花束を買ってくださるお客様のその気持ちを、僕は花束で表現する。そしてお客様の気持ちにあった花束を買っていただく。僕の仕事は花とお客様の気持ちを繋ぐサポート、といったところでしょうか」
店員さんの言葉はどこまでも丁寧で、聞いていて不思議な感覚になった。
「そう思うと花束は、もらって嬉しいのではないでしょうか。あとのことより貰ったときのことが大事なんじゃないかなって僕は思いますよ」
店員さんが微笑んだ。貰ったときのことが大事…か。
「今はドライフラワーっていうのもありますし」
「どらいふらわー?」
「花から乾燥させることによって、長く保存できるようにするんです。あぁ、今はハーバリウムっていうのも流行っていますね」
店員さんの言葉に混乱していると
「あぁ、すみません。熱心に話してしまいました」
そう言って謝られる。
「あ、お詫びと言ってはなんですが…。少し待っていてください」
そう言って店内に入っていったかと思うとすぐに戻ってくる。
「これ、どうぞ」
手渡されたのは、小さな花束だった。小さい白い花がピンクの花を際立たせている。
「カーネーションとカスミソウという花を組み合わせています」
「いいんですか…?」
「はい! あ、いらなかったらすみません」
「いえ…。嬉しいです」
僕の口から自然に出ていたその言葉。店員さんは微笑んだ。
僕は店から離れると考えた。
僕が持っていてもいいけど両親にあげてもいいな、と。
僕は店員さんの言葉を思い出す。
ーー貰ったときのことが大事
花のいい香りが僕の鼻をくすぐる。
※ピンクのカーネーション、カスミソウの花言葉:感謝
店員さんは花言葉まで考えたのでしょうか?
両親にあげることまで考えてあげていたのなら、店員
さんは未来が見えるのでしょうか…?
- 花束 -
アフレルナミダ
月になげたらきれいかな
アフレルナミダ
光にとけたらきれいかな
アフレルナミダ
アフレルオモイ
アフレルセツナ
ぜんぶあつめて花束にして
抱きしめたら あたたかいかな
そっと届けてみようかな
感謝と祈りを添えて
あなたと
あなたの大切なひと
わたしの大切なひとたちへ。。。
きっとあなたは花束を持って
迎えにくるだろう
ピンクとあかの色でいっぱいの花束を
友人の結婚式に招待されると、時の流れを嫌でも実感してしまう。その式典には当然当時の同級生なんかも参加していて、皆の精悍たる顔付きに幾度となく驚かされるものだ。
幸せを呼ぶ鐘の音が響き渡った。青空の下、新郎新婦からふわりと放たれた花束は、次なる結婚を呼ぶとされる。言葉くらいは聞いたことがある。ブーケトスと言うやつだ。
何気なく見ていたが、まるでブラックホールのようにぼくがいる場所へと引き寄せられていく。逃げる訳にもいかないので、片手だけ出してキャッチ。しかし、ぼくよりも一回り小さい手によって更にその花束は掴まれていた。
その主は、ぼくの横にいた女性。見違えるように変わってしまったけれど、当時の思い出は案外鮮明に覚えているもので、その女性の顔やら特徴が、昔の記憶とパズルのピースを嵌めるように合致していく。
わぁぁ、と一際大きな歓声に包まれた。まるで、次の結婚相手は自分達だと祝福されるように。
こんなのはただの迷信、信じるに値しない戯言だけど。
「随分大きくなったね、君」
「そっちこそ、凄く女性らしくなったというか」
「何それ。普通じゃない?」
くすくす、と笑う様は昔と同じだった。今だけは、そのジンクスとやらにあやかってみてもいいかもしれない。
僕が君の特別になった夜
懐かしい
君に似合う花なんていくらでもあったから
僕の好きな花を、花束にして準備した
その時、君の好きな花かは分からなかったけど
やっぱり似合っていた
僕の好きな花の束とは言ったけど
君のことを考えて生まれた花の束だったかも